小説 - 集英社文庫作品一覧

  • エンジェル
    3.5
    投資会社のオーナー掛井純一は、何者かに殺され、幽霊となって甦った。死の直前の二年分の記憶を失っていた彼は、真相を探るため、ある新作映画への不可解な金の流れを追い始める。映画界の巨匠と敏腕プロデューサー、彼らを裏で操る男たち。そして、ひと目で魅せられた女優との意外な過去。複雑に交錯する線が一本につながった時、死者の「生」を賭けた、究極の選択が待っていた――。
  • エンブリオ 上
    3.9
    1~2巻440~550円 (税込)
    エンブリオ――それは受精後八週までの胎児。天才産婦人科医・岸川は、人為的に流産させたエンブリオを培養し臓器移植をするという、異常な「医療行為」に手を染めていた。優しい院長として患者に慕われる裏で、彼は法の盲点をつき、倫理を無視した試みを重ねる。彼が次に挑むのは、男性の妊娠実験…。神の領域に踏み込んだ先端医療はどこへ向うのか。生命の尊厳を揺るがす衝撃の問題作。
  • A.B.O.AB
    3.3
    血液型にとらわれて「男女交際」なんてダサイ……などと考えてはいけません。血液型を信じましょう。A、B、O、AB、それぞれの血液型の男女が8人いて、恋愛のドラマが始まる。切ない擦れ違いや、ドライな別れがあって、でも詰まるところ収まるように収まる。それって、やっぱり運命だったのかも。新しい物語の世界がある血液型恋愛シミュレーション小説。
  • おいしい家族
    4.0
    母の三回忌、実家である都内の離島に帰省した橙花。都会暮らしに疲れた橙花にはちょうどよい休暇だった。故郷に暮らす一つ年下の弟の翠は、スリランカ人女性と結婚し、間もなく新しい命が誕生する予定。実家に着くと、橙花を出迎えたのは、母のワンピースを着た父だった! 唖然とする橙花に追い討ちをかけるように、夕食の席に現れたのは、見知らぬ中年男・和生と、その娘で生意気な女子高生・ダリア。そして父はこう宣言した。「父さんな、あたらしい家族の母さんになろうと思う」。性別、血縁、国籍、あらゆる壁を超えた、あたらしい家族の誕生を描いたユートピア小説。
  • 鴎外パイセン非リア文豪記
    4.5
    作家を志して十年超。いまだ一作も書き上げられないままコンビニでアルバイトを続ける「余」。文豪になりきって自虐的なツイートをする「鴎外パイセン」のキャラが面白いと人気を集め、書籍化の話が舞い込むが…。無個性さに悩みつつ夢小説を書く女子大生、二作目が書けない作家、文豪志望のフリーター。谷根千を舞台に、何者にもなれない人々の悩みともがきを描く、滑稽でどこか切ない物語。
  • 黄金比の縁
    3.8
    (株)Kエンジニアリングの人事部で働く小野は、不当辞令への恨みから、会社の不利益になる人間の採用を心に誓う。彼女が導き出した選考方法は、顔の縦と横の黄金比を満たす者を選ぶというものだった。自身が辿り着いた評価軸をもとに業務に邁進していくが、黄金比の「縁」が手繰り寄せたのは、会社の思わぬ真実だった・・・・・・。ボディ・ビルを描いた『我が友、スミス』で鮮烈なデビューを果たした著者が、本作では「就活」に隠された人間の本音を鋭く描く!
  • 王様の結婚
    3.0
    「これまでにいくつか恋をして、いくつか恋を失って、そのたびに3日で立ち直ってきたじゃないか。しっかりしろ!」ジョン・レノンが死んだ日にふられた男の消すに消せない恋の記憶……。以来、すっかり落ち込んだ日常と輝やかしい甘美な過去を交錯させて、男に再び訪れた新しい恋の季節を、ホロ苦いユーモアで描く青春小説。
  • 王妃の館 上
    3.8
    1~2巻605円 (税込)
    パリはヴォージュ広場の片隅にたたずむ、ルイ十四世が寵姫のために建てたという「王妃の館」。今は、一見の客は決して泊めない、パリ随一の敷居の高さを誇る超高級ホテルとなっているこのシャトーに、なぜか二組のワケあり日本人ツアーが同宿することになった。しかも、倒産寸前の旅行代理店の策略で、客室を昼と夜とでダブル・ブッキングされて……。ぶっちぎりの笑いと涙満載の傑作人情巨編。
  • 雨あがり お江戸縁切り帖
    4.2
    1~5巻572~693円 (税込)
    明暦の大火が江戸を焼いて、一年が経った。人々の生活は未だ落ち着かないままだ。糸はひとり長屋で暮らしていたが、縁切りの手紙を代書する依頼を勢いに負けて引き受けてしまう。浮気亭主との別れ、悪友との絶縁、愛し憧れた役者との別離、親子の決別……「縁切り屋」として立ち会った様々な別れがもたらすのは不思議と涙だけではなかった。あたたかな別れを描いた時代連作短編シリーズ第一弾!
  • 大江戸あにまる
    4.1
    石樽藩の江戸留守居役の下で働く小暮幸之進は、お人好しで失敗ばかり。おまけに剣術も苦手だ。ある日、草花や獣に目がない乾福助という変わり者が国許からやってくる。同じ頃、異国の「あにまる」――駱駝に豆鹿に羊、山鮫(ワニ)、猩々(オランウータン)が江戸を賑わす事件が勃発! 侍らしからぬ凸凹コンビが舶来の動物たちと出会い奔走する。さらに男勝りの藩主の妻・小桜まで登場してますます大騒ぎに! 笑って泣いてやっぱり笑っちゃう。涙と笑いと動物がいっぱい。著者初挑戦の傑作時代小説!!
