北重人のレビュー一覧

  • 鳥かごの詩

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    北重人さんは50歳のころから小説を書き始め、2004年56歳で本格デビューした時代小説の作家さん。それからわずか5年の活動で急逝されました。
    同じ頃、同年代で葉室麟さんがデビューしたことになりますが、私は北さんの方が好きでした。
    その北さんの唯一の現代長編小説であり、北さん自身の体験を背景にした作品です。

    舞台は昭和41年の東京。大学受験に失敗し、浪人を父親に反対された主人公が、家出のように東京に出てきて、新聞販売所に住み込みで働きながら大学を目指す1年を描いています。
    ようやく探し当てた受験勉強に必須な個室のある新聞販売所。個室とはいえ、三畳にも満たず、壁はダンボール、住人からは鳥かごと呼

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    2016年07月23日
  • 汐のなごり

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    「海上神火」「海羽山」「木洩陽の雪」「歳月の舟」「塞道の神」「合百の藤次」。
    著者の故郷の山形県酒田市がモデルと思われる北前航路で栄える水潟の街、街中を流れる大船川(最上川)、そして北方にそびえる海羽山(鳥海山)を舞台にした6編です。各編の関連は無く、職業も女衒、商人、廻船問屋、町奉行、米の相場師など様々です。
    しかし見事な文章です。最初の数行で、物語の中に深く沈んで行きます。職種が多様なためその説明に行数を取られやや冗長感が有るのは残念ですが、全体として完成度は高く、辛い状況を抜け出して前向きに終わる話が多く、読後感は良い。2009年の直木賞候補作。
    北重人さん、2004年に初出版され200

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    2022年07月07日
  • 汐のなごり

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    結末がほっとする方向で終わるので、安心できる。
    私のふるさとが舞台なので、それも十分楽しめた。
    もうすこしドラマ性の色が濃くてもいいと感じた。

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    2015年07月25日
  • 花晒し

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    巻末の池上冬樹さんの解説に、藤沢周平の後継者は一般的に葉室麟と思われているが、その葉室さん自身は北重人だと考えている、と言った事が書かれています。
    51歳でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、5年後に時代小説作家としてデビュー、61歳で亡くなった北さんの、これが本当に最後の短編集です。時代小説が5編と新人賞受賞作の『超高層に懸かる月と、骨と』。
    遺稿集という位置付けで、これまでの未収録作品を集めたものですから、質的に言えばやや低めなのでしょう。確かにグッとくるような感動はありませんでした。やや軽めの作品集。それでも端正な文章や、江戸の町で生きる人々の姿の見事さは読みごたえがあります。
    つくづく、

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    2016年05月29日
  • 火の闇 飴売り三左事件帖

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    私の好きな時代小説作家・北重人さんの遺作。
    実は買う前に「捕り物かぁ」と思ったのです。捕り物と言う形式を採ると、どうしても事件が中心になって、人情とか毅然とした生き方と言った私の好きな時代物の要素が弱くなって、私の中では少しランクが下がることが多いのです。
    この短編集の最初の作品は、そんな懸念通りで「やっぱり」と思ってしまいました。
    しかし、後に行くほどどんどん良くなって行きます。最後の短編・絶筆の表題作『火の闇』は見事な、北さんらしい作品でした。
    本当に惜しい人を亡くしました。

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    2016年07月23日
  • 汐のなごり

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    北前船の着く湊町を舞台にした6つの短編。
    確か初めて読む作者だけど、空気が感じられる文章だなあ…なかなか良かったです。最初の話が一番好き。

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    2013年02月07日
  • 汐のなごり

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    一つ一つはなかなかだったけれど、読み終わってみて、特別な読後感や印象に残るようなインパクトは感じられなかった

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    2012年12月28日