小説 - 集英社文庫作品一覧

  • その扉をたたく音
    3.8
    ミュージシャンの夢を捨てきれず、親からの仕送りで怠惰に暮らす、29歳無職の宮路。ある日、余興の時間にギターの弾き語りをするために訪れた老人ホーム・そよかぜ荘で、神がかったサックスの音色を耳にする。演奏していたのは年下の介護士・渡部だった。「いた、天才が。あの音はきっと、俺を今いる場所から引っ張り出してくれる」――神様に出会った興奮に突き動かされ、ホームに通うようになった宮路は「ぼんくら」と呼ばれながらも、入居者たちと親しくなっていく。人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編!
  • 水を縫う
    4.2
    松岡清澄、高校一年生。一歳の頃に父と母が離婚し、祖母と、市役所勤めの母と、結婚を控えた姉の水青との四人暮らし。学校で手芸好きをからかわれ、周囲から浮いている清澄は、かわいいものや華やかな場が苦手な姉のため、ウェディングドレスを手作りすると宣言するが(「みなも」)。いつまでも父親になれない夫と離婚し、必死に生きてきたけれど、息子の清澄は扱いづらくなるばかり。そんな時、母が教えてくれた、子育てに大切な「失敗する権利」とは(「愛の泉」)。世の中の〈普通〉を踏み越えていく、清々しい家族小説! 第9回河合隼雄物語賞受賞作品。
  • 地図のない旅 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season VIII
    4.0
    誰一人として、勝利くんを罰しようとしなかった。その結果、彼はあそこまで追い詰められたんです――中沢の言葉を反芻しながら、風見鶏のマスターは、自分がかれんの兄であることを花村家に告げに行く。由里子さん、若菜ちゃんもそれぞれのつらい経験を乗り越えようと、一歩ずつ足を前に進める。あのとき以来、時間がとまったままの勝利だったが、急遽オーストラリアから帰国することになり……。
  • 丘の上の賢人 旅屋おかえり
    3.6
    売れないタレント・おかえりこと丘えりかは、依頼人に代わり旅をする「旅の代理人」。秋田での初仕事を終え、次なる旅先は北海道──ある動画に映っている人物が、かつての恋人かを確かめてほしいという依頼だった。依頼人には、初恋を巡るほろ苦い過去があって……。ベストセラー『旅屋おかえり』未収録の、幻の札幌・小樽編、さらに北海道旅エッセイ「フーテンのマハSP(スペシャル)」、おかえりデビュー前夜を描いた勝田文さん描き下ろし漫画も収録したシリーズ特別編! あなたのふるさとはどこですか?
  • 早朝始発の殺風景
    4.1
    青春は、気まずさでできた密室だ。今、最注目の若手ミステリー作家が贈る珠玉の短編集。始発の電車で遭遇したのは普段あまり話さない女子。二人は互いに早起きの理由を探り始め……(表題作)。部活の引退日、男同士で観覧車に乗り込んだ先輩と後輩。後輩には何か目的があるようだが(「夢の国には観覧車がない」)。不器用な高校生たちの関係が小さな謎と会話を通じて少しずつ変わってゆく。ワンシチュエーション(場面転換なし)&リアルタイムで進行する五つの青春密室劇。登場人物総出演、読んでのお楽しみのエピローグ付き。
  • ギンカムロ
    3.9
    花火には、二つしかない。一瞬で消えるか、永遠に残るか。幼い頃、花火工場の爆発事故で両親を亡くした昇一は、高校を卒業後、一人東京で暮らしていた。ある日、祖父から電話があり、四年ぶりに帰郷する。そこには花火職人として修業中の風間絢がいた。十二年前に不幸な出来事が重なった。それぞれが様々な思いを抱え、苦しみ、悩み、葛藤していく。花火に託された思いとは――。希望と再生の物語。
  • 空白の研究
    4.0
    季子が夫の愛人を殺したことは、本人の自白からも、証拠品などからも間違いないらしい。だが、裁判までの過程で、供述に微妙なぶれがあるとして、精神鑑定の依頼を受けた祝田が、犯行時の一瞬の空白を探ってゆくと……。表題作他、心理分析を背景にして描く奇妙な味のミステリー集。
  • 恋する歌音 こころに効く恋愛短歌50
    4.3
    うぬぼれていいよ わたしが踵までやわらかいのは あなたのためと――恋する女心をまっすぐに表現して人気の若手歌人・佐藤真由美。待望の初エッセイ集では、古今の名歌50首をひもといて恋愛短歌の世界へ誘う。万葉集から現代まで、あの有名歌もヴィヴィッドに響いてくる鑑賞と、女の本音爆発、ピリリと辛い恋愛指南。そして切なくリアルな新作短歌とともに味わう、50の恋、100の歌。
  • 水中眼鏡(ゴーグル)の女
    3.6
    黒い水中眼鏡をかけた女が、精神科医の前にあらわれた。ある朝、突然目が開かなくなってしまったという。自宅で発生した火事によって夫を失ったことが原因かと思われたが――。治療が進むにつれ、驚愕の真実が浮かび上がっていく表題作ほか、難病の妻の介護人として雇われた女性が、歪んだ夫婦関係に巻き込まれていく「ペンテジレアの叫び」など。サイコサスペンスの傑作全三篇を収録。
  • さまよえる脳髄
    3.2
    精神科医・南川藍子の前にあらわれた三人の男たちは、それぞれが脳に「傷」を持っていた。試合中、突然マスコットガールに襲いかかり、殺人未遂で起訴されたプロ野球選手。制服姿の女性ばかりを次々に惨殺していく連続殺人犯。そして、事件捜査時の負傷がもとで、大脳に障害を負った刑事。やがて、藍子のもとに黒い影が迫り始める――。人間の脳にひそむ闇を大胆に抉り出す、傑作長編ミステリ。
  • 東京物語
    3.7
    1978年4月。18歳の久雄は、エリック・クラプトンもトム・ウェイツも素通りする退屈な町を飛び出し、上京する。キャンディーズ解散、ジョン・レノン殺害、幻の名古屋オリンピック、ベルリンの壁崩壊……。バブル景気に向かう時代の波にもまれ、戸惑いながらも少しずつ大人になっていく久雄。。80年代の東京を舞台に、誰もが通り過ぎてきた「あの頃」を鮮やかに描きだす、まぶしくて切ない青春グラフィティ。
  • 水たまりで息をする
    3.8
    ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実(いつみ)。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。そして川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが……。女性が主体として生きていくことの難しさを描いた物語。
  • 蛇行する川のほとり
    3.6
    演劇祭の舞台装置を描くため、高校美術部の先輩、香澄の家での夏合宿に誘われた毬子。憧れの香澄と芳野からの申し出に有頂天になるが、それもつかの間だった。その家ではかつて不幸な事件があった。何か秘密を共有しているようなふたりに、毬子はだんだんと疑心暗鬼になっていく。そして忘れたはずの、あの夏の記憶がよみがえる。少女時代の残酷なほどのはかなさ、美しさを克明に描き出す。
  • 田中慎弥の掌劇場
    4.5
    自殺と断定された妻を、自分が殺害したと主張する男。夫の浮気相手たちを殺す計画を立てる貞淑な妻。育児疲れの女に若い頃の自分を重ねる老婆。会社帰りに立ち寄ったバーで悪魔と隣合わせになった男。愚かで愛らしいその人々は、あなたのすぐ近くに存在するかもしれない――。何気ない日常生活が些細なことで歪みはじめる瞬間を、ブラックユーモアたっぷりに切り取った38編の掌編小説集。
  • お迎えに上がりました。 国土交通省国土政策局幽冥推進課
    4.0
    1~7巻528~671円 (税込)
    入社式当日に会社が倒産し、路頭に迷った朝霧夕霞。失意の中立ち寄った公園の掲示板で、国土交通省の臨時職員募集の貼紙を見つけ、藁をも掴む気持ちで応募する。不可思議な試験を経て採用が決まったが、そこは「幽冥推進課」。国土開発の妨げになる地縛霊などを立ち退かせる不思議な部署で、同僚は全員妖怪。しかし好待遇に心惹かれた夕霞は、働くことを決意し……。あやかしお仕事小説、開幕!
