作品一覧

  • 汐のなごり
    3.5
    1巻550円 (税込)
    物流の担い手だった北前船や、世界に先がけて米相場が開かれていた北の湊に生きた人々の物語。凜とした端正な時代小説! 惜しくも急逝した北重人、追悼刊行。日経新聞(11/2付)の書評で、北重人の美質は艶やかな文章にあるけれど、今回は風景描写で見事な成果を上げている、と紹介されました。日刊ゲンダイ(10/3付)の[書評]に心打つ時代小説集と紹介されました。大藪賞受賞作家の新境地! 北前船が着く北の湊を舞台に、遊女や、廻船問屋、古手問屋、敵討ちに出向く武士、米相場を張る相場師など、運命に翻弄されながらも、強く、しなやかに生き抜く人々の物語。『海上神火』『木漏れ日の雪』『海羽山』『歳月の船』『賽土の神』『合百の藤次』など6編収録。
  • 火の闇 飴売り三左事件帖
    4.0
    1巻550円 (税込)
    惜しまれつつ逝った著者の遺作。飴売り三左の行くところ、難事件が解決する。江戸の町に、人の心に、飴売りの声が沁み渡る。 金が、金のあるところにしか 回らない。盗人も横行、百姓が逃散する時代、家中の権力争いに巻き込まれ、武士を捨てた飴売り三左。顔はいかついが、笑顔は天下一品。腕が立ち、肝も据わり、頼りになる。市井のもめ事・難事件を鮮やかに処理。殺人事件の下手人捜しから、敵討ちの助っ人、よろず決着。三左がなぜ、武士から飴売りになったのかといういきさつを描いた絶筆118枚の「火の闇」他、5編を収録。 その急逝が惜しまれる珠玉の作品集。
  • 花晒し
    4.0
    1巻682円 (税込)
    元芸者の右京は、亡き夫の後を継いで広小路を仕切る元締となった。ある日、美人で評判の娘が行方知れずになり、数日後に家に戻っても引きこもってしまう、という出来事が続いていることを知り、調べを始めたが……(「花晒し」)。急逝した著者の最後の連作短編のほか、新人賞を受賞した幻のデビュー作を特別収録。
  • 鳥かごの詩
    5.0
    1巻737円 (税込)
    特別付録、北重人エッセイを収録! 「人間生きていれば、消化しきれず心の奥に残してきたことの一つや二つはある」。 働くことも、生きることも、こんなに真っ直ぐだった。 時代小説に新たな地平を開いてきた北重人が描く、あの頃の風景、そこかしこにあった人情、そして青春。 昭和41年。東京は下町に、奇妙な新聞販売店があった。段ボールで仕切られた「鳥かご」と呼ばれる個室に住み込みで働くのは、風変わりな面々。配達先も癖のある住人ばかり。山形からやってきた受験浪人の康男は、初めての東京、仕事に悪戦苦闘し、恋や事件に巻き込まれていく。 “人生が動き出した時”を描いた、急逝した作家、渾身の青春譜。

    試し読み

    フォロー

ユーザーレビュー

  • 鳥かごの詩

    Posted by ブクログ

    北重人さんは50歳のころから小説を書き始め、2004年56歳で本格デビューした時代小説の作家さん。それからわずか5年の活動で急逝されました。
    同じ頃、同年代で葉室麟さんがデビューしたことになりますが、私は北さんの方が好きでした。
    その北さんの唯一の現代長編小説であり、北さん自身の体験を背景にした作品です。

    舞台は昭和41年の東京。大学受験に失敗し、浪人を父親に反対された主人公が、家出のように東京に出てきて、新聞販売所に住み込みで働きながら大学を目指す1年を描いています。
    ようやく探し当てた受験勉強に必須な個室のある新聞販売所。個室とはいえ、三畳にも満たず、壁はダンボール、住人からは鳥かごと呼

    0
    2016年07月23日
  • 汐のなごり

    Posted by ブクログ

    「海上神火」「海羽山」「木洩陽の雪」「歳月の舟」「塞道の神」「合百の藤次」。
    著者の故郷の山形県酒田市がモデルと思われる北前航路で栄える水潟の街、街中を流れる大船川(最上川)、そして北方にそびえる海羽山(鳥海山)を舞台にした6編です。各編の関連は無く、職業も女衒、商人、廻船問屋、町奉行、米の相場師など様々です。
    しかし見事な文章です。最初の数行で、物語の中に深く沈んで行きます。職種が多様なためその説明に行数を取られやや冗長感が有るのは残念ですが、全体として完成度は高く、辛い状況を抜け出して前向きに終わる話が多く、読後感は良い。2009年の直木賞候補作。
    北重人さん、2004年に初出版され200

    0
    2022年07月07日
  • 汐のなごり

    Posted by ブクログ

    結末がほっとする方向で終わるので、安心できる。
    私のふるさとが舞台なので、それも十分楽しめた。
    もうすこしドラマ性の色が濃くてもいいと感じた。

    0
    2015年07月25日
  • 花晒し

    Posted by ブクログ

    巻末の池上冬樹さんの解説に、藤沢周平の後継者は一般的に葉室麟と思われているが、その葉室さん自身は北重人だと考えている、と言った事が書かれています。
    51歳でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、5年後に時代小説作家としてデビュー、61歳で亡くなった北さんの、これが本当に最後の短編集です。時代小説が5編と新人賞受賞作の『超高層に懸かる月と、骨と』。
    遺稿集という位置付けで、これまでの未収録作品を集めたものですから、質的に言えばやや低めなのでしょう。確かにグッとくるような感動はありませんでした。やや軽めの作品集。それでも端正な文章や、江戸の町で生きる人々の姿の見事さは読みごたえがあります。
    つくづく、

    0
    2016年05月29日
  • 火の闇 飴売り三左事件帖

    Posted by ブクログ

    私の好きな時代小説作家・北重人さんの遺作。
    実は買う前に「捕り物かぁ」と思ったのです。捕り物と言う形式を採ると、どうしても事件が中心になって、人情とか毅然とした生き方と言った私の好きな時代物の要素が弱くなって、私の中では少しランクが下がることが多いのです。
    この短編集の最初の作品は、そんな懸念通りで「やっぱり」と思ってしまいました。
    しかし、後に行くほどどんどん良くなって行きます。最後の短編・絶筆の表題作『火の闇』は見事な、北さんらしい作品でした。
    本当に惜しい人を亡くしました。

    0
    2016年07月23日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!