中公文庫作品一覧

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  • シーソーモンスター
    3.7
    バブルに沸く昭和後期。一見、平凡な家庭の北山家では、元情報員の妻宮子が姑セツと熾烈な争いを繰り広げていた。(「シーソーモンスター」) アナログに回帰した近未来。配達人の水戸は、一通の手紙をきっかけに、ある事件に巻き込まれ、因縁の相手檜山に追われる。(「スピンモンスター」) 時空を超えて繋がる二つの物語。「運命」は、変えることができるのか――。 【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みを読むことができます】 ※〈螺旋プロジェクト〉とは―― 「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画 〈螺旋〉作品一覧 朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』 天野純希『もののふの国』 伊坂幸太郎『シーソーモンスター』(本作) 乾ルカ『コイコワレ』 大森兄弟『ウナノハテノガタ』 澤田瞳子『月人壮士』 薬丸岳『蒼色の大地』 吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』
  • 聯愁殺 新装版
    4.0
    大晦日の夜。連続無差別殺人事件の唯一の生存者、梢絵を囲んで推理集団〈恋謎会〉の面々が集まった。四年前、彼女はなぜ襲われたのか。犯人は今どこにいるのか。ミステリ作家や元刑事などのメンバーが、さまざまな推理を繰り広げるが……。迷宮入りの連続殺人事件。大いなる謎に挑む、白熱の推理バトル!累計十万部突破!ロジックミステリの魔術師・西澤保彦の傑作!新たに「三十三年目の『あとがき』」を収録。〈解説〉唐木厚
  • 開化の殺人 大正文豪ミステリ事始
    3.3
    阿片に溺れた友人の謎、遺書が語る恋と殺人、妻への妄執が生む惨劇――。江戸川乱歩が「大正期文壇の一角に燃え上がった、かくの如き犯罪と怪奇への情熱」と評した幻のミステリ特集号、「中央公論」秘密と開放号(大正七年七月臨時増刊)を現代に復刻。七編の創作と佐藤・乱歩の随筆を収録したアンソロジー。〈解説〉北村 薫 ◆目次  ・一般文壇と探偵小説/江戸川乱歩 ・指紋/佐藤春夫 ・開化の殺人/芥川龍之介  ・刑事の家/里見弴 ・肉屋/中村吉蔵  ・別筵/久米正雄  ・Nの水死/田山花袋 ・叔母さん/正宗白鳥   ・「指紋」の頃/佐藤春夫 ・解説 大正七年 滝田樗陰と作家たち/北村 薫
  • 本牧亭の灯は消えず 席亭・石井英子一代記
    5.0
    日本最後の講談定席として惜しまれつつ平成二年に休場した東京・上野の本牧亭。その席亭を務めた著者が四十二年間の軌跡を振り返る。家族ぐるみで交流した芸人達の素顔、伝統話芸を守らんと試行錯誤を重ねた日々。江戸っ子の爽やかな人柄がにじむ「おかみさん」奮闘記。 目 次 序 章 雪の夜の楽屋 第1章 生い立ち 第2章 娘時代の私 第3章 戦中から戦後にかけて 第4章 本牧亭再興 第5章 寄席の経営 第6章 父のこと 第7章 『巷談本牧亭』のこと 第8章 中国旅行 第9章 鉄筋ビルの寄席に 第10章 休席の顚末 第11章 講談の灯は消さない 第12章 人との縁 終 章 幸せな星の下に あとがき 文庫版あとがきにかえて  清水孝子 年 表 本書に登場する主な講釈師たち 〈対談〉本牧亭がつないだ講談の昔と今  宝井琴調×神田伯山 〈解説〉客と演者とおかみさん――本牧亭をめぐる人間模様  長井好弘 人物索引
  • 文壇放浪
    -
    京都の禅寺での少年時代を経て、作家を目指して上京後、編集者として出版社を渡り歩き、直木賞作家に。谷崎邸での豪勢な朝食、太宰の墓前で自死した田中英光、宇野浩二の口述筆記、小林秀雄との文士劇講演、川上宗薫、中山義秀からの助言など、様々な作家を追想。混乱と希望に満ちた戦中・戦後の出版界が生き生きと描かれる。 1  東京逃れ京都の寺に羽を休めた詩人たち 2  井上靖氏を見たくて等持院アパートへ 3 「月刊文章」で佳作、はじめて活字に 4  誰もがまばゆかった東京の文士たち 5  林芙美子さんの姿、忘れられない光景に 6  紙幣を改めもせず、石川淳氏はさっさと 7  軍国色濃い街頭に絽の単衣姿で…… 8  国策小説に背向けた「青年藝術派」八人 9  省線の窓から見た東京大空襲の機影 10 「白紙」一枚で作家たちは前線へ 11 「文学の部屋」守り、小説を読みふける 12 神田の闇市ではスイトンに長い行列 13 電話では相手に失礼、歩いて友人を訪問 14 闇料理屋で始めた宇野浩二氏との仕事 15 銭湯好きの宇野先生、財産は貧乏と恋と… 16 菊池先生ご馳走になったリンゴ1個 17 焼酎呑み合って屋台グイと英光さん 18 英光さんのふとんは日の丸の幟旗だった 19 白鳥先生の上京はリュックに洋傘で 20 まばゆく怖れさえも感じた谷崎先生の姿 21 「フライパン」の歌で作家になった気分に 22 ほめたことのない宇野先生がほめた 23 借金苦の和田さんに燃えたぎる創作意欲 24 川上宗薫さんが私の「小説」に灯火をつけた 25 野間宏さんには生涯頭があがらない 26 巨体にして酒呑み、小田実さんとも同席 27 「霧と影」の記念会に錚々たる顔ぶれ… 28 ご恩ある和尚さまを「雁の寺」で殺した… 29 行商をしていた身にゴルフは高く思えた 30 宇野先生と同じ日に逝かれた広津先生 31 文士劇では私が勘平、柴錬さんはお軽で… 32 柴錬さんが盲目の柴犬に釜めしを… 33 川端先生とコーヒーを飲んだ軽井沢の夜 34 石坂洋二郎先生は気さくな津軽弁で… 35 会いたい人に会える講演旅行の役得 36 宴席で踊られる里見弴先生を拝見 37 老舎先生は万年筆で「本来無一物…」と 38 天秤棒をかつぐ母に似た人に会える 39 中国の山奥へも行く司馬遼さんの覚悟… 40 ついにたどりついた東山東禅院に感動! 41 足元洗われる気持ちになった中国の寺院見学 42 承志先生に通訳を指名した有吉さん 43 魚箱小屋に寝起き、川崎さんの貧乏生活 44 新幹線に宇野先生を乗せてあげたかった 45 木山さんと夜のホテルから鯉を運んだ… 46 木山さんと井伏先生、戦後岡山の剽軽さ 47 花道ゆく役者のよう、川口松太郎先生 48 年末の文士劇で見た川口先生の修羅 49 古武士を見るような中山先生の着流し姿 50 大御所、石川先生の孤独な寝姿も見た 51 短篇を買ってくれた吉行淳之介さん 52 記憶を数珠のようにかがってみたが…
  • 透明標本 吉村昭自選初期短篇集II
    5.0
    1巻924円 (税込)
    『戦艦武蔵』以前の吉村文学の中核をなす自選短篇集(全二巻)。第Ⅱ巻には、集団自殺へと傾斜する少年たちを描く太宰治賞受賞作「星への旅」のほか、死と隣接する独特の世界を垣間見せる表題作など、一九六一年から六六年までの七編を収める。 〈解説〉荒川洋治 【収録作品】 墓地の賑い/透明標本/電気機関車/背中の鉄道/煉瓦塀/キトク /星への旅
  • 少女架刑 吉村昭自選初期短篇集I
    4.2
    1巻924円 (税込)
    徹底した取材と綿密な調査に基づく重厚な歴史小説で知られる作家・吉村昭。その文学的出発点を示す自選短篇集(全二巻)。第Ⅰ巻には表題作のほか、三島由紀夫が激賞した「死体」、初の芥川賞候補作「鉄橋」など、一九五二年から六〇年までの七編を収める。巻末にエッセイ「遠い道程」を付す。 【収録作品】 死体/青い骨/さよと僕たち/鉄橋/服喪の夏/少女架刑/星と葬礼
  • ロボット RUR
    4.0
    無限の労働力「ロボット」によって、人類は苦役と貧困から解放され、真の幸福を得るはずだった――。1920年、中欧の小国で発表されたこの戯曲から「ロボット」という言葉が生まれた。今なお多くの問いを投げかける名作を、発表より100年を記念し新訳する。 資料 カレル・チャペックによる記事 「今一度、ロボット(RUR)について」(1921年)ほか 訳者解説 「『ロボット』あるいは世界文学のつくりかた」阿部賢一