  • 恋するヒマワリ 青空と自由の国から、この絵をきみに
    -
    国境を越えて運命の再会をしたふたりを、残酷な現実が引き離す――。婚約者との関係に悩む花南は、第二の故郷であるオーストリア・ウィーンを訪れる。カフェで偶然、ウクライナ人の幼馴染・ユーリィと再会し、数日間ともに過ごすうちに惹かれ合うふたりだったが、ロシアによる軍事侵攻が始まり……(表題作) 他を収録した第四回エブリスタ×ナツイチ小説大賞〈恋愛短編部門〉受賞作品集。応募総数1200作品から選ばれた珠玉の4作品のそれぞれの純愛、感動のラストに、あなたはきっと泣く!
  • そこへ行くな
    3.5
    【第6回中央公論文芸賞受賞作】一緒に暮らす純一郎さんは、やさしい人だ。出張が多くて不在がちだけれど、一人息子の太郎をよく可愛がっている。じゅうぶんに幸せな親子三人の暮らしに、ある日「川野純一郎の本当のことを教えます」と告げる女から電話が舞い込み――(「遊園地」)。行ってはならない、見てはならない「真実」に引き寄せられ、平穏な日常から足を踏み外す男女を描いた七つの物語。
  • 愛に似たもの
    3.4
    【第21回柴田錬三郎賞受賞作】母親のようにはなりたくない。美貌と若さを利用して、すべてを手に入れてやる(『真珠の雫』)。親友の真似をして人生の選択をしてきた。ある日を境にふたりの立場が逆転。その快感が(『ロールモデル』)。過去の失敗は二度と繰り返さない。たとえ自分を偽っても、今度こそ結婚までこぎつけなければ(『教訓』)。など、幸せを求める不器用な女たちを描きだす8編の短篇作品集。
  • 彼女の嫌いな彼女
    3.5
    35歳の瑞子と23歳の千絵。何かと反目しあう二人が所属する第二販売部に、ロサンジェルスからきたエリート男性・冴木が配属された。いつの間にかお局さまと呼ばれている瑞子、自分より若い女子社員が入って焦り気味の千絵。それぞれの思惑を持って、冴木に近づくが……。一方の冴木も、何やらはっきりしない態度。誰もが感じる年齢の不安や、結婚や仕事に揺れる女心を語りつくす爽快恋愛小説。
  • 檻

    4.1
    やくざな世界から足を洗って、今は小さなスーパーを経営している滝野和也。そのスーパーの買収工作をめぐるいざこざから、滝野の野生の血が再び噴き出す。結局は“檻”の中にとどまれず、修羅場に戻ってゆく男の滅びの美学を、鮮烈な叙情で謳いあげた北方ハードボイルドの最高傑作!
  • 頭痛肩こり樋口一葉
    -
    ぼんぼん盆の16日に地獄の釜の蓋があく…。夭折の天才女流作家、樋口一葉の19歳から死後2年目まで、それぞれの盆の16日に巡り来た運命は――。幽界(あのよ)と明界(このよ)にまたがる卓抜な仕掛けと会話で綴る樋口一葉像。没落士族の女家長・樋口夏子が、いかにして家族のために闘い、生き抜き、作家・一葉となって奇跡のような名作を生み出したのか。井上ひさしがユーモアをちりばめて描く、明治という激動の時代を駆け抜けた一人の女性の短くも美しい人生。再演のたびに新たな感動を呼び起こす傑作戯曲。
  • 乱舞
    4.3
    日本舞踊界の中心的存在として隆盛を迎えた梶川流。将来も安泰に思えたある日、家元猿寿郎が事故死した……。そして家元の血を継ぐ隠し子たちが、未亡人となった秋子の前に現れる。妹の千春や母の寿々までもが跡目を巡り弟子たちと争いを繰り広げるなか、梶川流を守るため、秋子が選んだ道とは――。因襲の世界で懸命に生きる女たちを描いた波瀾万丈の人間ドラマ。『連舞』に続く傑作長編小説。
  • 蝶のゆくえ
    3.9
    【第18回柴田錬三郎賞受賞作】10代で出産離婚し23歳で再婚した美加だが、新しい夫は息子にまったく無関心だった。彼女もそんな夫に同調し、いつしか虐待が始まる……。突然、夫の両親と同居することになった37歳主婦のいらだち。定年退職した直後の夫をオヤジ狩りでなぶり殺された58歳主婦の孤独。現代に生きる様々な年齢の普通の女たちを鋭く描いた傑作短編集。
  • 眠りなき夜
    4.0
    【第4回吉川英治文学新人賞受賞作】弁護士・谷の同僚、戸部が失踪、つづいて彼と関わりのあった小山民子が殺された。メモを手がかりに、谷は山形県S市に飛んだ。早速、三人組に襲われる。黒幕とみられる大物政治家・室井などの名が浮かぶ。そして戸部の惨殺体発見…。民子との間に何があったのか? 室井との関連は? 友の死を追って、谷は深い闇を解明すべく、熱い怒りを雪の街に爆発させる。第一回日本冒険小説協会大賞受賞作。
  • 情事
    3.6
    【第2回(1978年)すばる文学賞受賞作】「自分が、若さを奪い取られつつあると感じるようになると、反対に、性愛に対する欲望と飢えが強まっていった。セックスを反吐が出るまでやりぬいてみたいという、剥き出しの欲望から一瞬たりとも心を外らすことができない期間があった」夏の終わり――夕暮が突然輝きを失い、若さへの不安が私を奔放な性に駆りたてる。情事をひたすら追求して、“すばる文学賞”を受賞した話題作。「誘惑」も併載。
  • ハコブネ
    3.7
    十九歳の里帆は男性とのセックスが辛い。自分の性に自信が持てない彼女は、第二次性徴をやり直そうと、男装をして知り合いの少なそうな自習室に通い始める。そこで出会ったのは、女であることに固執する三十一歳の椿と、生身の男性と寝ても実感が持てない知佳子だった。それぞれに悩みを抱える三人は、衝突しあいながらも、自らの性と生き方を模索していく。芥川賞作家が赤裸々に紡いだ話題作。
  • 鳩の栖
    3.9
    水琴窟という、庭先に水をまくと珠をころがすような安らかな音が鳴る仕掛け。操がそれを初めて知ったのは至剛の家の庭だった。孤独な転校生だった操を気遣ってくれた爽やかな少年至剛。しかし、快活そうに見えた彼には、避けがたい死が迫っていた。病床の至剛の求めるまま、操は庭の水琴窟を鳴らすのだが……。少年たちの孤独と淡い愛情、儚い命の凛々しさを描く表題作など珠玉の短編五編。
  • 臨3311に乗れ
    3.9
    戦後の荒廃と混乱の中で、資力もバックも、信用もないが、先見性と野武士的勇断を武器に、新しい世界に切り込んでいった男の集団。幾多の試練を持前の精神力と不可能を可能にする不撓不屈のバイタリティで克服し、ついに日本有数の旅行業社にまで発展させた男の野望と情熱を活写する実録企業小説。
