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Posted by ブクログ 2018年06月26日
『約束もしないで誰かをひたすらに待ち続ける』
不思議。と一言で片付けて仕舞えばこの物語は終わってしまう。
ただ素晴らしい眠りを提供するためだけに作られたオテルは、客従業員全員が心から安眠快夢を望み、それぞれの思考に影響を及ぼすくらい不安定なバランスで成り立っている。
主人公はまるで自分は無害で...続きを読むあるような顔して、静かに狂い、主人公の双子の妹はその矛盾を埋めるようにピエロを演じている。
世界はその世界を覗く人の数だけ広がっている。重なり合った世界は、夢の中でだけ調和を保ち、心の歪みを拭い去っていく。
読み終わった時、すごく満足した。とても良いものを読んだと感じた。わたしが覗く世界も、こんな風に狂っていて美しくて、苦くて優しい。今日の睡眠はきっと特別なものになる、そんな予感がある。
Posted by ブクログ 2024年03月22日
表紙を見る限りのんびりとしたお話なのかと思いきや
とんでもない波瀾万丈が起こっていた
あっという間に読み終えるほど続きが気になり引き込まれる
テレビ東京系ドラマ24でやってそうな物語でした、むしろやってほしい!!
主演は永野芽郁ちゃんがいいな
でも読み終えた日の夜悪夢みたの解せない
Posted by ブクログ 2022年07月03日
好きすぎて、読むのもったいなくてゆっくり噛み締めながら読んだけど
さくっと読めちゃいます。
偶然にも正反対姉妹のストーリーを2冊読み終え、展開的にも胸焼けところのこの本でした。
つらくない。
たくさんの描写があるわけじゃない。
でもそのほうが読み手によってどうとでも捉えられる。
そんなところが...続きを読む好き
ふわふわしてて
いしいしんじさんを思いだした
Posted by ブクログ 2014年03月02日
さすがの栗田さん!面白かった!!!
この独特の空気感がたまらない。日常なのに非日常!
最後の解説がまた的確に言葉をひろえていて脱帽。目的がなくてもしっかりと自分の手で生きてく主人公たち。
ホテルで働きたくなった。主人公のお客様に対する真摯な姿勢がとても好感がもてるし、こんな風に相手のことを思いながら...続きを読む働けたら楽しいだろうなって。
あー、面白かった!パタン。
Posted by ブクログ 2014年01月24日
とてもファンタジックな不思議なホテルが舞台で、登場するキャラクターもみんなちょっと浮世離れしてる。でも主人公はそんな中でも少し人間臭くてかわいい。このふわふわとした世界観にどっぷりハマってしまいました。
Posted by ブクログ 2013年12月03日
初めて読んだのは雑誌に載ったときで
それからずっともう一度読みたいと思い続けてて、漸く文庫を発見した。
主人公は自分と姪と義理の弟であり元彼である姪の父との3人暮らし。
就職したのは地下深くに建てられたオテル。
そのオテルは位置づけにはビジネスホテルでありながら、眠るためだけに存在している...続きを読む。
そんなオテルで働く主人公と周りの人々とのお話。
全体的に薄暗い雰囲気のお話。
その薄暗さがなんともいえず気持ちよく感じた。
私には大好きな本。
Posted by ブクログ 2012年11月29日
栗田有起はこの本で知ったしこの本からとても好きになった。
こんなホテルがあればいいのに。
大都市の中ひっそりとした小道?脇道?を進めばなんとかして辿りつけられるかもしれない
Posted by ブクログ 2011年12月23日
主人公の考え方、感じ方の中に、共感するものがあるためか、初めて読むはずなのに、なんとなく読んだことがあるような気がしてしまいました。
淡々とした語り口による現実描写。
「百あまりの会社に履歴書を送ってきた」
「その求人広告をくりかえし読んだ」
などなど。
Posted by ブクログ 2024年02月12日
”音楽で耳を塞がれていると安心する。音だけの世界は静かなのだ”
20代で私もこの経験をした。
爆音で音楽を聞いていたかったのは、静かな世界にいたかったからだ。
外の世界と切り離した場所へ行きたかったからだ。
うっすら気付いていたはずだけど、はっきり気付くのに随分時間がかかった。
”人は暗闇の中では...続きを読む熟睡できません。かえって興奮するのです”
この小説はゆーるりと眠気を誘ってくれる。
退屈で眠くなるのではない、眠りに誘ってくれるのだ。
Posted by ブクログ 2023年11月15日
オテルの設定だけでも興味をそそられる。
眠りについての持論もハッとさせられる。
加えて私生活は特殊で、ここでも引き込まれる。
絵本のような柔らかな文章で、内容は個性的。
不思議な感覚になるお話だ。
Posted by ブクログ 2017年01月31日
よぎるのは双子の妹沙衣のこと、まつわる家族のこと。
そんな希里の働きはじめたこのホテル、地下13階建てである。
これだけでもう「ん?」となる。
たしかにねむりというのは、実体のあるようなないような不思議な時間空間かもしれない。
淡々と語られる難しい現実と、あいだに流れるゆるやかでちょっとしたおかし...続きを読むさのある空気感。
希里とホテルには似ているところがあるような気がした。
3冊目を読み終えて、やっぱり好きだな栗田さん。
Posted by ブクログ 2016年11月20日
眠りについて本を読みたくなったら手に取りたくなる一冊
これは時期的にすばるで読んだのかしら、それとも芥川賞予想で候補先読んで行ったときに読んだのかしら。なんとなく、単行本で読んではいなかった記憶があります。
そのあと出たマルコの夢は単行本で読んだけど興味はなく、それで栗田作品は以降読まなかったな...続きを読む。
ただ、この間の白河夜船を読むにあたって、眠くて眠くて仕方がない物語に対して、眠るためのホテル、眠りに困っている人への物語をあてがいたかったのですね。
それで、約10年ぶりの再読です。
いいわぁ。このホテルの具合を想像していくだけで眠くなりますよ、私は。
読み進めて行って、ああああ双子だった双子だったから、その家族のいびつさを読み返し、ああそうだった!