  • 大きくなる日
    4.0
    グーパーじゃんけんで人数の少ない方がコート整備をする。それが中学一年の太二が所属するテニス部のルール。ある日、太二は同級生の武藤にパーを出そうと持ち掛けられ、その結果、末永一人が負けてしまう。心にモヤモヤを抱えたまま、太二は翌日を迎えて……。(「四本のラケット」)子供も親も先生も、互いに誰かを育てている。四人家族の横山家の歩みを中心に、心の成長を描いた感動の家族小説。
  • 危険なふたり(大塚綾子の人生相談シリーズ)
    4.0
    「あ、そう。ぼくが出張中に彼女とデートしていたのね。じゃ、二度とそんな真似できないようにしてあげましょ!」新入社員の星野豪太は緑川剛編集長の声に震え上がった。人気出版社に中途採用された喜びもつかのま、なんと男の上司から惚れられた。婚約者の桃子にその悩みを打ち明けられずにいるうちに、なぜか豪太は、自分も彼を愛し始めていることに気がついた……。
  • 悪寒
    4.1
    大手製薬会社社員の藤井賢一は、不祥事の責任を取らされ、山形の系列会社に飛ばされる。鬱屈した日々を送る中、東京で娘と母と暮らす妻の倫子から届いたのは、一通の不可解なメール。“家の中でトラブルがありました”数時間後、倫子を傷害致死容疑で逮捕したと警察から知らせが入る。殺した相手は、本社の常務だった――。単身赴任中に一体何が? 絶望の果ての真相が胸に迫る、渾身の長編ミステリ。
  • 沖縄コンフィデンシャル 交錯捜査
    3.5
    1~4巻693~781円 (税込)
    那覇市内の高級ホテルで男女の遺体が発見された。沖縄県警捜査一課の若手刑事・反町は、叩き上げのベテラン・具志堅とともに事件捜査に当たる。当初、ただの無理心中と思われたが、準キャリアで同期の赤堀が追う米軍用地をめぐる土地取引事件との関連性が急浮上。二つの事件の背後には、日本の表と裏の“権力”による壮大な陰謀の影が……。著者会心にして渾身の長編警察小説。
  • 屋上で縁結び
    3.1
    1~3巻528~605円 (税込)
    勤め先が倒産し、再就職活動中の苑子。生来の地味さゆえか連敗中のある日、面接会場の窓から遠くのビルの屋上に建つ神社を見つけ、神頼みをする。数日後、採用が決まったのは、なんとその神社があるビルの受付だった。初出勤日の昼休み、何気なく屋上に上がった苑子はモッズコート姿で掃除をする神主の幹人と知り合い、弁当を分け合うことになり…。すこし不思議で心温まるお仕事ミステリー。
  • 幼な子の聖戦
    4.2
    東京で挫折、信じかけた新興宗教にも失望した史郎は、故郷に戻り村議となり、人妻との逢瀬を楽しんでいた。幼なじみの仁吾が村長選に立候補すると、改革の理想を語る彼への応援を約束。が、県議から人妻の件で決定的な弱みを握られ、仁吾落選のための不正工作に加担。心を引き裂かれた史郎の、破壊的衝動を描く「幼な子の聖戦」(第162回芥川賞候補作)。ビルの窓拭きを専門にする会社に転職した小春は、仲間同士で命を預けて仕事をする緊張感にのめり込んでいる。ある日、ビル内の盗難事件が原因で責任者を下ろされてしまった権田にひそかに憧れていた小春は、思い切って彼を焼き鳥に誘うが……「天空の絵描きたち」。話題の2編を収録。
  • おじさんはなぜ時代小説が好きか
    4.2
    時代小説とは何か? 司馬遼太郎、藤沢周平ら多くの作家が活躍し、名作が書かれた昭和。作品が舞台とする江戸時代。高度経済成長期の「会社」生活に一喜一憂した昭和のサラリーマン達が自らを仮託した下級武士達と、経済成長なきユートピアとしての「藩」。それぞれの時代と社会を詳細に読み解き、日本人にとって時代小説が持つ意味をわかりやすく語る。おじさんも歴女も目からウロコが落ちる必読書。
  • オズの世界
    3.8
    配属先はローカル遊園地!? ディズニーランドで働く夢に破れ、二度と遊園地には行かないと心に決めた久瑠美。失意のうちにホテルへの入社を決めた彼女が命じられたのは、グループ傘下にあたる九州の遊園地での勤務だった。理想と現実のギャップに不満だらけの久瑠美、しかしそこでは更なる試練が待ち受けていた――。遊園地の知られざる裏側と不慣れな地で奮闘する新米社員を描くお仕事小説。
  • 恐るべき太陽
    3.7
    画家ゴーギャンや歌手ジャック・ブレルが愛した南太平洋仏領ポリネシアのヒバオア島。謎めいた石像ティキたちが見守るこの島に、人気ベストセラー作家と、彼の熱烈なファンでもある作家志望の女性5人が〈創作アトリエ〉のために集まった。だが作家は失踪、彼女らは次々に死体となって発見される……。最後に残るのは、誰? 叙述ミステリーの巨匠ミッシェル・ビュッシが満を持して放つ、アガサ・クリスティーへの挑戦作! 手掛かりはたくさんあるのに騙される……。
  • おだやかな部屋
    -
    男との愛に生きながら、確かな世俗の絆を求めようともしない孤独な女の心は、日常の些細な出来事も部屋から見下す街のながめも、謎めいたものに変えてしまう。ひとり居の女心のゆらめきに微かな性の芳香を漂わせながら、一組の男と女の微妙な愛のかたちを描いて生の不思議な深淵にせまる力作長編。
  • 墜ちていく僕たち
    3.6
    ある日突然、男が女に、女が男に変わったら……? 神出鬼没の摩訶不思議なインスタント・ラーメンが巻き起こすミステリアスな5つの物語。生まれてからずっと男でいつづけるのも、女で一生終わるのも、人間ってけっこう楽じゃない。性に悩めるあなたも、悩んだことなんて全然ないあなたも、さあ、そんな綱渡りのような固定観念を捨てて、性差の呪縛ものりこえて、新しい自由な世界へようこそ。
  • しのびよる月(御茶ノ水警察シリーズ)
    3.6
    1~6巻594~715円 (税込)
    御茶ノ水署・生活安全課保安二係は斉木斉と梢田威だけの小世帯だった。小学校の同級生が御茶ノ水署で再会する。がき大将だった梢田が斉木をいじめた過去があった。それがいまでは斉木警部補と梢田平刑事。復讐に燃える斉木は、ことごとく梢田の出世を妨害し、日常業務に文句をつける。口論しながら推理も続け、神田お茶の水界隈の難事件迷事件を解決していく。ユーモア・ポリス・ストーリー。