  • 神鳥(イビス)
    3.8
    夭逝した明治の日本画家・河野珠枝の「朱鷺飛来図」。死の直前に描かれたこの幻想画の、妖しい魅力に魅せられた女性イラストレーターとバイオレンス作家の男女コンビ。画に隠された謎を探りだそうと珠枝の足跡を追って佐渡から奥多摩へ。そして、ふたりが山中で遭遇したのは時空を超えた異形の恐怖世界だった。異色のホラー長編小説。
  • 海色の午後
    3.4
    唯川恵、幻のデビュー作! 海の見える部屋に暮らす遙子は、システムエンジニアの仕事をもち、医大生の恋人もいて、それなりに満ち足りた生活を送っている。だが、有力者の父から見合いの話が持ち込まれたことで平穏な日々にさざ波がたってゆく。恋愛、仕事、結婚、親子関係、様々なしがらみの中で揺れ動く20代の女性の心模様を描く。コバルト・ノベル大賞を受賞した著者のデビュー作。巻末にエッセイを収録。第3回コバルト・ノベル大賞受賞作。
  • 逆ソクラテス
    4.4
    逆転劇なるか!? カンニングから始まったその作戦は、クラスメイトを巻き込み、思いもよらぬ結末を迎える(逆ソクラテス)。足の速さだけが正義……ではない? 運動音痴の少年は、運動会のリレー選手にくじ引きで選ばれてしまうが(スロウではない)。最後のミニバス大会。五人は、あと一歩のところで、“敵”に負けてしまった。アンハッピー。でも、戦いはまだ続いているかも(アンスポーツマンライク)。など短編全5編の主人公はすべて小学生。デビュー20年目の新境地ともいえる本作は、伊坂幸太郎史上、最高の読後感! 2021年本屋大賞第4位。柴田錬三郎賞受賞作品。
  • 太陽の庭
    3.9
    一般人には存在を知られず、政財界からは「神」と崇められている、永代院。地図に載らない広大な屋敷に、当主の由継を中心に、複数の妻と愛人、何十人もの子供たちが住まい、跡目をめぐって争っていた。そんな中、由継の息子・駒也は、父の女・鞠絵に激しく惹かれてゆく。許されぬ愛は、やがて運命の歯車を回す。破滅の方向へ――。「神」と呼ばれた一族の秘密と愛憎を描く、美しく、幻想的な物語。
  • 円地文子の源氏物語 巻一(わたしの古典シリーズ)
    3.7
    1~3巻495~605円 (税込)
    紫式部の筆になる『源氏物語』は、光源氏の物語といってもいい。類いまれなる美貌と才能にめぐまれた光源氏は、古来、日本を代表する美男として、あまりにも有名である。帝の愛子として、誕生から成婚までの「桐壼」の巻から、空蝉に再会する「蓬生・関屋」の巻までを収録。起伏に富んだ光源氏の青春時代の明暗を描いて、現代語訳に生涯を賭けた著者の精髄ここに結実。
  • 銀河のワールドカップ
    4.0
    1~2巻385~836円 (税込)
    花島勝は2ヶ月前から失業中。春、おだやかな昼下がり、不思議な三つ子がテニスをし、その脇では別の子供たちがミニサッカーを楽しんでいた。何気なくサッカーを見ていた花島だが、ひょんなことからその三つ子と試合に加わることに。しかし、子供の遊びだろうと高をくくっていたが、その三つ子のプレイは非常に高度なものだった。知らぬ間に真剣にボール蹴る花島。そう、彼は昔Jリーガーだったのだ。驚く子供たちは、花島に自分たちのコーチを依頼。彼は、子供たちと全国制覇を目指す決意をするが…。平成の「サッカー小僧小説」の決定版。
  • おしまいのデート
    3.9
    中学三年生の彗子は両親の離婚後、月に一度、父の代わりに祖父と会っていた。公園でソフトクリームを食べ、海の見える岬まで軽トラを走らせるのがお決まりのコース。そんな一風変わったデートを楽しむ二人だったが、母の再婚を機に会うことをやめることになり……。表題作のほか、元不良と教師、バツイチOLと大学生、園児と保育士など、暖かくも切ない5つのデートを瑞々しく描いた短編集。
  • 雨の塔
    3.9
    その岬には資産家の娘だけが入れる全寮制の女子大があった。衣服と食べ物は好きなだけ手に入るが、情報と自由は与えられない。そんな陸の孤島で暮らす4人の少女――高校で同性と心中未遂を起こした矢咲、母親に捨てられた小津、妾腹の子である三島、母親のいない都岡。孤独な魂は互いに惹かれあい、嫉妬と執着がそれぞれの運命を狂わせてゆく。胸苦しいほど切なく繊細な、少女たちの物語。
  • 魚神
    4.0
    かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。独自の文化が息づく島で、美貌の姉弟・白亜とスケキヨは互いのみを拠りどころに生きてきた。しかし、年頃になったふたりは離れ離れに売られてしまう。月日が流れ、島随一の遊女となった白亜は、スケキヨの気配を感じながらも再会を果たせずにいた。強く惹きあうがゆえに拒絶を恐れて近づけない姉弟。互いを求めるふたりの運命が島の雷魚伝説と交錯し…。
  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集
    3.5
    母親から育児放棄されかけている幼い兄と妹は、花火大会の夜にデパートでわざと迷子になる。公園で出会った女に連れて行かれたマンションで待っていたのは、甘いケーキと、そして……(迷子のきまり ヘンゼルとグレーテル)。「白雪姫」「シンデレラ」「みにくいアヒルの子」など誰もが知る西洋童話をモチーフに泉鏡花文学賞受賞作家が紡いだ、美しくも恐ろしい7編を収録した短編集。
  • 現金強奪計画 ─ダービーを狙え─
    2.0
    冒険こそ若さのしるしだ。物わかりのいい世代と呼ばれることを拒否した7人の若者が、たったひとつ若さという共通項に結ばれてハードな冒険に挑む。狙いは東京競馬場のダービーの売上げ金20億円。用意周到な計画のもと、厳重な警備陣の裏をかき、まんまと計画を成功させるが…。痛快冒険物語。
  • 弥勒
    4.0
    新聞社の永岡は、妻の櫛がヒマラヤの国パスキムの破壊された仏像の一部と気づく。5年前入国した首都カターで見た美麗な仏像彫刻だった。美術品持ち出し禁止の国で政変のため寺院が崩壊したと聞いて、密入国を試みる。僧侶達は虐殺され都市は壊滅していた。彼も革命軍に捕らえられ…。旧習を打破し、完全平等の理想郷を求める人間達のもたらす惨劇。恐怖と戦慄の世界を臨場感豊かに描く畢生の大作。
