小説・文芸 - 文春文庫作品一覧

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  • 思いを伝えるということ
    4.1
    つらさ、切なさ、何かを乗り越えようとする強い気持ち、誰かのことを大切に想う励まし……。エリーが本当に思っていることを赤裸々に、自身も驚くほど勇敢に書き記した、詩と短篇小説。文庫化にあたって、大幅に加筆修正しました。言いたくても言えない、思いばかりがつのってパンクしそうな人に読んでほしい、宝物のような一冊。
  • ツチヤ教授の哲学講義 哲学で何がわかるか?
    4.1
    大哲学者たちが考えたことを信用できるでしょうか? いつもはあまり信用されないツチヤ教授が挑戦的にこう問いかけた。不信感を抱く学生を前にして、プラトンやデカルトなどに代表される哲学史に輝く深遠な学説に、誰にでもわかりやすい言葉で鋭く切り込み、哲学の初心者たちと共に一から考えた渾身の講義。
  • 「中年」突入! ときめき90s
    3.5
    エリートという記号を見ている限り、女の恋心は決して冷めない。学歴、美貌、はたまた裸? バブル弾けた日本の男女にドラマティックはあるのか――。90年代を人妻として眺めるマリコの筆は、さらに鋭く冴えわたる! 雅子さまを迎える皇室の激動、松田聖子の離婚再婚、名作「最初で最後の出産記」収録のエッセイ傑作選第2弾!
  • 男の肖像
    3.9
    人間の顔は、時代を象徴する。幸運と器量に恵まれて、世界を揺るがせた歴史上の大人物たち――ペリクレス、アレクサンダー大王、カエサル、北条時宗、織田信長、西郷隆盛、ナポレオン、フランツ・ヨゼフ一世、毛沢東、チャーチルなど14人を辛辣に優雅に描き、真のリーダーシップとは何かを問う。
  • 毒殺者
    3.4
    1巻763円 (税込)
    妻に五千万円の保険金をかけたMの殺人は、大成功のはずだった。だが、謎の脅迫者の電話に悩まされることになる。一方、五千万円の保険金をかけられた妻は、夫の行動に不信感をもった。もしかして……。どんでん返しに次ぐどんでん返し。実際の事件に想を得た「――者」シリーズの原点となった『仮面劇』を改訂改題して復刊!
  • 死命
    4.2
    若くしてデイトレードで成功しながら、自身に秘められた女性への殺人衝動に悩む榊信一。ある日、余命わずかと宣告され、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。元恋人の澄乃との皮肉な再会。犯人逮捕に執念を燃やす刑事・蒼井にも同じ病が襲いかかり、事件の展開は衝撃の結末を――。
  • 西川麻子は地理が好き。
    3.6
    老いた富豪が土蔵に閉じ込められて死んでいた。事故と思われたが、なぜか床は一面、真っ赤に塗られていて――。完全犯罪に挑むのは「地理」をこよなく愛する地理ガール探偵、西川麻子。遺言状に隠された地図記号の暗号、アフリカの湖にまつわる意外すぎる犯罪ほか、世界地理のトリビアで6つの謎を解き明かす、新感覚ミステリー!
  • 花晒し
    4.0
    元芸者の右京は、亡き夫の後を継いで広小路を仕切る元締となった。ある日、美人で評判の娘が行方知れずになり、数日後に家に戻っても引きこもってしまう、という出来事が続いていることを知り、調べを始めたが……(「花晒し」)。急逝した著者の最後の連作短編のほか、新人賞を受賞した幻のデビュー作を特別収録。
  • 世に棲む日日(一)
    4.1
    2015年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』の主人公は久坂玄瑞の妻、文(ふみ)。文の兄であり玄瑞の師である吉田松陰こそ、『世に棲む日日』前半の中心人物です。「人間が人間に影響をあたえるということは、人間のどういう部分によるものかを、松陰において考えてみたかった。そして後半は、影響の受け手のひとりである高杉晋作という若者について書いた」(「文庫版あとがき」より) 嘉永六(1853)年、ペリー率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕かをめぐり、国内には激しい政治闘争の嵐が吹き荒れていた。この時期、骨肉の抗争を経て倒幕への主動力となった長州藩には、その思想的原点に立つ松下村塾主宰・吉田松陰と、後継者たる高杉晋作がいた――。維新前夜の青春群像を活写した怒濤の歴史長編、ここに開幕。
  • 翔ぶが如く(一)
    3.9
    司馬遼太郎畢生の大長編! 西郷隆盛と大久保利通。ともに薩摩藩の下級藩士の家に生まれ、幼い時分から机を並べ、水魚の交わりを結んだ二人は、長じて明治維新の立役者となった。しかし維新とともに出発した新政府は内外に深刻な問題を抱え、絶えず分裂の危機を孕んでいた。明治六年、長い間くすぶり続けていた不満が爆発。西郷は自ら主唱した“征韓論”をめぐって大久保と鋭く対立する。それはやがて国の存亡を賭けた抗争にまで沸騰してゆく――。西郷と大久保、この二人の傑人を中心軸に、幕末維新から西南戦争までの激動を不世出の作家が全十巻で縦横に活写する。
  • 酔って候
    4.1
    幕末の混迷期、なすすべを知らない三百諸侯のなかで、自らの才質をたのみ、また世間の期待を集めた賢侯たちがいた。土佐の山内容堂、薩摩の島津久光、伊予宇和島の伊達宗城、肥前の鍋島閑叟。「藩主なるがゆえに歴史の風当りをもっともはげしく受け、それを受けることによって痛烈な喜劇を演じさせられた」(「あとがき」より)彼らを題材に、著者ならではの視点で幕末を探る短篇連作。
  • 十一番目の志士(上)
    3.9
    天堂晋助。長州藩の下層の出ではあったが、剣の天稟は尋常ではなかった。ふとしたことから彼を知った藩の過激派の首魁、高杉晋作は、晋助を恐るべき刺客に仕立てあげる。京に、大坂に、江戸に忽然と現れ、影のように消え去る殺人者のあとには、常におびただしい血が残された。剣の光芒が錯綜する幕末の狂宴!
