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小説は、読んでいる時間のなかにしかない。読むたびに、「世界」や「人間」や「私」について、新たな問いをつくりだすもの、それが小説なのだ――。ときに立ち止まり、ときに駆け抜ける、思考の原形としての「生(なま)」の小説論。
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Posted by ブクログ
大学時代の先生が、現代の小説論で一番間違いないのは保坂和志、というようなことを言っていた。当時は全く読めなかったけど、今なら読める。面白すぎる。作家はそれぞれこういう小説観を持っているんだろう。視点を与えてもらえるから、自分の頭で考えるときの材料になっていい。いわゆる論文のかたちになっていないところ...続きを読むも彼の思考がそのまま味わえて、ほー、そういきますか、という意味で面白い。 ともかく読まなきゃ分からない。読んでください。
この本を読んで世界の見え方が変わった。しかしある種の小説が読めなくなった!あのベストセラーを途中で投げ出したまま。
この本も、かなり、すごい。 小説を書いている人は、必読。 これから、書く人も、必読。 読み終えて、書けなくなるか、 書く勇気をもらうか、それは、分からないけれど、 読んでみよう。 私は、負けません。
物語の現前性という言葉が、純文学を堪能するためのフィルターというのはすごくしっくりきた。あるものをあるがままに。メタレベルで小説を読み解こうとするからダメなんだな。現実と混淆する物語ではないんだな。決して交わることのないパラレルな世界が広がっていて、そこにあるものを新しい視点で。読み方は頭では理解で...続きを読むきた。しかし、その楽しみ方が出来るかどうかは甚だ不安である。小説が考えを深化させていくものだというのもなるほどーと嘆息。だけど、腑に落ちない。考えを深めるだけなら、他人にお金を払ってまで読んでもらおうとしなくても、一人で書いていればそれでよろしいやん。書きながら考える。書いたことで考えられる。アウグスティヌスの例は秀逸。読みながら思考する作品が確かに存在することが分かる。アレなら買うわ。矛盾してるけど。
この著者の小説論を読んでいると、ほとんどマゾ的な快感を覚える。今までの自分の小説の読み方が全否定されている気持ちになるからだ。文体、印象、構造などはどうでもよく、大事なのは言葉の「現前性」、小説じたいがもつ「能産性」だという。そのうえで著者は情景描写とそこでの視線の運動に着目するのだが、その例証の手...続きを読むつきがすばらしい。特に情景描写を読む態度によって読者が二つにタイプ分けされ、それぞれのタイプによって「いい文章」の定義が違ってくるという主張は説得的だった。『フランドルの冬』(クロード・シモン)と『告白』(アウグスティヌス)を今まで面白いと思えなかった自分が恥ずかしい。読めていなかったのだ。
P201 というか、言葉の内側にこもってただ練り上げていくだけのこういう文章は、別に村上春樹がはじめたというようなことではなくて、日本の近代文学の歴史を通じて流れ続けてきたものではないかと思うのだ。 こういう表現はスカッとするねぇ。
思考を一生懸命追いかけていくように読んだ。すぐに脱線して、行きつ戻りつして読みました。それでも、わかったなんてとても言えないと感じている。普段の考え方とは違う考え方の体系があると感じたところまでが、自分の理解のせいぜいだと思う。
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