  • 夫の妹
    3.3
    二十五歳のOL知花は両親の猛反対を押し切って、先妻と死別した五十歳の上司・国元公二と結婚した。後妻の立場と大きな年齢差が懸念されたが、それよりも問題は夫の妹にあった。四十五歳の義妹・小恵子は、二十も年下の兄嫁を「お姉さま」と呼んで慕い、洋服の趣味から髪型、さらに口癖・習慣に至るまで、知花のすべてを模倣しはじめる。そこには公二の先妻の死とも絡む大きな秘密があった。
  • 夫の火遊び
    3.5
    『桜ハウス』と名づけた家でハウスシェアをしていた女たち。蝶子36歳・遠望子31歳・綾音26歳・真咲21歳。あれから十数年の月日が経ち……。今明かされる真咲の離婚の真相。婚約破棄を繰り返していた綾音が、選んだ男。遠望子のもとを訪れた女の目的は? そして、蝶子に新しい男が!? 一生懸命に生きるからこそ、どこかコミカルになってしまう30~40代の女たち4人を小気味よく描く傑作連作集。
  • オテル モル
    3.9
    「悪夢は悪魔」の合言葉のもと運営される会員制地下ホテルで働きはじめた希里。「最高の眠りと最良の夢」を提供すべく「誘眠顔」である彼女の奮闘が続く。リハビリ施設に入院中の双子の妹に代わり、小学生の姪と、かつて恋人であった義理の弟とともに暮らす希里が働き始めたのをきっかけに、彼ら三人にも変化がみえてきたころ、妹の沙衣の退院が決まる。直後、事件は起きてしまう――。
  • お父さんのバックドロップ
    3.9
    下田くんのお父さんは有名な悪役プロレスラーの牛之助。頭は金髪、顔は赤白の隈取り、リングでみどり色の霧を吹く。そんな父親が下田くんはイヤでたまらない。今度は黒人の空手家「クマ殺しのカーマン」と対戦することになったのだ。父を思う小学生の胸の内をユーモラスに描く表題作。ロックンローラー、落語家、究極のペットを探す動物園園長と魚河岸の大将。子供より子供っぽいヘンテコお父さんたちの物語。
  • 義弟
    4.0
    人気弁護士の彩と義理の弟の克己は、本当の肉親以上に信頼し合っていた。ある夜、彩と不倫関係にあった男性が彼女の職場で突然死する。スキャンダルを恐れた彩に助けを求められた克己は事故死に偽装するが、夫の死を不審に思う妻が彩の事務所に相談しにやってくる。彩は克己の反対を押し切り、彼女の依頼を引き受けるが…。心の闇を抉り出す衝撃作。
  • 男あそび
    4.0
    ひどく謎めいた女に成熟した順子には、自分が必要とする時に男を呼び寄せ、意のままに操ることができる奇妙な力があった。順子はそれを〈浮気の超能力〉と呼んで、思うまま人生を愉しんでいたが、ふと、どこか虚しい気持ちに陥るようになって……。表題作「男あそび」他7編を収録。軽妙に描く大人の女と男の物語。
  • 男は敵、女はもっと敵
    3.6
    映画好きが高じてフリーの宣伝マンをする藍子36歳。仕事は順調だが、W不倫の果てにフッた男が仕事場に現れ復縁をせまり……(『敵の女』)。22歳の真紀はデザイン会社で働く。今は仕事よりも来月入籍するバツイチのカレが大事。だが、その元妻と仕事をすることになり!?(『Aクラスの女』)。など、恋と仕事にまっすぐ生きる女たちをリアルに描いた連作短編集。
  • おとしばなし集
    -
    江戸戯作の深い造詣にささえられた、石川淳の軽妙な話体による“おとしばなし”と、世界名作のパロディ。おとしばなし堯舜・李白・和唐内・清盛・業平ほか。小公子・蜜蜂の冒険・乞食王子・家なき子ほか。小説の約束事に拘束されない、自由で楽しい小説集。
  • 鬼に喰われた女 今昔千年物語
    4.5
    時は平安。京に上った東国の長者が妻と荒れ果てた邸宅に宿を取った。数日たった夕方、男が縁にいると妻の叫び声が聞こえる。驚いた男が部屋に飛び込むと、暗闇から伸びた太い二本の腕が妻をつかんで奥の間に引きずりこむところだった。妻は鬼につかまっていたのだ……(「鬼に喰われた女」)。表題作ほか今昔物語からインスピレーションをえて人間に巣食う「闇」と「エロス」を大胆に描いた短編集。
  • 鬼の棲む家
    3.5
    新婚まもない華子は、古びた借家で夫の亮介を電動工具で殺害した! 華子は弁護士に「あの家には鬼がいたの」と語り、事件の背景には壮絶なDVがあったことを示唆する。それを知った華子の父は、夫こそ加害者で、娘は被害者だと訴え、罪の軽減に奔走する。だが、やがて父親は「鬼」の真の正体を知り愕然となる! 家族から殺人者を出した一家の崩壊する心理を描く、戦慄の新感覚ミステリー!
  • お縫い子テルミー
    3.8
    依頼主の家に住み込み、服を仕立てる「流しのお縫い子」として生きる、テルミーこと照美。生まれ育った島をあとにして歌舞伎町を目指したのは十五歳のとき。彼女はそこで、女装の歌手・シナイちゃんに恋をする――。叶わぬ恋とともに生きる、自由な魂を描いた第129回芥川龍之介賞候補の表題作。アルバイトをして「ひと夏の経験」を買う小学五年生、小松君のとぼけた夏休みをつづる『ABARE・DAICO』収録。
  • オネスティ
    3.8
    「どんな秘密も作らない。恋愛も結婚もしないけれど、心はいつも一番近いところにある。ほかの人を好きになっても、結婚しても、ずっと好きでいるけれど、赤ちゃんをつくるようなことはしない」カイとミノリは、幼き日に交わした約束を大切に守りながら成長していく。そんな二人の関係は大人になってもずっと続いていき――。人をどれくらい誠実に愛することができるのかを問う純愛的長編小説。
  • おはなしの日
    3.0
    なぜ私は母に疎まれるのだろうか。どうすれば愛されるのだろう――。親からの虐待を受けて、傷つく少女。その痛みと孤独を共有できたのは同じ境遇にある少年だけだった……。ひとりで生きるには幼すぎたあの頃。大人の理不尽な暴力に悲しみをつのらせ、未来は果てしなく遠かった。〈家庭〉という最も危険な場所で生きる少女たちの世界を静謐な文体で描き、心を深く衝く作品集。
  • オムライスはお好き?