  • 幕末
    3.8
    「歴史はときに、血を欲した。このましくないが、暗殺者も、その兇手に斃れた死骸も、ともにわれわれの歴史的遺産である。そういう眼で、幕末におこった暗殺事件を見なおしてみた」(「あとがき」より)。春の雪を血で染めた大老・井伊直弼襲撃から始まった幕末狂瀾の時代を、清河八郎、吉田東洋など十二の暗殺事件で描く連作小説。
  • 終生ヒトのオスは飼わず
    4.1
    ロシア語会議通訳、エッセイスト、作家として56年の生涯を走り抜けた米原万里さんのもうひとつの顔は、毛深い大家族(猫5+犬3)の“慈愛深き母”でした。前作『ヒトのオスは飼わないの?』の続きと、雑誌に掲載されたエッセイを集め、一周忌に合わせて2007年5月に刊行されたのが本書です。ご両親のことや米原家のルーツに触れる話など、しみじみとしたタッチの作品が揃いました。タイトルは、生前ご自分で書かれた「私の死亡記事」というエッセイ(本書収録)につけられたものです。
  • 海のサムライたち
    4.0
    海に薄情な日本人よ。かつてこの島国には、海のサムライたちがいたではないか。日本よ海に熱くなれ――! 古代の海賊王・藤原純友、村上海賊衆と松浦党、九鬼嘉隆や小西行長などの戦国武将、さらには三浦按針、山田長政、鄭成功。国境を越えて戦い抜いた英雄の生涯を、海洋小説の第一人者が愛惜を込めて描く歴史エッセイ。
  • 生きのびる 横浜異人街事件帖
    3.7
    ときは幕末。開港して六年目の横浜では、南京人による犯罪が激増していた。取締りの応援に乗り込んだ与力立花源吾が行方知れずに。そしてある朝、源吾の首が奉行所の門前にさらされていた――! 下手人と目されたのは窃盗団頭領の張竹芳。剣友・源吾の敵を討つため、卯之助と正五郎は上海へ向かう。著者円熟の筆がますます冴える『横浜異人街事件帖』完結篇。
  • 航海者(上) 三浦按針の生涯
    3.7
    オランダの東洋探検船団の一隻、リーフデ号に乗り込んだ英国人ウイリアム・アダムスは、1600年4月19日、豊後水道の臼杵に漂着した。足掛け3年の過酷な航海の果て、同船の乗組員110人は24人の生存者を数えるのみであった。航海長アダムスは天下統一をめざす家康に目をかけられ、艦載の大砲を関ケ原へと運ぶ――。海洋小説の第一人者である著者畢生の超大作!
  • 猫は仕事人
    3.0
    春爛漫。江戸は本所深川で、三味線の音を聞きつつ駄猫ライフ満喫中の化け猫のまるに、町娘姉妹の悲話が降りかかってきた。悪い奴らに騙されて、骨までしゃぶられる人間たちを見て、「ゆるせない!」と仲間だった化け猫たちも立ち上がる。まるはもう裏の〈仕事人〉稼業はやめたはずだったけれど――。痛快シリーズ第1弾!
  • ヒトのオスは飼わないの?
    4.0
    ロシア語通訳、エッセイスト、作家として多忙な日々を送った故・米原万里さんは、常に複数の猫と犬の母でもありました。そのニギヤカなる毎日を描いたエッセイが本書。執筆時、米原家は猫4匹、犬2匹、人間ふたりのメンバー構成でした。その状況を恩師に年賀状で報告したところ、「ネコイヌもいいけれどねえ、君、そんなことより、早くヒトのオスを飼いなさい、ヒトのオスを!!」と言われた……というのがタイトルの謂れです。ヒトのオスにはちと厳しいが、猫と犬には惜しみない愛情を注いだ米原さんの傑作ペット・エッセイ。猫好きも犬好きも楽しめます!
  • 島原大変
    5.0
    土地の人々が「奥山」と呼ぶ普賢岳に続き、寛政四年三月一日、島原の「前山」が火を噴いた。大噴火は地震と津波を誘発し、肥前島原藩七万石の城下町は一夜にして土砂に埋まった――。大自然の猛威を目の当たりにし、恐怖におののく藩主、武士、医師、町民の姿を活写する表題作の他、歴史短篇小説の傑作三篇を収録。
  • ウィンター・ホリデー
    3.8
    1巻733円 (税込)
    元ヤンキーでホストだった沖田大和の生活は、小学生の息子・進が突然に夏休みに現れたことから一変。宅配便のドライバーへと転身し子供のために奮闘する。そして冬休み、再び期間限定の親子生活がはじまるが、クリスマス、お正月、バレンタインとイベント盛り沢山のこの季節は、トラブルも続出で……。
  • 柔らかな犀の角
    4.0
    週刊文春に7年にわたり連載された「私の読書日記」がこの一冊に! 老年へのギア・チェンジ、いまだ完了せず。生と死の摂理などちんぷんかんぷん。朝起きて虫になっていたとしても、ちっとも不思議じゃない……。斯界にあって特異な存在感を放ち続ける名優・山崎努が、出会った書物を通じて人生を観照する。思いつくまま気の向くまま、自然体の老境がなんとも心憎い名品エッセイ。
  • 打ちのめされるようなすごい本
    4.3
    「ああ、私が10人いれば、すべての療法を試してみるのに」。2006年に逝った著者が、がんと闘いつつ力をふり絞って執筆した「私の読書日記」(週刊文春連載)に加え、1995年から2005年まで10年間の全書評を収録した最初で最後の書評集。ロシア語会議通訳、エッセイスト、作家として56年の生涯を走り抜けた米原万里を知るには必読の一冊。この本には、彼女の才気とユーモアが詰まっています。
  • さよならの手口
    4.2
    探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引き取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優の芦原吹雪から、二十年前に家出した娘の安否についての調査を依頼される。かつて娘の行方を捜した探偵は失踪していた――。有能だが不運な女探偵・葉村晶が文庫書き下ろしで帰ってきた!
  • 発明マニア
    4.1
    通訳界の「エ勝手リーナ」として君臨した(?)米原さんが、亡くなる直前まで週刊誌に連載していたのがこのエッセイです。妹のユリさんによると、米原さんは小さい頃からの発明好き、工夫好き。この連載のコンセプトを「せこい発明でこの世の大問題を解決するっていうしかけ」とおっしゃっていたそうです。「国家機密の隠し方」「情緒安定なでなで装置」「無敵の性欲増進法」「日本人男性の誇りと自信向上計画」などなど、ユーモアあふれる119のアイデアを満載した、米原テイストが横溢する“発明ブック”です。
  • 海王伝
    3.9
    直木賞受賞作『海狼伝』の続編! 海と船への憧れを抱いて対馬で育った笛太郎は、海賊船黄金丸の船大将となり、シャムを舞台に活躍する。同地を本拠地とする明国の海賊マゴーチは笛太郎の実父だが、笛太郎が異母弟を殺したことから、親子の宿命的な対決となる――。海に生きる男たちの夢とロマンを、海洋小説の第一人者が鮮烈に描く。
  • 華栄の丘
    4.1
    司馬遼太郎賞受賞作。争いを好まず、あえて負けを選ぶことで真の勝ちを得る――。乱世にあって自らの信念を曲げることなく、詐術とは無縁のままに生き抜いた小国・宋の名宰相、華元(かげん)。出目で太鼓腹の巨漢、人をつつみこむ、あかるく磊落(らいらく)な性格。西郷隆盛をおもわせる男、とは作者の言。名君・文公を助け、ついには大国晋と楚の和睦を実現させた男の奇蹟の生涯を、さわやかに描く中国古代王朝譚の名作。人間の器量について考えさせられる一冊!