と思い出す。
フレンチトーストがインパクト強い場面に出てくる、という思いだけあったのでフレンチトースト出てきて衝撃的なシーンを見て、そうか、そうかこれだったぞとまた思いっきりパンチ食らい直します。
このシーンを読むと、風味絶佳が誘発されて、読みたくなるという小説数珠繋ぎ。ああこれも読み直すか。
女の子はなんだって言ってたかなぁ・・・。
この本の妙に美しいラストがこの年になると逆にしっくりこなくなってきた場面もありますが、また眠りについて本を読みたくなったら、白河夜船と共に、読みたくなるのでしょう。そして読んだら風味絶佳を読みたくなるのでしょう。
Posted by ブクログ 2015年11月29日
作品中には色々と不条理なことが起こっているのに、悲惨さが強調されることなく描かれているのは、登場人物がみな、置かれている状況にただただ適応しようとしているから。作品中に良い意味で匂いや音を感じないのも新鮮だった。読後感は不思議な感覚。現実を見たのか、それとも夢を見たのか…といった感じ。
Posted by ブクログ 2016年05月29日
突如、栗田有起月間です。
良眠と快夢のためだけのホテル。
横歩きでしか入れないビルの谷間の奥にあり、地下だけの客室。部屋にはテレビも冷蔵庫もテーブルも無いオテル・ド・モル・ドルモン・ビアン。
その求人広告に応じて、オテルモルの受付に勤めることになった希里の不思議な体験。
どうも栗田さんの共通項の...続きを読む一つは、奇妙に歪んだ背景です。
全体が歪むのではなく、局所的に歪んでいる感じが良いですね。病院町を舞台にした『卵町』にしてもホテルを舞台にするこの作品にしても、その特徴である「静寂」や「睡眠」を極端に強調するやり方で不思議と心地良い歪みを作っています。
あと一つは主人公を取り巻く人の生真面目さでしょうか。主人公はどちらかと言えば「流されてる」感じなのですが、周りがしっかりした足場/信念をもって生きています。
しかし、なんとも不思議で心地よい物語です。
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08-061 2008/07/30 ☆☆☆☆
快眠のみを目指した会員制ホテルという設定からして魅力的。
丁度中盤で、やや中だるみの状況。主人公がホテルに就職し、その過去も語られて、という段階。
はて、ここからどういう展開に持っていくのか、楽しみです。
以上は半ばまで読んだ時の感想。で結果はと言うと。
麻薬中毒に陥った双子の妹が出てきて、緩やかな上昇曲線を描きそうなところで物語りは終わり、明確な決着は無く。。。
まあ、それはそれで良いのですが、どこか釈然としないものも残ってしまいます。折角面白い設定なのだから、「眠り」に関する別のもっとファンタジックな物語を持ってきたほうが面白かったかな。
Posted by ブクログ 2013年02月19日
良い睡眠と良い夢を得るために存在するホテルのおはなし。
不思議な話で、ちょっと村上春樹風。。。?
