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晩夏 少年短篇集
「敵はおみかん食べている」 男と女が二人だけで山の中で蜜柑を食べている以上、きっと何事か始まるに違いないと思った――。(「白い街道」より) 若い男女を「敵」と見なして偵察するたわいない遊び、美しい少女への憧れ、そして覚えず垣間見た大人の世界……。誰もが通り過ぎるが、二度と帰れない〝あの日々〟の揺らぐ心を鋭敏な感性でとらえた、叙情あふれる十五篇。表題作ほか「少年」「帽子」「赤い実」など教科書名短篇を含む、文庫オリジナル・アンソロジー。〈巻末エッセイ〉辻 邦生・椎名 誠 【目次】 少年/蜜柑畑/滝へ降りる道/晩夏/投網/帰郷/黙契/白い街道/颱風見舞/ざくろの花/ハムちゃんの正月/馬とばし/帽子/魔法壜 〈巻末付録〉赤い実/少年に与える言葉(随筆) -
ほのぼの路線バスの旅
バスが大好き――。路線バスで東京を出発して箱根を越え、東海道を西へ、もっと西へ。山陽道をぬけて熊本、鹿児島まで。いい景色、いい飲み屋、いい人びととの出会い。ゆるり、ぶらり、ふらふら、コミさんのノスタルジック・ジャーニー。 〈巻末エッセイ〉戌井昭人 ■目次 バスが大好き 十年越しの東京湾ぐるり旅 東海道中バス栗毛 酒匂 小田原遠からず/行こか戻ろか 箱根のお山/ 右手に富士 左手に海を/京都三条は終着点 出発点 山陽道中バス栗毛 海の幸を供に山陽路をいく/ふるさとの山はかわってた/ おもいでの海に抱かれて 山陽道から火の国へ 海峡の橋をわたって/二十年かけて着いた南の町 あとがき 西へ西へとバスで 〈巻末エッセイ〉今でもバスに乗るたびに 戌井昭人 -
宇宙からの帰還 新版
宇宙から地球を見る。この極めて特異な体験をした人間の内面には、いかなる変化がもたらされるのか。 十二名の宇宙飛行士の衝撃に満ちた内的体験を、卓越したインタビューにより鮮やかに描き出した著者の代表作。 宇宙とは、地球とは、神とは、人間とは――。知的興奮と感動を呼ぶ、壮大な精神のドラマ。 〈巻末対談〉野口聡一×立花隆 〈巻末エッセイ〉毛利衛 【目次より】 宇宙からの帰還 第一章 上下・縦横・高低のない世界 第二章 地球は宇宙のオアシス 神との邂逅 第一章 伝道者になったアーウィン 第二章 宇宙飛行士の家庭生活 第三章 神秘体験と切手事件 狂気と情事 第一章 宇宙体験を語らないオルドリン 第二章 苦痛の祝賀行事 第三章 マリアンヌとの情事 政治とビジネス 第一章 英雄グレンとドン・ファン・スワイガート 第二章 ビジネス界入りした宇宙飛行士 第三章 宇宙体験における神の存在認識 宇宙人への進化 第一章 白髪の宇宙飛行士 第二章 宇宙体験と意識の変化 第三章 宇宙からの超能力実験 第四章 積極的無宗教者シュワイカート -
俳句の五十年
子規との出逢い、漱石との思い出、のちに俳風をめぐり対立した畏友、碧梧桐への敬愛――。退学と転校を繰り返した青春時代、引き継いだ「ホトトギス」の経営苦難など迷走と模索をし続けた日々と森鴎外、幸田露伴、黒岩涙香、柳田國男などとの交遊を振り返る。一九四二年、中央公論社から刊行された知られざる自伝を初文庫化。〈解説〉岸本尚毅 目次より「同窓学誌」と碧梧桐 ベース・ボールと子規 第三高等中学校入学 碧梧桐上洛して同宿 復校後第二高等中学校に転ず 間もなく退学決行 「小日本」の廃刊 藤野古白の自殺 子規の委嘱を辞退 鴎外との関係 露伴と私 漱石と宮島に 湖南の新婚旅行 万朝報入社 「ホトトギス」を主幹 子規の死 文章熱の勃興 国民新聞に入る 碧梧桐派と虚子派 松山時代の漱石 ヨーロッパの旅 俳句の翻訳 日本俳句作家協会の結成 選者生活五十年 善悪良否の標準 文章の誘惑 -
十六夜荘ノート