  • 雨やどり
    4.1
    舞台は新宿裏通りのバー街。「ルヰ」のバーテンダー仙田を主人公に、彼の前を通り過ぎて行く、いろいろな男と女の哀歓漂う人間模様を描き出す連作。直木賞受賞の表題作をはじめ、「おさせ伝説」「ふたり」「新宿の名人」など8編を収録。
  • 怪のはなし
    3.8
    物心ついた頃から、数多くの「この世ならぬモノ」たちと遭遇してきた著者。嵐の夜、停電した自宅に入り込んできた不気味な「何か」。東京大空襲の日がくると現れる、ボロボロで痛ましい姿の子供たち。夢の中から抜け出してきた猫とふれあい、侍の幽霊と東京を散歩する…。恐ろしくも、時に物悲しく、時に心温まる20の怪異を再現した、究極の実話怪談集。あなたの知らない、リアルがあります。
  • 太陽のパスタ、豆のスープ
    3.9
    結婚式直前に突然婚約を解消されてしまった明日羽(あすわ)。失意のどん底にいる彼女に、叔母のロッカさんが提案したのは“ドリフターズ・リスト(やりたいことリスト)”の作成だった。自分はこれまで悔いなく過ごしてきたか。相手の意見やその場の空気に流れていなかっただろうか。自分の心を見つめ直すことで明日羽は少しずつ成長してゆく。自らの気持ちに正直に生きたいと願う全ての人々におくる感動の物語。
  • 惣角流浪
    3.2
    武田惣角。触れるだけで相手を投げ飛ばす、大東流合気柔術の祖である。「進む道は武芸なり」の信念のもと、武士の世が終焉を迎えた維新後もひたすら修行に励む。のちの講道館柔道の創始者・嘉納治五郎との対決を機に、惣角の流浪が始まる。西郷隆盛との邂逅、琉球空手の使い手・伊志嶺章憲との命を懸けた闘い。合気の道を極めんとする男の壮烈な青春を描く、明治格闘小説。
  • ひゃくはち
    4.1
    地方への転勤辞令が出た青野雅人は、恋人の佐知子から意外なことを打ち明けられた。付き合い出すずっと前、高校生のときに二人は出会っていたという。彼は、甲子園の常連・京浜高校の補欠野球部員だった。記憶を辿るうち――野球漬けの毎日、試合の数々、楽しかった日々、いくつかの合コン、ある事件、そして訣別。封印したはずの過去が甦る。青春スポーツ小説に新風を注いだ渾身のデビュー作。
  • 我が家のヒミツ
    4.1
    結婚して数年。自分たちには子どもができないようだと気づいた歯科受付の敦美。ある日、勤務先に憧れの人が来院し…(「虫歯とピアニスト」)。ずっと競い合っていた同期のライバル。53歳で彼との昇進レースに敗れ、人生を見つめ直し…(「正雄の秋」)。16歳の誕生日を機に、アンナは実の父親に会いに行くが…(「アンナの十二月」)。など、全6編を収録。読後に心が晴れわたる家族小説。
  • 怪しくて妖しくて
    3.3
    ショートショートの名手、阿刀田高が贈る。夢と現実(うつつ)のあわいに現れる、日常の恐怖を描いた珠玉の短編集。黒髪の美しい、不思議な女の後を追って……「黒髪奇談」、かつて「殺したい人、いますか」そう尋ねた孤独な少女……「向日葵の夢」、暗い土蔵のなかに捨て置かれた鏡、その中で蠢くものは……「鏡の中」、同じ夢を見る。他人には言えない秘密を持った日には……「白い部屋」など全12編。
  • 女たちのジハード
    4.2
    【第117回直木賞受賞作】中堅保険会社に勤める5人のOL。条件のよい結婚に策略を巡らす美人のリサ。家事能力ゼロで結婚に失敗する紀子。有能なOLでありながら会社を辞めざるをえなくなったみどり。自分の城を持つことに邁進するいきおくれの康子。そして得意の英語で自立をめざす紗織。男性優位社会の中で、踏まれても虐げられても逞しく人生を切り開いていこうとする女たち。それぞれの選択と闘いを描く痛快長編。
  • 追想五断章
    3.9
    大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光(すごう よしみつ)は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語(リドルストーリー)」を探して欲しい、と依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり――。五つの物語に秘められた真実とは? 青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。精緻きわまる大人の本格ミステリ。
  • 天使の梯子
    3.9
    バイト先のカフェで耳にした懐かしい音。それはフルチンこと古幡慎一が高校時代に思いを寄せた先生、斎藤夏姫のものだった。8歳年上、29歳の夏姫に、どうしようもなく惹かれていくフルチン。だが、彼女は、体はひらいても心を見せてはくれない。10年前の「あの時」から夏姫の心には特別な男が棲んでいるのだから――。傷ついた心は再生するのか。愛は蘇るのか。それぞれの思いが交錯する物語。
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  • 愛がいない部屋
    3.5
    誰もが憧れる高層マンション。そこに住む愛子は、幸せな結婚生活を送るはずだった。しかし、ある日「愛」は暴力に変わり――(表題作)。セックスレスの夫婦生活に疲れた、うらら。彼女はマッサージ店で働く15歳年下の青年に想いを寄せるようになる。だが、突然彼にホテルへ誘われて…(「指の楽園」)。切なくて苦しい恋に悩みながらも、前を向いて歩いていく女性の姿を描いた10のラブストーリー。
  • 愛しても届かない
    4.0
    「恋」という魔物にとりつかれた女は、ときに、自分自身でも思いがけないことをしてしまう。七々子の場合がそうだった。好きになった彼にはすでに恋人がいた。あきらめきることができない七々子のとった行動は、彼の恋人、美咲に近づき、友達になることだった。嘘をつき、おとしいれ、そうまでして手に入れた恋。一途に思う心には偽りはなかったはず、だけど……。女心の深淵をえぐる恋愛長編。
  • 愛してよろしいですか?
