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世界怪奇実話傑作選
・三つの筆名を使い分け、わずか35歳で忽然と世を去った伝説の作家、長谷川海太郎=牧逸馬。 ・「中央公論」に連載された代表作を精選。愛好家必読のミステリー百科。 ・著者は、1928年、中央公論社の特派員として、1年3ヵ月に及び欧州に滞在。ロンドンでは、中央公論の潤沢な資金を用いて、街一番の古書店にある、あらゆる怪奇事件を伝える資料を買い占めたと伝えられる。 ・帰国後、この資料をもとに執筆されたのが、「牧逸馬」名義の代表作となった「世界怪奇実話」である。 ・『中央公論』1929年10月号~1933年3月号連載。全33話。1930年~32年に順次書籍化されるが、単行本としては未完。 ・本書は、島田荘司氏が、本連載から「ミステリー百科」的要素を持たせたいと14編を精選。1)短篇小説として読める。2)その出来具合、面白さの度合い。3)ミステリー教養的な意味合いで、事件の客観的重要度。以上の観点からセレクトしたもの。 ・本書の編集にあたって、各編のタイトルは、事件に寄せたものに一部変更。 ・事件の同時代に現地に居合わせた作家によるドキュメントとしても貴重。 ・2003年、島田荘司編『牧逸馬の世界怪奇実話』として刊行されたものを改題した。 -
道誉なり
毀すこと、それがばさら――。六波羅探題を攻め滅ぼした足利高氏(のち尊氏)と、政を自らつかさどらんとする後醍醐帝との暗闘が風雲急を告げる中、「ばさら大名」佐々木道誉には、毀したいものがあった。数々の狼藉を働きつつ、時代を、そして尊氏の心中を読む道誉。帝が二人立つ混迷の世で、将軍尊氏はなぜ、佐々木道誉を欲したのか。対する道誉は、人間尊氏に何を見ていたのか――。 【目次】 第一章 激流 第二章 京より遠く 第三章 いかなる旗のもとに 第四章 征夷大将軍 第五章 猿の皮 第六章 花一揆 第七章 橋勧進 第八章 騒擾やまず 第九章 無窮 第十章 尊氏は死なず 解説 大矢博子 -
サド侯爵の生涯 新版
『悪徳の栄え』の著者、サディズムの祖として知られるマルキ・ド・サド。 この公序良俗に対決しつづけた18世紀フランスの貴族の生涯を、誕生から性的醜聞、幽囚生活、孤独な晩年まで描ききる。 無理解と偏見に満ちた従来のイメージを覆し、サドの実像を捉えた、著者渾身の作にして、三島由紀夫『サド侯爵夫人』の典拠となった画期的評伝。 〈解説〉出口裕弘 【目次より】 第一章 誕生より結婚まで(一七四〇―一七六三年) 第二章 リベルタンの出発(一七六三―一七六七年) 第三章 アルクイユ事件の周辺(一七六八―一七七二年) 第四章 マルセイユ事件の周辺(一七七二―一七七三年) 第五章 ラ・コストの城にて(一七七三―一七七八年) 第六章 ヴァンセンヌの鐘楽(一七七八―一七八四年) 第七章 自由の塔(一七八四―一七八九年) 第八章 革命とともに(一七八九―一七九二年) 第九章 恐怖時代に生きる(一七九二―一八〇〇年) 第十章 精神病院の晩年 (一八〇一―一八一三年) 第十一章 死 (一八一四年) 補遺(1) 死後の評価 補遺(2) その生涯の最後の恋 補遺(3) ジャンヌ・テスタル事件 -
ファウスト
あらゆる知的探究も内心の欲求を満たさないことに絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと魂をかけた契約を結ぶ。巨匠ゲーテが言葉の深長な象徴力を駆使しつつ自然と人生の深奥に迫った大作の第一部を、翻訳史上画期的な名訳で贈る。読売文学賞受賞作。訳者による解説「一つの読み方」を付す。 〈巻末エッセイ〉河盛好蔵・福田宏年 -
楠木正成
時は鎌倉末期。幕府の命数はすでに尽き、乱世到来の情勢下、大志を胸に雌伏を続けた男がひとり――。その名は楠木正成。畿内の流通を掌握した悪党は、倒幕の機熟するに及んで草莽の中から立ち上がり、寡兵を率い強大な六波羅軍に戦いを挑む。楠木一党は、正成の巧みな用兵により幕府の大軍を翻弄。ついには赤松円心、足利高氏(のち尊氏)らと京を奪還、後醍醐帝の建武新政は成就したが……。信念を貫くも苛酷な運命に誘われ死地へ赴かざるを得なかった、悲運の名将の峻烈な生を迫力の筆致で描く、北方「南北朝」感涙の最終章。 【目次】 第一章 悪党の秋 第二章 風と虹 第三章 前夜 第四章 遠き曙光 第五章 雷鳴 第六章 陰翳 第七章 光の匂い 第八章 茫漠 第九章 人の死すべき時 解説 細谷正充 -
悪党の裔 新装版
播磨の悪党の首魁には大きすぎる夢だった。おのが手で天下を決したい――楠木正成と出会った日から、大望が胸に宿った。軍資金を蓄え兵を鍛えて時を待ち、遂に兵を挙げた。目指すは京。倒幕を掲げた播磨の義軍は一路六波羅へと攻め上る。寡兵を率いて敗北を知らず、建武騒乱の行方を決した赤松円心則村を中心に描く、漢たちの軌跡。 第一章 遠い時 第二章 意 地 第三章 妖霊星 第四章 決 起 第五章 原野の風 第六章 遠き六波羅 第七章 白き旗のもと 第八章 征夷大将軍 第九章 砕けし時 第十章 旗なき者 第十一章 野の花 解説 亀田俊和 -