  • わが青春無頼帖 増補版
    4.0
    虚無的な孤高の剣士「眠狂四郎」を生んだ苛烈な戦争体験、多彩な女性遍歴、師・佐藤春夫との交流――。 故郷出奔から直木賞受賞までの無頼の日々を豊富なエピソードとともに綴る回想録。 表題作のほか、私小説的短篇五篇を併録する。 新たに随筆「文壇登場時代」「わが生涯の中の空白」を増補。〈解説〉縄田一男 【目次】 わが青春無頼帖 色 身 蜃気楼 北の果から 落 花 先生と女と自分 〈巻末付録〉 文壇登場時代 わが生涯の中の空白
  • 素子の碁 サルスベリがとまらない
    4.0
    『ヒカルの碁』をきっかけに、四十歳を過ぎてから夫婦で始めた囲碁。子供の頃から親しんでいれば直感的に理解できただろう定石や用語に頭を悩ませつつ、上達していく喜びを綴るエッセイ。初心者にもよく分かる囲碁コラムも満載! 「祝 還暦! 夫婦対談」を巻末に付す。
  • 一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェルのエッセイ
    4.2
    鋭利で辛辣、政治一辺倒―― そんなオーウェルのイメージは 本書を読めば心地よく裏切られる 「人間はぬくもりと、交際と、余暇と、 慰安と、安全を必要とするのである」 自然に親しむ心を、困窮生活の悲哀を、 暖炉の火やイギリス的な食べ物、 失われゆく庶民的なことごとへの愛着を記して、 作家の意外な素顔を映す上質の随筆集 文庫化に当たり「『動物農場』ウクライナ版への序文」を収録
  • 装丁物語
    4.2
    星新一から村上春樹まで――かくも愉しき装丁今昔 洗練と温かみを両立させたそのデザインの源泉は、 幅広い好奇心と書物への愛着。 依頼を受け、ゲラを読み、絵を描き、文字を配して、紙を選ぶ。 描き文字の工夫、レイアウトや配色の妙、 画材あれこれ、紙の質感にも心を配って、 一冊が出来上がるまでのプロセスを具体的に紹介。 数多の装丁を手がけた和田さんが、惜しみなく披露する本作りの話 〈電子版は和田さんの装丁をカラーで満載〉
  • 炎冠 警視庁捜査一課七係・吉崎詩織
    3.0
    警察小説界、大激震!  驚愕の新人ここに現る。 2019年、夏。渋谷ハチ公像の目の前で、女性が爆死する異常な殺人事件が発生した。被害者の頭部には時限爆弾。指定されたコースを走り、時間内に目的地に辿りつかなければ、爆破するように設定されていた。陸上経験者である刑事・吉崎詩織は特捜の一員として事件を追う。 だが犯人の魔の手は、東京五輪マラソン代表候補であり、かつて詩織のライバルであった樋口舞子の元に迫る――。 警察の威信にかけて異常事件を食い止めろ。 空前のスケールで放つ警察小説!
  • 渓流釣り礼讃
    3.3
    人生の秋を迎え、無理のないペースで気の合う仲間たちとともに、東北の奥深い渓流に身を置きながら、イワナを追い、酒を堪能しつつ過ごす贅沢な時間。思わず同じ場所に足を向けたくなる好エッセイ。定年後の過ごし方を迷っている人々へ送る、絶好の提案書。 【目次】 Ⅰ 源流へ 失われた山里 阿仁・桐内沢/源流の焚火/トラゲの隠し湯 虎毛沢源流/尺上イワナと大ヤマカガシ/三十四年ぶりの滝ノ股沢/摺毛沢遡行/てんから瀑釣 滝ノ股沢/ヤマセミの棲む渓  Ⅱ 釣り日和 尺上イワナ一尾/小阿仁川のギンケヤマメ釣り/木の葉ヤマメの季節/渓流のサンマ/大釣り/スコンクの渓流解禁/路線バスで気ままな釣り旅①/路線バスで気ままな釣り旅②  Ⅲ 渓流を思う 森吉山クマゲラ調査/初ヤマメ・初イワナ/山峡に遊ぶ 釣りさまざま/白髭仙人 十勝川、パンケヌーシ川/白神山地の神秘の沼 ノロの沢の沼/逃がした魚は大きい/雪解けのたより/渓流に咲く花
  • 保守のヒント
    5.0
    「保守」という思想はいったいどのようなものであるか? 小林秀雄、三木清、橋川文三、福田恆存、竹内好、大川周明……。近代日本史をふまえつつ、気鋭の研究者は先人たちを訪ね直し、保守思想をその起源から描出した。混迷の現代日本にも迫り、読者に新たな発見を与える保守のヒント集。
  • 哲学に何ができるか
    -
    22年前に刊行された哲学の名対談を完全復刊。「稀有の体系的哲学者」と「サブ・カルャーの旗手を任じる作家」という異色のふたりが、いかに生きるか、そして哲学に何ができるかという問いをめぐって、真摯な問答を交わした名著。本書に漲る異様な気迫は、両者が思索の場で真剣勝負をしているところから生まれたものだ。難解な哲学を、問答によってやさしく、しかし体系的に読める、ロングセラーにして哲学入門の必読書。 目次より 現代哲学とは何か 同時代の哲学 マルクス主義の行く方 現代哲学のたたかい
  • 武揚伝 決定版(上)
    4.5
    本書は21世紀に入って刊行された最も優れた歴史小説であり、一人の作家が生涯に一度書けるかどうかというほどの名作である。 ――縄田一男(日本経済新聞書評より) 黒船来航に揺れる幕末。榎本釜次郎(武揚)は、幕府要人の蝦夷地視察に随行した後、新設の海軍伝習所に入所。操船、蒸気機関等の技術や語学を研鑽し、オランダ留学を果たす。欧州の地で近代国家間の戦争を目の当たりにした釜次郎は、日の本と隔絶する列強諸国の有り様に驚愕する――。 新田次郎文学賞受賞作を全面改稿した決定版!
  • 神やぶれたまはず 昭和二十年八月十五日正午
    3.0
    昭和二十年八月十五日、終戦の玉音放送を拝したラジオの前の人びとは、一瞬の静寂のうちに、何を聞きとったのだろうか。太宰治、三島由紀夫、吉本隆明らによる、その日の言説を繙きながら、歴史の彼方に忘れ去られた至高の瞬間をさぐる、精神史の試み。 *目次から 第一章 折口信夫「神 やぶれたまふ」 第二章 橋川文三「『戦争体験』論の意味」 第三章 桶谷秀昭『昭和精神史』 第四章 太宰治「トカトントン」 第五章 伊東静雄の日記 第六章 磯田光一『戦後史の空間』 第七章 吉本隆明『高村光太郎』 第八章 三島由紀夫『英霊の聲』 第九章 「イサク奉献」(旧約聖書『創世記』) 第十章 昭和天皇御製「身はいかになるとも」 *著者紹介 長谷川三千子 1946年東京生まれ。祖母は作家・野上弥生子。東京大学文学部哲学科卒業、同大学院博士課程中退。東京大学文学部助手などを経て、埼玉大学教授。2011年退官、同大学名誉教授。2013年よりNHK経営委員。著書に『からごころ――日本精神の逆説』(中公叢書・中公文庫)、『バベルの謎――ヤハウィストの冒険』(中公文庫、和辻哲郎文化賞)、『民主主義とは何なのか』(文春新書)、『日本語の哲学へ』(ちくま新書)、『九条を読もう!』(幻冬舎新書)など。
  • 自由について 金子光晴老境随想
    -
    戦争に対しては、ビタ一文支払いたくないのが本心だった……戦後四半世紀を経て、自らの息子の徴兵忌避の顛末を振り返り、複雑な親心もまじえて語る「徴兵忌避の仕返し恐る」ほか、戦時中にも反骨精神を貫き通した詩人の天邪鬼ぶりが溢れるエッセイ集。 〈解説〉池内 恵
  • 寝台急行「昭和」行
    4.0
    鶴見線、寝台急行「銀河」、三岐鉄道、只見線、岩泉線……。寝台列車やローカル線、路面電車に揺られて、懐かしい場所、過ぎ去ったあの頃へ。日本の近代化とともにあった鉄路の風景に思いを馳せ、含羞を帯びつつ鉄道趣味を語る。昭和の記憶を辿る、大人の旅行記。
  • 黄金色の祈り
    3.5
    母校の天井裏で見つかった、盗まれたはずのアルトサックスと、天才プレイヤーの白骨死体。僕は旧友の不審死を題材に小説を書き、人生の一発逆転を狙うが……。成功者に憧れ、理想と現実の間をさすらい続けた末に僕が見出す、最も知りたくなかった真犯人とは? 自意識の闇を精緻なトリックに昇華させた、極上の青春ミステリー。〈解説〉佳多山大地