英国でこの世を去った大伯母・玉青から、高級住宅街にある屋敷「十六夜荘」を遺された雄哉。思わぬ遺産に飛びつくが、大伯母は面識のない自分に、なぜこの屋敷を託したのか? 遺産を受け取るため、親族の中で異端視されていた大伯母について調べるうちに、「十六夜荘」にこめられた大伯母の想いと、そして「遺産」の真の姿を知ることになり――。誰も信じず仕事だけをしてきた雄哉に託された「想い」とは――? 文庫化を望む声多数! 古内一絵の人気作が登場! -
最後の帝国海軍 軍令部総長の証言
山本五十六戦死後に連合艦隊司令長官をつとめ、最後の軍令部総長として戦艦大和の水上特攻など断末魔の帝国海軍の各作戦を命令した海軍大将が語った貴重な記録。そこに描かれた海軍内部の生々しいやりとりから見えてくる「海軍の失敗の本質」とは何か。 -
北壁の七人 カンチェンジュンガ無酸素登頂記
数々の危険な登山に成功し、最期は山に消えた小西政継。隊長としてヒマラヤ・カンチェンジュンガ(八五九八メートル)の最難関ルートである北壁の無酸素登頂を世界で初めて成功させる。その企画段階から登頂成功までの悪戦苦闘の一部始終を綴ったノンフィクション。山の素晴らしさ、恐ろしさを迫真の筆致で描く一冊。 -
小泉今日子書評集
2005~14年『読売新聞』に掲載された書評、97本を収録。 久世光彦が「その本が読みたくなるというところが、何よりもすばらしい」と称えた、すぐれた読書案内であるとともに、文章からその時々の著者の心象風景が浮かび上がり、エッセイ集としても楽しめる一冊。 特別インタビュー「読書委員の十年間を振り返って」も収録。 -
明治のナイチンゲール 大関和物語
NHK朝ドラ「風、薫る」原案! 明治時代、「カネのために汚い仕事も厭わず、命まで差し出す賤業」と見なされていた看護婦。家老の娘に生まれながら、この「賤業」につき、生涯をかけて看護婦の制度化と技能の向上に努めた大関和。和は離婚して二人の子を育てる母親でもあった。和とともに看護婦となり、彼女を支え続けた鈴木雅もまた、二人の子を持つ「寡婦」であった。これは近代日本において、看護婦という職業の礎を築いた二人のシングルマザーの物語である。 【目次より】 ●第一章 故郷黒羽 家老の娘/「嫁田」の友/田打桜/物言う嫁 ●第二章 鹿鳴館 パン・ペルデュ/牧師植村正久/鉄道馬車に乗って/「看病婦」と「看護婦」/婦人慈善市/大山捨松からの誘い/リディア・バラの決意/メアリー・トゥルー/横浜の貧民窟/鄭永慶の最期 ●第三章 桜井看護学校 「東の慈恵」「西の同志社」/校長矢島楫子/断髪の新入生/広瀬梅の苦学/『Notes on nursing』/火屋磨き/「不義の子」/病院実習/「器械出し」の名人/花魁心中騒動/「泣キチン蛙」/トレインド・ナースの誕生 ●第四章 医科大学附属第一医院 「白衣の天使」/松浦里子と本多銓子/「我朝のナイチンゲールとならん」/医師との軋轢/「求めよ、さらば与えられん」 ●第五章 越後高田「知命堂病院」 高田女学校/廃娼演説会/木下尚江との出会い/瀬尾原始との再会/心の夢/鈴木雅、天然痘と戦う/日本初の派出看護婦会/婦人矯風会の授産施設/赤痢の村へ/村人たちの抵抗/「避病院」の改良/国恩と信仰/日清戦争と看護婦/「衛生園」にかけた夢/岡見京との邂逅/梅と「ルツ子」/車上の花見/慈愛館の昼餉 ●第六章 東京看護婦会 派出看護婦会の乱立/後藤新平との約束/監獄署へ通う/木下尚江からの求婚/相馬愛蔵の誠意/遊郭から逃げた少女/『派出看護婦心得』/心の死/箱根への隠遁/鈴木雅の引退/「貴官の剣を貸し給え」/『婦人従軍歌』/六郎の結婚/慰問袋運動 ●第七章 大関看護婦会 復彦との再会/炊き出しでの出会い/「生まれては苦界、死しては浄閑寺」/大関看護婦会/六郎の客死/内務省「看護婦規則」/大山捨松、スペイン風邪に倒れる/鈴木雅との別れ/関東大震災 ●おわりに -
鎮守の森 増補版
