できの良い兄と悪い弟、そして弟につけられた破天荒な家庭教師のお話
何度もドラマ化や映画化しているだけあって、僕が子供の頃からの共通の社会的問題が取り扱われている
松田優作、鹿賀丈史、長渕剛、櫻井翔 多少の演出の差こそあれ、「見せかけの家族」という描かれているものは同じ
学校の成績は何のためか?学歴は
...続きを読む何のために必要か?親の役割とは?
当時の言葉で言うなら、受験戦争、学歴偏重主義、いじめ問題、家庭内暴力、体罰、核家族化とかかね
「家族ゲーム」というタイトルは、家族はそれぞれが役割を演じているゲームのようなものというメッセージなんだろうなぁ
父親は外で働いて稼ぐ、子供には厳しく
母親は子供の味方で、先回りして子供の代弁者
子供は親に従順で勉学に励むべし
というステレオタイプな社会的役割
慎一のバトンタッチの変貌ぶりはそういう事なんだろうね
吉本は茂之に勉強を教えようとしたわけではなく、「生き方」を教えようとした
だけど、成績は上がったものの、生き方は変えられなかった
そこが両親の認識とのズレ
吉本の言葉で、それを一番表していると思ったのが以下のセリフ
弟が出来が悪いと言った親に対し
「あんまりそんなこと言わないで下さい。とくに本人の前では。それに、学校の勉強なんて、頭の良し悪しとは無関係ですから」
自分が三流大学の3留中というのもあっての言葉なんだろうけど
その後の茂之を見て、成績は上がっても本質は変わっていないというのがよくわかる
吉本は慎一にとって、「自由な生き方」を提示した存在
この後の慎一がどうなったのか、気になるな
文章は、最初かなり読みにくかった
読点がやたら多い
吉本の江戸っ子口調と読点の間の多さが人物像とマッチしない
でも、解説を読んで、それは各登場人物のリズムなんだと書かれてあって、さもありなんとも思った