中公文庫作品一覧

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  • サムエルソン 『経済学』と新古典派総合
    -
    二十世紀経済学で「最も影響力のあった五人」の一人といわれるサムエルソン。「経済学の考え方」を初歩から丁寧に示したその名著を起点に、現代経済思想の潮流に筆を及ばせた好著。コラムも充実。巻末に人物解説と年譜を付す。
  • 秀吉の能楽師
    3.5
    晩年の太閤秀吉に、能の指南役として仕えた、役者・暮松新九郎が見た、秀吉の狂気とは? 太閤秀吉を能に没頭させよとの密命を帯び、天下人に接近、目論見どおり秀吉は能楽に熱中するようになるが、やがて秀吉に老いの影が忍び寄る。新九郎に密命を下したのは誰なのか、その真意とは? そして新九郎自身の数奇な出自とは? 家康・利家ら大名たちを巻き込み、華やかな舞いと権謀術数が繰り広げられる、桃山時代絵巻。
  • 北の武士たち・狼奉行 傑作時代小説集
    -
    自害の恐れがある代官の嫡男・孫四郎を預かった左金吾。領内に現れた盗賊の討伐に向かう夜、孫四郎が姿を消し――(「赤い米」)。羽州上山藩の僻地に赴任した靱負は、病を運ぶ狼と藩の陰謀に立ち向かう(直木賞受賞作「狼奉行」)。山形在住の直木賞作家が、北の武士の哀楽を活写する短篇集。書き下ろし二篇を収録した、文庫オリジナル編集。
  • 君主論 新版
    3.9
    「人はただ結果だけで見てしまう」 「加害行為は、一気にやってしまわなくてはいけない」 「愛されるより恐れられるほうが、はるかに安全である」等の文言で 目的のために手段を選ばない権謀術数の書とレッテルを貼られ、 「マキアヴェリズム」という言葉を生んだ古典的名著の、隠された真髄。
  • 本で床は抜けるのか
    3.7
    大量の本を抱えて引っ越し、「床抜け」の不安に襲われた著者は、解決策を求めて取材を開始。井上ひさしや草森紳一らの事例を調べ、床が抜けてリフォームした人、蔵書をまとめて電子化や処分した人、私設図書館や書庫を作った人、等々を訪ね歩き、「蔵書と生活」の快適な両立は可能かを探る。愛書家必読のノンフィクション。〈解説〉角幡唯介
  • 保春院義姫 伊達政宗の母
    -
    最上家の義姫に婚礼の話が持ち上がる。相手は近年勢力拡大がめざましい伊達輝宗。後年、義姫は両家の間で引き裂かれる。後世の史家や大河ドラマにより「鬼母」とされた義姫だが、その真の姿は息子・政宗との不仲に苦しむひとりの孤独な母親であった――。山形在住の歴史作家がおくる、最上家と伊達家が織りなす家族愛と葛藤の物語。
  • 完全版 南蛮阿房列車(上)
    -
    遠藤周作や北杜夫、開高健ら、珍友・奇人を道連れに、異国の鉄道を乗りまくる。著者ならではの、ユーモアと臨場感が満載の漫遊紀行の歴史的名作。全20篇を網羅した完全版。上巻は「欧州畸人特急」から「最終オリエント急行」までの10篇。
  • 酒味酒菜
    3.3
    えびの天ぷらでうまいのは尻っぽ、鮭は頭、牛は舌。釣った岩魚の臓物を洗って串にさし、川べりで見つけた小さな山椒魚を丸飲みし……。詩作のかたわら居酒屋を開き、自ら酒の肴を調理してきた著者による、野性味あふれる異色の食随筆。挿画・牧野伊三夫
  • 妻たちの二・二六事件 新装版
    4.4
    二・二六事件で“至誠”に殉じた熱血の青年将校たち。遺された妻たちは事件後、どのような人生を歩んでいったのか。困難な取材をねばり強く重ね、文字通り足で歩いて検証した、もう一つの二・二六事件。衝撃と感動を呼ぶ、ノンフィクションの金字塔。 〈解説〉中田整一
  • 認知の母にキッスされ
    4.3
    ある日、デイケア先で喚きはじめた母は、気付かぬうちに認知症を発症していた。息子は、介護のために毎日、実家へ通い、一語一語逃さぬよう、母の「妄想」を聞き取り始めた……。生きることのおかしみやユーモアが全編に溢れる、新しい“介護小説”。母との別れを描く最終章「母の死」を文庫書き下ろしで収録。
  • 西郷隆盛 維新の功臣 明治の逆賊
    -
    明治維新を実現した最大の「功臣」でありながら、なぜ西郷隆盛は明治政府に叛き、無謀な西南戦争を起こして「逆賊」の汚名を負ったのか……?  西郷の生涯は、彼を育んだ薩摩国と藩主島津家を抜きにしては語れない。本書はまず島津家の歴史を紐解き、激動の時代をともに生きた大久保利通・島津久光・勝海舟・坂本龍馬らの証言を織り交ぜながら、西郷の考え方や行動の「成功と失敗」要因を分析して、西南戦争に至るまでの「全軌跡」を詳述する。  そのプロセスを経ることで、維新と明治期の西郷の落差、知られざるリアルな人物像を浮き彫りにし、併せて複雑な幕末維新史を分かりやすく解説する書き下ろし歴史評伝。 〈目次〉 序章 西郷隆盛の生涯 第一章 薩摩藩の歴史 第二章 薩摩藩士西郷隆盛 第三章 激動する幕末京都 第四章 王政復古の実現 第五章 戊辰戦争の勃発 第六章 明治政府と西郷隆盛 第七章 最後の内乱・西南戦争
  • 大貧帳
    4.0
    無心者や押売りが悪態をついて、これだけの構えに二円や三円の金がないと云う筈はないなどと云い出すと、蔭で聞いていても可笑しくなる。そう云う俗物にはそんな気がするかも知れないが、無いとなったら洗った様になくなる(本文より)。質屋、借金、原稿料……飄然としたなかに笑いが滲みでる。お金にまつわる三八篇。 目次 夏の鼻風邪 俸給 質屋 秋宵鬼哭 百鬼園旧套 風燭記 炉前散語 御時勢 売り喰い 志道山人夜話 金の縁 砂利場大将 錬金術 書物の差押 胸算用 揚足取り 布哇の弗 鬼苑道話 雑木林 百円札 二銭紀 他生の縁 濡れ衣 大晦日 歳末無題 吸い殻 払い残り 年頭の債鬼 迎春の辞 大人片伝 続のんびりした話 無恒債者無恒心 百鬼園新装 黄牛 可可貧の記 貪凍の記 櫛風沐雨 高利貸に就いて 鬼の冥福
  • どこの家にも怖いものはいる
    4.0
    三間坂という編集者と出会い、同じ怪談好きとして意気投合する作家の三津田。その縁で彼の実家の蔵から発見された「家」に関するいくつかの記述を読むことになる。だが、その五つの幽霊屋敷話は、人物、時代、内容などバラバラなはずなのに、奇妙な共通点が……。しかも、この話を読んだ者の「家」には、それが訪れるかもしれないらしい。最凶の「幽霊屋敷」怪談登場!