日本人はなぜ森に惹かれるのか――? 自然災害や空襲にも耐え、人々を守ってきた鎮守の森は、どのような植物で構成されているのか。なぜ数百年も人の手を借りず生き延びてきたのか。 国内外でその土地ごとの自然環境に応じて成長する「潜在自然植生」を調査し、植樹法を指導して森林の再生を担ってきた植物学の世界的権威が、日本の「ふるさとの木によるふるさとの森」の重要性について解説する。 曹洞宗の板橋興宗師との対談に、哲学者・梅原猛氏との30年越しの対談2篇を増補し、日本のふるさとの森の姿や日本人の精神性について思索を深める。 【解説】中村桂子 -
あとは司直の判断に委ねます 私設秘書 真野正司
与党議員の政治的スキャンダルを立て続けに暴き、「国会のトマホーク」の異名を持つ衆議院議員・荒岩光輝に憧れた真野正司は、荒岩の私設秘書となる。ある日、地元選挙区に向かう新幹線の喫煙室で、荒岩が若い男とともに死亡。荒岩はロシア諜報機関に協力して情報を集めていたが、ウクライナ侵攻を批判する発言が元で暗殺されたのではないかという噂が広がり、疑問を抱いた真野が調査を進める。すると、新興宗教教団からの怪しい寄付金や総務省が絡む政治資金の不正還付など、さまざまな疑惑が持ち上がる。真野は、学生アルバイトの樽見、ロシア人貿易商イワンと協力して真相に近づいていく。新幹線内での殺人に隠された意外なトリックとは? -
知覧からの手紙 新版
あなたの幸を希う以外に何物もない――。鹿児島県知覧の特攻隊基地から飛び立った穴沢利夫少尉。二十三歳で散った法学徒が婚約者・智恵子へ宛てた便りには愛する者への一途な思いと純粋な真情が綴られていた。戦後六十年以上を経て、婚約者が語り尽くした、あの時代の現実とある愛のかたちとは。全面改稿を施したロングセラーの新版。 【目次】 まえがき 第一章 出会い 図書館から戦場へ 第二章 覚 悟 マフラーになりたい 第三章 婚 約 たった一晩の子守唄 第四章 特 攻 あなたをたどる旅 生きる時代は選べない――新潮文庫版あとがき 新版あとがき -
サバイバル家族
「俺は今後できるだけ庭でウンコする」 サバイバル登山家と型にはまらぬ家族たちが都会の片隅で狩る・飼う・捌く! いきなり野糞宣言する父、大ネズミの唐揚げを作る母、長男は受験失敗、次男のニート化、可愛いニワトリを絞める末娘……服部家の行く末は? 日常の悩みを撃ち落とす爆笑繁殖エッセイ 〈巻末付録〉角幡唯介との対談「探検家の家族はつらいよ!?」 -
午後三時にビールを 酒場作品集
求めたものは一杯の冷たい麦酒(萩原朔太郎)、呑まぬくらいなら蕎麦屋へは入らぬ(池波正太郎)、おしまいにひとロライスカレー(向田邦子)。酒友との語らい、行きつけの店、思い出の味……。銀座、浅草の老舗から新宿ゴールデン街、各地の名店まで酒場を舞台にしたエッセイ&短篇アンソロジー。 文庫オリジナル ■目次 虚無の歌 萩原朔太郎 【酒友のいる風景】 はせ川(井伏鱒二) 中原中也の酒(大岡昇平) 青春時代(森敦) 酒の追憶(太宰治) 酒のあとさき(坂口安吾) 池袋の店(山之口獏) 音問(檀一雄) 詩人のいた店(久世光彦) 後家横町/酒のこと(小沼丹) 【行きつけの店】 タンタルス(内田百閒) 藪二店(池波正太郎) 私と浅草/札幌の夜(吉村昭) 鯨の舌(開高健) 「ままや」繁昌記(向田邦子) ほろ酔いの背に響く潮騒(安西水丸) 新宿飲んだくれ/焼酎育ち(田中小実昌) 【文士の集う場所】 「ぼるが」に集う人人(石川桂郎) 昼間の酒宴/ある酒場の終焉(寺田博) 深夜の酒場で(中上健次) バーの扉を開けるとき(島田雅彦) てんかいそうろう(戌井昭人) 【酒場に流れる時間】 海坊主(吉田健一) 幻想酒場〈ルパン・ペルデュ〉(野坂昭如) 花の雪散る里(倉橋由美子) ゆうすず(松浦寿輝) -
崖っぷち芸人、会社を救う