猛き朝日
彼が幕府を開いていたら、のちの「戦国の世」は訪れなかったかもしれない。 源頼朝の好敵手かつ優れた軍略家として大河ドラマでも人気――悲運の義将・木曾義仲の鮮烈な31年を描いた、第11回野村胡堂文学賞受賞作。 平安末期。12歳の少年・駒王丸は、信濃国木曽の武士・中原兼遠の養子として、自然の中でのびのびと育つ。彼は父と母の名も自分が何者なのかも、いまだ知らずにいた。 ある日、駒王丸はささいなきっかけから、同じく信濃の武士の子・根井六郎と喧嘩になる。だが、同等の家格であるにもかかわらず、六郎と根井家当主が後日謝罪に訪れる。二人は畏れ多そうに深々と頭を下げて言う。 「駒王丸殿はいずれ、信濃を束ねる御大将となられる御方」 初めて知る実父の存在、自らの壮絶な生い立ち。駒王丸、のちの木曾義仲の波乱の生涯が始まろうとしていた。 類い希なる軍略で平家を破り、男女貴賤分け隔てない登用で源頼朝・義経より早く時代を切り拓いた源氏の嫡流。「朝日将軍」義仲の波瀾万丈な生涯を描いた傑作歴史巨編。 「彼の一生は失敗の一生也。彼の歴史は蹉跌の歴史也。彼の一代は薄幸の一代也。然れども彼の生涯は男らしき生涯也」――芥川龍之介(「木曾義仲論」より) 【目次】 序 章 法師 第一章 駒王 第二章 巴 第三章 戦雲 第四章 決起 第五章 源氏 第六章 前夜 第七章 死戦 第八章 魔都 第九章 落日 第十章 残照 終 章 余光 -
文章作法 小説の書き方
・直木賞作家が、自作にもとづいてやさしく解説する、実践的文章読本。 ・著者は、講談社フェーマススクールズ文芸講座、読売文化センター小説講座の講師を20年にわたり務めてきた。 ・小説講座をそのまま紙上再現する構成で、具体的かつ実践的内容。 ・詩作から私小説、戦場小説、時代小説、また戦記文学と、著者の執筆経験にもとづいた、ジャンル別解説。 ・例文はすべて、著者の実作品に拠っている。小説入門としてのみならず、著者の多彩な作風を一望できる「伊藤桂一読本」でもある。 ・巻末には、池波正太郎との対談「捕物小説あれこれ」を増補、池波式小説作法との比較も面白い。 -
乱歩心象作品集
乱歩の心に映る執着と愛着、強迫的な思念、どこかへと惹かれてゆく心の有様……。 江戸川乱歩没後60年。その作品から、詩人のように一瞬の輝きを掬い取った、名場面をピックアップ。 「夢遊」「恐怖」「人形」「残虐」「身体」「錯視」「浅草」の七つの切り口で、作品を精選。乱歩の神髄・魅力を凝縮した一冊。 *編者より―― 「心象」は宮沢賢治が『春と修羅』を「心象スケッチ」と呼んだその「心象」です。乱歩の心に映るもやもやした執着の数々が、ときに見事な短篇小説としてときに長篇小説の一場面としてあるいは随筆として具象化され語られたもの、という意味で考えました。 それら自体は詩ではありませんが敢えて詩を読むように非物語的高潮に焦点をあててみるという意味でもあります。 -
わが人生の断片
【昭和・光と影】 夥しい人命が失われ、数えることの出来ぬ富が空しくなり、名誉と独立とを奪われ、ただ世界に向って罪だけを負うことによって、今、戦争が終るのである――昭和十七年一月、ビルマ派遣軍司令部宣伝班として従軍。帰国後、読売新聞社論説委員として敗戦の日を迎える。戦後を代表する社会学者の回想録。 〈解説〉粕谷一希 (目次から) 昭和十六年――昭和二十一年 徴用と三木清 ビルマの高見順 ラングーンの日々 日本への旅 新聞社の内部で 敗戦の日 スターリンの夢 明治四十年――昭和十六年 微禄の涯 偽善の勧め 地震のあとさき 社会学へ向って 習作時代 東大のうちそと 悲しい処女作 〈解説〉粕谷一希 -
淋しき越山会の女王 精選ルポルタージュ集
〈昭和・光と影〉 三十八歳で早逝したルポライターが三年間に発表した作品の中から、戦後の湿度を色濃くまとった日本人の姿を掬いとった秀作ルポルタージュを厳選。 田中首相退陣の契機となった表題作をはじめ、死と闘う自らを描いた闘病記「ガン病棟の九十九日」も収める。 -
空とぶ絨緞
\伝説的アートディレクターで絵本作家/ 堀内さんと世界をぐるり、美食・秘宝・島巡り! チュニジアの魚介スープ、台湾の屋台飯、ウクライナの肉団子をたいらげ、 国宝の美術品から露店の玩具までこよなく愛した堀内さん。 世界の美食・秘宝・島々をぐるりとび回る! 「パンパンになったお腹をなでなで、食後酒のグラッパをやってると、 いつしか自分がまるで常連客だったようにくつろいでいる。」 カラーイラスト約200点と単行本未収録エッセイを満載に、初文庫化。 アテネの町のあちこちでトウモロコシを焼いて売ってる。 醤油があったら、と一瞬思ったが、 それはアサハカな習慣なのがスグ分って 〝こりゃウマいや!〟と叫んだ。 オジサンのふってくれた塩だけ、というのがいいのだ。 (本文より) -
江戸川乱歩トリック論集