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  • 炎の帝
    -
    正気を失った父の血に怯え、内裏の陰謀から逃れるように出家した第六十五代帝・花山(かざん)。山奥に籠もって苦行を重ねた彼は、遂には自らの身に火を放つことを決意する――。魂の救済を求めるあまり、常軌を逸した振る舞いに出た異形の帝の、激動の生を描いた長篇。『炎帝 花山』を改題。

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  • カエサルを撃て
    3.8
    混沌とするガリア諸族を率いローマ軍に牙を剥く、美しくも残忍な青年ウェルキンゲトリクスと、政治家人生も終盤を迎え、劣等感に苛まれるローマ軍総督カエサル。熾烈な戦いの果てに二人が見たものは?

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  • 漱石文学のモデルたち
    -
    1巻921円 (税込)
    『坊っちゃん』の教師たちやマドンナの正体を探り、『吾輩は猫である』の主要登場人物のみならず千駄木界隈の住人を推察、『三四郎』の美彌子とマドンナを比較しつつ漱石のヒロイン像を論じる――歴史研究家がその分析手法を活かして人物や景観から時代背景までを考証する、知的興奮にみちた漱石文学論。

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  • SRO5 ボディーファーム
    4.1
    本性を隠し潜伏生活を送っていた「最凶の殺人鬼」近藤房子が、再び動き出した。巧みに変装しながら捜査の目をかいくぐり、残虐な殺人を繰り返す。焦った警視庁上層部は、房子が執着するSRO副室長の芝原麗子を囮に逮捕せよと、室長の山根新九郎に迫るのだが――。文庫書き下ろしシリーズ第五弾。

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  • 名将と名臣の条件
    3.0
    人物の器量は、運命の分岐点で明らかになる。真田幸村、保科正之、山本八重、東郷平八郎……。戦国武将から日露戦争の名将まで、浩瀚な史料の読解と一方に偏しない公正な史観が掘り起こした、選りすぐりの傑物たち。その人物の魅力を堪能させる歴史エッセイ。

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  • 海賊列伝(上) 歴史を駆け抜けた海の冒険者たち
    3.0
    本書が書かれたのは十八世紀前半の英国。著者の正体はダニエル・デフォーという説もある。西インド諸島とマダガスカル島を拠点に大洋を荒らし回った、実在した海賊たちの貴重な史料である。上巻は、海賊黒髭や、女海賊として有名なメアリー・リードとアン・ボニーといった名だたる海賊たちの列伝を紹介する。『イギリス海賊史』改題
  • 愛の妖精
    4.4
    ベリー地方の田園地帯を背景に、野性の少女ファデットが恋に導かれ真の女へと変貌をとげる。双子兄弟との愛の葛藤を清新な自然描写と共に描く名訳を復刻。

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  • 1989年の因果 昭和から平成へ時代はどう変わったか
    3.3
    天皇崩御、与党の大敗、消費税導入、冷戦終結、東西ドイツ統一、天安門事件……世界的な激動の年であった1989年=平成元年の変調は、年を経て、形となって影響をおよぼすようになった。当時の記録をいまの視点からあらためて問い直す。『検証・平成維新』改題

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  • 「核」論 鉄腕アトムと原発事故のあいだ
    -
    唯一の被爆国でありながら、「豊かさ」への渇望ゆえに核の力を借りる選択をした日本。核の傘の下で平和憲法を制定する「ねじれ」からはじまったその戦後。推進/反対どちらにも寄らずに、原子力に関わったさまざまな人物や、社会の価値観を可視化する文化的現象を追った「各」論の集積が、混迷する戦後日本の姿を浮き上がらせる!

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  • 藪の中の家 芥川自死の謎を解く
    4.5
    昭和二年七月二十四日未明、芥川龍之介は睡眠薬により、自らの死を選んだ……。しかし、致死量に至る睡眠薬の入手は、芥川の治療のために出された処方によれば困難である──主治医の日記、龍之介の書簡などから、自死の真相に迫る、渾身のノンフィクション。第十七回新田次郎文学賞受賞作。

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  • 双調平家物語1 序の巻 飛鳥の巻
    3.5
    1~16巻921~1,152円 (税込)
    これは、「栄華」という幻想に憑かれた男達の物語である。話は、平清盛から始まらず、その栄華の原型を作った藤原氏、更には、本朝が範とした中国の叛臣伝から始まる。秦の趙高、漢の王莽、粱の朱い、唐の安禄山。彼等は真実、叛臣なのか。そして、万世一系の我が朝に、果たして真実、叛臣はあるのか。

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  • 雛の家
    3.7
    ふたつの大戦の狭間、遠く軍靴の響きをききながら、それでも世の中がほんの少し凪いでいたころ。日本橋の老舗人形屋〈津の国屋〉の美しい三姉妹、ゆり子、真琴、菊乃が織りなす、それぞれの狂おしい恋愛を描く。

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  • 小説の自由
    4.3
    小説は、読んでいる時間のなかにしかない。読むたびに、「世界」や「人間」や「私」について、新たな問いをつくりだすもの、それが小説なのだ――。ときに立ち止まり、ときに駆け抜ける、思考の原形としての「生(なま)」の小説論。

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  • 黒船以前 パックス・トクガワーナの時代
    5.0
    パックス・トクガワーナ(徳川の平和)は、なぜ二五〇年の長きにわたり続いたのか。江戸開府前史から黒船来航前夜まで、江戸への造詣の深さでは人後に落ちぬ二人が、世界史的視野から縦横に語り合う。従来の江戸時代観を一新する刺激に満ちた対論。『江戸の構造改革』改題。

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  • 奇妙な侍たち
    -
    鯛の寸法計り、風呂桶運び、書物の揺さぶり……奇妙な仕事に従事して戦国から江戸にかけての世を生き抜いた男たち。決して派手な活躍はしなかった歴史の中の無名者たちの哀歓をつづった異色の時代小説集。『定本 おかしな侍たち』から八編を選り抜いて改題

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  • 甘辛の職人
    -
    どじょう、牛鍋、すし、和菓子……日本の食文化を支えてきた職人が守ってきた道とは何か。風土に根付く食文化に、いろいろな角度から迫る、食の職人の世界。

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  • 「隔離」という病い 近代日本の医療空間
    4.7
    恐怖の宣伝、強制収容、終身隔離……「病んだ」共同体はいったいどこへ向かうのか。ハンセン病を軸に日本社会の「病い」観を問いなおす。