雇用条件 給料は準社員待遇(月給二十万円 社会保険完備) 勤務内容:売場での通常勤務、催事スペースでのライブ出演 休暇:週休二日制 オーディション休暇あり スーパー・エブリの社員・樫村栄治に社長から与えられた指令。それはバイトのお笑い芸人たちで「実業団」を結成し、ブレイクさせること!? 初めはやる気ゼロだった栄治もお客さんの笑顔を見て次第に気持ちが変わっていく。そんな最中、エブリ上層部に会社乗っ取りの動きが。経営存続の如何は芸人たちの手に託された! 夢と現実の間で悩むすべての人に捧ぐ感動作。 『夢は捨てたと言わないで』を改題 笑いには、敵を味方にする力がある。 笑いには、人をひとり救う力がある。 そう。おもろいは、正義だ! -
九十歳、イキのいい毎日
陽気は美徳、陰気は悪徳を信条に九十八歳の天寿を全うした小説家・宇野千代。毎日、机の前に座り、食事を作り、週に一日だけ大好きな麻雀に興じる。八十三歳から最晩年まで、前向きでイキのいい毎日を綴った随筆選集。「私の文章作法」「私の発明料理」も収録。〈巻末付録〉瀬戸内寂聴/藤江淳子 【目次】 暮しの中の私(83歳~90歳) 暮しの中の私/私はいつでも忙しい/ちょっとイカス話/私の晩年/嬉しさ余って大狼狽/私の昭和史とは 愉しい好きなことだけを(90歳~97歳) よい天気/自慢の種がひとつ減った/私はぞっとした/私はしあわせ、昔もいまもこれからも…/陽気は美徳、陰気は悪徳/この秋で私は満九十一歳/私は夢を見るのが上手/愉しい好きなことだけを/気に入った笑顔/人生とは、行動すること/欲望の整理/ごく自然に/待つことの人生/私と麻雀/好きな人が出来たときが適齢期/自然だけではなく人間も変った/天狗久と私 私の文章作法 小説は誰にでも書ける/文章を書くコツ/気持のよい文章 私の発明料理 巻末付録 弔辞(瀬戸内寂聴)/宇野千代と歩いた花吹雪人生36年(藤江淳子) -
天使も怪物も眠る夜
めくるめく未来版「眠り姫」の物語 ――吉田篤弘が挑む、かつてない群像劇! 2095年、東京は四半世紀前に建てられた〈壁〉で東西に分断されていた。曖昧な不安に包まれた街は不眠の都と化し、睡眠ビジネスが隆盛を誇っている。 そんな中、眠り薬ならぬ覚醒タブレットの開発を命じられた青年・シュウは謎の美女に出会い――。 文庫版特典として、「あとがき」と「もうひとつのエピローグ」を収録。 〈螺旋プロジェクト〉の1冊としても話題! 【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みができます】 ※〈螺旋プロジェクト〉とは―― 「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家=朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画 〈螺旋〉作品一覧 朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』 天野純希『もののふの国』 伊坂幸太郎『シーソーモンスター』 乾ルカ『コイコワレ』 大森兄弟『ウナノハテノガタ』 澤田瞳子『月人壮士』 薬丸岳『蒼色の大地』 吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』(本作) -
蒼色の大地
