岬

550円 (税込)

2pt

作家の郷里・紀州の小都市を舞台に、のがれがたい血のしがらみに閉じ込められた青年の、癒せぬ渇望、愛と憎しみ、生命の模索を鮮烈な文体でえがいて圧倒的な評価を得た芥川賞受賞作。この小説は、著者独自の哀切な主題旋律を初めて文学として定着させた記念碑的作品として、広く感動を呼んだ。『枯木灘』『地の果て 至上の時』と展開して中上世界の最高峰をなす三部作の第一章に当たる。表題作の他、初期の力作「黄金比の朝」「火宅」「浄徳寺ツアー」の三篇を収める。

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岬 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    1975年芥川賞受賞作。人物関係がややこしくて読みにくいです。出自という避けられない事実に苦しむ人間について書いてあります。今の世の中で「多様性」みたいに言われることの、本当の姿というものがあり、それが憑依して書かせた文章なので読みにくいのも仕方ないという印象。

    0
    2025年08月11日

    Posted by ブクログ

    性的描写がある作品のうち、最適な文量で最大限の役割を果たしているものって少ないから、そういう意味で性的描写とはこうあるべきだと示してくれる教科書のような存在
    最初は読みにくいけど最後が圧巻、流石芥川賞受賞作

    0
    2025年05月11日

    Posted by ブクログ

    私たちの人格はどうやって作られたのか。先天的に与えられた部分と、後天的に獲得した部分がある、と言われるが、おそらくはそのいずれにも当てはまるのが、時代、そして地縁・血縁だろう。私という存在は、この時代に、この場所に、この親のもとに生まれるほかなかった。どんなに新しい未来を手にしようとも、出自から完全

    0
    2024年10月06日

    Posted by ブクログ

    表題の作品のパワーが凄まじい。思わずじっくり読み進めている自分がいた。さすが芥川賞受賞作品。短い文での状況説明や心象表現が特徴的で、戦後直後の朴訥とした荒めで不器用な男っぽさがよく出ているように思った。

    「紀州サーガ」シリーズとして、同じ登場人物で同じ紀州で、また違った物語が展開するらしく、次の「

    0
    2024年06月10日

    Posted by ブクログ

    (引用)
    彼は、一人残っていた。腹立たしかった。外へ出た。いったい、どこからネジが逆にまわってしまったのだろう、と思った。夜、眠り、日と共に起きて、働きに行く。そのリズムが、いつのまにか、乱れてしまっていた。自分が乱したのではなく、人が乱したのだった。ことごとく、狂っていると思った。死んだ者は、死ん

    0
    2024年01月21日

    Posted by ブクログ

    「岬」には、James Joyceの短編集「ダブリナーズ(ダブリンの人々)」のなかの1作「死せる人々(The Dead)」との関係性を強く感じる。

    例えば、一族の物故者の影や息使いが、普段は姿を見せないものの、今を生きる者の言葉や立ち居振る舞いその他の様々な所作において、それが姿を現し、なおかつそ

    0
    2018年05月12日

    Posted by ブクログ

    ぐいっと引き込まれるものがあります。
    リアリティ溢れる描写は、作者の育った境遇が目の前に浮かぶようです。
    それ故に、なかなかに辛く、救いがない。
    どうにも乱暴になってしまう人達の性は、境遇によるもなのか。乱暴を乱暴のままにして許してはいけないと思う。

    先に、紀州という著者のルポ?を読みました。

    0
    2025年08月29日

    Posted by ブクログ

    紀伊半島の南部を舞台にした著者の経験をもとに書かれた表題作を含め四作の作品が収められている。どの話も重苦しく、特に「岬」は切っても切り離すことができない血縁に縛られた主人公の男の苦しさに、読み手側も辛くなった。
    親族関係かなり複雑で時々この二人はどんな関係なのかと分からなくなる部分もあったので、「岬

    0
    2024年08月04日

    Posted by ブクログ

    舞台は和歌山、田舎、インターネットも何もなく他の世界とつながりようもない時代。
    閉じた人間関係、どろどろのしがらみの中での愛憎、ふりほどけそうもない。
    主人公は土方の仕事が好きで、毎日汗を流して、精錬潔癖に生きれたらと思ってる。
    でも自分に流れる血がそれを許さない、最後はあの男への復讐を遂げる場面で

    0
    2024年05月13日

    Posted by ブクログ

    朝日新聞の和歌山文学紀行での紹介本である。読んでみて、岬へ家族でピクニックに行くことと甥っ子がクジラを見に行くということで和歌山ということがかろうじてわかる程度である。最後が性交で終わる。

    0
    2023年07月04日

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