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大人と子供の領域を往還する少年。そのどこか醒めた目は何を見つめるのか。教科書で読み継がれた「童謡」、父とその連れの美女に伴われ伊豆大島へ赴く「夏の休暇」、二人の少年の間の危うい均衡を描く表題作など、思春期の波立つ心と体を澄んだ筆致でとらえた十篇。新たに随筆「子供の時間」他一篇を付す。〈巻末エッセイ〉安岡章太郎・吉行和子 【目次】 夏の休暇/暗い半分/梅雨の頃/斜面の少年/悪い夏/崖下の家/童謡/子供の領分/窓の中/春の声 〈随筆〉子供の時間/私と教科書
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Posted by ブクログ
揺れ動く少年の心理が描かれていました。 父エイスケと少年時代の淳之介がモデルになっているものも。 後半にエッセイもあってとても良かった。
吉行淳之介を知っている人も少なくなったであろう。 吉行組という建築を生業にした家に生まれた父エイスケと後に美容室を営むアグリの長男である。 女優の吉行和子さんならご存知の方もいるかも知れないが、和子さんは淳之介の妹さんで、その下に理恵さんという妹さんもおられた。 現在は淳之介さんも旅立たれ理恵...続きを読むさんも淳之介と同業となるも旅立たれている。存命は和子さんだけなのだろう。 吉行淳之介さんの小説作品はどこかエロティシズムで近寄り難かった。 子供の領分というタイトルから読んでみようと思って手に取ると、いつも読んでいたエッセイの中の淳之介とは違う真っ直ぐさやしっかりしたものも感じられ これはファンも多いはずだわと呟きたくなる。 小品の小説集で巻末にはいくつかのエッセイとあとがきが二つというこちらの書。 小説はぼんやりとした登場人物が色濃くなったり性格を表したりとしていく様がとても良い。 特に少年が女性を通して色々な感情を吐き出す辺り、淳之介の持っているコンプレックスもあったのではと思えた。 出版社の催しで招かれた淳之介は、いつものように受付を顔パスするも若い出版社従業員に記名を促されると言う逸話がある。 今や平成を過ぎて令和の時代、この本も含めて若い出版社従業員のような方々が吉行淳之介を面白がって読んでくれたら良いなと思う。 そんなきっかけになれそうな、子供の領分でした。 ドビュッシーの子供の領分も良いタイトルと思うけど、こちらも上手く名づけたなと…
少年たちの年齢が思ったより幅広かった。まだ狭い世界にいてそれゆえの戸惑いや悩みが、それぞれの年齢に合わせてよく描かれている。特に「夏の休暇」「斜面の少年」「童謡」が良かった。
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