探偵小説にとってトリックとは何か? 戦後、江戸川乱歩は海外作品を渉猟し、「なぜ小説を書かぬ?」と揶揄されながらも、独自のトリック研究に没頭した。 物理トリックは本当に出尽くしたのか。これからのミステリが進むべき道とは……。 多くの追随者を生んだ、全推理ファン必読の名篇「類別トリック集成」、およびその随筆版として自身が編んだ『探偵小説の「謎」』。ほか、乱歩のトリック論を精選し、初めて一冊に。 巻末に、トリック研究の只中に行われた横溝正史との対談「探偵小説を語る」(1949)を付す。 さらに、乱歩没後、松本清張指揮のもと研究を引き継いだ中島河太郎・山村正夫による「トリック分類表」(1969)を書籍初収録。 「類別トリック集成」という伝説を乗り越え、来たるべき探偵小説を模索するための、文庫オリジナル。 『江戸川乱歩座談』(中公文庫)に続く生誕130年記念刊行。 【目次】 1 類別トリック集成 2 探偵小説の「謎」 3 トリック各論・補遺:珍らしい毒殺の話/微視的探偵法/自動車と探偵小説 4 トリック総論:探偵小説のトリック/トリックを超越して/「謎」以上のもの/トリックの重要性/一人の芭蕉の問題/本陣殺人事件/探偵小説と子供心/創意の限度について/探偵小説の特殊性への執着/トリックについて 5 トリック分類表(中島河太郎・山村正夫)/探偵小説を語る(対談・横溝正史) 解説 新保博久 -
江戸川乱歩座談
戦前、孤高の「人嫌い」として知られた作家・江戸川乱歩は、戦後、日本探偵小説界の名ホストとして活躍した。 森下雨村・横溝正史ら雑誌「新青年」の立役者たちから、小林秀雄・幸田文ら文壇の著名人まで――探偵小説の魅力を共に語り尽くす、夢の饗宴! 乱歩の参加した主要な座談・対談をセレクトした文庫オリジナル。 生誕130年記念刊行 〈解説〉小松史生子 【1 座談篇】 ●探偵小説座談会(1929):大下宇陀児/加藤武雄/甲賀三郎/浜尾四郎/森下雨村 ●明日の探偵小説を語る(1937):海野十三/小栗虫太郎/木々高太郎 ●乱歩氏を祝う(1954):木々高太郎/戸川貞雄/城昌幸 ●探偵小説新論争(1956):大下宇陀児/大坪砂男/木々高太郎/角田喜久雄/中島河太郎/春田俊郎 ●文壇作家「探偵小説」を語る(1957):梅崎春生/曽野綾子/中村真一郎/福永武彦/松本清張 ●「新青年」歴代編集座談会(1957):城昌幸/延原謙/本位田準一/松野一夫/水谷準/森下雨村/横溝正史 【2 対談・鼎談篇】 ●E氏との一夕(1948):稲垣足穂 ●幽霊インタービュウ(1953):長田幹彦 ●問答有用(1954):徳川夢声 ●幸田露伴と探偵小説(1957):幸田文 ●ヴァン・ダインは一流か五流か(1957):小林秀雄 ●樽の中に住む話(1957):佐藤春夫/城昌幸 ●本格もの不振の打開策について(1958):花森安治 -
占領神話の崩壊
日本の敗戦前後、あまたの公文書が焼却されたと言われている。しかし、決裁文書などを除く多くが「私文書」として個人の手許に残されていた。これらの資料を、占領期に積極的に収集したのが、フーヴァー研究所東京オフィスであった。 フーヴァー研究所は、スタンフォード大学の第一期卒業生であった第31代米国大統領ハーバート・フーヴァーが1919年に設立した研究機関。戦後、フーヴァー自身、占領下の日本、ドイツに赴き、占領政策にコミットした。その一環として、資料収集計画があった。 駿河台の東京オフィスを拠点に、1945年11月から1951年3月まで、書籍・専門書・新聞などを含む1468箱が海路米国に持ち出された。これらの資料には、「GHQ直筆・日本国憲法の原文」「東京裁判の宣誓供述書」「関東軍特務機関の阿片政策」「日本共産党員の獄中手記」「特高警察の極秘史料」などの一次史料が多数含まれ、「フーヴァー・トレジャーズ」(Hoover Treasures)と呼ばれることになった。 本書は、こうして形成された「フーヴァー・トレジャーズ」から占領秘史にせまろうとするものである。そこで浮かび上がるのは、日本国憲法制定をめぐるGHQと吉田茂の取り引き、東京裁判における天皇免訴をめぐる暗闘、満洲国の財政を支えた阿片政策とそれを担った三菱・三井、日本国内での阿片栽培……などの新事実である。 戦後に改竄された「歴史の欺瞞」を炙り出す試みであり、『國破れてマッカーサー』の続編、発展版とも言える著作である。 -
ジョゼフ・フーシェ ある政治的人間の肖像
この男、陰謀好きにつき―― フランス革命から帝政、さらに復古王政へ。この激動期に現れた「完全なマキアヴェリスト」ジョゼフ・フーシェ(一七五九―一八二〇)。ある時はギロチンよりも効率的な方法で反動者を殺戮し、ある時は秘密警察を駆使し、ナポレオンをも心理的に追いつめる。陰謀と変節と裏切りの限りを尽くして生き抜いた政治的人間の生態を浮き彫りにする本格評伝。 『マリー・アントワネット』と並ぶ著者の代表作。改訳版。 目次 第1章 売りだすまで 1759―1793年 第2章 「リヨンの虐殺者」 1793年 第3章 ロベスピエールとのたたかい 1794年 第4章 総裁政府と統領政府の大臣 1799―1802年 第5章 皇帝の大臣 1804―1811年 第6章 皇帝にたいするたたかい 1810年 第7章 気のすすまない間奏曲 1810―1815年 第8章 ナポレオンとの決戦 1815年 百日天下 第9章 失脚と最期 1815―1820年 -
