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Posted by ブクログ
『約束もしないで誰かをひたすらに待ち続ける』
不思議。と一言で片付けて仕舞えばこの物語は終わってしまう。
ただ素晴らしい眠りを提供するためだけに作られたオテルは、客従業員全員が心から安眠快夢を望み、それぞれの思考に影響を及ぼすくらい不安定なバランスで成り立っている。
主人公はまるで自分は無害であるような顔して、静かに狂い、主人公の双子の妹はその矛盾を埋めるようにピエロを演じている。
世界はその世界を覗く人の数だけ広がっている。重なり合った世界は、夢の中でだけ調和を保ち、心の歪みを拭い去っていく。
読み終わった時、すごく満足した。とても良いものを読んだと感じた。わたしが覗く世界も、こんな風に狂っていて美しくて、苦くて優しい。今日の睡眠はきっと特別なものになる、そんな予感がある。
Posted by ブクログ
白昼夢を見ていたかのように、読み終わったあとうっとりぼんやりしてしまう本だった。
双子の妹の娘と妹の夫と3人で暮らす希里。妹は身体が弱い上に不安定で、更に覚せい剤を使用していて入院中。しかも妹の夫は元彼で……と、とんでもない環境で暮らす主人公、なんだけど、流れる空気はどことなく気だるげで平穏で、誰かが声を荒らげたり感情を爆発させたりする場面は一切訪れない。必要以上に幸せに見せたり、悲観的に見せたりしない。
そんな主人公が不思議な会員制地下ホテルで働きはじめる物語。
上質な睡眠を提供すること一点張りのホテルで起こる、少しだけ不思議な出来事を通して、希里が成長していったり…も特にしない。
そもそも物語の終わり方としても、終わり感が全くない。続く日常の一部を切り取って持ってきただけのような感じ。
会話のテンポが特によくて、ホテルで仕事を教えてくれる外山さんとの会話が特に好きだった。「はあ」「はい」などの生返事含めて短いやり取りが繰り返される。上手く理由を説明できないけど、とても好きだった。
感想を書いていても、どうしてこの本が好きなのか全然説明できない。ちょっとだけ変な夢を見て、ものすごくよく寝た後の朝みたいな読後感だった。栗田さんの書かれる本を他にも読もうと思う。
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