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Posted by ブクログ
鬼らが跋扈する「鬼」州、霊気の満ちる「気」州、中上氏の原点である紀州を巡るルポタージュである。彼が問うたのは自身の源流と紀州サーガであり、それらを霧のように包む被差別と非差別を解き解し、剥き出しの本質を探り出そうとしている。作中の突然の屠殺願望などは、中上氏のなかに眠る「濁った高貴な血」の放出なのかもしれない。
紀伊半島は紀伊山地を挟み近畿至近にありながら隔世感がある。私自身串本に観光へ行ったことがあるが勉強不足でその隣に「枯木灘」があることも知らなかった。その「路地」で育った(いわゆる部落)中上氏は、紀州の溜へ足繫く通い、血脈と被差別について推敲を重ねる。
ルポタージュという形式でありながら、ドキュメンタリーのような周到な準備と緻密な取材があるわけではないが、時々の出会いと発見に触れ、自身の思考を醸成していく過程が興味深い。
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