シェイクスピア
愛、嫉妬、復讐心、懐疑。悪のどん底までおりていった先に待ち受ける罰と、衝動からの解放――。実生活ではとても生きられぬ激しい人生を生き抜いたという実感を味わう喜びを与え、時代や国を超えて人々を激情の渦に巻き込むシェイクスピアの主要19作品を解題。 日本におけるシェイクスピア翻訳の礎を築いた著者が、定本や改訂についての考証、作品に影響を与えた歴史的背景や先行作品の紹介などを交えつつ、シェイクスピアの天稟の才がきらめく壮大な作品世界を解き明かす。 〈巻末エッセイ〉福田 逸 【目次】 シェイクスピアの魅力 リチャード三世/タイタス・アンドロニカス/じやじや馬ならし/夏の夜の夢/ロミオとジュリエット/リチャード二世/ヴェニスの商人/ヘンリー四世/空騒ぎ/お気に召すまま/ジュリアス・シーザー/ハムレット/マクベス/オセロー/十二夜/リア王/アントニーとクレオパトラ/コリオレイナス/あらし 〈巻末エッセイ〉福田 逸 -
華の碑文 世阿弥元清
南北朝の激しい抗争の余韻が尾を曳き、不安定な世相が続いた室町時代。 大和猿楽座に生まれた世阿弥は、父・観阿弥が洗練させた能を受け継ぎ、辛苦を重ねて大成させた。 逃れられない“血”の宿命を背負い、「能」とだけ向き合って芸の道を究め、後世に残る真の芸術の粋へ高めた世阿弥の感動の生涯を描く傑作歴史小説。〈解説〉澤田瞳子 -
源氏供養 新版
「源氏物語」は紫式部の〝復讐心〟から始まった――? 輝く美貌を持つ男・光源氏と女たちの恋物語に織り込まれた作者のたくらみとは? 『窯変 源氏物語』の著者が日本最古の長篇小説をひもとき、天才女性作家・紫式部の思考に迫るスリリングなエッセイ。座談会「物語の論理・〈性〉の論理」前篇(三田村雅子・河添房江・松井健児・橋本治)収録。 -
野生の棕櫚
「悲しみ(grief)と虚無(nothing)しかないのだとしたら、ぼくは悲しみのほうを取ろう。」 1937年――人妻シャーロットと恋に落ち、二人の世界を求めて彷徨する元医学生ウイルボーン。(「野生の棕櫚」) 1927年――ミシシピイ河の洪水対策のさなか、漂流したボートで妊婦を救助した囚人。(「オールド・マン」) 二組の男女/二つのドラマが強烈なコントラストで照射する、現代の愛と死。 アメリカ南部を舞台に、実験的かつ斬新な小説群を、生涯書き継いだ巨人、ウィリアム・フォークナー。 本作は、「一つの作品の中で異なる二つのストーリーを交互に展開する」という小説構成の先駆となったことで知られる。原著刊行(1939)の直後、ボルヘスによってスペイン語訳され(1940)、その断片的かつ非直線的な時間進行の物語構成により混沌とした現実を表現する手法は、コルタサル、ルルフォ、ガルシア=マルケス、バルガス=リョサなど、その後のラテンアメリカ文学に巨大な霊感を与えた。 他方、現代日本の小説にも、大江健三郎(『「雨の木」を聴く女たち』)や村上春樹(『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』)、叙述トリックを用いたサスペンス小説(連城三紀彦は本作を生涯の10冊に挙げている)など、本作の影響は数多見受けられる。 また、ゴダール(『勝手にしやがれ』)、ジャームッシュ(『ミステリー・トレイン』)における言及で本作を知る映画ファンも多いだろう。 その意味では、文学のみならず20世紀カルチャーにおいて最大級の方法的インパクトを与えた、世界文学史上の重要作にして必読の傑作だといえる。 その本作を、『八月の光』『サンクチュアリ』『兵士の報酬』などの名訳によって定評のある、加島祥造訳にて復刊する。 -
若い読者のための世界史 改訂版
歴史は「昔、むかし」の物語。さあ今から昔話をはじめよう――。『美術の物語』の著者がやさしく語りかけるように、時代を、出来事を、そこに生きた人々を活写する。ネアンデルタール人の登場から自ら体験した第二次大戦まで。一九三六年の初版刊行から半世紀を経て復刊されて以来、各国で読みつがれてきた“物語としての世界史”の古典。文庫上下巻を合本とし、最新版を参照して訳文を見直した、待望の改訂版。 目次 1 「昔、むかし」 2 偉大な発明者たち 3 ナイル川のほとり 4 日月火水木金土 5 唯一の神 6 だれもが読める文字 7 英雄たちの時代 8 けたちがいの戦争 9 小さな国のふたつの小さな都市 10 照らされた者と彼の国 11 大きな民族の偉大な教師 12 偉大なる冒険 13 新しい戦い 14 歴史の破壊者 15 西方世界の支配者 16 よろこばしい知らせ 17 帝政のローマ 18 嵐の時代 19 星夜のはじまり 20 アッラーの神と預言者ムハンマド 21 統治もできる征服者 22 キリスト教の支配者 23 気高く勇敢な騎士 24 騎士の時代の皇帝 25 都市と市民 26 新しい時代 27 新しい世界 28 新しい信仰 29 戦う教会 30 おぞましい時代 31 不幸な王としあわせな王 32 その間に東欧で起こったこと 33 ほんとうの新しい時代 34 暴力による革命 35 最後の征服者 36 人間と機械 37 海の向こう 38 ヨーロッパに生まれたふたつの国 39 世界の分配 40 わたし自身が体験した世界史のひとこま -