  • マネー喰い 金融記者極秘ファイル
    3.0
    ネタ元との約束を守って「特落ち」に追い込まれたベテラン記者・山沢勇次郎。謎のリークが記者たちを翻弄するなか、山沢はメガバンクの巧妙な巨大損失隠しに気付く。暗躍する外資系証券会社と政界の思惑――。美人記者・秋山らと共に山沢は金融界の最深部に闘いを挑む。大型新人が放つ圧巻のエンターテイメント!
  • 太公望(上)
    4.3
    古代中国史の中で、この男ほど謎と伝説に彩られた武人はいない……。羌(きょう)という遊牧の民の幼い集団が殺戮をのがれて生きのびた。年かさの少年は炎の中で、父と一族の復讐をちかう。商王を殺す――。それはこの時代、だれひとり思念にさえうかばぬ企てであった。少年の名は「望(ぼう)」、のちに商王朝を廃滅にみちびいた男である。中国古代にあって不滅の光芒をはなつこの人物を描きだす歴史叙事詩の傑作!
  • その女アレックス
    4.3
    英国推理作家協会賞を受賞した大逆転サスペンス。貴方の予想はすべて裏切られる! おまえが死ぬのを見たい――男はそう言って女を監禁した。檻に幽閉され、衰弱した女は死を目前に脱出を図るが……。ここまでは序章にすぎない。孤独な女の壮絶な秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進する。「この作品を読み終えた人々は、プロットについて語る際に他の作品以上に慎重になる。それはネタバレを恐れてというよりも、自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはならないと思うからのようだ」(「訳者あとがき」より)。未曾有の読書体験を、貴方もぜひ!
  • ばくりや
    3.6
    1巻611円 (税込)
    あなたの「能力」を、あなたにはない誰かの「能力」と交換いたします――。北の街の路地裏に「ばくりや」という店がひっそりあった。女に異常に好かれる三波は、その力を交換すべく店を訪ねたが……。その他、就職先が必ず潰れる、ささいなことでも泣けるなど、能力を交換した人々の悲喜劇を描く異色の連作短篇集!
  • おにのさうし
    3.7
    これが「陰陽師」の原点だ! 人は何ものかを愛しすぎると鬼になる……魑魅魍魎が跋扈する平安の都を舞台に鬼と女人を描く陰陽師の原点ともいうべき奇譚集。
  • リクルートという奇跡
    3.9
    2014年10月、東証一部に新規上場し、時価総額2兆円の企業となったリクルート。1980年代以降の情報誌文化を創出し、時代の先端を走り続けてきた同社は、なぜユニークな人材を次々と輩出できたのか。リクルート事件やダイエーによる買収など、幾多の危機をどう乗り越えたのか。同社幹部としてそのすべてを見届けた著者が明かす“奇跡の企業”の秘密。サラリーマンの教科書ともいうべき名著が電子書籍で復活!
  • 武田三代
    4.0
    信虎追放、信玄陣没、勝頼自刃――。 天下に名をとどろかせた甲斐の武田家。風林火山を旗印にしたこの強大な騎馬軍団は如何にして生まれ、そして滅んだのか。信虎、信玄、勝頼という武田三代にまつわるさまざまなエピソードから、埋もれた真実が明らかになる! 著者の代表作『武田信玄』の基礎をなしたともいえる七篇を集めた短篇集。
  • 富士に死す
    4.3
    いま、改めて富士山を知る――。著者の「富士山もの」の掉尾を飾る傑作。 霊峰富士に対する民間信仰は昔からあるが、急速に大衆化したのは「富士講」の始まった天正年間である。しかし、大衆化は同時に信仰の俗化、形骸化を招いていった。富士講の荒廃に反発する行者・月行に見出され、のちに富士講中興の祖と称されるまでになった身禄の、感動的な波乱の一代を描いた長篇歴史小説。
  • 狩人は都を駆ける
    3.4
    『弥勒の掌』の著者が贈るユーモア・ハードボイルド。 京都で探偵事務所を営む「私」のもとに久々にやってきた仕事の依頼は、なんと誘拐事件。もっとも、誘拐されたのは家で飼われていたドーベルマンで、つまりは犬の捜索なのだった……。なぜか苦手な動物がらみの依頼ばかり次々に舞い込む探偵の困惑と奮闘を描いた傑作ユーモア・ハードボイルド5篇を収録。探偵は事件解決のため、今日もケモノに立ち向かう!
  • 弥勒の掌
    3.7
    これが現代ミステリの到達点だ! 愛する妻を殺され、汚職の疑いをかけられたベテラン刑事、蛯原。妻が失踪して途方に暮れる高校教師、辻。やがてふたりはある宗教団体の関与を疑い、ともに捜査を開始するが――。 あらかじめ申し上げておきます。本作は、社会派の本格捜査小説であると同時に、読者を罠にはめようとする壮大なたくらみが隠された作品でもあります。どうか注意深く、慎重に、身構えて読み進めてください。それでもなお……! 必ずや前代未聞の驚きを味わっていただけることでしょう。迫真のリアリティ、サスペンス、そして謎解きの美しさ。まさに、現代ミステリの到達点といえる逸品です。
  • 霧の子孫たち
    3.0
    レンゲツツジの鮮やかな赤、ニッコウキスゲの目映い黄色、残雪のように輝くスズランの白。貴重な高層湿原植物が群生する霧ヶ峰高原に、突如として降りかかった有料道路建設計画。反対に立ち上がった地元有志は官権との闘いに傷つきながらも、自らの生を見つめなおす機会を得る――。自然と人間の関係を根源から問い質した意欲長篇。
  • 怒る富士 上
    3.7
    宝永4(1707)年、突然大爆発を起こした富士山は、16日間にわたり砂を降らせ続け、山麓農村に甚大な被害をもたらした。ときの関東郡代・伊奈半左衛門忠順は、農民の窮状を救うべく幕府に援助を強く要請した。だが、彼が見たものは被災農民を道具にした醜い政権争いだった――。大自然の恐怖を背景に描く、著者会心の長篇時代小説。
  • フラミンゴの家
    3.9
    町の下半身と揶揄される「さかえ通り商店街」で実家のスナックを手伝うバツイチ男・正人。元妻が入院したため、幼い頃に別れた反抗期の娘と暮らすことになり、同棲中の恋人も追い出したのだが、簡単に親子の距離は縮まらない――。家族の再生に悪戦苦闘するヘタレ男が涙と笑いを誘う、芥川賞作家の傑作長篇。
  • プリティが多すぎる
    3.5
    1巻641円 (税込)
    総合出版社で文芸部門を志望していたのに少女向けファッション誌に配属された南吉くんこと新見佳孝、26歳。女の子の憧れが詰まった誌面は勝手が異なり失敗の連続だが、先輩編集者にカメラマン、スタイリスト、十代の少女モデルたちのプロ精神に触れながら次第に新見は変わっていく――。舞台裏のドラマを描くお仕事成長物語!