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  • 平安京は眠らない わかむらさきの事件記
    -
    元式部丞・藤原為時の娘で二十歳の小姫(のちの紫式部)は、創作の腕を評価され、左大臣源雅信の娘・倫子に「物語の女房」として仕えていた。小姫の書いた「光る君」を主人公とする短編は、貴族社会の一部で評判を取り、回し読みされている。倫子の要望に従い次々と執筆しているうちに創作の「種」に詰まってしまった小姫は、ある日、隣家の中流貴族の娘で幼馴染みの月乃に「取材」へ誘われる。女房たちの間で噂になっている七の宮の恋の真相を知るため、宮が女と逢瀬を重ねているという廃院に行ってみようというのだ。月乃の父の荘園を治める荘官の子・鶴丸を供に、廃院に向かった三人だったが……。 若き日の紫式部が、相棒とともに都大路の「謎」に迫る! 【目次】 第一話 六条の廃院 第二話 尋ねゆく幻術士 第三話 あこがれの草子 第四話 車争い 第五話 鳴滝参り
  • 陽炎の旗 続・武王の門
    3.0
    南北合一前夜、男たちの宿運が火花を散らす! ロマンあふれるもう一つの北方太平記 いまや並ぶ者なき力を手にした三代将軍・義満。しかし、海からやってきたある男の出現で、風雲急を告げる。男は、九州に大きな旗を打ち立てた征西将軍・懐良親王の血を継ぐ水師。さらに世を忍び剣で生きる足利直冬の一子が絡んだことから、三つ巴の宿運が時代のうねりを巻き起こすことに……。『武王の門』次世代による南北朝統一をめぐる壮大なドラマ。
  • ばあさんは15歳
    -
    おちゃめな孫娘と頑固なばあさん 2019年と1963年をまたぐ 二人の冒険の行く先は?   高校入学を目前に、ふとした異変で 昭和にタイムスリップしてしまった菜緒。 時はオリンピック前年。 口が悪く愛想なしの祖母を相棒に 東京タワーから始まる物語は 思わぬ出会いと発見にあふれて―― やがて明らかになる、ばあさんの封印された過去。 取り返しのつかない出来事を、菜緒は覆すことができるのか!? 「ひょお、こりゃ面白くなってきた」「まったく、バカまごといると疲れるよ」 愉快爽快、ラストに涙。阿川佐和子の長編小説。 挿絵 石川えりこ
  • 滅びの前のシャングリラ
    4.3
    「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。 なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」 「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」。学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして――荒廃していく世界の中で、人生をうまく生きられなかった人びとは、最期の時までをどう過ごすのか。滅びゆく運命の中で、幸せについて問う傑作。 〈巻末対談〉新井素子×凪良ゆう
  • 文豪と女 憧憬・嫉妬・熱情が渦巻く短編集
    -
    無垢な少女から妖艶な熟女まで一一。鴎外、花袋、荷風、漱石、谷崎、安吾、太宰たちが、憧れ、翻弄された女性たちを描く。女性は思春期を経て、恋愛・婚約・結婚に。悩みや荒みを抱えながら、やがては倦怠または不倫へと至ることも? 時代の変化に応じて、社会的自立や自覚が芽生えた主人公の生き様からは、近代日本の「女の一生」がみえてくる。 (収録作品) 森鴎外「杯」 田山花袋「少女病」 立原道造「白紙」 永井荷風「庭の夜露」 山川方夫「昼の花火 泉鏡花「雪の翼」 夏目漱石「硝子戸の中」 中島敦「下田の女」 谷崎潤一郎「青い花」 芥川龍之介「なぜソロモンはシバの女王とたった一度しか会わなかったか?」 高見順「強い女」 堀辰雄「辛夷の花」 坂口安吾「いずこへ」 久生十蘭「姦」 太宰治「葉桜と魔笛」
  • そこにある山 人が一線を越えるとき
    4.2
    「なぜ本書が、(中略)かような一大傑作論考として結実したのかといえば、それは結婚が全部悪いのである。」(あとがきより) 「どうして結婚したんですか?」 この、デリカシーに欠けた、無配慮で苛立たしい“愚問”がもたらしたのは、人はなぜ冒険するのかという「最大の実存上の謎」への偉大な洞察だった! 人生の下り坂に入ったと自覚する著者が、探検家としての思考の遍歴を網羅した傑作エッセイがついに文庫化。 〈解説〉仲野徹(生命科学者) 目次 序 章 結婚の理由を問うのはなぜ愚問なのか 第一章 テクノロジーと世界疎外――関わること その一 第二章 知るとは何か――関わること その二 第三章 本質的な存在であること(二〇一九年冬の報告)――関わること その三 第四章 漂泊という〈思いつき〉――事態について その一 第五章 人はなぜ山に登るのか――事態について その二 終 章 人生の固有度と自由
  • 珍品堂主人 増補新版
    3.7
    風が吹かないのに風に吹かれているような後姿には、料亭〈途上園〉に夢を託した骨董屋・珍品堂主人の思い屈した風情が漂う――。善意と奸計が織りなす人間模様を鮮やかに描く。表題作に自作解説エッセイ、珍品堂との買出し紀行を綴った一文を併せた決定版。〈巻末エッセイ〉白洲正子
  • たそがれダンサーズ
    4.0
    1巻902円 (税込)
    今日もスタジオに集うのは、不思議なほど無気力な講師と、下手だが熱いおじさんたち。 出世競争、妻との微妙な関係、町工場の後継者問題など、苦い思いや痛手を負った中高年世代。 そんな彼らが打ち込むのは、男だけで踊る社交ダンス!  職場じゃなくても輝ける。いつもの景色が違って見える。 そのステップが胸を打ち、躍動、爽快、ときどき涙。 おじさんたちの〈もいちど青春〉物語!
  • 憂き夜に花を 花火師・六代目鍵屋弥兵衛
    -
    「飢饉に沈む人々に元気を与えたい」。 男たちの熱い想いがあの花火大会を生んだ。 時は享保。江戸の町は飢饉に沈み、失業者、果ては餓死者までが出る始末。為政者ですら救えないこの町を、文字通り明るく照らそうとする男がいた。花火師・六代目鍵屋弥兵衛。困った人を放っておけないこの男は、江戸中の人を放っておけなかった――! 弥兵衛は自らの小さな工場に仲間を集め、ある計画を練り始める。大川(のちの隅田川)で、将軍の号令のもとに行われる「水神祭」。その場に江戸中の人を集め、一世一代の大仕掛けを披露することであった。
  • カンブリア 邪眼の章 警視庁「背理犯罪」捜査係
    3.9
    1~3巻902~1,034円 (税込)
    《能力》って、そんなに役に立つものじゃないんですよ。 物を持ち上げたければ手を使えばいい。 誰かと意思疎通したければ、その相手と話せばいい。 でも、あることに限り絶大な効果があるんです。 それは――犯罪です。 三鷹の賃貸住宅で若い女性が死亡した。当初は急性心臓死と思われたが、尾島警部補と相棒の閑谷巡査は過去にも同じ部屋で女性の突然死があったことを突き止める。だが怪しいと睨んだ大家・水田をいくら調べても、証拠は出てこない。感じたことのない奇妙な感覚を抱く中、尾島はこの事件の鍵を握る青年と出会い……。 虚ろな瞳が見つめる先には、若い女性の標的が。 常軌を逸した犯罪者を、黒ずくめのクールな刑事が追う!
  • 出張料亭おりおり堂 あつあつ鍋焼きうどんと二人の船出
    完結
    3.0
    全1巻902円 (税込)
    一緒に幸せになってくれるか――? 老舗旅館の開かずの間は、仁と孝、二人の兄弟の秘密の過去に繋っていた。そして山田を排除し仁にすり寄る美女・エリカの目的も……。だが、虎之助やラウルという新たな人物の関与と山田の頑張りにより、仁を絡め取っていた因縁がほどける。そして、久々に振る舞う料理とともに、やっと自分の気持ちを打ち明けた仁に対し、山田の返事は――。 人気シリーズ最終巻!
  • 王将・坂田三吉
    -
    映画「王将」で知られる反骨の棋士・坂田三吉(一八七〇~一九四六)。その明治・大正・昭和三代にわたる破天荒な人生を村松梢風「二人の王将」、織田作之助「聴雨」「勝負師」、藤沢桓夫「阪田三吉覚え書」の名篇でたどる。巻末に北條秀司、内藤國雄らの随筆を併録。文庫オリジナル。    〈解説〉西上心太 【目次】 二人の王将         村松梢風 聴雨/勝負師        織田作之助 阪田三吉覚え書       藤沢桓夫 坂田三吉をめぐって            坂田三吉氏のこと      菊池 寛 坂田三吉          吉屋信子 坂田翁への手紙       北條秀司 一芸に秀でた風格を示す   吉田美代 名人・その世界 坂田三吉  内藤國雄 解 説           西上心太
  • 旅の絵日記
    4.0
    日記はレミさん、挿絵は和田さん。 1989年夏、フランス発スペイン経由、ゴールはイタリア。 楽しき家族の夏の思い出。 初めての文庫化。 「夫はいつも通り知らない料理に挑戦している。メニューの適当なところを指すのだ。(中略)あんまりおいそうじゃなかったけど。子どもたちはマカロニ・イタリアンスタイル。私も一口食べてみたらおいしかった。食べ慣れた味。これがいちばん正解」(8月4日グラナダ)
  • 日本語の技術 私の文章作法
    4.0
    文章術は泥棒に学べ!? ロングセラー『論文の書き方』の姉妹篇。実践に役立つ文章修業の本道を説く。社会学者・ジャーナリストとしても活躍した著者による体験的文章指南。日本語を知り、よい文章を書くための34の方法。 (以下、本文より)  その中の或る文字、或る言葉、或る文章を大変に好きだと思い、反対に、その中の或る文字、或る言葉、或る文章を非常に厭だと感じるような人、そういう人は、立派な文章が書ける素質のある人だろうと思います。  実際に、その人の文章と瓜二つのような文章を何篇も書いてみることです。これが文章修業の本道で、それ以外に道はありません。一にも真似、二にも真似、三にも真似です。    *  締切という時間的限定、枚数という空間的限定、この二つの限定が曖昧なのが研究室の特色で、それと反対に、この二つの限定が厳格なのがジャーナリズムの約束です。  文章を修業するのには、自分で締切と枚数とを厳重に定めて、これを自分に課するという方法をお勧めしたいように思うのです。    *  文章というのは一種の建築物だと考えています。大きな論文はビルディングのようなもの、小さな文章は交番のようなもので、文章が建築物であるならば、それを作るのには、どうしても、設計図がなければなりません。正確な設計図を用意せずに、文章を書き始めたら、論旨不明の文章が出来上るのは全く当然のことです。
  • 日本の美
    4.0
    「西洋と東洋の美」「中国と日本の美の相違」から始まり、日本の文学に通底する「もののあわれ」「わび」「幽玄美」などを語り、「世界における日本の美の位置」「日本の美を貫くもの」を探究する。ほかに『近代美の研究』から機械やスポーツに関する論考とさらに全集未収録のエッセイ「現代日本画の一つの課題」を増補。初文庫化。 『日本の美』 1 西洋の美と東洋の美 2 中国と日本の美 3 日本のこころと日本の美 4 文学――さやけさ・もののあわれ 5 文学――幽玄・わび 6 文学――軽み・いき 7 美術 1 8 美術 2 9 美術 3 10 音楽 11 舞台 12 世界における日本の美の位置 13 日本の美を貫くもの 『近代美の研究』より 現代における美の諸性格 機械美の構造 スポーツ気分の構造 近代美と世界観 思想的危機における芸術ならびにその動向  (全集未収録論考) 現代日本画の一つの課題次より
