Posted by ブクログ
2022年10月24日
アメリカの作家「ジェフリー・ディーヴァー」の冒険スパイ小説『007 白紙委任状(原題:Carte Blanche)』を読みました。
『007/カジノ・ロワイヤル』、『007/赤い刺青の男―ジェイムズ・ボンド・シリーズ』、『007/ハイタイム・トゥ・キル』に続き「007」シリーズ作品です。
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あの「ディーヴァー」が放つ、まったく新たな「007」の冒険!
世界最高のヒーローに世界最高のサスペンス作家が挑む。9・11後の世界で「ジェームズ・ボンド」が殺戮を阻止すべく世界を駆ける。
〈上〉
“金曜夜の計画を確認。当日の死傷者は数千に上る見込み”。
イギリスへの大規模テロ計画の存在が察知された。
金曜までの6日で計画を阻止せよ―指令を受けた男の名は「ジェームズ・ボンド」、暗号名「007」。
攻撃計画の鍵を握る謎の男を追って彼はセルビアへ飛ぶ。
世界最高のヒーローを世界最高のサスペンス作家が描く話題の大作。
〈下〉
イギリスへのテロ攻撃の鍵を握るのは、“アイリッシュマン”と呼ばれる謎の男。
精緻な計画と臨機応変の才で知られるその男は、「ボンド」の手を逃れ続ける。
ロンドン、ドバイ、南アフリカ―ボンドが決死の追撃を続ける一方、テロ実行の金曜日は着々と迫る。
巧妙に擬装されたテロ計画の全貌を「ボンド」は暴けるのか?
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2011年(平成23年)発表の冒険スパイ小説「007」シリーズ作品… 「ジェフリー・ディーヴァー」による「007」シリーズ唯一の作品です。
■まえがき
■日曜日 美しく紅きドナウ
■月曜日 世界で一番リッチなくず屋
■火曜日 砂漠の死
■水曜日 キリング・フィールド
■木曜日 失踪通り
■金曜日 ゲヘナに下るとき
■用語解説
■謝辞
■解説 吉野仁
本書の「ジェームズ・ボンド」は、年齢は三十代で、身長は183cm、体重は78kgの恵まれた体格… と、年齢や姿は1960年代に活躍した設定のままで、舞台を半世紀後の2010年代に置き換えた物語となっています、、、
東西冷戦や宇宙開発競争ではなく、テロが国家の脅威となっていたり、国外での活躍の場がセルビアやアラブ首長国連邦、南アフリカという国々になっていたり、廃棄物処理やリサイクルを専門とする怪しげな会社が出てきたり、パソコンやスマホを使いこなしたりするところ等に、時代が変わったことを感じさせますが… 美食やクルマや銃に拘るところや、最新型の秘密兵器、ラヴロマンス、美女の裏切り等、「007」シリーズのアイデンティティをしっかりと引き継いでいる部分が物語の軸になっているので、意外と違和感なく読めましたね。
物語は、まずセルビア共和国から始まります… ある日曜日、首都ベオグラードからセルビア第二の都市ノヴィサドへ向かう鉄道列車がドナウ川を渡ろうとしており、丘の頂から身を伏せつつ、その光景を見つめていたのが「ジェームズ・ボンド」だった、、、
「ボンド」がセルビアにやってきたのは、ある大規模なテロ計画を阻止するためだった… 英国政府通信本部が手に入れた情報によると、二十日の金曜夜、数千人の死傷者が見込まれるテロ計画が進んでいるという。
それを英国諜報部はインシデント20と名付けた… 詳細は不明ながら、敵は〈ノア〉という名で、その打ち合わせがノヴィサド郊外のレストランで行われるらしい、、、
こうした情報をもとに「ボンド」がセルビアまで派遣されたのだが、レストランに現れた謎の男「アイリッシュマン」を捕まえることはできなかった… イギリスに戻った「ボンド」は、国内での調査を進めたのち、ドバイ、ケープタウンと移動、謎の敵の正体をつきとめようと奮闘する。
果たしてテロ計画は阻止できるのか… 序盤から「ボンド」と「アイリッシュマン」の闘いを中心に派手な活劇が展開されます、、、
ロンドンに戻ってからの、長官「M」や秘書の「マニーペニー」、上司の「ビル・タナー」、CIAの「フェリックス・ライター」といったお馴染みの「ボンド」ファミリー登場は、なんだか嬉しくて、安心できる展開… ケープタウンでの南アフリカ警察犯罪対策捜査課の女性警部「ベッカ・ジョルダーン」や国際飢餓対策機構代表「フェリシティ・ウィリング」との出会いとロマンス等も「007」シリーズらしい展開でしたね。
そして、グリーンウェイ・インターナショナル社長「セヴェラン・ハイト」と、殺し屋「アイリッシュマン(本名:ナイアル・ダン)」のコンビとの騙し合いと派手なアクション、そして、事件は解決か… と思われたあと、忘れかけていた〈ノア〉と呼ばれるテロ首謀者の正体が判明、、、
アクションだけでなく、意外性のある展開が隠されていて、終盤は興奮しつつ一気に物語世界へと引きこまれました… そして、事件の解決とは別に、「ボンド」自身にまつわる意外な真実に迫るエピソードも愉しめる展開になっていました。
彼が十一歳のときにシャモニーの上のルージュ峰の登山事故で死亡したとされていたスコットランド人の父「アンドリュー・ボンド」とスイス人の母「モニク・ドラクロワ」の知られざる秘密が明かされるんですよね… 色んなアイデアが織り込んであり愉しめましたね、、、
でも、ちょっと難を言えば、上下巻で700ページ近いボリュームがあり、中だるみ感があったことかな… もう少しテンポ良く、スピード感のある展開だったら、もっと面白かったんじゃないかな。
以下、主な登場人物です。
「ジェームズ・ボンド」
英国秘密機関《海外開発グループ(ODG)》のエージェント
O課00セクション所属 暗号名007
「M」
ODG長官 提督
「ビル・タナー」
ODG幕僚主任 対インシデント20作戦を指揮
「マネーペニー」
Mの副官 退役海軍大尉
「フェリー・メイデンストーン」
MI6の情報アナリスト ODGとの連絡調整係官
「サヌ・ヒラーニ」
ODGのQ課課長
「パーシー・オズボーン=スミス」
秘密期間《D3》作戦実行部上級副部長
「セヴェラン・ハイト」
グリーンウェイ・インターナショナル社長
「ジェシカ・バーンズ」
グリーンウェイ・インターナショナルの宣伝顧問
「ナイアル・ダン」
殺し屋 暗号名「アイリッシュマン」
「フェリックス・ライター」
CIA上級エージェント
「ベッカ・ジョルダーン」
南アフリカ警察犯罪対策捜査課警部
「クワレニ・ンコシ」
南アフリカ警察犯罪対策捜査課巡査長
「グレゴリー・ラム」
MI6南アフリカ潜入工作員
「フェリシティ・ウィリング」
国際飢餓対策機構代表