薬丸岳の新境地。 壮大なスケールで贈るエンタメ巨編! 〈螺旋プロジェクト〉明治編。 時は明治。幼なじみであった新太郎、灯、鈴の三人はそれぞれの道を歩んでいた。新太郎は呉鎮守府の軍人に、灯は瀬戸内海を根城にする海賊に、そして鈴は灯を探し、謎の孤島「鬼仙島」に辿り着く。交わることのない運命に翻弄され、三人はやがてこの国を揺るがす争いに巻き込まれていく。 友情、恋慕、嫉妬、裏切り――戦争が生む狂気の渦の中で、三人の運命が交錯する。 【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みを読むことができます】 ※〈螺旋プロジェクト〉とは―― 「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画 〈螺旋〉作品一覧 朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』(本作) 天野純希『もののふの国』 伊坂幸太郎『シーソーモンスター』 乾ルカ『コイコワレ』 大森兄弟『ウナノハテノガタ』 澤田瞳子『月人壮士』 薬丸岳『蒼色の大地』 吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』 -
シーソーモンスター
バブルに沸く昭和後期。一見、平凡な家庭の北山家では、元情報員の妻宮子が姑セツと熾烈な争いを繰り広げていた。(「シーソーモンスター」) アナログに回帰した近未来。配達人の水戸は、一通の手紙をきっかけに、ある事件に巻き込まれ、因縁の相手檜山に追われる。(「スピンモンスター」) 時空を超えて繋がる二つの物語。「運命」は、変えることができるのか――。 【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みを読むことができます】 ※〈螺旋プロジェクト〉とは―― 「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画 〈螺旋〉作品一覧 朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』 天野純希『もののふの国』 伊坂幸太郎『シーソーモンスター』(本作) 乾ルカ『コイコワレ』 大森兄弟『ウナノハテノガタ』 澤田瞳子『月人壮士』 薬丸岳『蒼色の大地』 吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』 -
開化の殺人 大正文豪ミステリ事始
阿片に溺れた友人の謎、遺書が語る恋と殺人、妻への妄執が生む惨劇――。江戸川乱歩が「大正期文壇の一角に燃え上がった、かくの如き犯罪と怪奇への情熱」と評した幻のミステリ特集号、「中央公論」秘密と開放号(大正七年七月臨時増刊)を現代に復刻。七編の創作と佐藤・乱歩の随筆を収録したアンソロジー。〈解説〉北村 薫 ◆目次 ・一般文壇と探偵小説/江戸川乱歩 ・指紋/佐藤春夫 ・開化の殺人/芥川龍之介 ・刑事の家/里見弴 ・肉屋/中村吉蔵 ・別筵/久米正雄 ・Nの水死/田山花袋 ・叔母さん/正宗白鳥 ・「指紋」の頃/佐藤春夫 ・解説 大正七年 滝田樗陰と作家たち/北村 薫 -
本牧亭の灯は消えず 席亭・石井英子一代記
日本最後の講談定席として惜しまれつつ平成二年に休場した東京・上野の本牧亭。その席亭を務めた著者が四十二年間の軌跡を振り返る。家族ぐるみで交流した芸人達の素顔、伝統話芸を守らんと試行錯誤を重ねた日々。江戸っ子の爽やかな人柄がにじむ「おかみさん」奮闘記。 目 次 序 章 雪の夜の楽屋 第1章 生い立ち 第2章 娘時代の私 第3章 戦中から戦後にかけて 第4章 本牧亭再興 第5章 寄席の経営 第6章 父のこと 第7章 『巷談本牧亭』のこと 第8章 中国旅行 第9章 鉄筋ビルの寄席に 第10章 休席の顚末 第11章 講談の灯は消さない 第12章 人との縁 終 章 幸せな星の下に あとがき 文庫版あとがきにかえて 清水孝子 年 表 本書に登場する主な講釈師たち 〈対談〉本牧亭がつないだ講談の昔と今 宝井琴調×神田伯山 〈解説〉客と演者とおかみさん――本牧亭をめぐる人間模様 長井好弘 人物索引 -
文壇放浪