  • 文豪と食 食べ物にまつわる珠玉の作品集
    3.0
    文豪たちは味覚も鋭い。そして案外、健啖家。近代日本を作り出した文豪それぞれの好みを反映した「食」の物語には、時代の精神も刻まれていた。食べることは血肉を作り、生きることに他ならない。そこには思想もあれば主張もある。鴎外は他人と間合いを測りながらつつく牛鍋を弱肉強食の闘争に例え、独歩は和洋折衷・官民融和の理想を重ねた。江戸っ子の漱石は蕎麦、西国出の芙美子はうどんと、好みには生まれも反映する。美食を追求する者もいれば、ただひたむきに食うもの、大志を立てて粗食をする者もいる。本当に「食べる」ことは奥が深い。『文豪と食』同様、いろいろな食べ物を取り揃えてみました。 目次 森鷗外「牛鍋」……牛鍋 国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」……ビフテキ 夏目漱石「吾輩は猫である」より……蕎麦 林芙美子「小さい花」……うどん 正岡子規「御所柿を食いし事」……柿 幸田露伴「菊―食物としての」……菊 永井荷風「風邪ごゝち」……葱鮪 谷崎潤一郎「美食倶楽部」……美酒美食 芥川龍之介「魚河岸」……洋食いろいろ 泉鏡花「湯どうふ」……湯豆腐 岡本かの子「鮨」……鮨 夢野久作「お茶の湯満腹記」……茶懐石 斎藤茂吉「食」……鰻 山本周五郎「尾花川」……饗応と大志 太宰治「チャンス」……雀焼
  • 檀流クッキング入門日記
    -
    「チチと亭主、この二人の男に出会って、私は料理そのものだけでなく、『食べる』ということから生まれてくるいろいろな楽しみを知りました。それがあったからこそ、料理と仲良くつき合えてきたのであって、じゃなきゃ今ごろは、私フトンにもぐり込んで、袋から取り出した菓子パンをかじりながら本でも読んでいるという暮らしをしていたに違いありません」(本文より) 檀一雄の『檀流クッキング』は、読むレシピ、男の手料理のバイブルとして、長く読み継がれてきた。若くして、檀一雄の長男と結婚し、義父から料理の面白さ、楽しさを学んだ著者による、『檀流クッキング』の舞台裏、そして檀流クッキングスクールの卒業レポート。
  • 愛してるよ、愛してるぜ
    4.0
    8人の女性と9回結婚、任侠を生きた安部譲二の波瀾万丈な人生経験を、30年来の友人である作家・山田詠美が引き出す。対談が始まったころ、まだ独身だった山田さん。対談と同時進行で、10歳年下の現在の夫君と恋愛が始まり、結婚に至った(プロポーズは、本書対談取材で訪れた京都にて。その様子も収録)。さらには、76歳の安部さんの「人生最後の恋愛」も勃発し、家出をして彼女の家に転がり込む、などのハプニングも・・・。著者二人の山あり谷あり、「人生劇場」の様相を呈している。山田さんによる安部さん追悼文「ベストフレンド4ever」収録。【解説】宇垣美里 『人生相談劇場』改題
  • 武商諜人
    4.0
    明智光秀、本能寺にて織田信長を討つ! 明智軍に追われ、絶体絶命の徳川家康を無事、領国へ脱出させ、後の飛躍へと導いた商人・茶屋四郎次郎。その生涯を爽やかに描いた表題作「武商諜人」を始め、特別書き下ろし「幽鬼御所」など、珠玉の十作品を収録。歴史時代伝奇小説の第一人者による、ファン待望の文庫オリジナル作品集。
  • SRO8 名前のない馬たち
    3.2
    その嘶きは、不吉な予告―― 関東近県で、乗馬クラブオーナーの死が相次ぐ。 いずれも死因に不審な点は見られないものの、 SRO(広域捜査専任特別調査室)室長・山根新九郎は奇妙な符合を見出す。 人間の死と同時に、必ず馬が一頭、逝っているのだ。 独自捜査を始めたSROの面々は、やがて北海道のある牧場にたどり着く……。 彼らは、馬たちのダイイング・メッセージを読み解けるのか!? そして、最凶キラー・近藤房子の調教ゲームも新たな段階に。 【警視庁のワケあり部署が活躍する、大ヒットシリーズ最新作!】
  • ドナルド・キーン自伝 増補新版
    4.0
    私の人生は、信じられないほどの幸運に満ちていた――。日本文化を世界に紹介してきた著者。ブルックリンの少年時代、一人の日本兵もいなかったキスカ島、配給制下のケンブリッジ、終生の友・三島由紀夫の自殺……。日本国籍取得に至るまでの思い出すことのすべて。2019年2月、96歳で逝去した、偉大な日本文学研究者が書き遺した決定版自叙伝。『私と20世紀のクロニクル』を改題。新版に際し、「日本国籍取得決断の記」「六〇年の月日と終生の友人たち」の2篇を増補。
  • カジノの歴史と文化
    4.0
    「本書の目的は、我が国にできるであろうカジノを含め、賭け事をするという人間が本来持っている『密やかな欲望』を充足する場所として、現在、世界の100か国以上で提供されている『適切に管理された賭博場』であるカジノを、カジノに馴染みのない日本人に、賢く、かつスマートに楽しんでもらいたいことに尽きる」(著者)。 カジノのルールやマナーをわかりやすく示し、世界のカジノ事情を紹介しながら、IR推進法、実施法をもとに、日本でのカジノについて多面的に考察を加えた本書は、賛成派・反対派を問わず、まずはカジノについて正確な知識を持ってもらうために最適な一冊である。
  • 文豪と酒 酒をめぐる珠玉の作品集
    3.0
    鴎外がビールに、荷風がウィスキーに託した思いとは? 本書は酒が様々なイメージで登場する傑作を厳選。古今東西、人類の友である酒になぞらえた憧憬や哀愁は今でも現代人を魅了し続ける。近代文学に足跡を残した漱石、露伴、安吾、谷崎、太宰ら16人の作家と白秋、中也、朔太郎ら9人の詩人、歌人による魅惑のアンソロジー。 収録作品 屠蘇……夏目漱石「元日」 どぶろく……幸田露伴「すきなこと」 ビール……森鴎外「うたかたの記」 食前酒……岡本かの子「異国食餌抄」 ウィスキー……永井荷風「夜の車」 ウィスキーソーダ……芥川龍之介「彼 第二」 クラレット……堀辰雄「不器用な天使」 紹興酒……谷崎潤一郎「秦准の夜」 アブサン酒……吉行エイスケ「スポールティフな娼婦」 花鬘酒……牧野信一「ファティアの花鬘」 老酒……高見順「馬上侯」 ジン……豊島與志雄「秦の出発」 熱燗……梶井基次郎「冬の蝿」 からみ酒……嘉村礒多「足相撲」 冷酒……坂口安吾「居酒屋の聖人」 禁酒……太宰治「禁酒の心」 ●諸酒詩歌抄 上田敏「さかほがひ」 与謝野鉄幹「紅売」 吉井勇「酒ほがひ」 北原白秋「薄荷酒」 木下杢太郎「金粉酒」「該里酒」 長田秀雄「南京街」 高村光太郎「食後の酒」 中原中也「夜空と酒場」 萩原朔太郎「酒場にあつまる」
  • 目まいのする散歩
    4.0
    近隣への散歩、ソ連での散歩……。歩を進めるうち、現在と過去がひびきあい、新たな記憶がよみがえる……。死を前にした清澄なひびきをもつ晩年の秀作。野間文芸賞受賞作。巻末に口述筆記の様子がうかがえる「丈夫な女房はありがたい」を収録する。
  • ウソとマコトの自然学 生物多様性を考える
    -
    昆虫類のすさまじいまでの減少の理由とは。田舎の里山を保全するための現実的な方策はどこに。メディアと政治のコトバと化した「生物多様性」擁護・懐疑両派の怪しげな言説を問いただし、イキモノと日本各地の自然環境の実像について興味深い事実を数多く紹介しながら、自然を守る本当の手だてを視野広く述べた秀作。
  • 志士の峠
    4.0
    文久三年(一八六三)、帝の行幸の先ぶれを命じられた公家・中山忠光は、勤王志士らと大和で挙兵した。五条の代官所を襲撃し新政府樹立を宣言するが、親幕派の公家や薩摩藩などにより一転、朝敵とされ討伐軍を差し向けられる。満身創痍で深き山々を駆ける志士たちの運命は!? 名手が描く、天誅組の志の輝きと四十日間の光跡。
  • 誤断
    3.2
    長原製薬の広報部員・槙田は、副社長から極秘任務を命じられる。相次ぐ転落死亡事故に自社製品が関わっている可能性があり、被害者家族の口を金で封じろというのだ。外資企業と合併交渉中の会社にとって、この時期の不祥事は致命的だ。同時に過去の公害事件にも直面した槙田は、激しく動揺する。社会正義と企業利益の間で揺れ動く男たちの物語!
  • ピアニストたちの祝祭 唯一無二の時間を求めて
    3.5
    別府アルゲリッチ音楽祭、ポリーニ・プロジェクト、ラ・フォル・ジュルネ……。日本国内のクラシック・イベントに密着。同業のピアニストたちのステージを内と外から克明にとらえた、渾身の音楽祭見聞録。演奏の一瞬一瞬がよみがえる、スリリングなレポート。
  • おらんだ忍者・医師了潤 御役目は影働き
    -
    伊賀の隠れ里から江戸へ出て、正体を隠し町医者となった上忍・笹川了潤。長身・白皙・頭脳明晰と、一見完璧なこの男の難点(?)はただ一つ、「三度の飯より死者が好き」――。怪事件に挑み、謎の蘭学者の影を追い、見えない「敵」と相まみえるまでの、大江戸ふしぎ事件帖。 『御役目は影働き――忍び医者了潤参る』改題。
  • ミンドロ島ふたたび
    -
    『レイテ戦記』執筆過程の昭和42年3月、一兵士として戦った現地を再訪し、自らの生と死との彷徨の跡を尋ねる。賠償問題が解決してもなお、反日感情が根強く残る時期、亡き戦友への追慕と鎮魂の情をこめて、詩情ゆたかに戦場の島を描く。『俘虜記』の舞台となった、ミンドロ島、レイテ島への旅。
  • 真田信繁 戦国乱世の終焉
    4.0
    〈真田丸〉を埋めるは赤備えの精鋭! 東国と西国に跨る所領を得た祖父幸隆。領地保全のため、武田、徳川、上杉と次々と主家を変えた父昌幸。三代信繁は豊臣方に与し、冬の陣で出城を造りひとたびは徳川勢を退けるも、惣堀を埋められた夏の陣で討ち死にする――。“幸村”の虚像を壊し、戦国乱世を駆け抜けた信繁の実像を新視点で熱く語る歴史評伝。
  • ヒマラヤのドン・キホーテ ネパール人になった男 宮原巍の挑戦
    -
    ヒマラヤが秘境であった七〇年代初頭、世界最高所にホテルを建てた男・宮原巍。しかし彼を魅了したこの国は政治腐敗と環境破壊が進行していく。事態を憂えた宮原は、ネパール国籍を取得、自らの政党を設立し政治活動に身を投じる。挑戦と挫折を繰り返しヒマラヤのドン・キホーテと呼ばれる男の半生を、自らも登山家である著者が熱く綴った評伝。
  • 彷徨える英霊たち 戦争の怪異譚
    5.0
    戦場で命を落とした者たちはなぜ、霊魂となってもなお祖国へと帰ろうとするのか。ガダルカナル、ニューギニア、フィリピン、硫黄島、朝鮮半島、そして沖縄。さまざまな場所で、戦死者たちを、その家族たちを長年にわたり取材してきた著者が〈怪異譚〉を通して綴る鎮魂の記。
  • 忘れ得ぬ人々と谷崎潤一郎
    4.0
    建築家辰野金吾を父に持ち、名随筆家としても知られる仏文学者が、同窓の谷崎、師として仰ぐ露伴・鴎外・漱石らとの思い出を綴る。昭和初期から戦後までに交流した多才な文学者の素顔や審美眼と学問への深い愛が浮かび上がる自伝的随想集。改造社版の同題本(選集第四巻 昭和二四年刊)を底本にした完全版を文庫化。
  • イモータル
    3.9
    1巻902円 (税込)
    インドで消息を絶った兄が残した「智慧の書」。不思議な力を放つその書に導かれ、隆は自らもインドへと旅立った……。ウパニシャッドからショーペンハウアー、そして現代へ。ムガル帝国の皇子や革命期フランスの学者が時空を超えて結実させた哲学の神髄に迫る、壮大な物語。『不滅の書』を改題。

