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Posted by ブクログ
歌手・友川かずきの著書「一人盆踊り」に中上健次にまつわるエッセイが収録していたので興味を持った。
そういえば、以前なぜ友川かずきが映画「十九歳の地図」に出演しているのか疑問に思ったことがあったが、当時親交があったからかと合点がいった。
この「十九歳の地図」は4本の短編が収録されているが、解説等々を読むに全て同じ主人公とのこと。しかも著者本人の体験が強く反映されているようだ。
上述の友川かずきも弟が列車で自殺しており、肉親の悲惨な死を経験しているもの同士何か理解うるところがあったのだろうか。
肝心の小説の方は、少年期の原体験、青年期の鬱屈した精神、成人後の堕落が描かれていて、読んでいてどんどん気が滅入ってきた。
しかし、朝鮮人の住む家に石を投げるのも、東京駅に脅迫電話をかけるのも、もしかしたら自分も似たようなことをしていたかもしれないと思わせる、そんな気持ちになる。
もともと自分の中にもある暴力性に訴えかけてくるような感じもする。
それでいて、山や川や海や空やらの描写は人に対するそれと異なり清々しいほどに爽やか。
残念ながら補陀羅はうまく読むことができなかった。
Posted by ブクログ
表題作、十九歳の地図について。
素晴らしい読書体験だった。
ここには、青春のただ中にいる一人の青年の、本当のことしか書かれていない。
そう感じさせるのは、中上健次が、借り物の言葉ではなく自分の言葉で語っているからだろう。
僕は、今日が19歳最後の夜。
自分の、やりきれない十代の形にならない想いは、ちゃんと中上健次が分かってくれていた。
文学とは作品を読んで全体を俯瞰しながら分析するものではない。
言葉では表せない「何か」を言葉で読み、それによって読者は否応なしに心を動かされる。
悲しい物語でも、感動する物語でもないのに、心が形にならない涙を流す。
文学とは本来、そういうものだ。
作者は自らが感じた本当を書き、そして読者はそれを読んで理屈なしに感動する。
この本を読んだだけで、今日は最高の日だ。
Posted by ブクログ
表題作の『十九歳の地図』のみ読んだ。
19歳という子供でもなく大人でもない不安定な時期の鬱屈を、主人公がアルバイトの新聞配達で担当しているエリアの住民に悪戯電話をして発散する。
このようなテーマはありきたりに思えたが、「かさぶたのマリア」と近くに住む家族のギミックが面白い。予備校生として上手くいかず落ちていく主人公は、落ちた人達を嫌いながらも、その苦しさに否が応にも共感してしまう。中でも「かさぶたのマリア」の言葉がリフレインする場面ではそれが顕著だろう。
また、近所に住む夫婦は喧嘩ばかりしているが、セリフとして描写されるのは妻のセリフのみである。そして、この妻のセリフが主人公を痛烈に批判している。本作全体のリズムは、この外部の声によるところが大きいだろう。
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