ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
予備校生のノートに記された地図と、そこに書き込まれていく×印。東京で生活する少年の拠り所なき鬱屈を瑞々しい筆致で捉えた青春小説の金字塔「十九歳の地図」、デビュー作「一番はじめの出来事」他「蝸牛」「補陀落」を収録。戦後日本文学を代表する作家の第一作品集。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
歌手・友川かずきの著書「一人盆踊り」に中上健次にまつわるエッセイが収録していたので興味を持った。 そういえば、以前なぜ友川かずきが映画「十九歳の地図」に出演しているのか疑問に思ったことがあったが、当時親交があったからかと合点がいった。 この「十九歳の地図」は4本の短編が収録されているが、解説等々...続きを読むを読むに全て同じ主人公とのこと。しかも著者本人の体験が強く反映されているようだ。 上述の友川かずきも弟が列車で自殺しており、肉親の悲惨な死を経験しているもの同士何か理解うるところがあったのだろうか。 肝心の小説の方は、少年期の原体験、青年期の鬱屈した精神、成人後の堕落が描かれていて、読んでいてどんどん気が滅入ってきた。 しかし、朝鮮人の住む家に石を投げるのも、東京駅に脅迫電話をかけるのも、もしかしたら自分も似たようなことをしていたかもしれないと思わせる、そんな気持ちになる。 もともと自分の中にもある暴力性に訴えかけてくるような感じもする。 それでいて、山や川や海や空やらの描写は人に対するそれと異なり清々しいほどに爽やか。 残念ながら補陀羅はうまく読むことができなかった。
表題作、十九歳の地図について。 素晴らしい読書体験だった。 ここには、青春のただ中にいる一人の青年の、本当のことしか書かれていない。 そう感じさせるのは、中上健次が、借り物の言葉ではなく自分の言葉で語っているからだろう。 僕は、今日が19歳最後の夜。 自分の、やりきれない十代の形にならない想いは、ち...続きを読むゃんと中上健次が分かってくれていた。 文学とは作品を読んで全体を俯瞰しながら分析するものではない。 言葉では表せない「何か」を言葉で読み、それによって読者は否応なしに心を動かされる。 悲しい物語でも、感動する物語でもないのに、心が形にならない涙を流す。 文学とは本来、そういうものだ。 作者は自らが感じた本当を書き、そして読者はそれを読んで理屈なしに感動する。 この本を読んだだけで、今日は最高の日だ。
中上健次の身体性の強いくらくらするような文体のはじまりはこんな感じだったのかー。 「枯木灘」より「軽蔑」より濃くて尖ってて良い。本当にこれは十九歳で読むべきだったなあとは思いつつも、今読んでも疼くものがある尖りかた。
長らく求めていた物語はこれだったのかも知れないと錯覚する一冊。鬱屈、陰惨とした作品であり、それでも爽やかさを孕んでる。普通であれば専らおかしな配分である。それが自身を刺激し、敬愛する彼も影響を受けることが酷く解り、後悔と羨望の目を向ける一冊である。
土や動物さらに排泄の臭いがまとわりつく生活空間に厭世観が漂う。若者、社会に抗う彼らの心情に時折共鳴するも隔絶も伴ってしまう。それは読者自身の俯瞰化なのか、登場人物への蔑みなのか、それとも言葉では明確化できない混沌した感情なのだと結論づけても物語は完結へと向かわない。筆者、中上健次は結末の道程を読者に...続きを読む投げつける。それは現在未来にどのような形で帰着するのか、それとも過去の悔恨に囚われるのか、放出される主題は “しこり” ではなく “余韻” として心に響く。
最初に手をつけた中上健次作品が、千年の愉楽という特殊な読み始め方をしてしまったので、こうして彼の原点に変えると最後まで貫かれ続けた何かが感得される。 それは傷だらけのマリア様→オリュウノオバというイメージの変遷でもあるのだが、現実の虚構は徹底的に暴かれ、死も生もすべて無効化するこの作品群は、しかし確...続きを読む実に救済の文学なのである。 それだけは、記録に残しておこうと思った。
表題作の『十九歳の地図』のみ読んだ。 19歳という子供でもなく大人でもない不安定な時期の鬱屈を、主人公がアルバイトの新聞配達で担当しているエリアの住民に悪戯電話をして発散する。 このようなテーマはありきたりに思えたが、「かさぶたのマリア」と近くに住む家族のギミックが面白い。予備校生として上手くい...続きを読むかず落ちていく主人公は、落ちた人達を嫌いながらも、その苦しさに否が応にも共感してしまう。中でも「かさぶたのマリア」の言葉がリフレインする場面ではそれが顕著だろう。 また、近所に住む夫婦は喧嘩ばかりしているが、セリフとして描写されるのは妻のセリフのみである。そして、この妻のセリフが主人公を痛烈に批判している。本作全体のリズムは、この外部の声によるところが大きいだろう。
中上健次氏の処女作「十九才の地図」を収録した短編集。 「枯木灘」「千年の愉楽」と比べると迫力は劣るものの、のちの「紀州サーガ」に繋がる萌芽は感じさせる。「一番はじめの出来事」などは「岬」「枯木灘」「地の果て至上の時」三部作の源流が描かれる。「穢れた高貴な血」と称する路地に生きる者たちのサーガを描き...続きを読む、得体の知れぬ鬱積と暴力の絡み付きはありつつも、文体の未熟さは感じる。中上健次氏のほか著書を読んだあとに読むことをおすすめする。
力強く鬱屈してる。 ブルースでありグランジロックでもある。 最後に涙したのが救いあるところなのかな?
十九歳の地図を読んで 何者でもない不安と何者でもない居心地の良さを兼ね備える何色ともつかない人生の一時。 世の中を知っていたと言えるのは、本当はこんな時期なんじゃないか。 大人になれば落ち着き場所を見つけ、その場所に意固地になる。 こんな純粋な持て余した感情は持てないんじゃないか。 だから曇りの...続きを読むない目で世の中を感じ悟れる。 解説では、主人公の電話する行為を神からの「メッセージ」と書いているが、僕はそれを読んで丸善の洋書にそっと「檸檬」を置くあの作品を思い出した。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
新装新版 十九歳の地図
新刊情報をお知らせします。
中上健次
フォロー機能について
「河出文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
異族
紀州 木の国・根の国物語
奇蹟
作家と酒
讃歌
小学館電子全集 特別限定無料版 『中上健次 電子全集』
試し読み
新装新版 枯木灘
十九歳のジェイコブ
「中上健次」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲新装新版 十九歳の地図 ページトップヘ