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  • 斎藤一 新選組最強の剣客
    3.5
    新選組でも一、二を争う剣客・斎藤一。激動の幕末維新を経て大正時代まで命をながらえながら、遺された史料はほとんどない。度重なる改名の理由、なぜ会津藩士として生きたのか……「自らの過去を封じた」ともいえる謎に満ちたその生涯を、新選組の組織や掟という視点から読み解く斬新な書き下ろし評伝。

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  • 明暦水滸伝
    -
    時は明暦。家康がもたらした太平の世が次第に息苦しさを増す中、幕府の将来を憂慮した知恵伊豆こと老中・松平信綱は、江戸全体を陥れる、無謀かつ非情な陰謀を企てた。一方、信綱と因縁浅からぬ旗本奴・水野十郎左衛門は日々に倦んでいた。しかし、この陰謀を知り動き出す……。江戸水滸伝三部作、第二弾。『無頼の剣』を改題。

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  • かたちだけの愛
    4.0
    事故による大怪我で片足を失った女優と、その義足を作ることになったデザイナー。しだいに心を通わせていく二人の前に立ちはだかる絶望、誤解、嫉妬……。愛に傷ついた彼らが見つけた愛のかたちとは? 「分人」という概念で「愛」をとらえ直した、平野文学の結晶!