  • 汽車旅放浪記
    4.0
    近代文学はなぜ多くの鉄道を登場させたのか。夏目漱石『坊っちゃん』から、松本清張『点と線』まで、舞台となった路線に乗り、名シーンを追体験する。ローカル列車に揺られながら、かつて作家たちが鉄道を作品に取り込んだ理由に思いを馳せる。鉄道と文学との魅惑の関係をさぐる、時間旅行エッセイ。
  • 戦国武将
    -
    戦国時代とはどういう時代だったのか。北条早雲、斎藤道三らの下剋上、そして謙信、信玄、信長ら歴史的な個性の活躍。戦国武将をとりまく状況、組織を、確かな史料から読みとり、身分と出自、謀叛の論理、文武の実際、生死の観念などを具体的に検証する。戦国入門の決定版。
  • 戊辰転々録
    -
    津軽で暮らす道楽者の三上屋金介は、旧幕府軍と薩長勢のいくさをこの目で見ようと旅に出るが――。一人の男の流浪の顛末を描いた表題作ほか、戦国から幕末維新までを描いた全七篇の歴史短篇集。知られざる史実に光を当てた、著者ならではの滋味あふれる物語。
  • 沈黙の檻
    3.5
    十七年前の殺人事件で犯人と目された男・末松は、自らの無実を証明しようともせず、沈黙を守り続けていた。ある日、末松が何者かに襲われ、警護を命じられた刑事の氷室は、彼が何かを隠していると確信し、独自に調べ始める。そして、末松の共犯だという男が殺された――。「容疑者」に甘んじる男の心の謎をめぐる物語。
  • 羽生善治と現代 - だれにも見えない未来をつくる
    3.7
    将棋界の歴代記録を塗り替え続ける最強棋士。なぜ彼だけが常に熾烈な競争を勝ち抜けるのか。タイトル戦観戦記にトップ棋士たちとの対話、そして羽生本人に肉迫した真剣対談が浮き彫りにする、強さと知性の秘密。ルールがわからない人をも魅了する、天才棋士の思考法とは。既刊単行本二冊を再編集し、羽生善治との最新対談を収録した完全版。
  • 文壇五十年
    3.0
    自然主義文学の泰斗が、日露戦争以降から敗戦までの文芸・演劇・美術の変遷を回想。団菊以後の左団次、島村抱月の活躍、そして新風の如く登場した荷風や花袋へのオマージュ、江戸趣味や洋行の影響を受けた文学者たちの姿を描く。大逆事件や戦時下の言論制約のなかでの揺れ動いた芸術運動を冷徹な視点で描く文学的自叙伝。
  • 叙情と闘争 辻井喬+堤清二回顧録
    4.3
    元セゾングループ代表にして、詩人・作家。反発していた父のもと実業界に入った若き著者は、二つの名前を往来しながら、大衆社会の幕開けと経済躍進の立役者として時代の渦中を進んでゆく。マッカーサー、吉田茂、本田宗一郎、三島由紀夫など、政治家、財界人から芸術家までの幅広い交遊エピソードとともに、戦後の諸相を描く貴重な半生記。
  • オーケストラ、それは我なり 朝比奈隆 四つの試練
    4.2
    九十三歳で死去するまで、現役の指揮者としてタクトを振りつづけた巨匠・朝比奈隆。自ら「長生きこそ、最高の芸術」と言い切り、存在そのものが日本のオーケストラ史であった生涯。その光と陰を描く決定版評伝。第二六回織田作之助賞大賞受賞作
  • クロワッサンとベレー帽 ふらんすモノ語り
    4.0
    トランク、石鹸、リボン……いつの時代も「舶来品」は人々の憧れの的だった。プロフェッサー・鹿島が綴る、フランス人に愛された品々をめぐるとっておきのエピソード。魅惑の都パリの今昔、フランスの文学・語学に関するエッセイも収録。※『上等舶来・ふらんすモノ語り』を改題。
  • 修理 仏像からパイプオルガンまで
    3.0
    使い捨ての時代が長く続いているが、物を直して使うというかつての日本の精神と技術は、いまでもきっちりと受け継がれている。書籍、眼鏡、靴等の実用品から古文書、茅葺き屋根、赤レンガ建築等の文化財にいたるまでの三十を越える日本各地の修理現場を徹底取材。修理店等の連絡先付き。
  • 記憶に残る作家 二十五人の素顔
    -
    文芸記者、ワイドショーのコメンテーター、そして『婦人公論』編集長を務めた著者が、担当編集者として、あるいは取材対象者として、近しく接した作家たちの意外な素顔を綴る。渡辺淳一、野坂昭如、開高健ら時代の寵児二十五人の知られざる私生活。
  • ロビンソンの家
    3.3
    ぼくは彼女を順子さんと呼ぶ――母の失踪への情熱、性的な身体の記憶……。大藪春彦賞受賞作家がおくる、甘美でせつないミステリ。
  • 陸奥甲冑記
    3.6
    阿弖流為と坂上田村麻呂。陸奥蝦夷と律令国家の抗争の日々。陸奥の蝦夷が造りあげていた、大和律令国家に対立するもうひとつの国・日高見国の倒壊を描く。
  • 天保暴れ奉行(上) 気骨の幕臣 矢部定謙
    -
    旗本の家に生まれ、小姓番組入り後、徒頭、先手頭兼火付盗賊改、堺奉行、大坂西町奉行と順調に出世。その裁きぶりは大岡越前守の再来と言われた、矢部駿河守定謙。大坂東町奉行所元与力の大塩平八郎とも昵懇となった彼は、勘定奉行昇進後に乱を起こした大塩父子の罪状をめぐり、ときの老中・水野忠邦と鋭く対立する。
  • 旦那の意見
    5.0
    この頃、電車で席を譲らなくても気が咎めなくなった。志ん生晩年のかすれ声に涙を流す。角栄に義憤を感じつつも父の面影を重ねる。――『男性自身』で大好評を博した著者が「最初の随筆集」と断じてはばからぬ珠玉の自選名文集。
  • 対談 にっぽん女性史
    -
    情熱的な自己を政治に示した古代の女帝たち、文学史上に燦然と輝く清少納言や紫式部ら王朝の女流作家、源平のトップレディ建礼門院と北条政子、戦国乱世を強烈に生きたお市や淀君。金山開発の犠牲とされた佐渡相川の遊女たち……様々な時代や立場におかれた女性の意識や生き方を11人の識者と語る。
  • 太平洋戦争のif[イフ] 絶対不敗は可能だったか?
