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Posted by ブクログ
南紀の小都市(1970年頃か?)を舞台にした長編小説。南紀旅行に行く前に是非読んでおこうと手に取った。
複雑な出自を持つがゆえ、地縁と血縁について悩みながら、ところどころ情熱と暴力を爆発させてしまう主人公の物語。登場人物が非常に多く、また現在進行の場面と回想場面が頻繁に入れ替わるため、序盤では混乱してしまう。最終ページに関係図が載っているので、そちらを数ページごとに何度も見返しながら読み進めていく。また、地図帳で和歌山県新宮市や熊野川付近を見返したり、現地の写真を検索しながら、壮大なドラマの舞台を頭で描きながら読んだ。
中盤に入って、ある程度、現地のイメージと人物関係が頭に入ってしまうと、一気に読めてしまう。「路地」におけるドロドロの関係の中で、愛憎絡む思いや、少しずつ豊かになる暮らしぶりが描かれている。南紀の大自然(山・川・海)や、辛い土方作業に精を出す描写も美しい。
Posted by ブクログ
勉強不足だったが、中上健次が「紀州サーガ」と呼ばれフォークナーやマルケスを源流とし世界文学の潮流として彼らに比肩する作家であることを初めて知った。文章から滲み出る鬼気は圧倒的だ。
中上氏の言う「路地」とは被差別部落地区を指すが、作中には差別に関する事柄は一切なく、そこに土着する「穢れた高貴な血」への異常な執着の物語だ。秋幸が繰り返し繰り返し意識する実父「龍三」の血だが、根底にあるのは憎悪ではなく承認欲求とアイデンティティ認識のためなのかもしれない。個人的には「千年の愉楽」のほうが好きだが、端的にはなかなか言い表せないサーガを、小説という手法を使って書き上げた凄い作品だ。
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