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徹底した取材と綿密な調査に基づく重厚な歴史小説で知られる作家・吉村昭。その文学的出発点を示す自選短篇集(全二巻)。第Ⅰ巻には表題作のほか、三島由紀夫が激賞した「死体」、初の芥川賞候補作「鉄橋」など、一九五二年から六〇年までの七編を収める。巻末にエッセイ「遠い道程」を付す。 【収録作品】 死体/青い骨/さよと僕たち/鉄橋/服喪の夏/少女架刑/星と葬礼
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Posted by ブクログ
歴史小説のイメージが強い著者だったが初期にはこのような作品も出されていたのだなと発見。 初出はいずれも昭和30年前後。7つの「死」の形が、当時の社会的な背景をベースに色濃く描かれている。一言一句が吟味、洗練され、過不足ない文章が心地いい。「服喪の夏」「星と葬列」が好きだった。いずれもまたじっくり読み...続きを読む返したい作品。
吉村昭の自薦初期短編集を2分冊にして文庫化したもの。 ネットで久しぶりに「少女架刑」の名を目にして読み直したくなり購入。 表題の「少女架刑」は1959年に発表された短編で、若くして死んだ少女が病院に検体され解剖され骨となっていく過程を死んだ少女の一人称のモノローグで淡々と語られていくというもの。 他...続きを読むの短編もそうだが何れも死が題材だが、描かれるその死は非常に即物的で、一切の感情のない「死=死体」でしかないような死。まだ深沢七郎の方が死に対するセンチメンタリズムを感じるぐらい。
すごい、の一言。ここまで詳細に解剖を表現できるのか。想像ではなく、細かい調査によるものだろうが、それを客観的に眺める魂の怖さが半端ない。
淡々と、出来事と人々を観察するように描かれていました。 表題作と「死体」「喪服の夏」が好きです。 逃れられない貧しさや家の柵。逃げ出してる女性もいたけれど、我慢して虐げられているのが、時代といえば時代だったのかな。読んでいて辛かったです。 「喪服の夏」のおばあちゃんの最期の決意、胸にくるものがありま...続きを読むした。それまでやってきたことから、この人物は好きではないけれど。 「少女架刑」で、献体の料金(?)が安かったからと母親が遺骨を引き取らないのも酷い話だけど、その後の納骨堂の描写で、ああこういう家庭多かったのかな…って感じるのも悲惨です。亡くなって死体になってる女の子の目線で物語が語られるの、乙一さんでもあったけどこっちも凄まじかったです。
吉村昭『少女架刑 吉村昭自選初期短篇集I 』中公文庫。 全二巻からなる吉村昭の自選短編集の第一巻。後に記録文学の名手となる吉村昭の文学的出発点となった1952年から1960年に発表された初期短編7編を収録した短編集。表題作の『少女架刑』をはじめ幾つかの短編は既読であるが、それは遠い昔のこと。 7...続きを読むつの短編を通して様々な『死』の姿が描かれているが、いずれの短編に描かれた『死』は現代よりも身近で敬虔な存在であり、著者にとって願わくは対峙したくない畏怖の対象となっているように感じる。 『死体』『青い骨』『さよと僕たち』『鉄橋』『服喪の夏』『少女架刑』『星と葬礼』を収録。また、巻末にエッセイ『遠い道程』を収録。
吉村昭さんといえば、膨大な資料を基に綿密な背景と共にストーリーが進んでいくイメージが強かったけれど、初期短編集では死と隣り合わせた小品が七編。 氏が肺の病で病床にいたことから、身体についての描写が細かい事に気付いた。この傾向は後々にも引き継がれていて、興味深い。
濃厚に死の空気を纏う、死にまつわる短編集。 当時は結核とか肺炎とかで死が近い存在だったのだろう。 死にまつわる作品のため、読んでいて楽しいものではなく、「小山さんノート」をの読んでいた時期でもあったことから、なんでこんなの読んでいるんだろうと思いながら読んだ。 ただ、文章は美しく、文章が巧い様...続きを読むに感じた。 ただ、私の好みだっただけかも知れないが。 星は3つ。3.4としたい。
吉村昭の初期の作品。歴史小説やノンフィクションといったイメージが強い筆者だが、この短編集は文学作品と言える。全七話に共通するのは、濃い死の匂い。なまじのホラー小説より恐ろしいかもしれない。
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少女架刑 吉村昭自選初期短篇集I
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