    3.8
    真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル、レイテ、本土決戦――太平洋戦争の重要な各局面における「イフ」を論じることで歴史の真実に迫る。厳密な史料分析をもとに第一線の研究者たちが挑んだ、意欲的な太平洋戦争史。
  • 戦後の肖像 その栄光と挫折
    3.0
    秩父宮、高松宮、赤尾敏、安岡正篤、伊藤律、坂口弘、田中角栄、藤山愛一郎、武見太郎など、もし、この人物がいなかったら戦後の日本の政治・経済・社会状況は別の局面を迎えていたかもしれないようなキーパーソン十五人を取り上げ、彼らの足跡を検証することにより、戦後日本の栄光と挫折に迫る意欲作。
  • 私の大事な場所
    3.7
    はじめて日本を訪れたときから六〇年。ヨーロッパに憧れていたニューヨークの少年にとって、いつしか日本は第二の故郷となった。京都や東京の思い出の場所、そして大切な友人たち……。日本文学研究に人生を捧げた著者による、変わらないものへの愛情にあふれた自伝的エッセイ集。
  • 黒の十字架
    -
    潜入捜査の密命を帯びて羽代市に単身乗り込んだ土谷刑事を待ち受けていたのは、市内を独裁国家のように統治する大場一族の厚く巨大な壁であった。警察さえ影響下に置かれる独裁都市で土谷の孤独な戦いが始まった……。強大な権力の暗部に鋭く迫る著者渾身の長篇ミステリー。
  • 剣闘士スパルタクス
    3.8
    「スパルタクス、おまえにも先頭をきってもらいたい」仲間の求めに応じスパルタクスは起った。寄せ集めの集団は、やがて奴隷解放の旗印を掲げる反乱軍としてイタリア本土を席巻する。だが、世界最強を誇るローマ軍の反撃が始まらんとしていた――! ローマ帝国に叛いた男を描く歴史大活劇第二弾。
  • 花までの距離
    -
    「私をいくらでも見てください」。女はそう言って衣裳を脱ぎ刺激的なポーズをとるが、目の前にいる男は、見つめるだけで指一本触れることさえ許されない……。“誘惑”と“視線”が交錯する二人だけの密室に立ちあがる透明なエロティシズムを描いた長篇。
  • 火の十字架
    -
    元零戦の操縦士でその日暮らしを送っていた綾瀬勝治は、行きつけの飲み屋で知り合った男から、新会社の社長就任という意外な話を持ちかけられる。しかし綾瀬は数か月後に他殺死体となって発見され……。太平洋戦争で祖国のために戦った三人の男たちの戦後を壮大なスケールで描く、著者渾身の長篇ミステリー。
  • 一枝の桜 日本人とはなにか
    4.0
    日本人の美的世界・倫理的世界を善意な眼差しで概観しながらも、「慇懃と粗暴」「礼儀正しさとモラル破壊」「思慮深さと見栄っ張り」「同情心と冷淡」「慎み深さと思い上がり」といった相反する要素が両立する謎について、言語・風土・社会的要因から解明する。一九七〇年代にベストセラーとなった稀有な日本人論を初文庫化。
  • 阿波の狸の話
    -
    大正から昭和初期にかけ、屈指の郷土史家が阿波・徳島に伝わる狸伝承を綿密な取材により収集し、注釈を付した名著。映画や漫画など数々の作品の一次資料としても多く引かれ、今なお輝きを失うことのない貴重な文献を復刊。さらに著者遺稿を反映し、「阿波伝説物語」を収録した決定版。
  • ぼくが愛したゴウスト
    3.6
    臆病で生真面目だけど、十一歳のごく普通の少年・田之上翔太。生まれてはじめて、ひとりで行った人気ロックバンドのコンサートの帰り、翔太は駅で人身事故発生の瞬間に居あわせてしまう。それを境に彼は、この世界に微かな違和感を抱きはじめるのだが――。残酷で理不尽な世界に立ち向かう少年の、愛と恐怖の旅立ちの物語。
  • そこに薔薇があった
    4.0
    ある春の日、離婚して自由になった正幸の前に、二人の魅力的な女性が現れた。彼女たちの出現で、どこかはしゃいでいる彼に、叔母は「女性がその気になったら、あんたなんか、イチコロなんだから」と語る。それは何かの暗示だったのか。直後、正幸は謎の死を遂げてしまう。それは連綿と続く、残酷で甘美な殺人事件の始まりだった。
  • ごめんあそばせ 独断日本史
    4.0
    奈良時代の律令制度もある意味“押しつけ憲法”/公平な勤務評定があった鎌倉武士団/定家は出世亡者/清盛と田中角栄の日中国交回復/貞奴と一葉は女性史の表と裏――古代から明治へ、小説家としての立場で自由闊達に語り合い、埋もれた歴史の事実を掘り起こす。おもしろさ抜群の日本史。
  • ことばの顔
    -
    パスカル、村上龍など古今東西の哲学者、作家の名文句から、「ソッコー」「キレる」等、最新の流行語にいたるまで、無限の世界をつくり出す「ことば」を自在に読み解いたエッセー集。
  • あの日あの夜 森繁交友録
    -
    名優森繁久彌が語る、あの日、あの夜。かつて同じ舞台で切磋琢磨し、技を競い、スクリーンをともにした原節子、伴淳三郎、三木のり平、山茶花究らとの交友録を中心に、様々なテーマを独特の森繁節で一刀両断する、珠玉のエッセイ集。(東京新聞夕刊に「この道」として昭和61年2月から4月にかけて連載されたものをまとめた)
  • SRO1 警視庁広域捜査専任特別調査室
    3.8
    警視庁に新設された広域捜査専任特別調査室、通称「SRO」。総勢7名の小所帯にもかかわらず5人がキャリアという、管轄の枠を越えた花形部署のはずが、その内実は訳ありだった。山梨で発見された白骨死体をきっかけに、史上最凶の連続殺人犯「ドクター」を追う調査員たち。警察組織の限界に迫る、新時代警察小説の登場。
  • OL現代詩殺人事件 日美子の初タロット
    -
    鎌倉に住むOL章子は、一浪の弟・伸一と二人暮らしだが、伸一はサラ金業者の水上を深く恨み、呪い殺そうという奇矯な幻想に没頭していた。不安になった章子は友人の二階堂日美子に相談を持ちかけるが……。日美子の原点となる、タロット日美子シリーズの第一弾!