    -
    斉坂すみれ34歳。会社の仕事はそつなくこなし、重宝がられているのに、女もこの年齢で独身となると生きにくくなる。愛想がよければ男狂いと言われ、ちょっと冷たくすればヒステリー、質素にすれば色気がない――。ある旅先で、ひとまわり年下の大学生・矢富ワタルと出会い、不覚にも恋に落ちてしまった。若い男の子の顔色に一喜一憂する女の甘やかな恋心を笑いの渦に巻き込んで描く傑作恋愛小説。
  • 哀愁変奏曲
    5.0
    ハープの調べに愛がめばえ、シンバルの響きに、幼い日の残酷な思い出がよみがえる。ピアノのささやきは作曲家を夢みて、やがて挫折した青春の日々の追憶に誘う。懐かしきイングリッシュホルンの音色に女の哀しい人生模様が込められる。音楽と楽器を巡って奏でられる、愛と哀しみと恐怖のメロディ。連作ホラーサスペンス。
  • 会津 友の墓標(十津川警部シリーズ)
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    東京荒川河川敷で、車のトランクからK出版編集者・佐伯隆太の死体が発見された。被害者は、大学ヨット部の仲間だった十津川警部に、最後の手紙を送っていた。同じ大学の旧友・折戸修平に会うため、会津若松に行くと書かれていたのだが……。捜査を開始した十津川は、亀井刑事と会津若松へ向かう。友情か裏切りか、歴史と怨念が複雑に絡み合った殺人事件の真相とは!? 傑作長編トラベルミステリー。
  • 愛と死の空路
    -
    国際線パイロット、志摩吾朗に思いがけない情報がもたらされた。かつて愛しあったスチュワーデスが、サンフランシスコで謎の失踪をしたという。シスコ便の場合、現地に着けば乗務員には約48時間の休みがとれる。その日から、彼女の行方を追う、志摩の執拗な追跡調査がはじまった。が、彼を待ち受けていたのは――麻薬、売春、暴力が渦まく暗黒街の罠だった…。著者会心の連作長編ミステリー。
  • アイドル 地下にうごめく星
    3.7
    初めて行ったアイドルのライブで、メンバーのひとりである楓に一目惚れした夏美は彼女をプロデュースすることを決める。グループの電撃解散後、夏美のアイドルユニットに入る楓、女装好きの男子でアイドルになりたい翼、訳あって天界から人の世界に来たと思っている瑞穂、容姿にコンプレックスがある愛梨……それぞれの内面を描く鮮烈さNo.1青春長編小説。
  • あいにくの雨で
    3.8
    町に初雪が降った日、廃墟の塔で男が殺害された。雪の上に残された足跡は、塔に向かう一筋だけ。殺されたのは、発見者の高校生・祐今(うこん)の父親だった。8年前に同じ塔で、離婚した妻を殺した疑いを持たれ、失踪していた。母も父も失った祐今を案じ、親友の烏兎(うと)と獅子丸は犯人を探し始める。そんな彼らをあざ笑うように、町では次の悲劇が起こり――。衝撃の真相が待ち受ける、青春本格ミステリ。
  • 愛には少し足りない
    3.8
    結婚をして家庭をもち、夫のために食事を作る、そんな平凡な生き方が、自分の求める幸せの形だと早映は思っていた。恋人・卓之の叔母の結婚パーティで、麻紗子と再会するまでは……。麻紗子の奔放で自由な生き方に、反感を覚えながらも、自分の中に同じ欲望があることに気づく早映。卓之、彼の叔母・優子、優子の夫……。それぞれが幸せを求めて、模索していく様を描く長編恋愛小説。
  • 愛の風見鳥
    3.0
    愛に定義など本来ありはしない! 数人の男性から愛を打ちあけられて、ピンクムードで幸せいっぱいの亜以子が得たものは……。麻子が突然の事故を目撃したとき、その妻ある男のうろたえぶりは…。さまざまな愛と、愛のたどる道を、ある時は甘く、ある時は辛辣に、情感豊かに読者に語りかける。
  • 愛はひとり
    3.3
    目が醒める。ひとりである……。今日も平穏な日常が虚しく過ぎていく。そして、果てしのない寂しさ――。淡々と、しかし赤裸々に語られる、ある女の「ひとりであること」。孤独な生活のなかで愛を求め続ける切実な心を、フレンチ・ポップスの名曲に託し、詩情豊かに、そして幻想的に描くビジュアル短編集。すべての孤独な女性必読の「処方箋」。この本で、あなたの症状もきっと治ります。
  • 相棒はドM刑事1 女刑事・海月の受難
    3.3
    1~3巻572~880円 (税込)
    神奈川県警港みらい署の若手女性刑事・菱川海月。署内で「女の子」扱いされ捜査の蚊帳の外に置かれることを不満に思っていたところ、後輩とコンビを組むことに。その後輩・亘善は頭脳明晰なイケメンだが、気の短い海月に叱り飛ばされたり殴られるたびに悦ぶ、とんでもないドM。海月は、嫌々ながら彼と捜査をすることになり……。横浜で起きるいっぷう変わった事件にSMコンビが挑む!
