Posted by ブクログ
2018年06月17日
立花宗茂を主人公とする歴史小説である。宗茂は大友家家臣としての戦場での活躍を豊臣秀吉に見出され、大名に取り立てられた。文禄の役では日本の撤退戦において味方の窮地を救う大活躍をするなど戦功には華々しいものがあり、何よりも忠義を重んじる武将としての名声が高かったのである。
ところが秀吉が死ぬとその地...続きを読む位は揺らぎ、関ヶ原でも西軍についたため、命運は尽きようとしていた。小説では正妻〓(門構えに言)千代の献身的な愛情も描かれる、子をなさぬ仲ながら常に宗茂の心に寄り添う存在として支えたのである。また、立花が信義に生きる家であることを確認しあう仲であった。
牢人となった宗茂は家康に認めてもらうために江戸に向かう。そして微禄に与るのだが、その際にも通したのは武士として誇りと信義とであったというのだ。そしてついには旧領に復することになる。
戦国時代から江戸時代への生き残りは容易ではなかったことは様々な例から察せられるが、立花宗茂のような忠義一徹の武士がいかにして身を処したのかを物語にした作品であるといえる。もちろん史実ではない部分も多いと考えられる。激動の時代を生き残るためにどのような方法があるのか、その一つを示すものと考えればいいのだろう。