八代目正蔵戦中日記
噺家・八代目林家正蔵(後の彦六)が残した膨大な日記より、昭和一六年一二月一日から二〇年八月三一日の記述を摘録。清貧に徹した長屋での暮らしぶり、謹厳実直で「トンガリ」とあだ名された反骨精神がにじむ活き活きとした筆致に、蝶花楼馬楽時代の名人の素顔が窺える。戦時下における東京下町の日常を伝える貴重な一級資料でもある。 目 次 おぼろげな父の記憶 花柳衛彦 優しかった父 藤沢多加子 昭和十六年(十二月一日から) 昭和十七年 昭和十八年 昭和十九年 昭和二十年(八月三十一日まで) 巻末エッセイ 林家正雀 他人様を思って生きた師匠 戦い抜いた師匠 文庫版刊行に寄せて 編者解説 瀧口雅仁 馬楽時代の戦中日記をまとめて 正蔵が確かな目で見続けたもの 文庫版のためのあとがき 登場人物・登場日付索引 -
谷崎潤一郎伝 堂々たる人生
七十歳をすぎてなお数々の傑作を書き続けた文豪谷崎の生涯は、一方でスキャンダルと逸話にみちた生涯でもあった。三度の結婚、妻譲渡事件、人妻との密通、あいつぐ発禁――。本書は伝説や通説に惑わされることなくその実像に肉迫する本格的評伝である。 目 次 まえがき――大谷崎と私 第一章 作家の「誕生」 第二章 汽車恐怖症前後 第三章 長男としての潤一郎 第四章 結婚と支那旅行――大正中期の谷崎 第五章 小田原事件――佐藤春夫と妻千代 第六章 関東大震災前後――横浜から関西へ 第七章 妻君譲渡事件と和田六郎――昭和初年の谷崎 第八章 古川丁未子の真実――谷崎第二の妻 第九章 「松子神話」の完成まで 第十章 谷崎をめぐる人々 第十一章 『源氏物語』から敗戦まで 第十二章 京の谷崎――戦後の日々 第十三章 渡辺千萬子と晩年の谷崎 第十四章 「女中綺譚」と「猫犬記」 最終章 終 焉 主要参考文献 跋文〔元本あとがき〕 文庫版のためのあとがき 谷崎関連家系図 人名索引 -
夢声戦中日記
活動写真の弁士を皮切りに、子役時代の高峰秀子らと映画で共演するなど昭和を代表する芸能人であり、文筆家としても知られた著者が、真珠湾攻撃から東京大空襲にいたる約三年半の日々を克明に綴った記録。終戦までの四ヵ月を収録した既刊『夢声戦争日記 抄 敗戦の記』の姉妹篇。 〈解説〉濱田研吾 -
戦争論
比類なき戦略家としてナポレオンを撃破したプロイセンの名参謀クラウゼヴィッツ。その思想の精華たる本書は、ミリタリズムの域を超えて、あらゆる組織における決断とリーダーシップの永遠のバイブルである。上巻は第一部「戦争の性質について」から第五部「戦闘力」まで。 (全二巻) 【目次】 第一部 戦争の性質について 第二部 戦争の理論について 第三部 戦略一般について 第四部 戦闘 第五部 戦闘力 訳注 訳者解説 -
戦後 欧米見聞録
大正八年、西園寺講和特使に随行し、第一次世界大戦の硝煙消えやらぬ荒廃のヨーロッパを訪れて無限の感慨を抱き、平和への歓喜、「力の支配」の存在、外交と宣伝、労働問題、米国問題など、卓越した識見と率直な心情を吐露した、近衛文麿若き日の記録。 -
詩文集 葦の地方
【小野十三郎没後30年記念企画】 詩とは偏向する勁さのことだ。――小野十三郎『詩論』より 大阪を拠点に短歌的抒情に抗して”歌と逆に歌に”詩を追求しつづけた小野十三郎。昭和の名詩「葦の地方」、教科書で親しまれる「山頂から」ほか代表詩篇二十五篇。さらに短歌に「奴隷の韻律」を見出した峻烈な批評、自伝抄「夢魔を追って」等を収めた文庫オリジナル作品集。 ■目次■ 海から見えるもの 【Ⅰ 詩】 断崖/葦の地方/明日/山/渺かに遠く/葦の地方(五)/ 不当に「物」が否定されたとき/ぼうせきの煙突/犬/大怪魚/ 一本のろうそく/ハマスゲのたぶさ/木々が芽吹くとき/ 雲も水も/山頂から/旅と滞在/雀/拒絶の木/明治のすき焼/ 新しい仕事/最期の木8・10/カヌーの速度で/前夜 亡き妻に/ さらば始祖鳥 【Ⅱ 批評】 「詩論」から/短歌的抒情に抗して/奴隷の韻律/民衆侮蔑ということ/「奴隷の韻律」補遺/詩の音楽性/反逆の抒情――『中野重治詩集』/現代詩と伝統 【Ⅲ 回想】 夢魔を追って/空飛ぶ蒸気機関車/大阪文学学校二十年/ 葦原の痕跡 花田清輝のこと 【巻末附録】 私の出会った人々〔抄〕(金時鐘)/ 時空を貫く批評の視線(富岡多惠子) 【解 説】 アナキズムを起点にした生涯(細見和之) -
神風連とその時代