  • 馬場恒吾の面目 - 危機の時代のリベラリスト
    -
    戦前、二大政党政治が崩壊し軍部台頭、そして日米開戦まで、政治評論家として〈雄弁〉に時代を語り、戦時中は総合雑誌への執筆禁止という形で〈沈黙〉を余儀なくされ、戦後は新聞経営者として「書く場」を守りきったリベラリストの本格評伝。一九九七年度吉野作造賞受賞作。
  • ニセ札つかいの手記 - 武田泰淳異色短篇集
    4.0
    一日おきに三枚ずつ渡されるニセ札をつかうことで「源さん」との関係を保とうとする私。しかし、その「ニセ札」が「ニセ」でなかったとしたら……。ニセ物と本物の転換を鮮やかに描く表題作ほか、視覚というテーマをめぐる不気味な幻想譚「めがね」など、戦後文学の旗手、再発見につながる七作を収める。

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    3.3
    広告代理店で働く香純41歳。年下の恋人とともに、生保の不払い問題に対処する広告プロジェクトを手がけるが、思わぬ波紋が広がり、脅迫状まで――。
  • 文学的パリガイド
    4.0
    シャン=ゼリゼあるいはプルースト、パレ=ロワイヤルあるいはバルザック、モンパルナスあるいはボーヴォワール……24の名所・旧跡と24人の文学者をつないで描く、パリの文学的トポグラフィ。文学のエピソードから新しいパリが見つかる、鹿島流パリの歩き方。
  • 臨安水滸伝
    5.0
    南宋の都・臨安で漕運を営む夏家に、高位の宦官から極秘の依頼が舞い込んだ。「謀殺された将軍・岳飛の隠し資産を探してほしい」。ちらつく宰相・秦檜の影。年若き夏家三きょうだいの冒険が始まった。
  • 平成兵法心持。 新開ジムボクシング物語
    -
    ジムのトレーナー時代に著者が出会った怠惰で憶病な練習生達。彼らを、戦のない時代、暇に任せて刀を磨くばかりだった「武士」に重ね合わせ、闘いたい(が怖くて闘えない)男たちの心理に迫る。
  • 対談 日本語を考える
    4.0
    日本語研究の第一人者大野晋氏が、司馬遼太郎、辻邦生、大岡信、丸谷才一、梅棹忠夫、荒正人、大森荘蔵、加藤周の8氏と、日本語のあり方を縦横に語り合う。
  • 舌 天皇の料理番が語る奇食珍味
    3.5
    舌は味覚の器であり愛情の触覚でもある。半世紀以上を天皇の料理番として様々な食材を知り尽くした著者が、古今東西の箴言や寓意を織り交ぜながら、秘食・強精について大いに語り、イカモノ談義に華を咲かせる。また味と香りだけではなく歯切れや舌触りなどの触感に焦点をあてた名著。半世紀を経て復刊・初文庫化。
  • 昭和の戦争を読み解く 戦争観なき平和論
    5.0
    20世紀は昭和の時代であった。戦後に刻印された我々の記憶は本当に正しい20世紀像を結んでいるのであろうか。昭和史研究の第一人者である著者が、昭和の戦争、エポックメイキングな事件を再検証し、昭和という時代と昭和を生きた日本人の実像を、独自の視点から読み解く。
  • 骨肉
    3.8
    ある日、稲本家の三姉妹に父親から「実家に来い」と招集がかかった。すでに大人として、別々の人生を送っている娘たち。困惑しつつも、実家に集合した彼女たちを待っていたのは父と四女だった! 突然の隠し子登場に、唖然とする三姉妹だが……。家族関係の異変をユーモラスに描いた傑作。
  • 蟻地獄(上)
    -
    薬の行商を生業とする甚八は、町娘おるいに所帯を持ちたいと告白する。しかし彼の正体は阿修羅の仁兵衛を頭目とする盗賊団の一人だった。おるいのために足を洗うことを決意する甚八。一方、仁兵衛は一万両の金を強奪すべく、大店・大和屋に目をつける。押し込みの掟は皆殺し! これを最後の稼ぎと覚悟する甚八だが……。
  • パラレル 警視庁捜査一課・碓氷弘一2
    3.7
    横浜、池袋、下高井戸――。非行少年が次々に殺された。いずれの犯行も瞬時に行われ、被害者は三人組でかつ外傷は全く見られないという共通点が。一体誰が何のために? おなじみ碓氷部長刑事も広域捜査の本部にかり出されて……。警察、伝奇、武道、アクション……。今野敏がこれまで書き続けたジャンルを融合した、珠玉のエンターティンメント。堂々のサスペンス巨篇。
  • 逆立ちの世の中
    5.0
    世間に異議申し立てをし続けた日々をユーモラスに描き、 家族のことや悪戯三昧の学生時代を回顧。 伝説の反骨編集者の原点となるエッセイを初文庫化!
  • 般若心経  生まれ変わる
    -
    第1章 自由にものを見よう   第2章 世間の尺度を捨てよう 第3章 すべてのことにこだわらない   第4章 いまの「あるがまま」を受け入れよう   第5章 自分の「いい加減」を生きよう 終章 仏教はバスの時刻表である
  • 最後のひと
    3.5
    75歳になって、86歳のひとを好きになって、何が悪いの? 燿子がついに出会った「ぴったりな人」。 人生仕上げの情愛がもたらすものは――。 ベストセラー『疼くひと』で70代女性の性愛を描いた著者が、 実感を込めて後続世代に送る、希望の物語 奇跡の出会い、周囲の偏見、肉体的交わり、終活への備え…… 「人は老いても、毎日を幸せに生きる権利がある」を合い言葉に、 燿子と理一郎がとった選択は?
