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Posted by ブクログ 2015年12月19日
表題作、十九歳の地図について。
素晴らしい読書体験だった。
ここには、青春のただ中にいる一人の青年の、本当のことしか書かれていない。
そう感じさせるのは、中上健次が、借り物の言葉ではなく自分の言葉で語っているからだろう。
僕は、今日が19歳最後の夜。
自分の、やりきれない十代の形にならない想いは、ち...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年09月25日
土や動物さらに排泄の臭いがまとわりつく生活空間に厭世観が漂う。若者、社会に抗う彼らの心情に時折共鳴するも隔絶も伴ってしまう。それは読者自身の俯瞰化なのか、登場人物への蔑みなのか、それとも言葉では明確化できない混沌した感情なのだと結論づけても物語は完結へと向かわない。筆者、中上健次は結末の道程を読者に...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年04月18日
最初に手をつけた中上健次作品が、千年の愉楽という特殊な読み始め方をしてしまったので、こうして彼の原点に変えると最後まで貫かれ続けた何かが感得される。
それは傷だらけのマリア様→オリュウノオバというイメージの変遷でもあるのだが、現実の虚構は徹底的に暴かれ、死も生もすべて無効化するこの作品群は、しかし確...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年08月05日
表題作の『十九歳の地図』のみ読んだ。
19歳という子供でもなく大人でもない不安定な時期の鬱屈を、主人公がアルバイトの新聞配達で担当しているエリアの住民に悪戯電話をして発散する。
このようなテーマはありきたりに思えたが、「かさぶたのマリア」と近くに住む家族のギミックが面白い。予備校生として上手くい...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年05月28日
中上健次氏の処女作「十九才の地図」を収録した短編集。
「枯木灘」「千年の愉楽」と比べると迫力は劣るものの、のちの「紀州サーガ」に繋がる萌芽は感じさせる。「一番はじめの出来事」などは「岬」「枯木灘」「地の果て至上の時」三部作の源流が描かれる。「穢れた高貴な血」と称する路地に生きる者たちのサーガを描き...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年10月30日
十九歳の地図を読んで
何者でもない不安と何者でもない居心地の良さを兼ね備える何色ともつかない人生の一時。
世の中を知っていたと言えるのは、本当はこんな時期なんじゃないか。
大人になれば落ち着き場所を見つけ、その場所に意固地になる。
こんな純粋な持て余した感情は持てないんじゃないか。
だから曇りの...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年05月23日
宇佐美りんが「推し」ている著者ということで手に取る。
4つの中編が、当初は別々のものかと思いきや、最後の話しからどうも一人の男の小学生、19歳、20代半ばのことを書いていると読み取れる。
社会の底辺で生きる若者、朝鮮への差別、、、「そこのみにて光り輝く」にも通じる重苦しさが、しんどいながらも読み切っ...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年08月24日
1946和歌山県じんぐう神宮市生まれ 46歳の若さで逝去 拠り所のない鬱屈を瑞々しい筆致で捉えた青春小説の金字塔 朝鮮部落の豚小屋 抑揚の定まらない口笛 インディアンの襲撃の雄叫びの真似 万国旗と日の丸の旗 子供特有の想像力を展開 計画の進行をうなが促す刺激剤 才気煥発 白色レグホン 鮒 樫枝かしえ...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年03月09日
わっけわっからーん。と思いつつ、あれ?これって一度読んだことあるかもしれない。高校ぐらいのとき……でもその時もわけわからんかったと思う。
中上健次の作品では同じモチーフが容れ物を変えて何度も繰り返されるようだ。
和歌山の川と海と山に囲まれた町、父親の違う兄妹、どこかからの流れ者、火つけ、兄の自殺、...続きを読む
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