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  • 少女Aの殺人
    3.5
    深夜の人気ラジオで読まれた手紙は、ある少女が養父からの性的虐待を訴えたものだった。その直後、三人の該当者のうちひとりの養父が刺殺され……。

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  • ルームメイト
    3.8
    私は彼女の事を何も知らなかったのか……? 大学へ通うために上京してきた春海は、京都からきた麗子と出逢う。お互いを干渉しない約束で始めた共同生活は快適だったが、麗子はやがて失踪、跡を追ううち、彼女の二重、三重生活を知る。彼女は名前、化粧、嗜好までも替えていた。茫然とする春海の前に既に死体となったルームメイトが……。

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  • ストロベリー・フィールズ
    3.1
    「僕が今、女を感じてるのは、夏子先生だけです」  出版社社長・月川の後妻となった夏子は、夫の連れ子・りえの継母として、そして自らもクリニックを開業する女医として、七年余りの月日を平穏に過ごしてきた。しかし、りえの友人でロック・バーでバイトをする青年・旬と出会い、その危険なまでの若さに触れた夏子は、目を背けてきた己の渇きに気づかされてゆく……。  ひとりの女性の陶酔と孤独を描く傑作長篇。  〈解説〉稲葉真弓 〔著者のことば〕  誰もが、あからさまに「家族」の大切さを叫ぶ時代になって久しい。「家族」は人間にとって、最小単位の砦であり、「家族愛」ほど、愛の深さにおいて意味のある、健全で価値の高いものはないと見なされている。  とてつもなく嬉しいことが起こる。真っ先に誰に知らせたいですか、と聞かれる。誰もが「両親」「夫」もしくは「妻」「子供」と答える。  その健全さは微笑ましく、未来永劫、消えることはないかのように思われて、しかし、同時に、その健全な場所でこそ、人は苛立ったり、憎んだり、絶望したり、孤独の淵をさまよったりするのである。そこに「家族」がはらむ「魔」の部分がある。  (読売新聞2009年1月13日付、連載完結インタビューより抜粋)
  • 持たざる国への道 - あの戦争と大日本帝国の破綻
    3.8
    なぜ日本は世界を敵に回す戦争を起こしたのか? 今の日本人は、その意味を正しく捉えられているか? わかりやすい「欺瞞的な説明」を排し、軍事面や外交面にとどまらず、政府や日銀の政策を軸に「あの戦争」を再考。財務出身官僚が、新たな視点で描く戦前日本の「失敗の本質」。

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  • 明治東京畸人傳
    5.0
    谷中・根津・千駄木。かつてこのまちを闊歩した二十五人の物語。お雇い外国人教師ベルツ、本妻と愛人を行き来したサトウハチロー、怪談と幽霊画の三遊亭円朝、昭和恐慌で没落したヂエモンとその一族……。地域雑誌を編集するなかで出会った、不思議な魅力あふれる人物たち。その路上の肖像を掘り起こす。

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  • 江戸小咄散歩
    -
    粋な江戸っ子たちは、実際にどんな生活を送っていたのか? 当時の生活風景を映し出す小咄や川柳を引きながら、由緒ある江戸の町名ごとに市井の様子をよみがえらせる。現住所も併記し、江戸に思いをはせながら散歩するのに最適な一冊。

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  • 四十八人目の男
    -
    吉良邸に討ち入った浪士たちの中に小山田庄左衛門の姿はなかった。主戦論の先鋒だった彼が“義挙”に加わらなかったのはなぜか。脱盟した男の眼を通して武士の不条理を抉った大佛文学の傑作。佐多芳郎初の挿画32点入り。