    -
    窓際族とさげすまれ、女房、子供にいびられる中年男は卵料理に生きがいを見いだした。シブチンでええ格好しいの妻、親爺を煙たがる子供らに囲まれて、孤独で寡黙なお父さんの胸の中の呟きが、おかしくて哀しい表題作。やっと建てたマイホームを女房一族に占領され、挙句の果てに転勤命令。愛家家の悲哀を描く「かたつむり」他、男権弱化の世の中で夕暮れを迎えた男女の甘くも苦い極めつきの7編。
  • 汚名
    -
    関東電工のエリート折原章一は、元上司から新会社設立への参加を求められた。身体障害者救済のためのコンピューターソフト会社だという。折原は芹沢涼子を知るが、涼子は脳性マヒで車椅子生活をしている息子をコンピューター技術者にしたいという。そんな時、産業用ロボットが人を殺してしまった。ショッキングな事件を背景に、身体障害者の本当の自立の意味を問いかけるミステリー長編小説。
  • 思い出のとき修理します
    4.0
    1~4巻506~660円 (税込)
    仕事にも恋にも疲れ、都会を離れた美容師の明里。引っ越し先の、子供の頃に少しだけ過ごした思い出の商店街で奇妙なプレートを飾った店を見つける。実は時計店だったそこを営む青年と知り合い、商店街で起こるちょっぴり不思議な事件に巻き込まれるうち、彼に惹かれてゆくが、明里は、ある秘密を抱えていて……。どこか懐かしい商店街が舞台の、心を癒やす連作短編集。
  • 思い出は満たされないまま
    3.5
    東京・多摩地区在住のフリーター・甲田には認知症の母がいる。母の介護を口実に仕事を辞めたのに団地の自治会役員を押し付けられてしまう。住民の自分勝手なクレームに翻弄される毎日。遂に近くに住み着いたホームレスの男性を追い出せと言われ……(「団地の孤児」)。マンモス団地に住み暮らす人々の日常と街の様相を描いた7つの連作短編集。この一冊には理屈を超えて、感情を揺さぶるパワーがある。
  • 出世払い おやこ相談屋雑記帳
    3.5
    1~2巻616~660円 (税込)
    招き猫が招く手、右左の違いとは?(「猫は招く」)。気の合う相談客と盛り上がって帰宅した信吾が犯した大失敗(「山に帰る」)。いつも声を掛けてくる老婆のある変化の理由(「サトの話」)など、盛りだくさんの全5話を収録。大病からの生還を機に動物と話せる力を持った信吾と妻の波乃が営む相談屋と将棋会所のにぎやかな日常を舞台にした、笑いあり涙ありの人情物語。「めおと相談屋」の看板が「おやこ相談屋」に掛け替えられて、お馴染み青春時代小説の新シリーズ開幕!
  • オレゴン夢十夜
    -
    「私」は日本人の女に絶望する。そして女を女たらしめている男にも絶望する。いたたまれず、憑かれたように飛行機に飛び乗り、はるかオレゴンの深い森に降り立つ。さあ、ここからなにが始まるか? 少女以来見続けてきた夢の実現か。あるいは、愛によって生きる人間らしい生き方の確認だろうか――。奔放に飛翔し、漂う自由な精神を力強く描く長編。
  • おれたちの青空
    3.8
    1~4巻495~528円 (税込)
    父が横領罪で捕まって一家離散、陽介が札幌の養護施設“魴ぼう舎(ほうぼうしゃ)”に移って二年が経つ。中学三年の陽介と施設の仲間たちは高校進学を前に、将来を見据えてそれぞれの選択を下すことになり――(「おれたちの青空」)。表題作のほか、魴ぼう舎を運営する恵子おばさんの若かりし日を描いた「あたしのいい人」、陽介の相方でスポーツ万能の卓也目線で語られる「小石のように」の二作品を収録。話題の青春小説。
  • おれのおばさん
    3.8
    ある日突然、父の逮捕を知らされた陽介。父が横領した金を返済するため、陽介は都内の名門中学を退学し、母の姉が運営する札幌の児童養護施設、魴ぼう舎(ほうぼうしゃ)に入ることになる。急激な暮しの変化に当惑しながらも、パワフルなおばさんと個性豊かな仲間に囲まれて、陽介は“生きる”ことの本質を学んでゆく。ときに繊細で、たくましい少年たちの成長を描いた青春小説。第26回坪田譲治文学賞受賞作。 【ナツイチ2013対象作品】
  • 女

    2.0
    “女”は可愛く、愛らしい。が時として底意地が悪く、また嫉妬深い――。かつて妻子ある教師と心中未遂事件を起こした東尋坊にいま、亡母の墓参りに夫と訪れた。何も知らない夫のひたむきな労りに心やすまるが、この安らぎもいつ崩れるか知れない。男と女の脆い結びつきを描く「蟹の爪」ほか、短篇五篇を収録。
  • 女三人のシベリア鉄道
    3.7
    与謝野晶子、宮本百合子、林芙美子。明治末から昭和初めの動乱期に、シベリア鉄道で大陸を横断した逞しい女性作家たちの足跡を辿り、著者もウラジオストクから鉄道で旅に出た。愛と理想に生きた三人に思いを馳せながら、パリを目指す。車中での食事、乗客とのふれあい、歴史の爪跡が残る街…世界で最も長い鉄道旅をめぐるエピソードの数々。三人と著者の旅が、時を超えて交錯する評伝紀行。
  • 女たち
    -
    六十路をむかえてなお恋の炎を燃やす女将。キャバレーのボーイに熱をあげるハイティーンの歌手。大学図書館の勤めをやめて不倫の愛に生きる女…など。奔放な情熱のおもむくままに生きる「女たち」のさまざまな愛と性にひそむ微妙な心の翳りと官能のうごめきを、多彩な人生模様に描く連作小説。
  • 女たちは泥棒
    -
    フランス料理店“リトリート”のオーナーは、堂島といういぶし銀のようなシブーイ男。本業は貴金属商で、都内にいくつも店を持ち、業界ではかなりの大物だった。その彼のもとに、若くてハンサムな谷本修一が、時折ふらりと現れるが、いつも心憎いほどイイ女が寄り添っていた。……なにやらいわくありそうな彼等こそ盗みのプロフェッショナル。それもケタ外れの泥棒たちだった。彼等の華麗な冒険を描く痛快ピカレスクロマン。
  • 女と味噌汁
    4.0
    東京は新宿に近い花柳界・弁天池。主人公の芸者てまりは底ぬけに明るいお人好し。そのうえ男まさりのしっかり者で、だれの世話にもならず、自分で汗を流して働ける商売をと、芸者稼業のかたわら、ライトバンを改造して味噌汁屋を始めた。花柳界でけなげに生きるてまりとそれをとりまく下積みの人々との心のふれ合い。それは人情の機微を写すに得意な著者独自の世界でもある。
  • 女の足音
    -
    前家元夫人の姑、明日香流に君臨する夫、舞踊の世界に身を置いて、裏方と忍従をしいられる木綿子。寂寥の日々にふとしのびよる若いパイロット小松雅志のおもかげに、木綿子の心はみだれる。人妻ゆえに、真実の愛を知っても、はぐくむすべなく身を灼く木綿子。因襲の世界にすむ女の愛の苦悩を流麗にくりひろげる平岩文学の傑作。
  • 女の海
    -
    夫と子供を捨てて竜平との恋に走った弓子。母の出奔後グレて事故死した息子や母の知人に夢中になる娘。この子供らにとって私は何であったのか? 愛の歓びにひたりながら、弓子の心の奥底に罪の意識がゆらめく。ひとりの女のラブ・アフェアが子供や愛人の運命に投げかける陰影を通して女の愛といのちの哀しみをくりひろげる。
  • 陰陽師暗殺
    4.0
    金閣寺北方の総合病院・第7病棟に、キツネ憑きの発作を起こす老女が入院してきた。それは陰陽師・安倍晴明の伝説に基づく芝居なのか、それとも本物の心霊現象か。一方、一条戻橋の下で現代の陰陽師土御門泰山が殺害! 額には五芒星の形に輝く五本の蝋燭。さらに殺人の連鎖は止まらない。いったい誰が、何のために? ついに親友まで事件に巻き込まれ、英光大学の村野杏美は、魔界都市・京都へ!
