Posted by ブクログ
2012年02月06日
前作「ヒトのオスは飼わないの?」の続編と自身の両親や自らの「死亡記事」を収録した「終生ヒトのオスは飼わず」の二部構成になっている本です。僕が彼女を知ったのは彼女の死後でしたので、その辺が悔やまれます。
この本は筆者のエッセイ「ヒトのオスは飼わないの?」の続編と、自身の両親や旧チェコスロヴァキアの...続きを読むプラハですごした幼少時代。そして、自身の手による「死亡記事」が収録された「終生ヒトのオスは飼わず」の二部構成となっています。
前作の「ヒトのオスは飼わないの?」で筆者から惜しみのない愛を注がれた「毛深い家族たち」がその後、どのような運命をたどったのかということ。飼い犬のゲンが行方不明になったり、野良猫との情事で子供が生まれたロシアからもらってきたソーニャ。貫禄を持ったオス猫としてほかの猫たちを見守り続けた無理。人間の年齢に換算すると80歳以上の「おばあちゃん」のノラ。
過酷を極める通訳という仕事の傍ら、筆者の彼ら彼女らを見守るまなざしはこちらも読んでいて、和むというか、癒されるというか…。筆者のようにたくさんとは行きませんが、僕も将来、「毛深い家族」を持ちたいな、という気持ちになりました。
「終生ヒトのオスは飼わず」では自身の家が共産党である関係からか、さまざまなヒトが出入りして暮らしていたということや、ご自身の両親のことなんかも書かれてあって、興味深く読むことができました。僕が彼女のことを知ったのは佐藤優さん経由で、しかも彼女が亡くなってからのことですので、その点が非常に残念でなりません。初めて彼女のエッセイを読むには向きませんが、面白いとは思いますので、できれば彼女の本を2・3冊ほど読んでから読むことをお勧めします。