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板橋の商店街で、父の代から続く中華そば屋を営む康平は、一緒に店を切り盛りしてきた妻を急病で失って、長い間休業していた。ある日、分厚い本の間から、妻宛ての古いはがきを見つける。30年前の日付が記されたはがきには、海辺の地図らしい線画と数行の文章が添えられていた。差出人は大学生の小坂真砂雄。記憶をたどるうちに、当時30歳だった妻が「見知らぬ人からはがきが届いた」と言っていたことを思い出す。なぜ妻はこれを大事にとっていたのか、そしてなぜ康平の蔵書に挟んでおいたのか。妻の知られざる過去を探して、康平は旅に出る――。市井の人々の姿を通じて、人生の尊さを伝える傑作長編。
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Posted by ブクログ
●感想
出雲ひのみさき灯台、本を読んで行ってみたいなと思い、調べてみたら、とても美しい灯台。
静かで芯のある物語。ミステリー要素もあり、最後まで惹きつけられた。他人のことは、永遠にわからない部分があること、今ある自分の幸せを噛み締め、足るを知ること、人は偶然に他人と知り合い、影響を与えたり受けたりしながら人生を紡いでいくこと。言葉にしてみれば当たり前のことなのだけど、この作品を通して、だれの人生も偶然の出会いや別れや選択によって織りなしているのだなぁと思うと、なんというか、自分もそうやっね生きてきた、これからも生きていく、ということが前より少し素敵なことに思える、そんな作品だった。
●本概要
牧野康平、62歳。中華そば屋を休業し、ひきこもり中。
亡き妻の知られざる過去を追い、男は初めての一人旅へ――。
人生の価値を照らし出す感動長編
中華そば屋を営む62歳の康平は、妻を急病で失って以来、長い間休業していた。だが、ひきこもりのような生活を送る中で偶然、妻宛ての古い葉書を見つける。30年前「知らない大学生から届いた」と言っていた妻は、なぜその葉書をとっておいたのか。差出人は何者で、描かれた地図は何を意味するのか。妻の知られざる過去を追い、康平は初めての一人旅へ出る――。人生の価値を照らし出す感動作。
Posted by ブクログ
以前、「◯◯強調月間」「勝手に◯◯特集」等テーマを設定し選書したことがありました。今回はあまり続ける意図のない「灯台」絡み…それも海外文学連続3作でしたが、国内編の本作で最後です。
本作とも関係しますが、GPS等の進歩で灯台の役割が縮小し、廃止が進んでいるようです。が、機器トラブルの際の命綱、またその地域のシンボル(観光資源等)として、存在し続けてほしいです。
中華そば屋を夫婦で営んでいた康平(62歳)は、2年前に妻を亡くして以来、店を閉め家にこもっています。子ども3人も皆成人(3番目が大学生)し、同じ商店街にそれなりに親友もいて、好きな本を読んで過ごし、仕事への切迫感はありません。
ある日、読みかけの本から妻宛ての30年前の葉書が出てきます。差出人は大学生で、灯台巡りをした報告とどこかの岬らしい図がペン書きされ、まったく覚えがないと妻が生前語っていたのを康平は記憶していました。
様々な疑問が湧き、次第に灯台巡りの旅に誘われていきますが、これは妻の過去を辿る旅でもありました。『錦繍』もそうですが、若い方には退屈で年寄りくさくつまらないかも…。でも、作中の中華そばのように優しく滋味あふれる作品でした。
そもそも人は多面的で、人を完全に理解する、いや理解しようとするのは無理…というか、その必要はないですね。でも、想いは寄せることができるので、関係性を再構築することには意義がある気がします。葉書のちょっぴりミステリーが適度なスパイスとなり、中華そば屋の再開と康平の再生の描き方が温かく沁みます。
表題の「響き」に込めた著者の想いを想像し、灯台巡りをしてみたくなりました。役目を終えても毅然と屹立する灯台は、今後も誰かを励まし、また導く存在であってほしいです。ささやかな幸せは目の前に!"灯台下暗し"と教えられます。
藤岡陽子さんの解説もよきかな。
2025第16回エキナカ書店大賞受賞作
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