京都の禅寺での少年時代を経て、作家を目指して上京後、編集者として出版社を渡り歩き、直木賞作家に。谷崎邸での豪勢な朝食、太宰の墓前で自死した田中英光、宇野浩二の口述筆記、小林秀雄との文士劇講演、川上宗薫、中山義秀からの助言など、様々な作家を追想。混乱と希望に満ちた戦中・戦後の出版界が生き生きと描かれる。 1 東京逃れ京都の寺に羽を休めた詩人たち 2 井上靖氏を見たくて等持院アパートへ 3 「月刊文章」で佳作、はじめて活字に 4 誰もがまばゆかった東京の文士たち 5 林芙美子さんの姿、忘れられない光景に 6 紙幣を改めもせず、石川淳氏はさっさと 7 軍国色濃い街頭に絽の単衣姿で…… 8 国策小説に背向けた「青年藝術派」八人 9 省線の窓から見た東京大空襲の機影 10 「白紙」一枚で作家たちは前線へ 11 「文学の部屋」守り、小説を読みふける 12 神田の闇市ではスイトンに長い行列 13 電話では相手に失礼、歩いて友人を訪問 14 闇料理屋で始めた宇野浩二氏との仕事 15 銭湯好きの宇野先生、財産は貧乏と恋と… 16 菊池先生ご馳走になったリンゴ1個 17 焼酎呑み合って屋台グイと英光さん 18 英光さんのふとんは日の丸の幟旗だった 19 白鳥先生の上京はリュックに洋傘で 20 まばゆく怖れさえも感じた谷崎先生の姿 21 「フライパン」の歌で作家になった気分に 22 ほめたことのない宇野先生がほめた 23 借金苦の和田さんに燃えたぎる創作意欲 24 川上宗薫さんが私の「小説」に灯火をつけた 25 野間宏さんには生涯頭があがらない 26 巨体にして酒呑み、小田実さんとも同席 27 「霧と影」の記念会に錚々たる顔ぶれ… 28 ご恩ある和尚さまを「雁の寺」で殺した… 29 行商をしていた身にゴルフは高く思えた 30 宇野先生と同じ日に逝かれた広津先生 31 文士劇では私が勘平、柴錬さんはお軽で… 32 柴錬さんが盲目の柴犬に釜めしを… 33 川端先生とコーヒーを飲んだ軽井沢の夜 34 石坂洋二郎先生は気さくな津軽弁で… 35 会いたい人に会える講演旅行の役得 36 宴席で踊られる里見弴先生を拝見 37 老舎先生は万年筆で「本来無一物…」と 38 天秤棒をかつぐ母に似た人に会える 39 中国の山奥へも行く司馬遼さんの覚悟… 40 ついにたどりついた東山東禅院に感動! 41 足元洗われる気持ちになった中国の寺院見学 42 承志先生に通訳を指名した有吉さん 43 魚箱小屋に寝起き、川崎さんの貧乏生活 44 新幹線に宇野先生を乗せてあげたかった 45 木山さんと夜のホテルから鯉を運んだ… 46 木山さんと井伏先生、戦後岡山の剽軽さ 47 花道ゆく役者のよう、川口松太郎先生 48 年末の文士劇で見た川口先生の修羅 49 古武士を見るような中山先生の着流し姿 50 大御所、石川先生の孤独な寝姿も見た 51 短篇を買ってくれた吉行淳之介さん 52 記憶を数珠のようにかがってみたが… -
渓流釣り礼讃
人生の秋を迎え、無理のないペースで気の合う仲間たちとともに、東北の奥深い渓流に身を置きながら、イワナを追い、酒を堪能しつつ過ごす贅沢な時間。思わず同じ場所に足を向けたくなる好エッセイ。定年後の過ごし方を迷っている人々へ送る、絶好の提案書。 【目次】 Ⅰ 源流へ 失われた山里 阿仁・桐内沢/源流の焚火/トラゲの隠し湯 虎毛沢源流/尺上イワナと大ヤマカガシ/三十四年ぶりの滝ノ股沢/摺毛沢遡行/てんから瀑釣 滝ノ股沢/ヤマセミの棲む渓 Ⅱ 釣り日和 尺上イワナ一尾/小阿仁川のギンケヤマメ釣り/木の葉ヤマメの季節/渓流のサンマ/大釣り/スコンクの渓流解禁/路線バスで気ままな釣り旅①/路線バスで気ままな釣り旅② Ⅲ 渓流を思う 森吉山クマゲラ調査/初ヤマメ・初イワナ/山峡に遊ぶ 釣りさまざま/白髭仙人 十勝川、パンケヌーシ川/白神山地の神秘の沼 ノロの沢の沼/逃がした魚は大きい/雪解けのたより/渓流に咲く花 -
神やぶれたまはず 昭和二十年八月十五日正午