明治九年、熊本の旧士族約一七〇名が決起し、政府に反旗を翻した神風連の乱。 彼ら敬神党はなぜ軍事的成算をかえりみずに蜂起したか。 神秘的秘密結社とも解される彼らの祖師、国学者・林櫻園の思想を読み解き、その「反時代的反乱」の淵源にせまる。 著者による、執筆当時の未公開日記を初収録。 〈巻末エッセイ〉橋川文三 〈解説〉髙山文彦 〈目次〉 第一部 神風連伝説 蜂起のあと 神風連百年 第二部 神風連とその時代 第一章 見神者 第二章 肥後冨勤皇党 第三章 熊本敬神党 第四章 反乱 第五章 予兆 註(第二部) あとがき 新版のためのあとがき 日記抄 解説 髙山文彦 巻末エッセイ 『神風連とその時代』にふれて 橋川文三 -
戦争か平和か 国務長官回想録
対日講和に奔走し、アイゼンハワー大統領下で国務長官として冷戦外交を主導。第二次世界大戦後の混乱する世界情勢に鑑みて、NATO(北大西洋条約機構)やOAS(米州機構)設立の経緯を明かす。ソ連・中国の脅威に直面するなかで、安易な宥和政策や国連安保理の機能不全を批判、世界の安定・平和への方策を提言する。 第二版の原著者まえがき 第一章 現代の課題 第一節 危機 第二節 汝の敵を知れ 第三節 目標 第二章 われわれの政策 第一節 宥和策は無用 第二節 国際連合 第三節 国連の運営状況 第四節 植民地の進展と暴力革命 第五節 地域的連合 第六節 経済上の空白と精神上の空白 第七節 軍事上の空白 第八節 外交政策の特殊性 第三章 外交政策の限度 第一節 五カ年間の得点しらべ 第二節 なぜ共産主義は勝つか 第四章 なにをなすべきか 第一節 これだけはぜひとも 第二節 二党協調主義の将来 第三節 世界機構の発達 第四節 西欧の統一 第五節 アジアにおける諸政策 第六節 軍部の役割 第七節 新しい方法 第八節 精神に必要なもの 第九節 平和への道 -
文章教室
「してヤラれた」と思った「雪国」の冒頭。生きている文章の書き手、志賀直哉。さりげない文体の名人、井伏鱒二。繰り返し読んで飽きない「陰翳礼讃」――。最後の文士とよばれた芥川賞作家が、多種多様なスタイルの名文を小説家ならではの視点で読み解き、すぐれた文章とはいかなるものかを綴る。読書案内にして名文鑑賞の書。〈解説〉蜂飼耳 目次より(一部抜粋) 自然のエロス――川端康成『雪国』 生き物の死――志賀直哉「城の崎にて」 感覚とモンタージュ――横光利一『上海』 光と影――谷崎潤一郎『陰翳礼讃』 ある死生観――尾崎一雄「虫のいろいろ」 詩美的感覚――梶井基次郎「檸檬」 性の描写――山本周五郎『青べか物語』 抑制と恥じらい――伊藤整『若い詩人の肖像』 ユーモアとペーソス――井伏鱒二「山椒魚」 典型的自画像――太宰治『人間失格』 切腹の描写――三島由紀夫「憂国」 戦場の死と生――大岡昇平『俘虜記』 絶体絶命の時――吉田満『戦艦大和の最期』 女であること――林芙美子「晩菊」 砲丸を投げる――小林秀雄「オリムピア」 夢を描く――内田百閒『冥途』 老年のエロス――結城信一「空の細道」 女人礼讃――室生犀星「えもいわれざる人」 着物を描く――芝木好子「京の小袖」 新しい血――三浦哲郎『初夜』 一語の重さ――佐多稲子『夏の栞』 戦場を見る――開高健『輝ける闇』 沈黙と虚無――佐藤春夫「『風流』論」 リング上の闘い――沢木耕太郎『ドランカー〈酔いどれ〉』 吉行淳之介『女のかたち』抄 死への鎮魂――吉村昭『星への旅』 厄介な生き物――阿部昭『言葉ありき』 生命の復活――北條民雄『いのちの初夜』 古都の異人――島村利正『奈良登大路町』 老いの果て――耕治人『天井から降る哀しい音』 完結した人生――司馬遼太郎『歴史と小説』 美しいものとは――岡部伊都子「青磁」 海景の中の人生――水上勉「寺泊」 権威を笑う――井上ひさし「パロディ志願」 物狂おしさの果て――瀬戸内晴美『放浪について』 土への夢――深沢七郎「生態を変える記」 ある狂熱者――棟方志功『板極道』 手でつかむ――柳宗悦「雑器の美」 芸術とは?――吉田秀和「ヨーロッパの夏、日本の夏」 エロスの詩――野口冨士男『なぎの葉考』 官能描写――田久保英夫「蜜の味」 -
リデルハート 戦略家の生涯とリベラルな戦争観
第一部 リデルハートとその時代 第一章 誕生から第一次世界大戦まで 第二章 戦間期 第三章 第二次世界大戦 第四章 冷戦から晩年まで 第二部 リデルハートの戦略思想 第五章 第一次世界大戦の衝撃 第六章 大量集中理論と相互破壊理論の「救世主」 ――リデルハートのクラウゼヴィッツ批判―― 第七章 『戦略論』の誕生(その一) 第八章 『戦略論』の誕生(その二) 第九章 「間接アプローチ戦略」と「イギリス流の戦争方法」 第十章 リデルハートと「西側流の戦争方法」 エピローグ――「日本流の戦争方法」の構築に向けて -
小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン
