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Posted by ブクログ
▼1988年の日本映画で「TOMMORROW 明日」という映画があります。黒木和雄さんが監督。桃井かおりさん主演。名作です。その頃、よく学校をさぼって映画を観に行っていて、かなり多くのマイナーな新作映画を見ていました。これもリアルタイムで見ました。
本当に素晴らしい映画で、黒木さんも桃井さんも歴史に残るならこの1本で残ると思います。ちなみにこの年のキネマ旬報さんのベストテンで2位でした。えっなんで1位じゃないの?・・・・と思ったら、1位が「となりのトトロ」。うむむむむ。個人的には1位2位が逆でも良いと思うのだけど。
今でもU-NEXTでは観れます。是非観てください。
▼その映画の、原作です。
1945年8月8日の、長崎の町の、名もなき複数の人々の物語です。
結婚式を挙げた夫婦。お産で産気づいた女性。売春宿に行く工員。知り合いにオムレツを食べさせたくて卵を探す料理人。恋人との恋愛に悩む看護婦。さまざまです。
それぞれの小さな、深刻な悩みや問題があって。それがみんな、
「明日こそは」 「明日には」 「明日になったら」
と、思いを馳せます。本当に、たれでも、ああ、そういうことはあるな、という心情なんです。
なんだけれど、これが全部、1945年8月8日の日中から、翌日8月9日の、まあ午前10時くらいかな、くらいまでの話なんですね。11時2分に、原爆が落ちます。その人々の頭の上に。
▼というそれだけの話なんですが、映画「TOMMORROW 明日」は、本当によくできていました。素晴らしかった。
え・・・・このひとたちが、みんな死んじゃう、一瞬で死んじゃった、ってこと?
それが原爆・・・・それが戦争ってことか・・・
これですね。胸を抉られるような、静かな映画でした。
その原作を読んでみよう、と。
結論、面白かったけれど、、、、、
「映画の方が面白かった!」
でした(笑)。
▼原作も要は同じ話だから、実に魅力あります。映画のエッセンスは全部ここにあります。なんだけれど、ちょっと、分かり辛かった(笑)。
登場人物が多いし、コロコロ変わるから(笑)。
それを小説的に分かりやすくはできてないなあ・・・・という。大変に井上光晴さんには畏れ多いですが。いや、ブンガク的ではあります。それはそれで味わい。
要は、それらが映画は大変に整理されていて、それに当然ながらビジュアルがつくから分かりやすいのです。
▼なんだけれど、楽しく読んだんです。
個人的な話で恐縮ですが、親が長崎県人で、祖母は被爆者手帳を持っていた人なので。この本の全編、徹底した取材を感じる長崎弁と、長崎の地理の執拗な書き込みは、なんだか嬉しくて楽しかったです。蛍茶屋が出てきて、大興奮。蛍茶屋、祖父の家がありました。なんて素敵な地名でしょう。
Posted by ブクログ
1945年8月9日11時2分、長崎市松山町上空に原子爆弾が投下されました。その前日、まさかそんなことが起こるとは思いもせずに暮らしていた人々の日常が、記されていました。
生活のなかで色々なことがあるのは今と変わらず、それぞれの事情を抱えつつも、人々の目は明日へと向いていました。
前日の月が、不気味なほど赤い月だったことが印象的でした。
人を愛し、人と関わるなかで、戦時中で閉塞感はあっても生きていくことを諦めている感じはしませんでした。
そんななかでこの人達が次の日には···。
その日が穏やかな朝だったことを思うと、なおさら胸がきゅっとしました。その未来を知った上でこの本を読むことは、なんとも言えない気持ちでした。特に最後の0章の終わりは、希望と穏やかさを感じるものなので、ざらっとした思いが消えませんでした。
明日は必ずあるわけではないのです。
今日を迎えられて、いつもどおりの暮らしが出来る幸せを、この読書で強く感じました。
改めて、原爆犠牲者の多くの方々のご冥福をお祈り申し上げます。
(この本は、長崎弁で会話が書かれているので、言葉がわかりにくく感じる人もいると思います。)
Posted by ブクログ
1945年8月9日午前11時2分、ボックスカーと名付けられたB29によって長崎に原子爆弾が落とされ、何万人もの人々が亡くなった。
しかし、その前日、8月8日の時点では長崎に暮らす人々は翌日のことなど知らずに、普通にこれまで通りの生活を送っていた。
祝言を挙げた若い男女がおり、その席に呼ばれた路面電車を運転する運転士は翌日の勤務途中で妻から弁当を受け取る手配をし、翌日に予定されていた夫の裁判が延期となったと聞かされた妻は、祝言に出された膳から作った差し入れをもう一度持ってこようと考える。
そして、臨月で祝言に出られなかった女性は、一晩陣痛に苦しんだ末、9日の未明に待望の男の子を出産した。
物語はそこで終わる。
物語自体は戦争末期の日本の日常を描いているに過ぎないが、これが8月8日の長崎であるということ、物語の終わりと同時に、そのように暮らしていた人たちの暮らしも終わってしまったに違いないという読者の想像力に作者は物語の終わりを委ねている。
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