  • たまごだいすき
    3.0
    ※以下の作品は、『たまごだいすき』(電子版)には収録されておりません。 『たまごだいすき』(中公文庫)にのみ収録されていますのでご了承ください。  ・「フライパン問題と目玉焼き」江國香織  ・「親子の味の親子丼」東海林さだお  ・「卵焼きキムパプ」平松洋子 生卵は、王様みたいだった――西加奈子 ありふれているようで唯一無二の食材、たまご!  思い出の料理、忘れられない記憶、その姿が訴えかけてくる謎など、 多種多様なエッセイを読めば、 もっとたまごが好きになるはず。 ■電子版収録作品 「卵」辰巳芳子 「玉子」高山なおみ 「極道すきやき」宇野千代 「プレーンオムレツ」阿川佐和子 「おうい卵やあい」色川武大 「ピータンのタン」新井一二三 「未観光京都」「続・卵焼きサンド」「卵サンド、その後のその後」「たどり着いたほんものの味!」角田光代 「幸福の月見うどん」稲田俊輔 「卵料理さまざま」阿川弘之 「鏡タマゴのクレープ」「神父さんのオムレツ」「タイの焼きタマゴ」玉村豊男 「残り物の白身を使ってフリアンを」甘糟幸子 「温泉玉子の冒険」嵐山光三郎 「たまごを数式で表した偉人たち」小林真作 「冷凍食品の話」西村淳 「たまごシールとわたし」ひらいめぐみ 「卵酒」小泉武夫 「ゆで卵」鎌田實 「ジャンクスイーツの旅」「迷路の卵」若菜晃子 「塗り椀の卵 微妙に重い」片岡義男 「オフ・ア・ラ・コック・ファンタスティーク―空想半熟卵―」森於菟 「鶏卵」矢野誠一 「ねェねェ私のこと好き?」佐野洋子 「茹玉子」水野正夫 「スポーツマンの猫」堀江敏幸 「やんなった」千早茜 「ゆでたまご」向田邦子 「カイロの卵かけごはん」西加奈子
  • 疼くひと
    4.0
    脚本家・唐沢燿子は古稀をむかえ、日に日に「老い」を実感していた。そんなある日、SNSで年下の男と出会い、生活が一変する。忘れかけていた自分の「女」の顔に戸惑いつつ、いつしか身も心も溺れていく燿子。人生後半から燃え上がる大人の恋の行方は……。センシュアルで真摯なラブストーリー。 70代女性の心と身体のリアルを描き話題を呼んだベストセラーが、ついに文庫化!
  • ショローの女
    3.5
    新しい生活が始まった。 熊本―東京を行き来するあたしを待つのは、 愛犬(三歳)、植物(八十鉢)、学生たち(数百人)。 ハマる事象、加齢の実状、 一人の寂しさ、そして、自由。 老いの体感をリアルに刻む最新エッセイ。 熱く共感を集めて大好評の 『閉経記』『たそがれてゆく子さん』に続く 〈伊藤比呂美の今〉 週一で早稲田に通勤  こんやくにハマる  熱中症になりかける  鉢植えをどんどん買う  靴が合わない  ズンバに行かない  父の寂しさを思う  食べるのがめんどくさい  入浴剤に凝る  サンディエゴに帰る  オヤジたちに絶望する  『ボヘミアン・ラプソディ』礼讃  高齢者の運転を考える  しょうゆ味に回帰  仔猫を拾う  LINVEがおもしろすぎる  甘くない食パンが食べたい  姿勢が悪い  不安がひたひたと沁みてくる  ロボット掃除機を購入  友人にマスクを送る  空港への道を忘れた  車を買う  びんのふたが開けられない  学生とオンライン飲み会  母のコートを着る  譲渡犬のサイトを見る…………本書のエピソードより
  • 軒猿の娘
    3.0
    大人気シリーズ「剣神」の岩室忍が描く、痛切なる忍びの世界! 「鶴、信長を殺せ」若き女忍び逆鶴に託されたのは、軍神上杉謙信の密命。密命を果たさねば死、それが加藤段蔵率いる忍び衆「軒猿」の掟であった。謙信の密書を携え京へ向かった逆鶴は、足利義昭、近衛前久らとの邂逅を経て、ついに織田信長への接触を果たすが……。本能寺の変前夜、明智光秀の蜂起を歴史の裏舞台から描く! 文庫書き下ろし 目次 対馬谷の鶴/仏の胸/将軍義昭/設楽ヶ原/お化け公家/蛇石/軍神の死/乱丸/逆鶴の愛/小猿の死/黒坊主/大天主/五郎山/珠光小茄子/三職推任/白雲寺/本能寺/嵯峨野 文庫書き下ろし
  • 武田百合子対談集
    5.0
    武田泰淳没後まもなく行われた深沢七郎との長い対談。互いの若いころの思い出を語りあう吉行淳之介との対談、独り暮らしの日常を語る金井久美子・美恵子との対談、岸田今日子による『富士日記』についてのインタビューなど、生前行われた武田百合子のすべての対談を収める。金井姉妹の語りおろし対談「百合子さんのこと」を増補する。
  • ひとりは平気。だけど、君とは一緒にいたい
    3.0
    眠る前に読る一編で、毎日、幸せな夢を――。 ちゃんと仕事をして、好きなことにお金を使う。こんな日常に満足だけど、ふとした時、誰かと一緒にいる時間を想像したり……。 「そういえば、恋ってどんなものだっけ?」 無意識に呟いてしまった時、読んでほしい九編を集めました。 なくても困らないけど、あったらより楽しくなるときめき。 『5分でとろける恋物語 ときめきスイート編』改題
  • しりあがり寿版 瘋癲老人日記
    3.3
    77歳、元気ハツラツ!「今日ハオ爺チャン、ネッキングサセタゲマショウカ」――文豪・谷崎が〈老年の性〉を追究した晩年の最高傑作。挿絵・しりあがり寿。
  • AIに、恋の仕方を聞いてみた
    4.0