昭和二十年八月十五日、終戦の玉音放送を拝したラジオの前の人びとは、一瞬の静寂のうちに、何を聞きとったのだろうか。太宰治、三島由紀夫、吉本隆明らによる、その日の言説を繙きながら、歴史の彼方に忘れ去られた至高の瞬間をさぐる、精神史の試み。 *目次から 第一章 折口信夫「神 やぶれたまふ」 第二章 橋川文三「『戦争体験』論の意味」 第三章 桶谷秀昭『昭和精神史』 第四章 太宰治「トカトントン」 第五章 伊東静雄の日記 第六章 磯田光一『戦後史の空間』 第七章 吉本隆明『高村光太郎』 第八章 三島由紀夫『英霊の聲』 第九章 「イサク奉献」(旧約聖書『創世記』) 第十章 昭和天皇御製「身はいかになるとも」 *著者紹介 長谷川三千子 1946年東京生まれ。祖母は作家・野上弥生子。東京大学文学部哲学科卒業、同大学院博士課程中退。東京大学文学部助手などを経て、埼玉大学教授。2011年退官、同大学名誉教授。2013年よりNHK経営委員。著書に『からごころ――日本精神の逆説』(中公叢書・中公文庫)、『バベルの謎――ヤハウィストの冒険』(中公文庫、和辻哲郎文化賞)、『民主主義とは何なのか』(文春新書)、『日本語の哲学へ』(ちくま新書)、『九条を読もう!』(幻冬舎新書)など。 -
1989年の因果 昭和から平成へ時代はどう変わったか
天皇崩御、与党の大敗、消費税導入、冷戦終結、東西ドイツ統一、天安門事件……世界的な激動の年であった1989年=平成元年の変調は、年を経て、形となって影響をおよぼすようになった。当時の記録をいまの視点からあらためて問い直す。『検証・平成維新』改題 -
「核」論 鉄腕アトムと原発事故のあいだ
唯一の被爆国でありながら、「豊かさ」への渇望ゆえに核の力を借りる選択をした日本。核の傘の下で平和憲法を制定する「ねじれ」からはじまったその戦後。推進/反対どちらにも寄らずに、原子力に関わったさまざまな人物や、社会の価値観を可視化する文化的現象を追った「各」論の集積が、混迷する戦後日本の姿を浮き上がらせる! -
藪の中の家 芥川自死の謎を解く
昭和二年七月二十四日未明、芥川龍之介は睡眠薬により、自らの死を選んだ……。しかし、致死量に至る睡眠薬の入手は、芥川の治療のために出された処方によれば困難である──主治医の日記、龍之介の書簡などから、自死の真相に迫る、渾身のノンフィクション。第十七回新田次郎文学賞受賞作。 -
黒船以前 パックス・トクガワーナの時代
パックス・トクガワーナ(徳川の平和)は、なぜ二五〇年の長きにわたり続いたのか。江戸開府前史から黒船来航前夜まで、江戸への造詣の深さでは人後に落ちぬ二人が、世界史的視野から縦横に語り合う。従来の江戸時代観を一新する刺激に満ちた対論。『江戸の構造改革』改題。 -
甘辛の職人
どじょう、牛鍋、すし、和菓子……日本の食文化を支えてきた職人が守ってきた道とは何か。風土に根付く食文化に、いろいろな角度から迫る、食の職人の世界。 -
「隔離」という病い 近代日本の医療空間
恐怖の宣伝、強制収容、終身隔離……「病んだ」共同体はいったいどこへ向かうのか。ハンセン病を軸に日本社会の「病い」観を問いなおす。 -
明治を生きた男装の女医 高橋瑞物語
明治23年(1890)、横浜港を出航したドイツ汽船に乗っていた唯一の日本人女性、高橋瑞。 ドイツへの女子留学生、それも私費で渡ったのは瑞が最初だった――。 嘉永5年(1852)、西尾藩士の末っ子として生まれた瑞は幼い頃から利口な娘だった。 維新後に家は没落、未婚のまま長兄の家で子守として過ごす。 しかし、「瑞は学問をやるといい」という亡父の言葉を胸に24歳で家を出る。 旅芸人の賄い、住み込みの女中、短い不幸な結婚など、様々な職を経て、明治13年(1880)、前橋の産婆・津久井磯子の内弟子となる。 磯子の後押しで東京に出た瑞は、28歳で念願の学生となり、産婆の資格を取る。 