  • 探偵映画
    3.3
    新本格の雄、初期の傑作! 新作の撮影中に謎の失踪を遂げた鬼才映画監督、大柳登志蔵。すでにラッシュは完成、予告篇も流れているが、実はこの時点で作品の結末を知るのは監督のみ。残されたスタッフは、撮影済みのシーンからスクリーン上の「犯人」を推理しようとするが……。『探偵映画』というタイトルの映画をめぐる本格推理小説。
  • 「結婚」まで よりぬき80s
    3.0
    「女の甲斐性とは、男にどれだけお金を使わせるか」。週刊文春の国民的人気エッセイから選り抜いた、名言至言に満ちた58篇。時代の寵児として輝く30代林真理子がダイアナ妃やロス事件の三浦和義ら渦中の人物と交流し、遊び仕事をし、男女の仲を鋭く考察、自らの“結婚ひな壇レポート”も。抜群のプロの技を存分にご堪能あれ!
  • 雪のチングルマ
    3.3
    新田次郎、山岳短篇集の代表作! 童歌(わらべうた)をうたうと必ず雪崩で死ぬ、という怪談に抗いながらも囚われた若者の苦悩と悲劇を描いた表題作。アラスカ現地に取材した異色の傑作「真夜中の太陽」。実感をこめて富士のおそろしさを表現しきった「春富士遭難」。スキーヤーの身勝手さを衝く「コブシの花の咲く頃」など全6篇を収録。著者円熟期の傑作山岳小説集。
  • 007 白紙委任状(上)
    3.6
    いま世界最高のミステリ&サスペンス作家といえばジェフリー・ディーヴァーに間違いないでしょう。そのディーヴァーが、なんと007ことジェームズ・ボンドに挑んだ! それは2010年初夏に制作の発表が行われて以降、「Project X」というコードネームで呼ばれていた極秘プロジェクト。秘密厳守を誓約する文書に署名しないかぎり編集者も翻訳者も原稿を見ることが許されないという厳戒ぶりでした。殺しのライセンスを持つ史上最高のスパイの物語を、ディーヴァーは現代的なノンストップ・サスペンスに仕立て上げています。ヨーロッパから南アフリカ、そしてドバイへと世界を駆け巡る一大アクション巨篇! 2011年週刊文春ミステリーベスト10第4位。
  • ウォッチメイカー 上
    4.3
    ミステリ三冠達成(このミス1位、週刊文春ミステリー1位、日本冒険小説協会大賞〈海外部門〉)。これが現代アメリカミステリの最高到達点だ! “ウォッチメイカー”と名乗る殺人者あらわる。手口は残忍で、いずれの現場にもアンティークの時計が残されていた。やがて犯人が同じ時計を10個買っていることが判明。被害者候補はあと8人いる――! “人間嘘発見器”こと尋問の天才キャサリン・ダンス捜査官とともに、リンカーン・ライムはウォッチメイカー阻止に奔走する。2007年度のミステリ各賞を総なめにしたジェフリー・ディーヴァーの代表作。【リンカーン・ライムシリーズ第7作】
  • スリーピング・ドール 上
    4.0
    リンカーン・ライムシリーズからスピンオフした美貌の“人間嘘発見器”。この女を欺くことは誰にもできない――。 他人をコントロールする天才、ダニエル・ペル。カルト集団を率いて一家を惨殺、終身刑を宣告されたその男が、大胆かつ緻密な計画で脱獄に成功した。ペルを追うのは“ウォッチメイカー”事件でリンカーン・ライムと行動を共にした、いかなる嘘をも見抜く尋問の天才キャサリン・ダンス捜査官。ペルとダンス、二人の天才が熱い火花を散らす頭脳戦の幕が開く! 2008年週刊文春ミステリーベスト10第3位、このミステリーがすごい!第5位。【キャサリン・ダンスシリーズ第1作】
  • ソウル・コレクター 上
    4.2
    史上もっとも卑劣な犯罪者にライムが挑む! リンカーン・ライムのいとこ、アーサーが殺人容疑で逮捕された。アーサーは一貫して無実を主張するも、犯行現場や自宅から多数の証拠が見つかり、有罪は確定的に思えた。だがライムは不審を抱く。証拠が揃いすぎている――アーサーは濡れ衣を着せられたのではないか? そう睨んだライムはサックスらとともに独自の捜査を開始する。2009年週刊文春ミステリーベスト10第3位、このミステリーがすごい!第5位。【リンカーン・ライムシリーズ第8作】
  • 悪魔の涙
    3.9
    筆跡鑑定人が犯人を追い詰める! 世紀末の大晦日午前9時、ワシントンの地下鉄駅で乱射事件が発生。間もなく市長宛に2,000万ドルを要求する脅迫状が届く。正午までに“市の身代金”を払わなければ、午後4時、午後8時、そして午前0時に無差別殺人を繰り返すという。手がかりは手書きの脅迫状だけ――。FBIは筆跡鑑定の第一人者、パーカー・キンケイドに出動を要請した。息もつかせぬ展開とどんでん返しの連続に心ゆくまで陶酔できるJ・ディーヴァーの逸品! 2000年週刊文春ミステリーベスト10第5位。
  • 青い虚空
    4.0
    天才ハッカーvs.奇才ハッカー、白熱の電脳戦! 護身術のウェブサイトを主宰するシリコン・ヴァレーの有名女性が惨殺死体で発見された。警察は周辺捜査からハッカーの犯行と断定。コンピュータ犯罪課のアンダーソン刑事は容疑者特定のため、服役中の天才ハッカー、ジレットに協力を要請する。ゲーム感覚で難攻不落の対象のみを狙う連続殺人犯の正体を追え――息詰まるハッカー同士の一騎打ちが始まる!