  • 逢うには、遠すぎる
    3.0
    7年前に別れた妻・杏子がロス―東京を結ぶコカイン密売組織のトラブルに巻きこまれた。雨の夜、カメラマン・上杉にかかってきた無言の電話。救いを求めてきたのだろうか、気にかかる。まだ愛しているかも知れない杏子の行方を追って上杉は単身ロスへ飛ぶ…。
  • 碧空(凜一シリーズ)
    4.3
    高等部に上がって新聞部で写真を撮り始めた凜一は、遠く京都の大学へ入学しフットボール部で活躍を続ける氷川を思いながら、ひとり過ごしていた。そんなある日、有沢という謎めいた上級生が現れ、凜一を写真のモデルにしたいと誘うのだった。有沢に魅かれ、孤独な心を乱す凜一。はなればなれになりながらもお互いを求める少年たちの思いの行方は……。好評シリーズ第2弾。
  • 青空の街
    3.7
    (自分には社長業なんか向いてない)大学を出ても親の後をつがず、守衛をしたり、タクシー運転手をしたり……。そもそも人生とは何だろうか。建設会社の社長を父に持つ成瀬弘は考える。若者らしく現代を生き抜こうとする弘と恋人キミ子。多彩で複雑な人間模様のなかに愛の哀しみと喜びと、明日への夢を爽やかな筆致で描く明朗青春編。
  • 青のフェルマータ
    3.7
    両親の不和、離婚から言葉を失った里緒は、治療に効果的だというイルカとのふれあいを求めて、オーストラリアの島にやってきた。研究所のイルカの世話を手伝って暮らす彼女に島に住む老チェリストJBが贈る「フェルマータ・イン・ブルー」の曲。美しいその旋律が夜明けの海に響いたとき、海のかなたから野生のイルカが現れて――。心に傷を持つ人々が織りなすイノセントでピュアな愛の物語。
  • アオハルスタンド ~福島県立桜堂高校野球部の誓い~
    -
    「甲子園のグラウンドにあいつと立ちたい」――文字の読み書きがうまくできない識字障害を抱えつつ、周囲の助けを得ながら、大好きな野球に打ち込む円谷桃李は、小学生の頃、一緒に桜堂高校野球部に入るという約束を残して突然、東京に転校した幼馴染の寿上明日馬との再会を夢見ていた。が、晴れて入学した高校に明日馬の姿はなかった。しかも彼は、同じ福島県内の強豪私立高校に、期待の新人エースとして迎えられていた。桃李は同じ中学だった赤名光と再びバッテリーを組んで甲子園を目指すが・・・・・・。青春野球小説!
  • 青葉の旅
    -
    愛別離苦――たまさかの出会いに垣間みる人生の断片、愛の余情を描き、男と女の哀しみとわびしさを浮き上らせる珠玉集。結婚20年を迎えた妻の哀愁にみちたひとり旅を描く表題作のほか「波の音」「良夜」「トランプ占い」「別れの旅」「冬の外套」「一年契約」「春の入り江」「城あと」の八編を収録。
  • 青矢先輩と私の探偵部活動
    4.0
    かつて母が在籍した「探偵部」に入部するために東京へ越してきた美玖。しかし探偵部はすでに廃部になっていた。探偵部復活を目指して活動する中で、美玖は天才高校生・青矢と出会う。女子禁制の超進学校に通う青矢の命令で、会う時はいつも男装。それでも美玖は青矢の探偵としての才能に惹かれていく。男装少女と孤高の天才が立ち向かう、不可解な謎たち。凸凹コンビの探偵部活動がいま始まる!
  • あかずの扉の鍵貸します
    3.7
    火事で家族を失った大学生の水城朔実(みずき・さくみ)は、自らを育ててくれた恩人に頼まれ、「幻堂設計事務所」、通称「まぼろし堂」を訪れる。あるじの幻堂風彦(げんどう・かざひこ)が案内してくれたのは、館内に迷路のように広がる部屋の数々。この「まぼろし堂」には、「あかずの間」を貸し出すというもう一つの顔があり、さらには訳ありげな下宿人たちを受け入れてもいて……。「秘密」を閉じ込める、金木犀香る北鎌倉の古い洋館を舞台に繰り広げられる、心あたたまるファンタジック・ミステリー。
  • 赤と白
    3.8
    【第25回小説すばる新人賞受賞作】冬はどこまでも白い雪が降り積もり、重い灰白色の雲に覆われる町に暮らす高校生の小柚子と弥子。同級生たちの前では明るく振舞う陰で、二人はそれぞれが周囲には打ち明けられない家庭の事情を抱えていた。そんな折、小学生の頃に転校していった友人の京香が現れ、日常がより一層の閉塞感を帯びていく……。絶望的な日々を過ごす少女たちの心の闇を抉り出す。
  • あかね紫
    3.7
    平安京に遷都して、二百年ばかり。紫式部の娘・藤原賢子が仕える中宮彰子の息子が後一条天皇となった。そんなある日、賢子、小式部、中将の君のライバル三人娘に、憧れの藤原頼宗から妙な依頼が。訳も分からず快諾をしてしまうが、なんと男女入れ替わって振る舞う妹と弟を元に戻してほしいというのだ。しかも、時の権力者・藤原道長からの至上命令だと……。ドタバタ三人娘が活躍する時代小説。
  • 朱鳥の陵
    4.0
    時は飛鳥。他者の夢の意を読み解く力を持つ白妙は、皇女の夢を解くため京にやってくる。しかしその夢を解こうとするたびに、見知らぬ少女の心に呑み込まれてしまう。それは最高権力者である太上天皇、後の持統天皇の過去だった。彼女の心の奥へ奥へと入り込む中で、白妙は恐ろしい秘密へと近づいていく。強大な権力を手にし、愛する者を次々と葬った古代最強の女帝の真実に迫る歴史長編。
  • 明るい街へ
    -
    青春の、出口のない陰と一瞬のきらめき。創造の、はてしない蒼き荒野。ひたすらにひたむきだったあの頃。限りない不安と一筋の希望に怯えていたあの頃。ハードボイルドから時代小説、そして『三国志』。北方謙三の世界のすべての萌芽がここにある。遙かなる源流に遡行して、いま蘇える、純文学デビュー作を含む、秘められた初期作品集!
