【感想・ネタバレ】鳥かごの詩のレビュー

737円 (税込)
515円 (税込) 6月27日まで

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5.0
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Posted by ブクログ

北重人さんは50歳のころから小説を書き始め、2004年56歳で本格デビューした時代小説の作家さん。それからわずか5年の活動で急逝されました。
同じ頃、同年代で葉室麟さんがデビューしたことになりますが、私は北さんの方が好きでした。
その北さんの唯一の現代長編小説であり、北さん自身の体験を背景にした作品です。

舞台は昭和41年の東京。大学受験に失敗し、浪人を父親に反対された主人公が、家出のように東京に出てきて、新聞販売所に住み込みで働きながら大学を目指す1年を描いています。
ようやく探し当てた受験勉強に必須な個室のある新聞販売所。個室とはいえ、三畳にも満たず、壁はダンボール、住人からは鳥かごと呼ばれる部屋。同居するのは、どこか訳ありの人びと。

たぶん、北さんの中に強く印象に残った事件なのでしょうが、本筋とはかけ離れていて、何故このエピソードを入れる必要があったのかと思う所も何か所かあります。しかし全体に、若者の悩みや人々の優しさをストレートに描き、やや暗さは有るものの、本の帯にある「渾身の青春譜」という謳い文句にふさわしい作品でした。

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2016年07月23日

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