だが、産婆では救えない命がある、医者になりたい―― 瑞は、女にも医術開業試験の受験を許可するよう、内務省への請願を始める。 この頃、荻野吟子(公許女医第一号)や生澤久野(同第二号)、本多銓子(同第四号)らも個別に請願を行っていた。 彼女らの動きが実り、ついに明治17年(1884)、女子受験者を迎えた初の医術開業試験が行われた。 瑞は女学生として初めて済生学舎に学んだ後、2年間の医学実習を終え、明治20年(1887)、公許女医第三号として医籍登録し、翌年、日本橋に「高橋医院」を開く。36歳だった。 医院は繁盛したが、1年半後、「もっと産婦人科学を究めたい」とドイツへの留学を決める。 女には大学で研究する道が閉ざされていたため、外国へ行くしか方法がなかったのだ……。 ドラマチックな高橋瑞の人生とともに、瑞が出逢い、見送った無名の女たちの運命、また、女医誕生への門戸を開いた仲間たちとの友情も感動的である。 -
平安京は眠らない わかむらさきの事件記
元式部丞・藤原為時の娘で二十歳の小姫(のちの紫式部)は、創作の腕を評価され、左大臣源雅信の娘・倫子に「物語の女房」として仕えていた。小姫の書いた「光る君」を主人公とする短編は、貴族社会の一部で評判を取り、回し読みされている。倫子の要望に従い次々と執筆しているうちに創作の「種」に詰まってしまった小姫は、ある日、隣家の中流貴族の娘で幼馴染みの月乃に「取材」へ誘われる。女房たちの間で噂になっている七の宮の恋の真相を知るため、宮が女と逢瀬を重ねているという廃院に行ってみようというのだ。月乃の父の荘園を治める荘官の子・鶴丸を供に、廃院に向かった三人だったが……。 若き日の紫式部が、相棒とともに都大路の「謎」に迫る! 【目次】 第一話 六条の廃院 第二話 尋ねゆく幻術士 第三話 あこがれの草子 第四話 車争い 第五話 鳴滝参り -
文豪と女 憧憬・嫉妬・熱情が渦巻く短編集
無垢な少女から妖艶な熟女まで一一。鴎外、花袋、荷風、漱石、谷崎、安吾、太宰たちが、憧れ、翻弄された女性たちを描く。女性は思春期を経て、恋愛・婚約・結婚に。悩みや荒みを抱えながら、やがては倦怠または不倫へと至ることも? 時代の変化に応じて、社会的自立や自覚が芽生えた主人公の生き様からは、近代日本の「女の一生」がみえてくる。 (収録作品) 森鴎外「杯」 田山花袋「少女病」 立原道造「白紙」 永井荷風「庭の夜露」 山川方夫「昼の花火 泉鏡花「雪の翼」 夏目漱石「硝子戸の中」 中島敦「下田の女」 谷崎潤一郎「青い花」 芥川龍之介「なぜソロモンはシバの女王とたった一度しか会わなかったか?」 高見順「強い女」 堀辰雄「辛夷の花」 坂口安吾「いずこへ」 久生十蘭「姦」 太宰治「葉桜と魔笛」 -
そこにある山 人が一線を越えるとき
「なぜ本書が、(中略)かような一大傑作論考として結実したのかといえば、それは結婚が全部悪いのである。」(あとがきより) 「どうして結婚したんですか?」 この、デリカシーに欠けた、無配慮で苛立たしい“愚問”がもたらしたのは、人はなぜ冒険するのかという「最大の実存上の謎」への偉大な洞察だった! 人生の下り坂に入ったと自覚する著者が、探検家としての思考の遍歴を網羅した傑作エッセイがついに文庫化。 〈解説〉仲野徹(生命科学者) 目次 序 章 結婚の理由を問うのはなぜ愚問なのか 第一章 テクノロジーと世界疎外――関わること その一 第二章 知るとは何か――関わること その二 第三章 本質的な存在であること(二〇一九年冬の報告)――関わること その三 第四章 漂泊という〈思いつき〉――事態について その一 第五章 人はなぜ山に登るのか――事態について その二 終 章 人生の固有度と自由
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