姪を自分の子供のように育てているという設定は必要だとしても、主人公の妹の話はいらないと思った。
妹のハチャメチャぶりがホテルの雰囲気とあっていないから。
いまいち主人公が魅力的でないのはそのせいかも。
...続きを読む
こんなホテルに泊まってみたい。
Posted by ブクログ 2022年07月30日
不思議な世界
眠れるオテル 地下にあるオテルは全体的に真っ暗でエレベーターが部屋につくまで数十分かかる。
なんとなくゾワっとする。
でも必ず眠れるオテル。
希里が勤務初日のころはひたすら眠くなり家に帰っても睡魔に足を引きずられてとことん寝ている
ここでもなんとなくゾワっと
ただ全体的には波の音が聞...続きを読むこえてきそうなくらい穏やかな雰囲気。
希里の双子の妹との関係が壊れずいるのも希里のおかげかな。
Posted by ブクログ 2021年01月19日
雰囲気が好き。
希理の回想が辛い。けど全体的にゆるく流れていく様な感じであまり気にならない。
何気ない会話が面白かった。
お客様を想って一生懸命働く希理を見て自分も接客頑張ろうと思った。
Posted by ブクログ 2015年02月25日
良質な眠りを提供する事が目的のホテル(オテル)が舞台なだけあって、読んでいる際に何度か眠くなった。
特に主人公の希里が、勤務中の眠りをこらえるシーンなんか一度本を置いてしまった。
常連客にしても外山さんにしても、不思議なキャラクターだった。
2015.2.24
Posted by ブクログ 2012年12月17日
小川糸の食堂かたつむりとか西加奈子のあおいとか、今までに読んだ本の中の、独特の空気感を感じさせるかなー?と。
淡々としてて、ほんわかしてるのに、クールではないというか。
どっかに諦めて受け入れてる覚悟みたいな強さを感じるし、なのに投げやりではないし。
読んでると、小説の中のその場所を具体的にイメー...続きを読むジできて、浮かんでくるので、映画を見てるような感じにおちいって、ちょっと不思議な感じでした。
嫌いじゃないです、この人の書く世界。
別のを読んでみるつもりです。
Posted by ブクログ 2012年09月13日
この本に出てくる人間は、語り部である女性を除き、人間そのものではないかもしれません。というのも、彼女が見取る誰かの印象、エネルギー、立ち現れる湿った気配そのものに名前とエピソードが付けられているのです。オテル・モルのお客様の眠りが、リネンに染みた汗、よだれ、涙、体液、はがれた皮膚、あか、脂から分かる...続きを読むように。
主人公の過去こそ劇的ですが、実は物語そのものに大きな波はありません。ただ眠りの静かなダイナミクスが(語義矛盾を承知で)全体を引っ張って行きます。眠気の如く、それは柔らかくもひたすら強引に読み手を引っ張って行くのです。
読み終わった後に眠れる日に、一度に読まれることをお勧めします。
Posted by ブクログ 2012年05月28日
最高の眠りと最良の夢を提供するオテルモル。そこで働き始めた希里。不思議な物語だが、双子の妹の子供とかつて恋人だった義理の弟と暮らす希里の心は、どんなものだったか。でも、妹の紗衣の幸せも祈っている。
Posted by ブクログ 2012年01月21日
不思議だった。
オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン!!というホテルの話。
眠るためにあるホテル。
客の眠気がホテルの空気を作って・・・。
もし、本当にあるなら 一度、行ってみたいと思った。
Posted by ブクログ 2012年08月31日
題名に惹かれましたが、
結構つらい状況にある主人公が、人のせいにもせず、投げやりにもならず、きちんと人生を生きて行こうとしているのが良かった。
誘眠顔=仮の死顔=現状から逃げ出したい
ということなのかもしれませんが、逃げ出したいと思っているということは、少なくと今はまだ逃げ出していないということで...続きを読むすから、
彼女の環境を考えるとかなり立派なことだと思います。
ただ、妊娠を感じさせる描写があったので、
この先あの家族は良いほうへ行かないのかもしれないと思うと心が痛みます。
あと、オテルの謎は、あそこまでファンタジックにしなくても良かったのではないでしょうか。
だって普通にちょっときたないですよね。まあ、洗濯に使われた大釜は魔法の釜なのかもしれませんが…。
何度も言いますが、でもおもしろかったです。
Posted by ブクログ 2011年08月12日
ナツイチのくじが引きたい! という娘のために、「もう読みたいと思うのあらかた買っちゃったよ〜」と言いながら苦労して選んだのがこれ。
買って気づいた、「あ、これ『お縫い子テルミー』を書いた人の本だ…」。
『お縫い子…』が、私の中ではイマイチだったので、「この本もどうだろう」といぶかしみながら読みました...続きを読むが、これは結構おもしろかった。
寝る前に読むと、自分も眠くなってきていいかもしれないな。
これは「本がつまらないから眠くなる」という意味ではなく、ね。
主人公のセリフが時々おもしろかった。
Posted by ブクログ 2018年08月04日
「オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン」という会員制の地下13階からなるホテルの話です。
快適な眠りのために存在するホテルで、リネンから空調、明かりまですべてにこだわっています。
睡眠、ホテルを題材にしたストーリーでおもしろかったです。ほんわかとまったりとした空気と時間の流れの中に揺るぎない何かを感じ...続きを読むました。
わかっているものへの安心感からか、椅子やシーツに素材の表示がされている。これはなんだろうと思うものより、目に見えて確かなものに対して人は安心感を抱くものなのかもしれないと思います。
不思議な空間ではあるけれど、不眠症になったらホテル「オテルモル」に行くのががおすすめかもしれません。