  • OL捜査網
    4.0
    営業部長の妻が自宅で首を折られ殺害された。続いて総務部長の娘が自殺を遂げ、さらに宣伝部副部長が浴槽から溺死体で発見された。関係者がみなヨコハマ自動車の社員か家族で、殺人現場が密室風であることから、社内に戦慄が走った。入社2年目の美帆たちは、OL探偵団を結成し、事件の謎に迫っていく。やがて嫉妬や憎悪にまみれた社内の人間関係が……。OLたちが、連続殺人に挑む会社ミステリー。
  • オートフィクション
    3.8
    22歳の女性作家・リンが新たに執筆を依頼されたのは自伝的創作=オートフィクションだった―。なにものによっても埋めることのできない、深い孤独を抱えた彼女が語り始めた「オートフィクション」は抹殺したはずの過去を描き出す。切り取られたいくつかの季節と記憶。通り過ぎる男たち。虚実が錯綜し破綻した世界の中で、彼女が見いだしたものとは。著者渾身の傑作長編。
  • オー・マイ・ガアッ!
    3.9
    物語の舞台はアメリカン・ドリームの都・ラスベガス。友人に裏切られすべてを失ったお気楽中年男・大前剛、キャリアウーマンから娼婦に「転職」した梶野理沙、そしてベトナム戦争の英雄なのに落ちぶれたジョン・キングスレイ。人生くすぶりまくりのそんな三人が一台のスロットマシンで史上最高の大当たり5400万ドルを叩き出した! 笑って泣いて夢を見る、エンタテインメント大傑作。
  • オーラの発表会
    3.9
    「人を好きになる気持ちが分からないんです」海松子(みるこ)、大学一年生。他人に興味を抱いたり、気持ちを推しはかったりするのが苦手。趣味は凧揚げ。特技はまわりの人に脳内で(ちょっと失礼な)あだ名をつけること。友達は「まね師」の萌音(もね)、ひとりだけ。なのに、幼馴染の同い年男子と、男前の社会人から、気づけばアプローチを受けていて……。周りとうまくやりたいのにやれない風変わりな女子大学生が主人公の不器用で愛おしい恋愛未満小説。デビュー20周年! 綿矢りさワールド全開!!
  • 解

    3.9
    バブル経済絶頂期、大学生の大江波流と鷹西仁は、政治家と小説家になる夢を語り合う親友同士。代議士の息子の大江は、大蔵省へ入省。鷹西は、社会勉強と文章修業のため新聞記者になった。目標実現のためにキャリアを積む二人だったが、大江の父親が急逝したことで忌まわしい殺人事件が……。めまぐるしく転変する彼らの人生を辿りながら、“平成”という時代を抉り出す骨太の長編社会派ミステリー。
  • 秘密への跳躍 怪異名所巡り5
    -
    弱小「すずめバス」のバスガイド・町田藍は、霊感が強く幽霊と話せるという特技がある。これを売りにした「幽霊ツアー」は、常連の女子高生・真由美をはじめ、変わり者のお客たちに大人気。夜な夜な赤子を抱いた女教師の霊が出るという高校の池を訪ねた一行。そこで真由美が奇妙な霧に包まれ妊娠してしまい!? (「生まれなかった子の子守歌」)など6編を収録した、大人気シリーズ第5弾!
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説
    3.6
    「第一章では、私はなにを書くか、迷いに迷って、題名もつけられない」――長編怪奇小説の執筆依頼を受けた作家だったが、原稿は遅々として進まない。あれこれとプロットを案じながら街をさまようが、そこで見かけたのは30年前に死んだ従姉にそっくりの女だった。謎めいた女の正体を追ううちに、作家は悪夢のような迷宮世界へと入り込んでいく…。奇想にあふれた怪奇小説の傑作が現代に蘇る。
  • 邂逅(鶴見京介弁護士シリーズ)
    3.5
    鶴見弁護士は、函館で親友・志賀川真二の離婚式に参加した。元妻に未練のある様子が心配で、同じホテルに宿泊。翌朝、ひとと会うと言って出かけた志賀川が、立待岬で墜落死する。現場で揉み合う姿を目撃された吉池仁一郎が逮捕されたが、犯行を頑なに否認。不審を抱いた鶴見は、志賀川と吉池の関係を探り始める──。親友の死に秘められた驚愕の企みとは!? 真実と償いの意味を問う、慟哭のミステリー。
  • [会社を休みましょう]殺人事件
    3.3
    森川晶は、営業部の若きエリート社員。仕事を他人に任せず、何でも一人で抱え込み、残業と休日出勤をしながら、いつもパニック状態。ある日、彼を高く評価している猛烈部長が会社で殺される。死に至る断末魔の表情がコピーされ、社内にばらまかれていた。この全社騒然の異常犯罪で、森川が疑われるが……。会社人間たちの心理をリアルに描きながら、最後に号泣のどんでん返し! 感動のミステリー。
  • 回想電車
    3.9
    深夜の電車に乗った男が遇った昔の恋人、同僚、かつて一期一会の出会いをした親子。一夜のうちに過去と未来が交錯して、その翌朝は……。不思議な時間軸で描かれた表題作ほか、孤独と愛と死、そして希望が見え隠れする、全9篇を収録。さまざまな人生の断片をたくみに映し出す、優しさとほのかな怖さを秘めた傑作短篇集。
  • 怪談
    3.6
    大切な人の突然の死。魂だけでもいつも傍にいて欲しいと願う気持ちが、見えない何かを引き寄せるのかもしれない。二十年前、男友達が自死した。彼の想いを素直に受け入れられなかった若い自分。そして今、恋愛に失敗し、仕事にも行き詰まった私は、様々な思いを抱え彼が最後に泊まった岬のペンションを訪れる――(「岬へ」)。生と死のあわいに漂う不確かな存在を、妖しく描き出す幻想怪奇小説集。
  • 怪男児
    4.0
    年齢:18歳 職業:湘南大学芸術学部 美術学科在籍 身長・体重:187センチ 132キロ 性格・趣味:純情 凶暴 むっつり助平 詩集『智恵子抄』を愛読。こんな主人公・出雲あやめが、特別仕様の自転車に乗り純愛を求めて走り回り、オスの欲望臭を撒きちらし悩みまくる青年男女大必読感動的未得恋名作。
  • 怪物
    3.5
    定年を間近に控えた刑事、香西には〈死〉の匂いを嗅ぎとる不思議な能力があった。その力を手掛かりに不審な失踪事件を調べるうち、彼はゴミ処理施設で働く青年、真崎に辿り着く。「処理場で人間の身体くらい溶かせる」とこともなげに言う真崎。端正な顔立ちのこの男が事件の犯人なのか。二人の息詰まる攻防戦が幕を開ける――。正義と悪の概念が根底から覆される! 著者渾身の長編ミステリー。
  • 怪物が覗く窓
    3.1
    19歳の良太はドアスコープを付けた部屋で引きこもり生活を送っていた。父親はそんな息子を「怪物」と呼んで嫌悪する。やがて閉塞した良太の人生に転機がきた。向かいに若い女性が越してきたのだ。部屋の窓から眺めるその姿は、良太を久々に表の世界へ誘い出した。しかし、その女性が何者かに殺され、父は「ウチの変態息子」の仕業と決めつけた。だが…。意外な真相に戦慄する新感覚ミステリー。