  • 獣たちの庭園
    3.6
    現代最高のミステリー作家が初めて歴史サスペンスに挑んだ! 1936年、オリンピック開催に沸き立つベルリン。アメリカ選手団にまぎれてニューヨークの殺し屋が潜入する。米国海軍情報部からナチス・ドイツ高官暗殺の使命を帯びたその男は、現地工作員との接触の際に誤って人を殺してしまい、刑事警察(クリポ)から追われる身となる……。リンカーン・ライムシリーズで人気の著者が初めて挑む歴史サスペンスは、懐旧的雰囲気のなか、タフな主人公(ヒーロー)が活躍するという新機軸。もちろんどんでん返しも盛りだくさんの上級エンタテインメントです。CWAイアン・フレミング・スティール・ダガー受賞作。 2005年週刊文春ミステリーベスト10第5位、このミステリーがすごい!第5位。
  • クリスマス・プレゼント
    4.0
    ひねりにひねった短篇16連発。原題もズバリ“Twisted”。これぞ「どんでん返しの魔術師」ディーヴァーの真骨頂だ! スーパーモデルが選んだ究極のストーカー撃退法、オタク少年の逆襲譚、未亡人と詐欺師の騙しあい、釣り好きのエリートの秘密の釣果、有閑マダム相手の精神分析家の野望――。ディーヴァー・マジックが次々に炸裂するミステリー短篇集。お馴染みリンカーン・ライムとアメリア・サックスが登場する「クリスマス・プレゼント」は本書のための書き下ろし。2006年週刊文春ミステリーベスト10第8位、このミステリーがすごい!第2位。
  • ポーカー・レッスン
    4.0
    どんでん返し×16。「騙される快感」に浸れる傑作短篇集! 名探偵リンカーン・ライムに持ち込まれたプロの殺し屋による殺人。だが、現場には犯人の痕跡が何もない――。「犯人は現場に必ず微細な証拠を残す」という原理を裏切る難事件を描く「ロカールの原理」をはじめ、多彩などんでん返しで貴方を驚愕させる16の物語。現代最高のミステリ作家の技をとくとご堪能あれ。2013年週刊文春ミステリーベスト10第5位、このミステリーがすごい!第5位。
  • 追撃の森
    3.8
    二人の女vs.二人の殺し屋、夜明けまでの死闘! 通報で森の別荘を訪れた女性保安官補ブリンを、殺し屋の銃撃が襲った。現場で出会った女を連れ、ブリンは深夜の森を走る。無線はなく、援軍は望めない。二人の女対二人の殺し屋。暁の死線に向け、知力を駆使した戦いが始まる。襲撃、反撃、逆転、再逆転――その結末は? 天才作家が腕によりをかけて描いた超緊迫のサスペンス。国際スリラー作家協会最優秀長篇賞受賞作。2012年週刊文春ミステリーベスト10第8位。
  • コラプティオ
    4.1
    1巻865円 (税込)
    「やがて歴史が私の正しさを証明する」震災後の日本に現れたカリスマ総理・宮藤隼人は、“禁断の原発政策”に日本復興を託す。だが、その矢先、一人の日本人がアフリカで殺される。事件の背景に広がる政権の闇を追いかける新聞記者と、宮藤を支える若き側近は、暗闘の末、最後に何を見るのか……。『ハゲタカ』の真山仁が「原発と政治」を描く超弩級エンターテイメント!
  • デズデモーナの不貞
    3.3
    池袋のバー〈まりえ〉の客は曲者ぞろい。「私はアクマのもの」と言いはる美女。女から女に渡り歩く手配師。ああ、こんなことならと人妻の素行調査に頭をかかえる元刑事。絶体絶命のピンチに追いこまれながらも、へこたれないつわものが今宵もカウンターに陣どって……。笑いと戦慄に満ちた超サイコ・ミステリ!
  • 親子の肖像 アナザーフェイス0
    3.8
    最愛の妻・菜緒を亡くし、自分の中の大きな「軸」を失ってしまった大友鉄――。捜査一課の仕事と子育ての狭間で新たな人生のスタートを切る。子どもの人質立てこもり事件に巻き込まれる表題作、“完落ち”したはずの供述の真相に迫る「見えない結末」ほか、若き日の大友鉄の活躍を描く、「アナザーフェイス」シリーズの特別外伝!
  • 道連れ彦輔
    3.0
    なりは素浪人だが、歴とした御家人の三男坊。権威や忠義が大嫌い、自分より弱い者には滅法強く、強い者には近づかない鹿角彦輔(かづのひこすけ)。そんな彦輔に道連れの仕事を見つけてくる藤八、蹴鞠上手のけちな金貸し・鞠婆など、個性豊かな面々が江戸を舞台に大活躍。コメディとシリアスが絶妙に合わさった傑作時代小説!
  • 伴天連の呪い
    3.0
    大好評「彦輔」シリーズ第2弾! ちゃっかり御家人三男坊・鹿角(かづの)彦輔が芝の寺へ遊山に出かけたところ、隣の寺の裏手で額に十字の焼き印を押された死体が発見された。そこはかつて、切支丹の伴天連(ばてれん)が何十人も火あぶりにされた寺だという。彦輔は意外な犯人に行き当たるが――個性豊かな面々が江戸の町で大活躍する傑作時代小説集!