    「自動告白機みたいなのがありさえすれば」 『自動失恋慰め機の開発も待たれるな』 陸上部のエースに学園祭で告白したい浩太は、AI端末と夜な夜な計画を練る。一方、さくらは幼なじみの家に自分のコピー人格AIを送り込み、恋愛シミュレーションを図るが……。計算では万全なはずだったのに、現実の壁はあくまでも高い。AIがほんのり照らす不器用な主人公たちの未来。 『それをAIと呼ぶのは無理がある』改題
  • 田辺聖子の 万葉散歩
    5.0
    清らかな自然の美しさや人を恋うる心、夫婦の情愛、別れゆくこと……。千年変わらぬ人間の真情を歌うわが国最古の歌集・万葉集。かつて戦意昂揚のために利用された不幸な歴史を塗り替え、わかりやすい口語訳で、この歌集の真の魅力をあますところなく伝えるエッセイ集。万葉集入門最適の書。〈解説〉中 周子・酒井順子
  • 新装版 朱唇 中華妓女短篇集
    3.0
    莫迦にするんじゃあ、ないわよ――。金陵一と謳われた美妓の最期。血よりも濃い花街の絆。纏足をほどいた女の覚悟。唐から清へ、幾百年にわたる歴史の渦のなか、強く気高く自分の足で歩き続ける妓女たちの愛と矜持を描く全七篇。〈解説〉佐藤信弥 ◇目次 ・朱唇 ・背信 ・牙娘 ・玉面 ・歩歩金蓮 ・断腸 ・名手 ・新装版 あとがき ・解説 佐藤信弥
  • 日日雑記 新装版
    3.0
    十九年ともに暮らした愛猫の玉が死に、深沢七郎、大岡昇平ら友人たちを送った昭和最後の三年間。映画や食べ物、小旅行、富士山荘での暮らしなど、身辺のできごとや気持の照り降りを、簡潔で心に響く文章で綴った、著者最後のエッセイ集。 〈巻末エッセイ〉武田 花
  • 「般若心経」を読む
    3.0
    人はなぜ「生」に執着し「色」に執着するのか。幼少時代の誦読と棚経を回想、一休和尚や正眼国師(盤珪禅師)の訳や解釈を学び直し、原点から人間の性を見つめ直す。色と欲に煩悶した日々を顧み、生き身のありがたさ、女性は弥勒菩薩など独自の境地に辿り着く。愚かさを見すえ、人間の真実に迫る水上版「色即是空」。<解説>高橋孝次 「般若心経」全文 序 章 「まかはんにゃはらみたしんぎょう」 第一章 漢字「般若心経」にめぐりあう 第二章 正眼国師の『心経抄』と私 第三章 一切は「空」である 第四章 私版「色即是空」の世界 第五章 一休における「色即是空」の世界 第六章 死して百日紅や椿の花となる 第七章 不浄を美しいと思うときもある 第八章 六根・六塵の本体は無である 第九章 無明とは何か 第十章 四苦八苦を成敗するには 第十一章 のたうちまわって生きるしかない
  • よその島
    3.6
    長く人生を共に歩んでも、一緒には辿り着けない場所がある。 人は、自分にだって嘘を吐くのだから―― 七十代で離島へ移住を決めた芳朗と蕗子夫妻。友人の野呂と三人の共同生活は順調に滑り出すが……。 「たとえ殺人者でも、僕は妻を愛している」「そう、彼はおかしな顔で私を見ていた」 それぞれが抱える秘密、溶け合う過去と現実、倒錯する疑心と慈愛。 この島で彼らは何を目にし、何を知ることになるのか?  やがて謎が解けたとき、景色はがらりと反転する。 ミステリアスに展開する長編小説。
  • 絵葉書のように
    4.7
    『単行本未収録エッセイ集 あの頃』から、「武田泰淳との思い出」「歩く」「食べる」、三つのジャンルのエッセイを厳選。夫亡き後の長い時間のなかでゆっくりと発酵した夫や友人たちへの思い、街を歩き、見たもの、食べたもの、感じたことをそのまま、はっとするような文章で切り取ったエッセイ集。
  • 瀬戸内海の見える一軒家 庭と神様、しっぽ付き
    4.3
    東京でデザイナーになる夢が破れ、祖母の遺した家に引っ越してきた加乃。そこへ転がり込んできたのは、伏見から家出してきた稲荷狐だった。新天地でのリスタート同士の一人と一匹だが、土地の龍神の少女が言うことには、ここ愛媛県松山市は昔から狸が支配する地で稲荷狐なんて見つかったら命はないという。いきなり波乱の新生活の行方は――!?
  • 華国神記1 名を盗られし神は少女となりて
    完結
    4.7
    全3巻858~924円 (税込)
    下級官吏・鄭仲望の前に現れた少女は、神虎を操り、尊大な態度で、自分は《真名》を奪われた神・春蘭と名乗る。名を盗んだのは仲望の兄・玄楽だと主張するが、兄は四年前に死んでいた。 同じ頃、都では妖が良家の子女を襲い殺す事件が発生。禁軍が出勤し、街を守る龍乎も神経を尖らせていた。そんな中、春蘭はある姉妹を助けたことから、仲望ともども思わぬ事態に巻き込まれていき――? 元神様の少女が活躍する異色の中華ファンタジー!
  • どくとるマンボウ航海記 増補新版
    4.3
    海外渡航が稀少だった昭和三〇年代、水産庁の調査船に船医として乗り込んだ若きマンボウ先生。アジアから欧州をめぐる約半年の船旅を、のびやかな詩情と軽妙な文体で綴り、一躍人気作家となった。戦後ユーモアエッセイの地平をひらいた記念碑的作品に、航海中の写真、エッセイ「傲慢と韜晦」などを収録した増補記念版。〈解説〉なだいなだ
  • 流人道中記(上)
    完結
    3.8
    日本中から感嘆の声、続々。 『壬生義士伝』『一路』の浅田次郎、最高の感動作。 万延元年(1860年)。姦通の罪を犯した旗本・青山玄蕃に奉行所は切腹を言い渡す。だがこの男の答えは一つ。「痛えからいやだ」。玄蕃は蝦夷松前藩へ流罪となり、押送人の見習与力・石川乙次郎とともに奥州街道を北へと歩む。口も態度も悪い玄蕃だが、道中行き会う事情を抱えた人々を、決して見捨てぬ心意気があった。この男、本当に罪人なのか?
