伊藤隆の一覧
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ユーザーレビュー
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初版:1983年(中公新書)。1938年の近衛新党運動から40年10月の大政翼賛会発足を経て、41年4月の翼賛会改組に至る過程を1次資料に基づいて追跡したもの。翼賛会改組で分析を止めているのは、これが新体制運動の推進者たる「革新派」の敗北を意味するため。
もっとも、革新派が全くの無力だったのではな
...続きを読むい訳で(たとえば電力国家管理)、彼らの活動がトータルとして日本社会にどのような足跡を残したのかは、本書刊行から30年以上経つ今日でも未だ、評価は定まっていないといえよう。
Posted by ブクログ
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生い立ち、従軍、共産党東大細胞の思い出、政治記者として立ち会った権力闘争の修羅場、鳩山一郎、大野伴睦、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘、橋本龍太郎、村山富市、小沢一郎、小渕恵三ら為政者たちの横顔。読売新聞主筆による生々しい証言。(親本は2000年刊、2007年文庫化)
・まえがき
・第一章
...続きを読む恋と哲学と共産党
・第二章 新聞記者への道
・第三章 保守合同と岸政権の裏側
・第四章 六〇年安保と池田政権の核心
・第五章 ワシントン支局長時代と角福戦争の内幕
・第六章 田中角栄とその時代
・第七章 盟友・中曽根康弘
・第八章 平成の九宰相
・終 章 我が実践的ジャーナリズム論
渡邉恒雄は毀誉褒貶激しい人物であろう。個人的には政治的な生々しさを感じる人物である。近年では、失敗に終わったが、自民党と民主党の大連立の橋渡しを行ったことでも知られる。このニュースを聞いたときに、ジャーナリストとしていかがなものかと思ったものだが、本書を読むと、渡邉の行動原理の一端を窺うことが出来る。
渡邉が現役の政治記者出会った頃、政治家と番記者の付き合いは癒着の関係にあった。記者が仕掛け特ダネをつくった時代であったことがわかる。
政治部次長となったとき、社内のゴタゴタに巻き込まれ、ワシントン支局に飛ばされることとなる。(渡邉が必ずしも順風万番でなかったことも興味深い)
その後、上司に目をかけられ、復権し、社長に就任することとなる。
渡邉は「我々の最大の武器は、1000万部行き渡っている紙面なんだ」p516という。「これを善用しなければ」という使命感も興味深いところである。政治記者である、渡邉の目から語られる政治家の素顔も面白く一読の価値があり、オススメである。
Posted by ブクログ
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日記・書簡の史料収集、歴史観論争、そして政界、官界へのオーラル・ヒストリー。近現代史を切り開く。
日本近現代史を牽引してきた大家が、八十年以上にわたる自らの歩みを語る。その秘話やエピソードは、歴史の面白さを伝えると同時に、史料を集め、次代へ引き継ぐ歴史家の責任の重さをも物語る。史料を駆使して近現代史
...続きを読むを切り開いた泰斗の稀有な回想録。(2015年刊)
・まえがき
・第一章 共産主義との出会いと訣別
・第二章 昭和史へー史料収集事始め
・第三章 木戸日記研究会のことなど
・第四章 革新とは何か
・第五章 ファシズム論争
・第六章 近衛新体制をめぐる人々
・第七章 戦前・戦中・戦後の連続性
・第八章 茨城県議会史と東大百年史
・第九章 明治の元勲から岸・佐藤まで
・第十章 昭和天皇崩御
・第十一章 インタビューからオーラル・ヒストリーへ
・第十二章 竹下登、松野頼三、藤波孝生
・第十三章 海原治、渡邉恒雄、宝樹文彦
・終 章 史料館の挫折と人物史料情報辞典
・あとがき
ものすごく明け透けに書かれており、めっぽう面白い。残念なのは人物索引が欲しいところ。
Posted by ブクログ
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昭和20年8月15日、日本は敗戦にて大戦の幕を閉じました。以降7年に及ぶ米軍による長期占領が始まりました。戦争終結から約7年間も敗戦国が占領されるということは、近代史上珍しい特異な時代を迎えることになるのです。
GHQは、日本が再びアメリカの脅威にならないようにすることを一番の眼目として様々な占領政
...続きを読む策を実行していき、その最たるものは憲法改正です。敗戦して他国の憲法を改正するなどというものは、当時の国際法違反行為を公然とやってのけ、そしていまだに憲法内容・誤字さえ訂正されていないのです。
SF講和条約に調印し日本が主権国家として独立したにもかかわらず、GHQの占領政策の呪縛から解けていないことを、日本国民の多くは知らない。
大正生まれの人が存命であれば、戦前の日本の教育が如何に素晴らしいことがわかるであろうが、前後生まれの世代が日本の人口の大半を占めるようになった。なんとかなしいことか。今こそ、正しい歴史認識を学ばねばならない。
少なくとも、これから学ぶ子供たちに、日本人として誇りを待たせてあげたいと思います。
Posted by ブクログ
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東大名誉教授の日本近現代史学者である伊藤隆氏の自伝というか、オーラル・ヒストリー。1人の歴史家の人生として、非常に面白かった。
著者は、学生当初こそマルクス主義を信奉していたが、その後、反マルクス主義、実証主義を貫き、反対の立場の歴史学者からは、「反動歴史学者」や「御用学者」と非難されてきた。著者の
...続きを読む主張は、「マルクス主義の一般法則、発展段階説と階級闘争論で日本近代史を読み解こうとすると大変な矛盾が生じる。それを解決するためには、前提(=マルクス主義;評者注)を取っ払わなければならない」というもので、今から思うと至極当然のことと感じるが、マルクス主義史学が歴史学会を席巻していた当時に一貫してこのような主張をしてきたことは大変勇気がいることだったろうと思うし、敬意を表する。ただ、東大受験生の入試答案を採点していると、受験生の大半が過激な左翼としか思えないという感想も述べられていたが、それは言い過ぎではないのかと感じるなど、著者にも「反共」というバイアスが結構かかってるのではないかという印象も持った。また、「新しい歴史教科書をつくる会」に関わったのは著者にとってあまり良い判断ではなかったのではないかと考えるが、そのことについてあまり触れられていなかったのはちょっと物足りなかった。
本書で述べられている、歴史学者の人的つながりの話や、オーラルヒストリーのインタビュー等での人間模様はなかなか興味深く、面白いものだった。特に、平泉澄氏へのインタビューのエピソードが印象深かった。
本書を読んで、近現代史史料の開拓と蒐集の重要性もよくわかった。近現代史史料の整備という点で著者の功績は大きなものがあると感じた。著者がいなければ、今頃、散逸して所在不明になっていた史料がたくさんあったのではないかと思われる。
Posted by ブクログ
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