  • 空き缶ユートピア
    -
    「老人による老人のための老人の有料老人ホーム」を目指し共同生活をはじめた八人の老人と老人候補。人情薄い時代の心あたたまるユートピア設立の話に、マスコミはとびついた。だが、これはマスコミ受けをねらった全くのお芝居。老人たちはもっと凄い事件を企んでいた……。ユーモアと風刺をきかせたドンデン返し。新しい共同体の夢を描いた意欲作。
  • 秋の猫
    3.4
    【第16回柴田錬三郎賞受賞作】男はもうこりごりと思った私は、ついに念願の猫を飼うことにした。が、二匹のうちの一匹がどうしてもなつかない。表題作「秋の猫」。夫婦で犬を飼い始めたとたん、仕事は順調、夫は女をつくった。いざ離婚というときに、夫も私も犬の親権を主張して譲らない。「幸運の犬」ほか、犬や猫との交流をとおして、心を癒され、孤独の寂しさを埋めてゆく男女を描く、心温まる短編集。
  • アキラとあきら 上
    4.5
    1~2巻638円 (税込)
    小さな町工場の息子・山崎瑛。そして、日本を代表する大手海運会社東海郵船の御曹司・階堂彬。同じ社長の息子同士でも、家柄も育ちもまったく違うふたりは、互いに宿命を背負い、運命に抗って生きてきた。強い信念で道を切り拓いてきた瑛と、自らの意志で人生を選択してきた彬。それぞれの数奇な運命が出会うとき、逆境に立ち向かうふたりのアキラの、人生を賭した戦いが始まった――。
  • アクティベイター
    4.2
    羽田空港に突如、中国のステルス爆撃機が飛来した。女性パイロットは告げる。「積んでいるのは核兵器だ」と。核テロなのか、あるいは宣戦布告なのか。警察庁の鶴来は爆撃機のパイロットを事情聴取しようとするが、護送中に何者かに拉致されてしまう。囚われた彼女を助けたのは鶴来の義兄で警備員の真丈だった。核起爆の鍵を握る彼女の身柄をめぐり、中国の工作員、ロシアの暗殺者、アメリカの情報将校、韓国の追跡手が暗闘する。爆発すれば人類史上最大の犠牲者が――その恐怖の中、真丈と鶴来が東京中を奔走する。数々のヒット作を生み出した著者が、作家生活25年のすべてを込めた極上の国際テロサスペンス!
  • 悪党どもの晩餐会
    -
    発端は、盗っ人稼業である江尻光男が富沢という偽名でホテルにチェックインしたことだった。江尻は本物の富沢と間違えられ、いきなり3人の男から襲撃を受ける。なんとかそれはかわしたものの、後日盗みに入った金庫室の前で一味と出くわし、囚われの身に。待っていたのはとんでもない罠だった。騙すか騙されるか…。壮絶な抗争を描く、長編ハードバイオレンス。
  • 悪の戴冠式
    -
    細川澄枝は銀行帰りに社員の賞与2千万円をタクシーに忘れた。次に乗った男達が、運転手を殺害しお金を強奪。翌月、澄枝は駅のホームから転落、事故死として保険金が支払われた。この調査にあたった保険会社査定員千野は、2年後、東京で起きた追突事故調査中にタクシー運転手殺害との関連に気づき…。保険査定員が現代社会の死角をついた巧妙な完全犯罪に挑む。日常に潜む恐怖を描く傑作長編推理。
  • 悪魔が囁く教会
    3.3
    二度結婚に失敗したが多額の慰謝料を得た戸山いずみは、再婚を前提に二人の男と交際する。だが男たちはたがいに甘い言葉を囁きながら、競争相手を「結婚詐欺師」などと罵る。三たび教会で愛を誓うべき相手はどちらか。相談を受けた長谷川美枝子と弁護士向井明は人物鑑定に乗り出したが、善人か悪人かの評価に迷っているうちに、想定外の殺人が起きた! 驚愕の結末が襲いかかる心理ミステリー。
  • 悪魔の手紙 ヨコハマOL探偵団
    3.0
    車の中で男が3人殺されている。通報を受けた神奈川県警のパトカーが多摩川沿いの現場に急行。だが、車内には血の跡が残されているだけだった。通報から到着まで90秒も経っていない間のことである。一方、3人の死体を目撃後、現場から逃げたヨコハマ自動車新入社員・杉本千鶴は、6年前のある出来事を思い出して──。同僚の名物OL達が千鶴を励ましながら、死体消失のトリックに挑む。会社ミステリー。
  • 明智小五郎事件簿1
    4.3
    1~12巻495~836円 (税込)
    日本を代表する名探偵の一人、明智小五郎がはじめて登場した「D坂の殺人事件」。退廃的な空気が漂う大正9年9月初旬、〈私〉はD坂にある白梅軒という喫茶点で明智小五郎と知り合った。偶然、向かいの古本屋で発生した殺人事件。二人は第一発見者となる。犯人は、明智小五郎なのか――「幽霊」「黒手組」「心理試験」「屋根裏の散歩者」も収録。事件発生順に並べた画期的なコレクション全12巻! 配信開始!!(解説/皆川博子 クロニクル/平山雄一)
  • 明智小五郎事件簿 戦後編 1 「青銅の魔人」「虎の牙」「兇器」
    4.0
    1~4巻649~737円 (税込)
    事件発生順に並べた人気コレクション『明智小五郎事件簿』の〈戦後編〉全4巻がついに刊行開始! 敗戦後間もない1945年冬、からだ全体を青銅で包んだ“魔人”が現れて、有名時計店ばかりを襲う事件が発生。11年前「地獄の道化師」事件を最後に姿を消した名探偵・明智小五郎が再び登場、事件の依頼を受けて少年助手小林とともに魔人の正体を探る(「青銅の魔神」)。他「虎の牙」「兇器」を収録。
  • 朱華姫の御召人 上 かくて愛しき、ニセモノ巫女
    3.9
    1~2巻616円 (税込)
    「あなたがあの御方の娘だということは、絶対に誰にも知られてはいけないの。けして見つからないように生きなさい。帝の宮に近づいてはだめ。あそこはとてもおそろしいところだから」――母との約束で、先帝の血を引いていることを隠して暮らしている蛍。伯父の家で下働き同然に扱われていたが、ある日、奥の神に仕える巫女・朱華姫に選ばれる。朱華姫は帝の宮に住み、第二皇子が御召人となって世話をし、護衛するものらしい。冷ややかな美貌の皇子・柊にかしずかれる慣れない生活に戸惑う蛍だが、予想もしない秘密と向き合うことになり……。「後宮の烏」の原点!
  • アゲイン 28年目の甲子園
    3.9
    もう一度、甲子園を目指しませんか――。40代半ばの元高校球児、坂町は見知らぬ女性に突然、声を掛けられる。彼は高校時代、ある出来事が原因で甲子園への夢を絶たれていた。記憶の蓋をこじ開けるような強引な誘いに苛立ちを覚える坂町だったが、かつてのチームメイトと再会し、ぶつかり合うことで、再び自分自身と向き合うことを決意する。夢を諦めない全ての大人におくる感動の物語。
  • 罅・街の詩
    5.0
    1~2巻440~550円 (税込)
    30歳を前に商社を辞めて転職した。やくざまがいの探偵稼業。それまでの自分は投げだした。なぜこんなことを始めたかも、考えないようにしていた。そして、汚れた都会の罅の間から聞こえてくる人々の呻きに耳を傾け、その声を胸底に深く沈めてきた。女に言われた。街に詩を書いている。人の心が綴る詩を書いている。探偵、浅生。32歳。哀切で情感あふれる北方ハードボイルドの名編。
  • 欺きの仮面
    4.0
    裕福な女性ばかりを狙う連続殺人犯。FBI捜査官のドレックスは、長年その男を追い続けた末、ついに居場所を突き止めることに成功。隣人として近づくが、男の傍らには美しい妻、タリアがいた。彼女は次の犠牲者か? それとも共犯者? 疑いつつも彼女に惹かれてしまうドレックス。そんな中、ビーチで新たな遺体が発見されて――!? それぞれの思惑と欲望が絡み合い渦巻く、緊迫のサスペンス! 世界34カ国で累計部数8000万部超え、実力派ベストセラー作家の筆が冴えわたる!