  • カイマナヒラの家
    3.8
    様々な人が共同生活を営むその家は、サーフィンに魅せられハワイイに通うぼくの滞在場所となった。夕日の浜でサムに聞いた「神様に着陸を禁じられた飛行機」の話、伝説の女性サーファー、レラ・サンの死。神話を秘めた島々ハワイイが見せてくれる、永遠に通じる一瞬と失わなければいけない時を描いた、美しい物語。この物語の登場人物はすべて架空であり作者の想像の産物であるが、家は実在した……。海と向き合う写真家・ 芝田満之撮影によるハワイイの光と波との幸福なコラボレーション。
  • 快楽の封筒
    3.0
    隣家の主婦に荒々しい欲望を抱く男。見つめられる視線のなかで徐々に熟れてゆく女。想像の上での交わりが現実になったとき、そこにあらわれるのは、快楽と愉悦の宇宙。ふくれあがる欲望、激しくかわす性愛、わきあがる官能。男と女の関係を、「性」という視点から濃密に丹念に描く全8編。傑作官能小説集。
  • 回廊封鎖
    3.8
    連続する殺人事件には共通点があった。見せしめのような殺害方法、被害者は破綻した大手消費者金融「紅鶴」の元社員。それに気付いた刑事・久保田は事件を追い始める。紅鶴に人生を破壊された男たちの復讐劇の最後にして最大のターゲットは社長一族の元専務・紅林伸夫。決着の場所は、六本木の巨大ビルで行われる映画祭。その壮絶な結末とは――!? 現代社会の闇に向き合った渾身の犯罪小説。
  • 花影
    5.0
    女の盛りを過ぎようとしていたホステス葉子は、大学教師 松崎との愛人生活に終止符を打ち、古巣の銀座のバーに戻った。無垢なこころを持ちながら、遊戯のように次々と空しい恋愛を繰り返し、やがて睡眠薬自殺を遂げる。その桜花の幻のようにはかない生に捧げられた鎮魂の曲。実在の人物をモデルとして、抑制の効いた筆致によって、純粋なロマネスクの結構に仕立てた現代文学屈指の名作。
  • 帰らざる荒野
    4.0
    友近克也は父・善次郎が築いた馬牧場を出た。兄嫁となる女性に想いを残して……。行くあても帰る場所もない、ただ生きるための流浪の旅だった。町々にはびこる悪徒に、容赦なくとどめを刺す克也。暴力と策謀が渦巻く荒野の果てに、安住の地はあるのか? 北海道開拓期。過酷な運命に立ち向かう家族、そして男女を描く連作短編集。
  • 鏡のなかのアジア
    -
    【第69回芸術選奨 文部科学大臣新人賞(文学部門)受賞作】チベット、台湾、クアラルンプール、京都……。言葉の魔力がいざなう、アジアへの旅路。はるかな歴史を持つ僧院で少年僧が経典の歴史に触れる「……そしてまた文字を記していると」、雨降る村でかつて起こった不思議な出来事を描く「Jiufenの村は九つぶん」、時空を超え、熱帯雨林にそびえる巨樹であった過去を持つ男の物語「天蓋歩行」など、アジアの土地をモチーフに、翻訳家でもある気鋭の著者が描く、全五編の幻想短編集。
  • 鏡の偽乙女 薄紅雪華紋様
    3.6
    大正三年、東京。画家を志して家を飛び出した槇島功次郎は、雪の無縁坂で、容姿端麗な青年画家・穂村江雪華(ほむらえせっか)と出会う。風変わりだが聡明、ずば抜けた画才を持つ雪華は、この世に未練を残して死んだ者の魂を絵で成仏させる、驚くべき能力の持ち主だった。果たせぬ恋、罪深き業……死者たちの断ち切れぬ思いが、二人の周囲に不可思議な現象を巻き起こす。幻想と怪奇に満ちた、大正怪異事件帖。
  • 鏡の背面
    3.8
    薬物や性暴力によって心的外傷を負った女性たちのシェルター「新アグネス寮」で発生した火災。「先生」こと小野尚子は取り残された薬物中毒の女性と赤ん坊を助けるために死亡。スタッフがあまりにふさわしい最期を悼むなか、警察から衝撃の事実が告げられる。「小野尚子」として死んだ遺体は、まったくの別人だった。スタッフ中富優紀は、ライター山崎知佳とともに、すべての始まり、「1994年」に何が起こったのかを調べ始め、かつて「女」を追っていた記者にたどり着く。老舗出版社の社長令嬢、さる皇族の后候補となったこともある優しく、高潔な「聖母」の正体とは……。一方、指導者を失ったシェルター内では、じわじわと不協和音が……。疑念渦巻く女の園、傑作長編サスペンス。
  • 鏡の花
    3.5
    少年が解き明かそうとする姉の秘密、曼珠沙華が物語る夫の過去、製鏡所の娘が願う亡き人との再会……。「大切なものが喪われた、もう一つの世界」を生きる人々。それぞれの世界がやがて繋がり合い、強く美しい光で、彼らと読者を包み込む。生きることの真実を鮮やかに描き出すことに成功した、今までにない物語の形。ベストセラー『光媒の花』に連なり、著者の新しい挑戦が輝く連作小説。
  • 鏡をみてはいけません
    3.9
    朝ごはんを一緒においしく食べられる人と住みたい――。そんな思いが叶って野百合は仕事で知り合った子持ちの律と同居をはじめるが…。10歳の宵太の世話をやき、元気の素の食事を作る暮らしはなかなか素敵で心弾む。が、ふとなしくずしに男の人生に取りこまれていくような不安を感じる。私はなぜここに居るのだろうか。女が美しさを求めて、自分の納得のいく居場所を模索する愛の長編小説。
  • かくも甘き果実
    -
    “ここではないどこか”を求めつづけ世界を放浪し、最後には日本で「明治の文豪・小泉八雲」となった男ラフカディオ・ハーン。彼の人生に深く関わった3人の女性が、胸に秘めた長年の思いを語りだす。生みの母ローザ・アントニア・カシマチは1854年、故郷への帰路の途中アイリッシュ海を渡る船上で、あとに残してきた我が子の未来を思いながら。最初の妻アリシア・フォーリーは、新聞記者の夫との別離を乗り越えたのち、1906年のシンシナティでジャーナリストの取材を受けながら。2番目の妻小泉セツは永遠の別れのあと、1909年の東京で、亡き夫に呼びかけながら。――ジョン・ドス・パソス賞受賞の注目作家が、女性たちの胸の内を繊細かつ鮮やかに描いた話題作。
  • 隠れ菊 上
    3.8
    1~2巻671~715円 (税込)
    【第9回柴田錬三郎賞受賞作】浜名湖畔の料亭「花ずみ」の跡取りと結婚した通子。名女将と評判の姑が亡くなりまもなく一年になる日、通子は夫の旬平の指示で一人の女と会う。女は通子に言った――「ご主人をいただきにきました」。とりだした離婚届には、すでに旬平の署名が。この日から、平凡な主婦だった通子の日常は一変、妻の座と店の運命を賭けた闘いが始まった。愛に商売に体当たりする女の生き様を描く、柴田錬三郎賞受賞作。
  • 隠れの子 東京バンドワゴン零