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  • わが文学 わが作法 文学修行三十年
    NEW
    -
    『雁の寺』『寺泊』など作品の背景をエピソードを交えて、書くことの方法と身を削る「業」の厳しさを明かす。文学作法を自ら語るファン必携の一冊。〈解説〉掛野剛史 「雁の寺」四部作 「五番町夕霧楼」 「越前竹人形」 「越後つついし親不知」「霰」「静原物語」 「しがらき物語」「波影」「鴉の穴」 「飢餓海峡」8 「湖の琴」「銀の庭」「霙」 「城」「佐渡の埋れ火」「名塩川」「京の川」「畳職人谷捨蔵の憂鬱」 「弥陀の舞」「はなれ瞽女おりん」「馬よ花野に眠るべし」79 「凍てる庭」 「冥府の月」「桜守」 「好色」「男色」 「蓑笠の人」「越前一乗谷」 「焚火」「有明物語」「猿籠の牡丹」 「兵卒の鬃」「冬日の道」「道の花」「草民記一章」「『ぼろんか騒動』の多吉」 「宇野浩二伝」 「古河力作の生涯」「鶴の来る町」 「一休」 「近松物語の女たち」「あひるの子」「わが草木記」 「わが山河巡礼」「失われゆくものの記」「日本海の人と自然」「金閣と水俣」 「若狭幻想」 「霧と影」「死の流域」 「海の牙」「火の笛」 「寺泊」「壺坂幻想」他 「決潰」「棺の花」「ちりめん物語」 戯曲「雁の寺」他
  • 決定版 ゲゲゲの鬼太郎1 妖怪大戦争・大海獣
    4.0
    1~14巻880~990円 (税込)
    日本を代表する傑作妖怪マンガ「ゲゲゲの鬼太郎」をはじめて一挙掲載する文庫の決定版、刊行開始!あらゆる妖異に立ち向かう鬼太郎の旅がここから始まる!  1巻には、南の島で西洋の妖怪と日本の妖怪が決死の戦いに挑む「妖怪大戦争」、天才少年によって大海獣に変身させられた鬼太郎の死闘を描く「大海獣」など、長編を含む全13話を収録。 〈収録作品〉手/夜叉/地獄流し/猫仙人/おばけナイター/水虎/吸血木/ゆうれい電車/妖怪大戦争/大海獣/だるま/妖怪城/鏡爺 巻頭カラー口絵を掲載。
  • またたび
    -
    毎日炊いてる白いごはん、欧州由来のマッシュポテト、異国に適応したカリフォルニアロール。アメリカ西海岸の空のもと、根なし草的に集まった五人家族の食卓は、それぞれのルーツを反映してにぎやかだ。文化の壁も反抗期も、食欲の前には待ったなし! つくり、食べ、食べさせる濃密な日々を、四十代の詩人・母が綴る。〈解説〉ブレイディみかこ
  • 何年、生きても
    3.0
    どこかで別れた大切な人を想うとき、相手もまた、あなたを想っているかもしれない。       ――宮島未奈(『成瀬は天下を取りにいく』) 磯貝美佐、39歳。妊活がうまくいかず、母親離れができない優柔不断な夫・要一郎との生活に見切りを付けるべく、家を出た。東京の下町・谷中の六畳一間で、アンティーク着物のネットショップ「蔦や」を一人で切り盛りしている。友人は、恋愛対象が男性の美しき骨董屋、関くんだけだ。 ある日美佐が実家の蔵を整理していると、箪笥に大切に仕舞われた、祖母・咲子のものにしては小さすぎる着物を見つける。そして、抽斗の二重底に隠されていた3冊のノートと、見たことのない美少女が写った古写真も……。 この少女はどこの誰で、咲子とはどのような関係だったのか? ノートを読み始めた美佐はやがて、着物と少女の謎を突き止めた。咲子の生涯を懸けた「思い」を知った美佐は、ある決断をする――。ベストセラー『妻の終活』の著者が贈る、永遠の「愛」の物語。 『花は散っても』改題。
  • 生と死をめぐる断想
    4.0
    序章 死をそばに感じて生きる 團十郎の辞世  死生観表出の時代  自然災害のインパクト  どこから来てどこへ行くのか  二つの立場  テクノロジーの進化の果てに  1章 「知」の人の苦しみ 伝統的な宗教の後に  岸本英夫の実践  合理性の納得  頼藤和寛の世界観  はじまりのニヒリズム  「にもかかわらず」の哲学  自由意志の優位と揺らぎ  多田富雄の受苦  人格を破壊から守る  サイコオンコロジー  医療の現場で  ホスピスとデス・エデュケーション  遺族外来、がん哲学外来  禅の否定するもの  「わたし」を「なくす」  河合隼雄の遍歴  ユング心理学と仏教  切断せず包含  2章 スピリチュアリティの潮流 崩れつつある二元論  オルタナティブな知  理解できないものへの態度  時代という背景  第三の項へ  ポストモダンの現象  ベクトルの交わるところ  島薗進の視点  「精神世界」の隆盛  個人の聖化と脱産業化  鈴木大拙の霊性  宗教的でなくスピリチュアル  玄侑宗久との往復書簡  「而今」の体験  「いのち」との関係  潮の満つるとき  海のメタファー  親鸞の絶対他力  生死の中で生死を超える  日本的発現  ゆりかごとしての風土  3章 時間を考える 代々にわたり耕す  柳田国男の「先祖」  個体から集合体へ  つなぐラフカディオ・ハーン  田の神と山の神  時代からの問い  四つの類型  折口信夫の「海の他界」  野という中間地帯  身近な行き来  かのたそがれの国  うつし世、かくり世  帰ってゆく場所  先祖の時間  線をなす時間  層をなす時間  輪をなす時間  自然との親和性  季語のはたらき、リズム  津波を詠んだ句  山川草木悉有仏性  「衆生」の範囲  貞観地震と津波  暴れる国土  山川草木悉有神性  瞬間瞬間にふれる  不動の中心  技法としての行  色即是空  井筒俊彦による視覚化  縁起という実相  根源のエネルギー  式年遷宮  「木の文明」  生の造形  宣長の「悲し」と「安心」
  • 青天 包判官事件簿
    3.5
    宋代、瑞州の新任知事・包希仁は、二十代で科挙に合格した秀才ながら、どこか抜けた青年。その資質を疑問視する世話係・孫懐徳であったが、州内で起きた「生きた牛の舌が切り取られる」事件をきっかけに――(「雪冤記」)。清廉潔白、裁きは公平、晴れ渡った空の如し。中華小説の名手・井上祐美子が、中国史上屈指の人気を誇る名判官「包青天」の活躍を描く中華ミステリ短篇集。待望の文庫化! ◆目次 ・雪冤記 ・赤心 ・紅恋記 ・黒白 ・青天記 ・文庫あとがき ※本書収録の「黒白」は、『C★NOVELS Mini - 黒白 - 包青天事件録』に加筆修正を加えたものです。
  • 剣神 神を斬る 神夢想流林崎甚助1
    完結
    4.0
    天文一六年(一五四七)、出羽国楯岡城下で近習の浅野数馬が闇討ちされた。討手の追跡むなしく、下手人の坂上主膳は行方をくらましてしまう。 六歳にして父を殺された民治丸は、仇討を武神スサノオに誓い、厳しい修行に身を投じる―― 居合の始祖・林崎甚助の生涯を描く大河シリーズ堂々始動!
  • 随筆草木志
    -
    日本における植物分類学の祖・牧野富太郎の最初のエッセイ集。初刊は昭和11年(1936)。執筆時期は内容から察して明治(日露戦争前後)から昭和初期。牧野富太郎ならではの、軽妙洒脱な文体、気取らない表現、語り口で、植物の魅力を縦横に綴る。 以下、本文より。 「私は植物の愛人としてこの世に生れ来たように感じます。或いは草木の精かも知れんと自分で自分を疑います。ハハハハ、私は飯よりも女よりも好きなものは植物ですが然しその好きになった動機というものは実の所そこに何にもありません。つまり生れながらに好きであったのです。」 「私は来る年も来る年も左の手では貧乏と戦い右の手では学問と戦いました、その際そんなに貧乏していても一時もその学問と離れなく又そう気を腐らかさずに研究を続けて居れたのは植物がとても好きであったからです。気のクシャクシャした時でもこれに対するともう何もかも忘れて居ます。」 「私はまた草木に愛を持つことによって人間愛を養うことが出来得ると確信して疑わぬのである、もしも私が日蓮ほどの偉らい物であったなら、きっと私は草木を本尊とする宗教を樹立して見せることが出来ると思っている。」
  • たおやかに輪をえがいて
    3.6
    1巻880円 (税込)
    結婚二十年。娘は大学生に育ち、住宅ローンもほぼ完済し、主婦・絵里子の人生は穏やかに収束するはずだった。夫の風俗通い、娘の危険な恋愛、愛した父の不実など、思いがけない家族の秘め事が明らかになるまでは……。妻でも母でもない道が、鮮やかに輝き出す長編小説。解説・島本理生
  • コイコワレ
    4.0
    1巻880円 (税込)
    大戦末期。東京から宮城の田舎へ集団疎開した浜野清子は、そこで那須野リツと出会った。対立する「海」と「山」の呪縛か、無意識に忌み嫌い合うふたりの少女。だが、戦争という巨大で最悪の対立世界は、彼女たちから、大切な存在を奪ってゆく……。宿命に抗いはじめた少女たちが願う、美しき未来とは――。 特別書き下ろし短篇収録。〈解説〉瀧井朝世 【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みを読むことができます】 ※〈螺旋プロジェクト〉とは―― 「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画 〈螺旋〉作品一覧 朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』(本作) 天野純希『もののふの国』 伊坂幸太郎『シーソーモンスター』 乾ルカ『コイコワレ』 大森兄弟『ウナノハテノガタ』 澤田瞳子『月人壮士』 薬丸岳『蒼色の大地』 吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』
  • 本に読まれて
    4.2
    言葉がほとんど絵画のような種類の慰めを持ってきてくれる、画家がくれるような休息を書物からもらうことがある――。 本をこよなく愛した著者が、最後に遺した読書日記。バロウズ、タブッキ、ブローデル、ヴェイユ、池澤夏樹など、読む歓びを教えてくれる極上の本とめぐりあえる一冊。
  • 君が殺された街
    5.0
    1巻880円 (税込)
    1994年、一人の男が沖縄・万座毛から墜死した。遺骨を引き取った22歳の美しい娘も行方不明に。素人探偵(アマチュア・オプ)の私は、事件を追ううちに11年前の海難事故に辿り着く――。基地の街・沖縄を舞台に麻薬取引、臓器移植を巡る事件が絡み合い、めまぐるしいスピードで展開する極上のミステリー。
  • おかえり横道世之介
    4.4
    人生のダメな時期、万歳。人生のスランプ、万々歳。 青春小説の金字塔、待望の続篇。 バブル最後の売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐこの男。名を横道世之介という。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、なぜか彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。そんな人々の思いが交錯する27年後。オリンピックに沸く東京で、小さな奇跡が生まれる。 『続 横道世之介』を改題。
  • 賤ヶ岳の鬼
    4.5
    柴田勝家の甥にして、鬼玄蕃の異名を持つ猛将・佐久間盛政。戦に幾度敗れても折れぬこの男を、信長は「諦めの悪い奴」と称した。柴田側として参戦した賤ヶ岳の緒戦では羽柴軍に大勝するも、やがて秀吉の調略により形勢は逆転。誰もが敗北を覚悟する中、盛政の眼だけはまだ死んでいなかった――。「戦国一諦めの悪い男」の鮮烈なる生き様!
  • 酒談義
    3.7
    少しばかり飲むというの程つまらないことはない――。酒豪で鳴らした文士が、自身の経験をふまえて飲み方から各種酒の味、思い出の酒場、そして禁酒の勧めまでユーモラスに綴る。全著作から精選した究極の酒エッセイ全21編。文庫オリジナル。 巻末エッセイ・野々上慶一
  • 汽車旅の酒
    4.2
    旅行をする時は、気が付いて見たら汽車に乗っていたという風でありたいものである――。旅をこよなく愛する文士が美酒と美食を求めて、金沢へ、新潟、酒田へ、そして各地へ。ユーモアに満ち、ダンディズムが光る著者の汽車旅エッセイを初集成。巻末に観世栄夫の逸文を付す。〈解説〉長谷川郁夫
  • 圓朝
    3.0
    裏切り、怨念、なんのその! 「怪談牡丹灯籠」を生んだ近代落語の祖・三遊亭圓朝。精魂こめて仕込んだネタを師匠に奪われ、愛弟子に裏切られ、息子はスリで逮捕……壮絶な芸道を駆け抜け怪物となった圓朝は、「真景累ヶ淵」「死神」と数多の名作を生み出していく。不屈の魂に燃えた〈大圓朝〉の知られざる迫力の一代記。〈解説〉中江有里

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