  • 燃える地の果てに(上)
    4.4
    最後の核爆弾一基が見つからない! スペイン上空で核を搭載中の米軍機が炎上、墜落した。事実をひた隠して懸命の捜索を行う米軍。放射能汚染におびえる村人。ギタリスト古城邦秋を待ちうける虎口の数々……。跳梁するスパイの狙いは? 過去と現在、二つの物語が衝撃的に融合する! 現代ミステリの奇跡と謳われた名品の登場。
  • 情状鑑定人
    3.1
    書店社長の娘が誘拐されるが、間もなく犯人は捕まり、少女は無事保護される。犯人は書店の従業員だったことが判明するが、七年前に妻殺しと放火の罪で服役していた――。男の情状鑑定をめぐり、家庭裁判所の女性調査官と精神医学者が過去の事件を調べていくうちに、意外な事実が明らかになっていく。
  • 幻の祭典
    3.5
    ヒトラーなぞ糞くらえ! 1936年、ナチス賛美のベルリン・オリンピックに対抗し、水面下で進められていたバルセロナの人民オリンピック。内戦で中止された「幻の祭典」を現代の東京で掘り起こすうち、二人の男はスペイン現代史の秘部に迷い込んでいく。驚嘆のラストまで息もつかせぬサスペンス巨篇。
  • 斜影はるかな国
    4.5
    1936年、フランコ将軍らが蜂起して勃発したスペイン内戦。その最中に、ギジェルモ・サトウと名乗る日本人義勇兵がいた。通信社特報部の記者・龍門二郎は、男の足跡を取材するためスペインに飛ぶが、その裏には大いなる秘密が隠されていた――。スペインの過去と現代を舞台に描かれた、壮大な冒険ミステリー。
  • 長嶋少年
    4.0
    時は昭和40年代、長嶋にひたすら憧れた野球少年・ノブオの物語。小学五年生のノブオは、長嶋に心底憧れている、誰もが一目おく野球少年。詩人の父は行方不明、母は子供にも仕事にも無関心、友との別れや理不尽に負った怪我、出生の秘密……。次々と苦難は襲いかかってくるけれど、「長嶋」を心の支えにぜんぶ乗り切るのです! すべての野球少年に捧げる、著者渾身の成長物語。
  • 海狼伝
    3.9
    【第97回(1987年)直木賞受賞作】 ときは戦国。海と船への憧れを抱いて対馬で育った少年笛太郎は、航海中、瀬戸内海を根城とする村上水軍の海賊衆に捕まり、その手下となって、やがて“海の狼”へと成長していく。日本の海賊の生態をいきいきと描いた、夢とロマンが香る海洋冒険時代小説の最高傑作。「海を舞台にした小説は外国には多い。海洋冒険小説という一つのジャンルが確立しているほどである。四面環海の日本にそれがないというのは、ふしぎな現象だ。(略)日本の海洋小説の一里塚を築けたとすれば、私としては本当にうれしい」(「著者のことば」より)
  • マディソン郡の橋
    4.0
    200万部超の大ベストセラー! 屋根付きの橋を撮影するため、アイオワ州の片田舎を訪れた写真家ロバート・キンケイドは、農家の主婦フランチェスカと出会う。漂泊の男と定住する女との4日間。時間に縛られ、逆に時間を超えて成就した奇蹟的な愛――。1993年、日本語版が刊行されるやじわじわと感動の輪を広げ、「シンプルで純粋」「涙なくしては読めない」と絶賛された不朽のベストセラー。1995年、クリント・イーストウッド/メリル・ストリープ主演で映画化。
  • 藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩
    4.0
    街をゆっくり歩けば、いたるところで歴史の痕跡と出会う。隣り合う東郷平八郎と山本五十六の墓、パリで出会い日本でも隣組だった藤田嗣治と島崎藤村、今も残る引き出しのないマッカーサーの執務机、川端康成が海を眺めた地……。藤原正彦・美子夫妻が、多磨霊園、番町、本郷、皇居周辺、護国寺、鎌倉、諏訪を歩き、日本の歴史に出会うちょっと知的な散歩日和。
  • 地層捜査
    3.6
    1995年に東京・荒木町で起きた老女殺人。確たる手がかりもなく、未解決のままだったこの事件が、2010年の公訴時効撤廃を受けて再捜査の対象となる。捜査一課の水戸部と、以前この事件を担当していた地域指導員加納は、当時の捜査本部が着目した土地トラブルを追いながら、かつては芸妓、後に置屋の女将として生きた老女とこの街の記憶に目を向けていく。そう、事件の「地層」を掘り起こすのだ??。『廃墟に乞う』で直木賞を受賞した警察小説の名手が放つ待望の新シリーズ、いよいよ開幕!
  • 水底フェスタ
    3.6
    自然を切り崩し、ロックフェスを誘致する以外に取柄もない山村。田舎特有の、窒息しそうな閉塞感に苛立つ高校生の広海は、突然村に戻ってきた地元出身の有名モデル・由貴美と出会い、囚われてゆく。ある晩彼女から「村への復讐に協力してほしい」と持ちかけられ、広海は求めに応じるが、実は由貴美には“真の目的”があった。そしてフェスの夜、取り返しのつかない事件が二人を襲う──。新直木賞作家による傑作長篇。息を呑むラストまでページを繰る手が止まらない!
  • 花冠の志士 小説久坂玄瑞
    4.1
    2015年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で、主人公はこの若き志士を愛した! 幕末の乱世、尊王攘夷派の志士たちの中心人物として短い人生を駆けぬけた久坂玄瑞。長州藩医の子として生まれ、黒船来航から間もなく家族を喪い、攘夷の志に燃えた。松下村塾の双璧として高杉晋作と並び称され、師・吉田松陰の妹を妻とした。詩を愛し、武に生き、もののふとして散ったその生涯を描いた決定版。
  • 習近平 なぜ暴走するのか
    4.3
    習近平は2012年秋、中国の最高指導者に就任した。軍の台頭、少数民族との対立、汚職問題、民主化への対応……。いまや世界2位の経済大国になりながら、共産党の独裁を続ける矛盾が吹き荒れるこの国を、彼は御してゆくことができるのか。それとも、覇権国家「最後の皇帝」となるのか。一流ジャーナリストが詳細をレポートする。
  • 遠い接近
    4.5
    松本清張の軍隊経験が垣間見られる数少ない作品! 過去の徴兵検査で第二乙種不合格、そして三十二歳となった今、兵隊にとられることはないと確信していた山尾に、召集令状が届く。この一枚の紙が、山尾のみならず家族の運命までも大きく狂わすことに。古兵の制裁にも耐え復員したが、すべてを失った山尾は、召集令状を作成した区役所兵事係への復讐を誓う――。
  • 岩倉具視 言葉の皮を剥きながら
    3.3
    明治維新の立役者の一人、岩倉具視。下級公家に生まれ、クーデターの画策などで幾度となく追放されながら、いかにして彼は権力の中枢までのぼりつめたのか。本作の構想を長年温めてきた著者が、卓越した分析力と溢れる好奇心で史料と対峙。「尊王攘夷」や「佐幕」といった言葉を剥きながら、新たな岩倉具視像を立ち上げることに成功した永井文学の集大成!
  • 朱なる十字架
    4.7
    細川ガラシヤ――。彼女の父は、謀叛を起こした明智光秀。夫は、冷ややかに父を無視した細川忠興。無垢な心と比類なき美貌を併せ持つ彼女に課せられた運命は、あまりにも過酷であった。深い苦悩の末、禁制のキリスト教に救いを見出したのも束の間、関ヶ原合戦の前夜、彼女は自らの命を絶つことになってしまう――。ガラシヤ夫人の愛と苦悩、憂愁の生涯を描く感動の長篇小説。
  • 流星 お市の方(上)
    3.8
    激動の戦国時代、織田信長という風雲児の妹として生まれたがために、あるいは、その比類なき美貌ゆえに、お市の方は激しく厳しい運命を生きる。近隣の国々を切り従え、天下統一を狙う兄・信長と、その兄と対決せざるを得ない最愛の夫・浅井長政。日々激化する抗争の狭間に身を置いて、お市の方は苦難に満ちた生涯を送るのであった――。
  • 炎環
    4.0
    京の権力を前に圧迫され続けてきた東国に、ひとつの灯がともった。源頼朝の挙兵に始まる歴史のうねりは、またたくうちに関東の野をおおいはじめた。鎌倉幕府の成立、武士と呼ばれる者たちの台頭――その裏には、彼らの死にもの狂いの情熱と野望が激しく燃えさかっていた。鎌倉武士たちの生きざまを見事に浮き彫りにした傑作歴史小説にして第52回直木賞受賞作!