  • 新装版 クレィドゥ・ザ・スカイ Cradle the Sky
    4.5
    1巻858円 (税込)
    昔のことは覚えていない。未来のことも知らない。今は、たしかにここにある――墜落によって負傷した「僕」は、病院を抜け出して「彼女」のところへ向かう。平穏な暮らしを夢見る「彼女」と空に戻る日は来ないと予感する「僕」は地上を逃げる。翼を失った永遠の子供・キルドレの物語。 〈解説〉押井守 巻末著者インタビュー〈聞き手〉清涼院流水
  • 新装版 桃花源奇譚1 開封暗夜陣
    完結
    4.2
    不老不死の伝説が眠る郷・桃花源。その謎を解く鍵は、旅芸人の少女・宝春にあった。不死の力を求める者たちに狙われた宝春は、生き別れの母を探す貴公子・戴星、天命を与えられた秀才・希仁に救われる。三人の出会いは、国を揺るがす壮大な冒険の始まりだった。中華歴史ファンタジー、ここに開幕!(全四巻)
  • わたしたちの秘密
    -
    村山由佳氏、おすすめ! 「作家・中江有里の真摯な声が聞こえてくる。人生からは逃げられない、けれど人は変われる、と」 30歳の大倉玉青は、人材派遣会社に登録し大手通信系企業の受付として働いている。大学時代は、演劇サークルに所属していた。愛読書の『走れメロス』をバッグに放り込み、苦行のような満員電車に乗り職場へ通うのは、ただ生活のためだけだ。その生活が空虚で、何のために生きているのかわからない。彼女は、5年前の自らの選択が生んだ「秘密」を抱え、それに関わる者の存在を「希望」と感じながら、ただ日々を過ごしていた。 そんなある日、劇的な邂逅から生活が急転。玉青は思う。この出会いを、わたしは信じていいのだろうか――。 女優・作家・歌手として多彩な才能を見せる著者が、二人の女性の交錯を軸に現代的テーマに迫った、温かでミステリアスな物語。 『トランスファー』改題。 【目次】 同じ夢 極夜 世界は広い 振り向かない男 話してくれて嬉しかった おやすみ 洋海 再びの夢 まだ、生きている まだ死ねない 痕跡  〈巻末対談〉松井五郎(作詞家)×中江有里         歌手活動の再開は、この小説がきっかけだった
  • 御蔵入改事件帳 消えた隠居資金
    -
    寛政の改革を主導したものの失脚した、元老中の松平楽翁(定信)が立ち上げた幕府の新たな探索組織・御蔵入改。「お蔵入り」した難事件や奉行所・火付盗賊改が取り上げない事件に挑む五人組のもとに、新たな依頼者が現れた。御家人の本郷竹次郎によれば、決して裕福ではない周囲の者たちが老後に備えて貯えていた銭金を、新たに発見された甲斐金山の採掘資金を募る「信玄講」という集団に騙し取られたというのだが……(「消えた隠居資金」)。 表題作のほか、古典落語に材を取った「千両みかん」など全四篇を収録。 【目次】 第一話 切り裂き内蔵助 第二話 千両みかん 第三話 不幸を呼ぶ大黒像 第四話 消えた隠居資金
  • 冴子の東京物語
    3.6
    長距離の長電話が好きな著者が「電話代より部屋代が安い」と気づいて始めた東京でのひとり暮らし。 コールサインが鳴り響き、楽しくも賑やかに過ぎていく。 将来を案ずる両親への葛藤、友人との尽きない話。 本を読んでひとり芝居し、天井を帚で突き破って方違え……。 才気溢れる若き小説家が愛と怒りと笑いを交えて綴る傑作エッセイ。 〈解説〉青山美智子
  • 新装版 孤闘 立花宗茂
    3.8
    知勇にすぐれる戸次道雪の娘誾千代と縁づいたことで、立花宗茂の「戦国九州三国志」が始まった――。大友家臣としての島津家との死闘、豊臣秀吉政権下での朝鮮従軍を経て、関ヶ原へ。誾千代との葛藤の中で奮闘し、天下人に「剛勇鎮西一」と恐れられた稀代の猛将の懊悩を精緻に描いた、第十六回中山義秀文学賞受賞作。 【目次】 第一章 鳳雛の籠 第二章 名門の盾 第三章 生の攻防 第四章 新しき枠 第五章 異国の風 第六章 天下騒擾 終 章 失地回復  新装版あとがき  解説 末國善己
  • 大人になったら、
    3.9
    三十五歳の誕生日を迎えたメイ。「いつから彼氏いないんですか?」「何が目標なんですか?」――失礼な後輩に憤慨しつつも、カフェの副店長として働く日々はそれなりに充実している。毎日同じメニューを頼むお客さんも、そんな日常の一部だったのだけど……。久しぶりの恋に戸惑う、大人になりきれない私たちの恋愛小説。〈解説〉渡辺雄介
  • ニセ姉妹
    3.8
    正子・35歳・シングルマザー、気が合う人と「姉妹」生活。 阿佐ヶ谷姉妹さんとの鼎談収録。 「身内じゃないって、心地いい!ニセモノでも姉妹になれば、あら楽し~」 正子・三十五歳・シングルマザー。浮気した夫と離婚後、姉・衿子と妹・園子と共同生活するも息苦しさを感じていた。そこに友人・百夜(愛人顔)とあぐり(型破り)が転がり込んで、正子の心に風が吹く。気が合う人と「姉妹」になって暮らしたい――ニセモノがいつか本物になる、家族のメンバーチェンジ物語。〈鼎談〉阿佐ヶ谷姉妹×山崎ナオコーラ 『偽姉妹』より改題。
  • 朝嵐
    3.4
    齢十七で九州を平定。 島流し先を支配して叛逆。 弓矢だけで軍船を撃沈。 名を源鎮西八郎為朝。 この男こそ日本史上最強。 「こやつは武士として使い物にならぬ」。その一言が男を怪物へと変貌させた。源八郎為朝。異常な弓の鍛錬を続けたこの男は、父に送りこまれた九州を齢十七で平定し、「鎮西八郎」と呼ばれ日ノ本を震撼させた。やがて巻き起こる天下を二分する保元の乱。為朝の前に立ちはだかるのは平清盛、そして唯一彼が恐れた兄・源義朝であった。 源平の時代を駆け抜けた最強の武士の生涯を描く、驚愕の弓豪歴史小説!