「日本人以上に日本を知り、愛した」と言われる小泉八雲。 ギリシヤで生まれ、アイルランド、イギリス、フランス、アメリカ、仏領マルティニークを経て来日。 横浜、松江、熊本、神戸、東京を巡り、54歳で没したその全生涯を、直弟子が綴る伝記の決定版。 来日後、結婚して家族を持ち、日本の文化の真髄にふれて『知られぬ日本の面影』『怪談』『心』など数々の著作を紡ぎ出した姿が浮かび上がる。 著者は小泉家の協力のもと、国内外の資料を蒐集して本書を完成させた。 坪内逍遙、西田幾多郎らの序文、八雲夫人・小泉節子(セツ)の追懐談「思い出の記」を収録。巻末に年譜と索引を付す。 〈解説〉池田雅之 -
悪人列伝 大河ドラマ篇
日本史上の「悪人」24人を取り上げた評伝の大著『悪人列伝』から、「大河ドラマ」でも異彩を放った7人を選ぶ。著者は、情緒を排し史実(多くの史資料)に立脚した史伝を確立した作家。その背景には司馬遷『史記』をはじめとする中国史書への深い造詣があった。自らも大河ドラマ2作の原作者(「天と地と」「風と雲と虹と」)であった著者の人間的な史眼により、「悪人」たちが生き生きと甦る。 「本編の主人公兼家の生涯も、権力闘争以外には何も目ぼしいことはないのであるが、その手段が悪辣陰険をきわめているので、おもしろいのである」……藤原兼家 「(田沼は)大悪人ではなかろうが、結果的には大悪人とひとしいことをしたといえるであろう。人それぞれの好悪があろうが、こんな不潔な人間は、ぼくはきらいだ」……田沼意次 〈解説〉ペリー荻野 目次 *( )は、登場する主な大河ドラマタイトル 藤原兼家(「光る君へ」) 北条政子(「草燃える」「平清盛」「鎌倉殿の13人」) 北条高時(「太平記」) 日野富子(「花の乱」) 松永久秀(「麒麟がくる」) 徳川綱吉(「八代将軍吉宗」「元禄繚乱」) 田沼意次(「べらぼう」) -
完本 昭和史のおんな
〈昭和100年〉ほんの百年前を生きた女たちの苦闘。 東郷青児と情死をはかった西崎盈子、夫の出陣前夜に殉死した井上中尉夫人・千代子、保険殺人をはかった母子・徳山はつ/光子、堕胎罪に問われた女優・志賀暁子、ソ連へ亡命した女優・岡田嘉子……。 昭和のメディアを「騒がせた」女たちの苦闘に寄り添い、その人生を追ったノンフィクション。 文藝春秋読者賞受賞。昭和100年に際し文庫化。 ■上巻 目次■ 妻たちと東郷青児 井上中尉夫人「死の餞別」 保険金殺人の母と娘 志賀暁子の「罪と罰」 杉山智恵子の心の国境 チフス饅頭を贈った女医 性の求道者・小倉ミチヨ 桝本セツの反逆的恋愛 初代女性アナ翠川秋子の情死 擬装結婚の愛と真実 -
日本語の論理 増補新版
日本語は本当に非論理的なのか――欧文との構成の違いを不連続の点と線、豆腐と煉瓦でたとえ、その独自の論理性と創造性を明らかにする。一方で、文学偏重の国語教育に対し、抽象論理的な思考に基づく「日本語」教育の重要さを説く。「島国考」、「知識と思考」(講演)を増補。 (目次より) Ⅰ 日本語の論理/日本語と創造性/文章構成の原理/思考の組み立て Ⅱ 日本語の姿/日本語点描 Ⅲ 言語と思考/外国語の学習と思考/アイランド・フォーム/エレガントな対立/外国文化三つの顔/外国語論 Ⅳ 映像と言語/映像と言語の二重文化/不同調の美学 文庫版のあとがき * 島国考 〈講演〉知識と思考 -
中空構造日本の深層 増補新版
空を中心とするとき、統合するものを決定すべき、決定的な戦いを避けることができる。それは対立するものの共存を許すモデルである――日本人の心理を、中空を保って均衡し合う構造とし、西欧の中心へと統合する心理構造との対比で論じる。関連論考「日本神話にみる意思決定」、吉田敦彦との対談「神話と日本人」を増補。 〈解説〉吉田敦彦/河合俊雄 (目次より) Ⅰ 神話的知の復権 『古事記』神話における中空構造 中空構造日本の危機 Ⅱ 昔話の心理学的研究 民話と幻想 「うさぎ穴」の意味するもの 日本昔話の心理学的解明 Ⅲ 現代青年の感性 象徴としての近親相姦 家庭教育の現代的意義 偽英雄を生み出した「神話」 フィリピン人の母性原理 あとがき 旧版解説(吉田敦彦) * 日本神話にみる意思決定 巻末対談「神話と日本人」河合隼雄×吉田敦彦 増補新版解説(河合俊雄) -
不連続殺人事件 附・安吾探偵とそのライヴァルたち
それは、「人生最高のゲーム」だった―― 日本の本格ミステリ史上屈指の名作『不連続殺人事件』。その誕生背景には、若き文学者たちが戦時下に行なった伝説の「犯人当て」イベントがあった。 荒正人・大井広介・平野謙ら、坂口安吾の〈ライヴァル探偵〉たちによる貴重な回想・証言と、小説本文を初めて一冊に。 〈解説〉野崎六助 【目次】 [小説] 坂口安吾『不連続殺人事件』 [資料編](※は書籍初収録) 平野謙:平野探偵の手記 大井広介:犯人当て奨励/「現代文学」の悪童たち※ 荒正人:『回想・昭和文学四十年(抄)』 荒正人・江戸川乱歩・大井広介:鼎談・評論家の眼※ 江戸川乱歩:『不連続殺人事件』を評す/坂口安吾の思出 埴谷雄高:遠い記憶から――『不連続殺人事件』/署名本 佐々木基一:「現代文学」回想※ [解説] 野崎六助 -
ヴィジュアル版 沖縄文化論 忘れられた日本