  • 無菌病棟より愛をこめて
    4.4
    2010年6月、急性白血病の告知。愛してくれる人がいるから、なるべく死なないように頑張ろう――。仕事の予定も、妻・母としての役割も、すべてを放り出しての突然の入院、抗癌剤治療の開始。辛い闘病生活のなかで家族と友人の絆に支えられ、ユーモアを忘れずに人気ミステリ作家が綴る、たくさんの愛と勇気、温かな涙と笑いに満ちた闘病記。
  • 乱紋(上)
    3.6
    織田信長の妹・お市の方と、近江の雄・浅井長政のあいだには3姉妹がいた。長女・お茶々は豊臣秀吉の側室として権力をふるった後の淀君。次女・お初は京極高次の妻となり、大坂の陣で微妙な役割を演じる。そして、最も地味でぼんやりしていた三女・おごう。彼女には、実に波乱に満ちた運命が待ち構えていた――。おごうの生涯を描いた長篇歴史小説。
  • 美貌の女帝
    4.1
    壬申の乱を経て、藤原京、平城京へと目まぐるしく都が遷る激動の時代。その裏では、皇位をめぐって歴史の節目となる大変革が進行していた。繰り返される裏切り、陰湿なる策略。矢面に立たされた氷高皇女が女帝・元正天皇となり、自身のすべてを政治活動に捧げ、守り抜こうとしたものとは何だったのか――。悲劇の女帝を描いた長篇歴史小説。
  • 乳と卵
    3.6
    2008年の第138回芥川賞受賞作! 娘の緑子を連れて大阪から上京してきた姉でホステスの巻子。巻子は豊胸手術を受けることに取りつかれている。緑子は言葉を発することを拒否し、ノートに言葉を書き連ねる。夏の三日間に展開される哀切なドラマは、身体と言葉の狂おしい交錯としての表現を極める。日本文学の風景を一夜にして変えてしまった傑作。
  • 世界クッキー
    3.8
    丈夫な剛毛に思い悩んだ顛末を綴る「髪の思春期」、受賞するのかしないのか、決定を待つあいだのこたえる感じ「芥川賞のパーン。」、憂鬱に臨んだクリスマスが涙とともに一変した「母とクリスマス」……。“とくべつな色合いをもつとくべつな瞬きであった”2年間に発表された、きらきらしい58篇のエッセイを収録。
  • 最後の一球
    3.7
    自殺未遂をした母親の動機が知りたい--。青年の依頼に、いつになく渋面を浮かべる御手洗潔。やがて原因は悪徳金融業者からの巨額の借金であることが判明し、さすがの御手洗も打つ手がない。だが、奇跡が起った。突然の火事により、債務者を苦しめる書類が灰になったのだ。やがて御手洗は、この奇跡が、偉大な才能を持った1人のスラッガーと、あえなくプロ野球をクビになった凡庸なピッチャーとの友情の賜物だったことを知る。御手洗シリーズ中出色の異色&感動作。
  • 最後のディナー
    3.9
    ミステリー作家の石岡は女子大生の里美に誘われて英会話学校に通い始めた。ふたりはそこで知り合った孤独な老人・大田原と親交を深めるが、大田原はイヴの夜の晩餐会を最後に帰らぬ人となった。老人はなぜ、「神を見た!」と叫んだのか。御手洗が見抜いた真相とは? 「龍臥亭事件」の犬坊里美が再登場! 表題作など全3篇。
  • 夏、19歳の肖像
    3.7
    バイク事故で入院中の青年が、病室の窓から目撃した「谷間の家」の恐るべき光景! ひそかに想いをよせる憧れの女性は、父親を刺殺し工事現場に埋めたのか? 退院後、青年はある行動を開始する--。青春の苦い彷徨、その果てに待ち受ける衝撃の結末! 青春ミステリー不朽の名作が、著者全面改稿のもと新装版として甦る。
  • 上高地の切り裂きジャック
    3.5
    名探偵・御手洗潔が活躍する中篇集。腹を横一文字に切り裂かれ、内臓のかわりに石が詰め込まれた女優の死体が上高地で見つかった。誰が、いったい何のために? しかも、浮上した最有力容疑者には鉄壁のアリバイが。100年の時を経て日本に甦った“切り裂きジャック”に、北欧にいる御手洗は電話による捜査で挑む。横浜時代の御手洗が活躍する傑作中篇「山手の幽霊」も収録。
  • 切り裂きジャック・百年の孤独
    3.7
    1988年、西ベルリンで起きた謎の連続殺人。5人の娼婦たちは頚動脈を掻き切られ、腹部を裂かれ、内臓を引き出されて惨殺された。19世紀末のロンドンを恐怖の底に陥れた“切り裂きジャック”が、100年後のベルリンに甦ったのか? 世界犯罪史上最大の謎「切り裂きジャック事件」を完全に解き明かした、本格ミステリー不朽の傑作。
  • ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間
    3.8
    フランス革命の転換点となった有名な逃亡事件「ヴァレンヌ事件」はなぜ失敗したのか。愛のため、命がけで計画を練ったフェルゼン、狂おしいほどに優柔不断なルイ16世、「贅沢と傲慢」の女王アントワネットの真実。嫉妬、楽観、逡巡。濃密な人間ドラマと追いつ追われつ迫真の攻防戦24時間の再現は、息も継げない第一級の面白さ! 焦る王妃、迷う国王。フランス革命史上の濃密な人間ドラマ。マリー・アントワネットの運命の24時間とは。
  • キュート&ニート
    4.5
    姪探偵登場!? ひきこもりのニート青年・白畠鋭一は、バツイチの姉・真矢のニューヨーク出張の間、幼稚園児の娘・リサの面倒を見ることに。幼稚園で起こる様々な事件をリサに助けられて解決するうち、縮こまった鋭一の心も開かれていく。著者自身の幼稚園児の送り迎え体験を元に描くハートウォーミング・ミステリー! 幼稚園には危険がいっぱい? もう「ひきこもり」なんて言ってられない。
  • 溺れる人魚
    3.3
    ポルトガル・リスボン。ミュンヘン五輪で4つの金メダルを獲得した稀代の女性スウィマーがピストル自殺を遂げた。ほぼ同時刻、2キロ離れた自宅でリスボン大学名誉教授リカルド・コスタが射殺され、2つの命を奪ったのは同じピストルから発射された銃弾だと判明した!? 精神外科手術の恐怖を描いた表題作ほか、ナチの非人道的実験やモンゴル帝国の盛衰が現代にもたらした不思議など、最新科学の成果を盛り込んだ、“21世紀本格”へのプレリュードともいうべき短篇集。
  • 魔神の遊戯
    3.4
    ネス湖畔の寒村ティモシーで、突如として発生した凄惨な連続バラバラ殺人。空にオーロラが踊り、魔神の咆哮が大地を揺るがすなか、ひきちぎられた人体の一部が、ひとつ、またひとつと発見される。犯人は旧約聖書に描かれた殺戮の魔神なのか? 名探偵・御手洗潔の推理がもたらす衝撃と感動……。ロマン溢れる本格ミステリー巨篇。
  • 特攻の真意 大西瀧治郎はなぜ「特攻」を命じたのか
    3.5
    神風特攻隊から70年。大西瀧治郎中将は、なぜ「特攻」を命じたのか。「特攻隊の英霊に曰す 善く戦ひたり深謝す」。昭和20年8月16日、大西瀧治郎中将はそう書き遺して自刃した。自ら企図した特攻を「統率の外道」と称しながら、なぜ数多の若者に死を命じなければならなかったのか。生存者の証言をもとに、特攻の父と呼ばれた男の謎に迫る衝撃のノンフィクション!