  • 窓辺の風 宮城谷昌光文学と半生
    -
    中国歴史小説の大家はいかにして古代中国史と出会い、それを舞台した小説を書くに至ったのか。生い立ちから若き日の文学修業、そしてデビューまでの長い道のりを描く『読売新聞』連載「時代の証言者」に、自身が補遺した「おまけの記」、書き下ろし特別エッセイ「私見 孔子と『論語』」を収録する。
  • 孟嘗君と戦国時代
    4.0
    古代中国の大国、斉に生まれた孟嘗君は「鶏鳴狗盗」の故事で名高い。多様な力が国と人とを動かす波瀾の時代に、智慧と誠実さを以て燦然と輝く存在であった孟嘗君を通して戦国時代を読み解く。書き下ろしエッセイ「回想のなかの孟嘗君」を付す。〈中公新書『孟嘗君と戦国時代』改版〉
  • 異常探偵  苺さん殺人事件
    3.0
    スーパーのレジ打ち主婦とへっぽこ美青年の捜査劇!? ある夜、禁忌の性癖を抱えた女性「苺さん」の遺体が発見された。警察は自殺と処理する中、異常事件専門のプロ(?)達が動き出す。被害者、犯人、追っ手もみんな〝異端者〟で……笑いと背徳の先に、優しく涙が胸を打つ、新しい探偵物語。『異常探偵 宇宙船』より改題。短篇「街のお墓」収録。 「無職ということですか?」 「無職? バカな。無職の少年探偵なんて居ないでしょ? 少年探偵なんだから、仕事は少年探偵ですよ。だから無職じゃないでしょ?」 (本文より)
  • 新装版 奇貨居くべし(一) 春風篇
    4.3
    秦の始皇帝の父ともいわれる呂不韋。一商人から宰相にまでのぼりつめたその波瀾の生涯を描く。十五歳の少年・不韋は、妾腹の子であるため、家にあっても孤独で、確たる未来を描けないまま日々を送っていた。ある日、父の命により従者・鮮乙とともに旅に出ることになったが……。【全五巻】
  • 初女お母さんの愛の贈りもの おむすびに祈りをこめて
    5.0
    人のこころを解きほぐし、生きる力を与えるおいしい食事を、そっと差し出したい――。 そう願った佐藤初女さんが主宰した青森・岩木山麓の「森のイスキア」には、悩みや迷いを抱えた人が数多く訪れ、心のこもった手料理を一緒に食べて、生きる力を取り戻していった。 「初女さんのようなおむすびをつくりたい」という多くの人々に請われて各地で講演やおむすび講習会を開き、食の大切さを伝えていた初女さんが、料理のし方や心遣いを丁寧にわかりやすく語り尽くしたエッセイ。 食材を「いのち」ととらえ、いのちがささやく物語に耳を澄ませた著者ならではの“発見”が詰まった一冊。 おむすび、かぼちゃの煮物、ほうれん草のおひたし、ポテトサラダ、煮豆、りんごのコンポートなど、料理の作り方も多数紹介。 〈解説〉若松英輔 〈目次〉 1章 おむすびに心を尽くして/2章 いのちをいただく料理/3章 お母さんの手が伝えるもの/4章 病む人の心に寄り添うとき/5章 料理をすることが祈ること
  • 江戸落語事始 たらふくつるてん
    -
    口下手の甲斐性なしが「江戸落語の始祖」!? 覚えなき殺人罪で京から江戸に追われた鹿野武左衛門。仇討ちの恐怖に怯える中、馬鹿咄をする才を見いだされ、崖っぷち人生が変わっていく。将軍綱吉による激しい言論弾圧やコレラの騒乱に抗い、命を賭して〝笑い〟を届けた伝説的咄家の知られざる物語。『たらふくつるてん』より改題。
  • 新装版 汝の名
    3.6
    三十代の若さで事業に成功し、誰もが憧れる優雅な生活をおくる麻生陶子。だが、その美貌とは裏腹に、「理想の人生」を手に入れるためには、恋も仕事も計算し尽くす人間だ。その陶子には、彼女を崇拝し奴隷の如く仕える妹の久恵がいた。しかし、ある日、この歪んだ姉妹関係が崩れ始め、驚愕の真実が明らかになっていく……。〈解説〉大矢博子
  • 千の扉
    3.8
    築四十年、三千戸を超す都営住宅の一室で、夫・一俊と暮らし始めた千歳。その部屋の主である一俊の祖父に頼まれ、千歳は「高橋さん」という人物を探し始めるが……。存在も定かでない「高橋さん」を探すうち、ここで暮らす人々の記憶と、戦後から七十年の土地の記憶が緩やかにひもとかれていく。〈解説〉岸政彦
  • 光ってみえるもの、あれは
    3.7
    ああ、やっぱり僕は早く大人になりたい--友がいて、彼女がいて、ちょっぴり規格はずれの「家族」がいて……生きることへの小さな違和感を抱えた、江戸翠、十六歳の夏。みずしい青春の物語。
  • 女と文明
    4.1
    「男と女の、社会的な同質化現象はさけがたい」――今や当たり前にも思えることを六十年前に民族学者の立場から徹底的に論じた梅棹忠夫。発表するや賛否両論の大反響を巻き起こした「妻無用論」「母という名のきり札」を含む慧眼の書。有賀薫氏、酒井順子氏、花田菜々子氏推薦。 〈解説〉上野千鶴子 【目次】 まえがき 女と文明 アフガニスタンの女性たち   タイの女性たち 家庭の合理化 妻無用論 母という名のきり札 家事整理の技術について――家事整理学原論Ⅰ   すてるモノとすてられないモノ――家事整理学原論Ⅱ あたらしい存在理由をもとめて 女と新文明 情報産業社会と女性 『女と文明』――追記 解説 「妻無用論」から半世紀をへて  上野千鶴子
  • 夢の上 夜を統べる王と六つの輝晶1
    完結
    4.8
    六つの輝晶は、叶わなかった六人の夢。王に謁見した夢売りの掌の上、翠輝晶はその花片を開き、語り始める。ささやかな幸せを願いながらも死影に憑かれてしまったアイナの、宮殿を追われた王子アライスとの出会いから始まる壮大な夢を。そして蒼輝晶は望むものすべてを手に入れてきた男の唯一の夢を……『煌夜祭』『叡智の図書館と十の謎』の多崎礼が贈る極上のファンタジー! 【全三巻】 C★NOVELS『夢の上』より改題
  • 愛のうた
    4.0
    謎だから知りたい。分かりたい。人の心があたため続けている「愛」を――。近代短歌から、生まれたばかりの新鮮な現代短歌まで、五七五七七のリズムで詠まれる愛のうた。人間のいとなみのなかで生まれた古今の短歌三〇〇首が、名手の読みときで鮮やかに輝く。 『鼓動のうた 愛と命の名歌集』を改題。 〈巻末対談〉西加奈子
  • 夏なんてもういらない
    4.1
    1巻858円 (税込)
    「私はあなたが好きです」 日本語の例文みたいな告白だった。 彼に告白する言葉は、もっと別のものにするつもりだった。 十二年に一度の秘祭「潮祭」が開かれる夏。高校生の深冬は片想い相手の優弥とともに、彼の故郷・潮見島へ向かう。普通の大学生だと思っていた優弥は、皆から慕われる祭司という、深冬の知らない顔を持っていた。そして島には、絶対にかなわない恋敵がいた。恋に、将来に囚われる少女がとった、全てをぶち壊す選択とは? 夏が好きになれないあなたに捧ぐ〝反〟青春小説 『潮風エスケープ』を改題。

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