    3.8
    江戸北町奉行所定廻り同心の堀田州次郎と、植木屋を営む神楽屋で子守をしながら暮らしている少女・るうは、ともに「隠れ」と呼ばれる力を持つ者だった。州次郎はたぐいまれな嗅覚を、るうは隠れの能力を消す力を……。州次郎の養父を殺した者を探すべく、ふたりは江戸中を駆け巡る。それはまた隠れが平穏に暮らすための闘いだった。「東京バンドワゴン」シリーズのルーツとなる傑作時代長編小説。
  • 駈け落ちは死体とともに
    5.0
    駈け落ちを決行した哲と明子のトランクからナント死体が! 新生活を夢みて出発したのに、とんだことから殺人事件に巻き込まれた恋人たちをユーモアタッチで描く表題作。学歴偏重主義のひずみが思春期の少年を倒錯した世界へと追いつめてゆく「交換日記」。マザコン係長が部下のOLに自殺予告する「命のダイヤル」など全8編収録の、青春ミステリー作品集。
  • 駆け込み団地の黄昏
    3.7
    東京近郊にひっそりと存在する、通称「駆け込み団地」。そこはDVやいじめなどで社会から疎外された人々が救いを求める場所。ある夜、現職大臣夫人の僚子がそこに逃げ込んだことから、静かだった団地の状況は一変。妻が逃げたという事実をひた隠しにしようとする大臣と、このスキャンダルを利用しようとする人々の思惑がからみ合い、思わぬ悲劇が引き起こされ――。社会派サスペンス。
  • 影に恋して
    3.8
    平凡な女子高生の矢部克美は、お金持ちの従妹の“代理”で出席したパーティで、大学演劇の旗手、坂田法夫と出会い、たちまち恋におちた。しかし、つい従妹の名を名乗ってしまったせいで事態はややこしい方向へ……。グッと大人の“恋人候補”も出現し!? 突然ドラマティックに変貌した、17歳の克美の日々! 「少女」が「女性」として一歩を踏み出すまでの、危うくて、ちょっとホロ苦い成長物語。
  • 影まつり
    4.0
    美しい黒髪の妻を自動車事故で亡くした後、再婚したフランス女性も事故で失った画家。彼は奇妙な方法で妻たちを偲び……「二人の妻を愛した男」。妻は“一年に一晩だけ自由にさせて”といった。夫はその願いを長く叶えてきた。だが、妻の秘密を知りたくなり……「女系家族」。女性遍歴の末、愛した女に棄てられた旧友には、驚愕の素顔が……「紅の女」。男女の日常に潜む不可思議をミステリアスに描く傑作短編集。
  • 仮借なき明日
    3.5
    大手農機メーカー勤務の原田亮平は、暴力への衝動を身の内に秘めたタフな男。そんな彼がフィリピン・サンビセンテへの出張を命じられる。現地向上で不良品が異常に発生しており、実情を確かめるためには、どんな手段も厭わないという。現地入りした原田を待っていたのは、総責任者に支配された工場と、やくざと汚職警官の専横を許す壊滅的な状況だった。悪を追いつめ、狩りたてる男を描く長編。
  • 風立ちぬ
    4.1
    病に冒された婚約者の節子につき添い、“私たち”は高原のサナトリウムで、風変わりな愛の生活を始めた。小鳥がさえずり、山はバラ色に輝き、死の影におびえながらも、二人は残された時に幸福のすべてを見いだそうとする……。著者の体験に基づいて描かれた代表作「風立ちぬ」ほか三編を収める。
  • 風に顔をあげて
    5.0
    高校を卒業してから「プロのフリーター」を自称し、アルバイトで一人暮らししてきた風実(ふみ)。でも25歳になって、将来に不安を感じるように。そんな時、ゲイをカミングアウトした高校生の弟が実家から逃げてきた。さらに、プロボクサーを目指す恋人がケガでボクシングをやめると言い出して……あっちもこっちも問題山積みの風実の明日は? ままならない日々を頑張る女性に贈る、共感たっぷりの物語。
  • 風に舞う
    4.5
    俺の求めているのは本物のブルースだ――。本当にやりたい音楽のために、売れ筋の人気バンドを解散し、ビル清掃のバイトで食いつなぐミュージシャン・武史。彼はある日、作家志望の生意気で美しい女子大生・操と出会う。決して妥協せず、理想を追いつづける苦悩の日々。そして烈しく求め合う愛の行方は……。芥川賞作家・花村萬月が凛々しく描く青春音楽小説の傑作。
  • 風の行方(上)
    4.0
    1~2巻737円 (税込)
    謹厳実直な元小学校校長・大庭丈太郎が家を出たのは、妻の信子がシルバー革命を起こしたからだ。小学校六年生の吉見を残して、美保が大庭謙一と別れたのは、夫が愛人の千加と一緒になると言い出したからだ。祖父母がいて、両親がいて一家団欒があった大庭家に、大きな風が吹き出したが――。
  • 風よ あらしよ 上
    3.9
    1~2巻913円 (税込)
    明治28年、福岡県今宿に生まれた伊藤野枝は、貧しく不自由な生活から抜け出そうともがいていた。「絶対、このままで終わらん。絶対に!」野心を胸に、叔父を頼って上京した野枝は、上野高等女学校に編入。教師の辻潤との出会いをきっかけに、運命が大きく動き出す。その短くも熱情にあふれた人生が、野枝自身、そして二番目の夫でダダイストの辻潤、三番目の夫でかけがえのない同志・大杉栄、野枝を『青鞜』に招き入れた平塚らいてう、四角関係の果てに大杉を刺した神近市子らの眼差しを通して、鮮やかによみがえる。著者渾身の評伝小説!! 第55回吉川英治文学賞受賞作。
  • 風をください
    -
    営業一課の斉坂すみれ34歳。泣く子も黙るやり手OL。ひとまわり年下の恋人ワタルと一年半は同棲も結婚もしないと約束して、日々を愉しんでいる。ある日、友人のすすめで知り合った素敵な中年紳士伊豆サンに求婚され、心が騒ぐ――。爽やかな男の子と、語り合える紳士。ふたりの間で揺れる女心をユーモアに包んでカラリと描く。愛すべきヒロインへの共感が人生の滋味を与えてくれる恋愛小説。
  • かそけき音の
    -
    53歳の男との安らぎある関係に満たされながらも、19歳の青年に心ひかれていく省子。二人の男を隔てる歳月の切なさに揺れる少女のような想いを描く表題作「かそけき音の」。見合いを薦めながら週の半分は部屋にやって来る独身主義者の男を保護者のように受け入れてしまう亜由子、「合鍵」。はぐれ、寄り添い、憎みあう男と女の、どこかあやうくて微妙な8つのラブストーリー。
  • 家族会議
    -
    一家四人でしあわせに暮らしていた沢木孝は、ある日突然、妻の麻紀に先立たれる。幼い子供たちが哀れだと、義母の芳子が同居を申し出て、家事と育児を引き受けたが、その一年後、孝は若手の女性社員に求婚した。義母は激怒し、家族会議により婿の再婚計画を白紙に戻そうとする。だがそれでも「嫁」はやってきた。不幸であることこそ人生との異常な価値観をたずさえて!
