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2015年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』の主人公は久坂玄瑞の妻、文(ふみ)。文の兄であり玄瑞の師である吉田松陰こそ、『世に棲む日日』前半の中心人物です。「人間が人間に影響をあたえるということは、人間のどういう部分によるものかを、松陰において考えてみたかった。そして後半は、影響の受け手のひとりである高杉晋作という若者について書いた」(「文庫版あとがき」より)
嘉永六(1853)年、ペリー率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕かをめぐり、国内には激しい政治闘争の嵐が吹き荒れていた。この時期、骨肉の抗争を経て倒幕への主動力となった長州藩には、その思想的原点に立つ松下村塾主宰・吉田松陰と、後継者たる高杉晋作がいた――。維新前夜の青春群像を活写した怒濤の歴史長編、ここに開幕。
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Posted by ブクログ
全4巻中、1巻は吉田松蔭(吉田寅次郎)が主人公。
松陰は、5歳から骨の髄まで染み渡る教育を施されており、9歳のときには講義をするまでになっていたこと、恐るべしでした。
松陰さん、国防のことを考えながら日本全国を、てくてく歩きます。
日本史の資料集で見た松陰さんは、キツネ目でちょっと気難しそう。その印象は読み進めるにつれ変わりました。師である佐久間象山に、堂々と自説を力説するところ、かっこいいです。
フットワークのいい松陰さん、先見の明があり生真面目な信念の人、うぶで可愛い面もプラスされて描かれ、ファンになりそうです。
1巻の最後で、金子重之助さんと出会い、意気投合してすぐ弟子にします。今後の展開が楽しみです。
以下、印象的な言葉の覚え書き
①「大器をつくるにはいそぐべからざること」「速成では大きな人物はできない。大器は晩く成る」←松陰の生涯の持説
②学問ばかりやっているのは腐れ儒者であり、もしくは専門馬鹿、または役たたずの物知りに過ぎず、おのれを天下に役立てようとする者は、よろしく世間に出てなまの現実をみなければならない。
③地理的環境をくわしくみれば、そこに住む人間集団の大体がわかる。
④「人生において大事をなさんとする者は、和気がなければなりませぬ。温然たること、婦人、好女のごとし」←松陰の好きな言葉
※婦人、好女にようにおだやかな人柄をもつことにおいて、はじめて気魄を養うことができる。
Posted by ブクログ
吉田松陰についての小説かと思っていたら案外あっさりと亡くなったのでビックリしたが、本作はむしろ高杉晋作を中心とした幕末志士たちの物語である。これらの人物に対しては心酔しているファンも多いが、しかし本当に有能であったかどうかは本作を読んでも評価がわかれるところだろう。もちろん将来的に明治維新が実現したことを考えると、彼ら幕末志士たちもまた「正しかった」。とはいえ、個人的に吉田松陰や高杉晋作は思想家としては正しくとも、政治家としては間違っている部分も多々あったのではないかと感じる。第2次長州征伐における戦術などは無鉄砲の極みで、たまたま成功したからよかったものの、失敗していたらいったいどうなっていたかわからない。2人が亡くなったことでむしろ明治維新が成功裡に終わったという見方すらできるかもしれない。しかし、このような不器用な存在だったからこそ、後世までその人物像に惹かれる人が続出するのだろう。
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