身体全体がふくれあがるような日々だった。ふれるものすべてに問題を発見し、ぎりぎり集中して行った。――一九五九年に本島、久高島、宮古島、石垣島、竹富島、そして六六年に久高島を再訪。沖縄に恋をした芸術家が見た舞踊、歌、そして神事からの日本再発見。毎日出版文化賞受賞作。著者撮影による写真口絵六四ページを収録。 〈随筆〉岡本敏子 〈解説〉外間守善/赤坂憲雄 (目次より) 沖縄の肌ざわり 「何もないこと」の眩暈 八重山の悲歌 踊る島 神と木と石 ちゅらかさの伝統 結 語 増補 神々の島 久高島 本土復帰にあたって あとがき 「一つの恋」の証言者として岡本敏子 新版に寄せて 岡本太郎の『沖縄文化論』を読む外間守善 解説赤坂憲雄 -
ものぐさ精神分析 増補新版
人間の本能は現実との接触を失っており、適応の機能を果たさない。 本能の代わりに自我がその機能を果たさなければならない。 ――日本は黒船来航ショックを病因的精神的外傷とする精神分裂病質である、と診断した「日本近代を精神分析する」以下、歴史、性から自己まで、五つのテーマに迫る唯幻論の代表作。 〈解説〉伊丹十三 〈対談〉橋本治 (目次より) 歴史について 日本近代を精神分析する/吉田松陰と日本近代/国家論/日常性とスキャンダル 性について 性の倒錯とタブー/エロスの発達/性欲論/性的唯幻論/恋愛論/何のために親は子を育てるか 人間について 擬人論の復権/時間と空間の起源/言語の起源/現実と超現実/精神分裂病 心理学について 一人称の心理学/心理学者の解説はなぜつまらないか/心理学無用論 自己について ナルチシズム論/自己嫌悪の効用/セルフ・イメージの構造/自我構造の危機/詩人のなりそこね/我発見被殴打的根本原因/忙しい人とひまな人/一期一会/わたしの原点 あとがき 解説 伊丹十三 対談「幻想と妄想」 橋本治×岸田秀 -
漱石の読書と鑑賞
僕の門下生からこんな面白いものをかく人が出るかと思うと先生は顔色なし。――新刊の感想から、門下生の作品添削、雑誌への売り込みまで。漱石の書簡に現れる同時代文学評を、佐藤春夫が編年でまとめ、解説を付し、「書簡中に見る諸家作品選集」を編集する。 〈巻末付録〉エッセイ=内田百閒/漱石宛て書簡=芥川龍之介・久米正雄 -
命の家 上林曉病妻小説集
これは愛なのか、苦悩なのか……。心を病んだ妻。発病から死に至る足かけ8年、妻を見つめながら書き続けた魂の文学。まさに上林曉を上林曉たらしめた、孤高の私小説集。文庫オリジナル。 ◆上林の妻・繁子は、1939年7月に精神に病を発し、46年5月に死去。8年におよぶ闘病中、3度の入退院を重ねた。この間、上林はひたすら自身と妻をモデルに、私小説を書き続けた。 ◆この8年は、日米戦争を挟む時期であった。3人の子どもたちを郷里の高知に疎開させ、一家は離散。食べるものにも困窮する日々であった。 ◆妻の病は徐々に、しかし確実に蝕まれていった。戦中の栄養失調、行き届かぬ医療、衛生状態の悪化から、視力も失われてゆく。「錠前と鉄格子」のある病院で、妻は孤独に死を待つこととなる。面会も間遠になり、上林が妻の最期を見届けることはできなかった。 ◆本文庫では、過去に刊行された「病妻もの」の収録作を軸としつつ、作品を増補し、発病から死去、そして埋葬に至るストーリーを、さながら長篇私小説としても読めるように構成した。 ◆収録作:林檎汁/夜霊/悲歌/明月記/命の家/風致区/聖ヨハネ病院にて/遅桜/嬬恋い/庭訓/弔い鳥/聖ヨハネ病院にて -
本の神話学 増補新版
あらゆる書物は見えない連関(ネットワーク)で結ばれている。その解読の驚きと愉しみ、秘術と実践。 自分だけの「知の見取り図」は、いつの時代も蔵書から生まれる。20世紀前半、人文知再編の震源地となったアビ・ワールブルクの研究所およびワイマール文化を発端に、本書自体が、文化人類学的思考を通じてオルタナティヴな精神史・思想史を発見するための架空ライブラリーとして展開する、著者の代表作。 美術、演劇、音楽、文学、宗教学、人類学……さまざまな文化/学問領域の隠れたネットワークを、おびただしい過去の書物をたぐりながら曼荼羅のように描き出す、みずみずしい驚きに満ちた知的アクロバット。 1970~80年代のニューアカデミズム・ブームを牽引し、後世に巨大なインパクトを与えた伝説の一冊にして、普遍的な知の技術を示し/実践した名著を凱旋復刊。 まさに「文庫の中の文庫」といえるコンパクトにして圧倒的な情報量が詰まったこの神話的迷宮は、21世紀の今も来る者すべてに開かれている。 巻末に、「図書館」に関する講演録・エッセイを新たに増補。 〈解説〉山本貴光 【目次】 第一章 二十世紀後半の知的起源 第二章 ユダヤ人の知的熱情 第三章 モーツァルトと「第三世界」 第四章 「社会科学」としての芸能 第五章 もう一つのルネサンス 補 遺 物語作者たち [新増補] 歴史と記憶(1995) 図書館との出遭い(2000) 解説 山本貴光
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