  • 悪しき星座
    3.0
    OLが旅先で拾った恋が地獄の入口とは。悪魔にそそのかされて横領した四億五千万円は忽然と消え、OLの遺体のみ廃棄物として発見された。女を騙し貪り尽くした凶敵を追う捜査が始まる。ようやく焙り出したOLに繋がる男も、突如消えてしまう。嗤う真犯人に翻弄されて、捜査本部はついに解散。残った二人の刑事が、執念の追跡行の果てに掴んだ真相を降りこぼれる満天の星座が語る本格ミステリ。
  • 明日、世界がこのままだったら
    4.4
    目覚めると、世界に二人きりとなっていたサチとワタル。二人の部屋はいびつにくっつき、誰もいない街は静まり返っていた。そして不意に現れた管理人を自称する女に、ここは生と死の「狭間の世界」だと告げられる。二人の肉体は、今まさに死を迎えようとしている、と――。そのまま「完全なる死」を迎えるはずだった二人だが、奇跡的に現実世界へ戻るチャンスが訪れる。残酷な選択とともに。私は、俺は、何のために、誰のために生きるのか。生きることを真摯に見つめるエモーショナルな長編小説。
  • 明日 一九四五年八月八日・長崎
    3.6
    原爆投下の前日八月八日、長崎の街にはいま現在そこに住む人々と、おなじ人間の暮らしがあった。結婚式を挙げた新郎新婦、刑務所に収監された夫に接見する妻、難産の末に子供を産む妊婦……。愛し傷つき勇気を奮い起こし、悲喜こもごも生きる人々を突然に襲う運命の「明日」。人間の存在意義を問い、核の脅威と向き合う「今日」を鮮烈に描き出す。昭和文学の金字塔。
  • 明日の約束 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season II
    3.6
    いつのまに、彼女はここまで凛ときれいになったんだろう。久々にふたりで過ごす休日、<大人の女>になったかれんに、愛しさが募る反面、焦りや不安を感じる勝利。ひとり東京に戻り、一緒にいられない理不尽さに悶々としているころ、大家の裕恵さんの義弟が帰国する。一方、喫茶店『風見鶏』のマスターの身辺もあわただしくなる。かれんの同僚だった桐島先生の視点で描くサイドストーリーも収録。
  • 葦と百合
    3.5
    現代文明を捨て、自然との共生をめざしたコミューン運動「葦の会」。学生時代に参加し、十五年ぶりに再訪した医師・式根を待っていたのは、ブナの森深く、荒廃した無人の入植地跡だった――。理想社会を夢見て残ったはずの恋人と友人はどこへ消えたのか? そこで起こった怪死事件は果たして事故か。それとも森に潜む「誰か」が殺したのか? ミステリーとメタフィクションの完全なる融合。
  • アジア新聞屋台村
    4.2
    ワセダの三畳間に沈没するライターのタカノ青年は、台湾の美人社長に見込まれ、なぜか多国籍新聞社の編集顧問に就任。勇み立ったはいいが、アジア各国のツワモノたちに翻弄され、たちまちハチャメチャな屋台的世界に突っ込んで行く。果たして彼と新聞社の未来は? 在日アジア人と日本人の夢と現実を痛快に描く自伝的トーキョー青春物語。『ワセダ三畳青春記』『異国トーキョー漂流記』の姉妹篇。
  • 明日香・幻想の殺人(十津川警部シリーズ)
    -
    高松塚古墳の側で、古代貴人の衣装を纏った男の絞殺体が発見された。被害者は資産家の小池恵之介70歳。彼の口座から30億もの大金が引き出されていた。十津川警部は、小池の秘書で愛人の早川亜矢子を訪ねるが、何も知らないという。やがて、彼女も失踪し……。捜査の為、十津川警部たちは奈良へ。飛鳥時代への幻想の果てに連続する殺人! 古代史の闇に迫る名推理。旅情あふれる長編歴史ミステリー。
  • 飛鳥の怨霊の首
    -
    日本版ハッブル宇宙望遠鏡を目指す「飛鳥」プロジェクトの若きリーダー、天文学者の刈谷天空は、専門外の領域で「天武天皇は唐の天文学者に操られていた」と発言、物議を醸していた。その刈谷が、遷都千三百年でにぎわう奈良の南、明日香村にある「入鹿の首塚」の前で自殺! 第一発見者である英光大学古代史研究会のメンバーは、刈谷のキトラ古墳にまつわる禁断の研究資料を発見した!
  • ASK トップタレントの「値段」上
    4.0
    1~2巻913~935円 (税込)
    「奇跡の9頭身女子高生」としてデビューし、瞬く間にトップタレントとなった堀口優奈。高飛車な態度で傍若無人な振る舞いを続ける彼女は、後輩タレント・ゆらぎの台頭に苛立ち、頭脳と暴力でのし上がった所属事務所社長の新庄に歯向かう。彼の逆鱗に触れたことで、恋人とのSEX動画を拡散された彼女は、莫大な違約金を背負い、超高級風俗店勤務を余儀なくされる。そこには、最低な客たちがいて!?
  • アタラクシア
    4.1
    最も幸せな瞬間を、夫とは別の男と過ごしている翻訳者の由依。恋人の夫の存在を意識しながら、彼女と会い続けているシェフの瑛人。浮気で帰らない夫に、文句ばかりの母親に、反抗的な息子に、限界まで苛立っているパティシエの英美。妻に強く惹かれながら、何をしたら彼女が幸せになるのかずっと分からない作家の桂……。望んで結婚したはずなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう――「心の平穏」(アタラクシア)を求めながら欲望に振り回され、ままならない結婚生活に救いを求めもがく男女の姿を圧倒的熱量で描き切る。第5回渡辺淳一文学賞受賞作。
  • あたらしい家族
    3.3
    医学部入学を目指し大学浪人中のアキラは、いとこの善男が営む老人グループホーム「八方園」に下宿することになる。三十半ばでバツイチ、元役者、めっぽう口が悪くて老人たちを婆ぁ呼ばわりする善男だが、なぜかホームに暮らすみんなからの信頼は厚い。赤の他人ながら共同生活を送るうち、彼らは互いにかけがえのない存在になっていく。著者の代表作『おれのおばさん』に繋がる連作短編小説。

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