書店員のおすすめ
余命僅かの宣告を受け殺人願望を実行に移す男と、同じく癌が再発しながらも殺人犯逮捕に執念を燃やす刑事。物語はこの二人を対比させるように元恋人と刑事の娘、息子を絡めながら深みを増しつつクライマックスへなだれ込んでいきます。そして連続殺人鬼に身を落としていった男が幼少期の消し去った記憶を取り戻したとき、衝撃の結末が・・・。
犯人を追い詰める刑事ドラマのようなサスペンス部分と、当たり前の日常で家族や愛する人と向き合う事の重みをじっくりと考えさせられる場面が印象的に描かれています。いつもながら重いテーマを扱いながら、今回の作品ではいつも以上に温かいシーンが多いように感じました。
毎年、薬丸岳の新刊を読むたびに次の「このミス」第1位は彼だ!と私は思わずにはいられません!