  • 家族ゲーム
    3.6
    出来のいい“ぼく”と違って、グズな弟は、家庭教師を何度かえても効果なし。高校進学をひかえ、何とかしたいと焦る母。6人目の家庭教師・吉本の出現で、ついに変化が! 経歴も風貌も型破りな吉本は、弟を逃がさず、体育会系ノリで徹底的にしごいていく。両親の期待は弟にうつり、優等生だった“ぼく”は、だんだん勉強をサボリ気味に……。受験に振り回される一家を描く、第5回すばる文学賞受賞作。
  • 肩ごしの恋人
    4.1
    欲しいものは欲しい、結婚3回目、自称鮫科の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈屋「萌」。性格も考え方も正反対だけど二人は親友同士、幼なじみの27歳。この対照的な二人が恋と友情を通してそれぞれに模索する“幸せ”のかたちとは――。女の本音と日常をリアルに写して痛快、貪欲にひたむきに生きる姿が爽快。圧倒的な共感を集めた直木賞受賞作。
  • カッコウ、この巣においで
    4.3
    京都で孤独に作陶を続ける高義は、土を採りに入った山中で、傷だらけの少年と出遭う。少年は駆と名付けられ、いつしか師匠と弟子として、寝食を共にするように。親から愛されずに育った駆にとって、初めて手にした安穏だった。しかし、高義の実の息子で、確執の末に家を出て七年間音信不通だった充が帰ってきたことで、状況は一変する。さらに駆の行方不明だった母の消息が判明し、自分の過去を知ることになる。居場所を失いたくない駆の心は、徐々に暴走し始め……。果たして三人が一つの巣で暮らすことは叶うのか? 濃密な家族小説。
  • 勝手に! 文庫解説
    4.3
    無類の小説好きの北上次郎が、出版社からの依頼もないのに、勝手に文庫解説を書いちゃった!? おもしろい! と思った作品は、書評家ならばどうしても解説を書きたいものなのだ……。ハードボイルドから、ミステリーそして家族小説にSFなど、本当におすすめしたい日本の小説12本と海外の小説16本に2本を加えた厳選30本!
  • 活動寫眞の女
    3.8
    昭和四十四年、京都。大学の新入生で、大の日本映画ファンの「僕」は友人の清家忠昭の紹介で、古き良き映画の都・太秦の撮影所でアルバイトをすることになった。そんなある日、清家は撮影現場で絶世の美女と出会い、激しい恋に落ちる。しかし、彼女は三十年も前に死んだ大部屋女優だった…。若さゆえの不安や切なさ、不器用な恋。失われた時代への郷愁に満ちた瑞々しい青春恋愛小説の傑作。
  • 金沢発寝台特急「北陸」13分の殺意
    -
    寝台特急「北陸」車内で若い女が殺された。凶器に残された掌紋から、被害者と愛人関係にあった西村が逮捕されるが、強硬に容疑を否認する。西村の弁護士からの依頼で元刑事の私立探偵栢次郎は、友人で柔術の達人・高比良亮とともに調査を開始、もう一人の容疑者・帖佐をマークする。高比良は帖佐のアリバイを崩すため「北陸」に乗り込むが…。
  • 彼方の声 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season VI
    3.9
    かれん。……ああ、かれん。名前をはっきり思い浮かべるだけで、胸が焦がれて息が詰まる。逢いたかった。だけど、だめだ、まだ逢えない。いや、違う、もう逢えない─。いまだに悪夢にうなされる、傷心の勝利の前に現れた金髪の美少女アレックス。無愛想で、ワガママで、最悪の第一印象だった。彼女のすばらしい歌声を聞くまでは…。反目し合っていたふたりだが、やがて心を通わせるようになる。
  • 彼女たちはヤバい
    3.0
    この男、最低。なのに、離れられない…。還暦間近のダメ男・ケンとの別れを受け入れない36歳のユカは、Gアカウントに不正ログインをし、毎日監視することで彼を近くに感じていた。それがさらにエスカレートし、地図アプリの履歴を辿って彼の新しい女たちに接触、排除し始める。だが、同じ男に惹かれる分、彼女たちもまた“ヤバい”性格で!? “恋愛”という美しい感情の裏側に隠された人間の醜さと怖さを存分に発揮するSNS時代の最恐ストーカー女登場!――別れたなんて、そいつが勝手に決めたことでしょう。私は納得していない!
  • 彼女について知ることのすべて
    -
    その夜「わたし」は人を殺すため車を走らせていた。愛した女と共謀して、わたしたちに執拗につきまとう女の愛人である男を殺すために――。小学校の教員である「わたし」と、看護婦の女との恋。互いにのっぴきならないしがらみを背負ったふたりが企てた殺害計画は、思いがけない結末を迎える。裏切ったのは女なのか、それとも「わたし」なのだろうか。

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