  • 秋好英明事件
    3.9
    昭和51年に福岡県で発生し、日本列島を震撼させた「一家四人惨殺事件」。満州で生まれ、極貧のなかに育ち、あらゆる辛酸を嘗め尽くしたあげく事件に至った一人の男の姿は、読むものの心を揺さぶらずにはおかない。ミステリー界の雄が渾身の力で対象に肉薄し、その謎と背景とを解き明かした、日本版『冷血』ともいうべき大著。
  • ワラをつかむ男
    3.7
    ツチヤ教授の大人気エッセイ集の最新刊! 「もうたくさんだ」と苦悩の生活に別れを告げ、新天地を神戸に求めて安らぎを夢見たものの、避けても払っても襲うトラブルの波……。非力のツチヤ教授はこの状況に、小理屈、屁理屈、詭弁、曲論でどう立ち向かうのか。「最悪の事態」「女の断言」「問題ありません」「人間の価値」など、理屈と悲哀のユーモア満載の好評エッセイ!
  • 幸せになる百通りの方法
    3.5
    1巻600円 (税込)
    人生は11勝10敗と心得よ! このムズカシイ時代を、滑稽だけど懸命に生きる人たち――。自己啓発書を読み漁って空回る若きサラリーマン、お見合いパーティーに参加しても動物の行動を観察するように冷静になってしまう三十代女性、リストラされたことを家族に言いだせない二代目ベンチマン……。短篇の名手が描いた、ユーモラスでビターな7つの物語。
  • 教授のお仕事
    3.5
    早稲田大学の名物教授が初めて描くキャンパス情報小説。日本のエジプト学の泰斗としてテレビ等でお馴染みの著者ですが、本業は大学の教授。21世紀の今日、大学のキャンパスでは何が起きているのか。教授たち、学生たちの素顔。事務方の官僚っぷり。モンスターペアレンツの実態や、派閥争いに走る先生たち――。架空の大学を舞台にして最高学府のトホホな舞台裏を描く痛快な小説!
  • 森は海の恋人
    4.0
    森は漁民の命。森と海の真のつながりを知る感動の書。 宮城県気仙沼で長年にわたり牡蠣養殖業を営んできた畠山さんは、エッセイストとして、そしてNPO法人「森は海の恋人」の活動でも知られています。2012年には国連森林フォーラムの「フォレストヒーローズ」にも選出されました。 豊かな汽水域の恵みは、森があってこそ生まれる。ダム開発と森林破壊で沿岸の海の荒廃が急速に進んだ1980年代、おいしい牡蠣を育てるため、気仙沼湾に注ぐ大川の上流に木を植え始めた――それが畠山さんの活動の出発点でした。漁師だからこそ見出し得た、森と海の真のつながりとは? 「森は海の恋人」運動の火付け役となったみずみずしい一作がついに電子書籍化。森に、水に、海の恵みに関心のある人すべての必読書です。
  • 遠い勝鬨
    -
    江戸幕府の三代将軍・徳川家光の時代に幕政を宰領し『徳川の平和(パックス・トクガワーナ)』の礎を築いた「知恵伊豆」こと松平伊豆守信綱。信綱には我が子のごとく慈しんだ少年・小太郎がいた。小太郎は南蛮医としての将来が嘱望されたが、決して知られてはならない秘密を抱えていた。信綱との固い絆の行方は如何に。やがて二人に最大の試練「島原の乱」が迫りくる――。
  • 無双の花
    4.0
    島津勢の猛攻に耐え、駆けつけた豊臣秀吉に「その忠義、鎮西一。その剛勇、また鎮西一」と誉めたたえられた立花宗茂。もともと九州探題・大友家の家臣であったが、秀吉によって筑後柳川十三万石の大名に取り立てられた。関ヶ原の戦いで西軍に加担した宗茂は浪人となったが、十数年後、かつての領地に戻ることのできた唯一人の武将となった。右顧左眄せず義を貫いた男の鮮烈な生涯を描く傑作歴史小説!
  • 家族の歌 河野裕子の死を見つめて
    4.5
    「歌なら本音がいえるから」。乳がんの再発した妻・河野裕子の発案ではじめた夫・永田和宏と子どもたちとのリレーエッセー。我が家の糠床のこと。息子の子どもたちのこと、長く飼った老猫の失踪、娘の結婚。そして最後の言葉……。愛おしい毎日、思い出を短歌とともに綴りながら、家族はいつか必ず来るその日を見つめ続けた。 母の死をはさんで二年にわたって続けられた、歌人家族によるリレーエッセー。孫たち、娘の結婚、思い出……。そのすべてが胸をうつ。
  • 秋山久蔵御用控 無法者
    3.0
    町方の男とつるんで評判の悪い旗本の部屋住みを調べると、小料理屋や御家人から金を強請りとっていることが分かった。だが標的となった者たちも真っ当ではなく、何か後ろ暗いところがあるようだ。“剃刀”久蔵は、旗本が強請を繰り返すことには訳があるとみて、弥平次たちにさらに探索を進めさせると……。 好評シリーズ第21弾!

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