伊藤隆のレビュー一覧
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近衛新体制運動について興味があったので購入。本書の原本『近衛新体制』(中公新書)は1983年出版。鳩山一郎らが自由主義的な立場から大政翼賛会と対立し翼賛選挙を非推薦で当選したことは有名だが、右翼の立場からも翼賛会による独裁は国体に相容れない幕府の再現と批判されていた。
また、財界も統制経済的な新体制には猛反発しており、小林一三商工大臣と岸信介次官の対立はこの延長線上にあった。
さらに、大政翼賛会への補助金を含む昭和15年度追加予算案、昭和16年度予算案には減額修正案が出され、近衛首相は大政翼賛会の政治的性格について追及される。減額修正案は否決されたものの、当初イメージしていた大政翼賛会=一党独 -
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日本近代史専門の著者による資料収集とオーラルヒストリーについての四方山話。なんと言うか自慢話のような気がしないでもないが「他人の話を聞いたら自慢話だと思うわけで、私が何をしゃべったって自慢話だと思うでしょう。」と本人から釘を刺されてしまった。反省。
この本を読んでいくと今では当たり前の一次資料を徹底的に分析する歴史研究の礎が昭和戦後期という割と最近になって生まれたことに気がつく。逆にいえばそれまでの歴史研究がどれだけイデオロギーにまみれたいい加減なものであったかということであろう。著者は時々自分でも自嘲するほどの保守寄りの人物であるが、要は主義主張に関係なく資料に向き合う事が大切なのだろう。
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生い立ち、従軍、共産党東大細胞の思い出、政治記者として立ち会った権力闘争の修羅場、鳩山一郎、大野伴睦、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘、橋本龍太郎、村山富市、小沢一郎、小渕恵三ら為政者たちの横顔。読売新聞主筆による生々しい証言。(親本は2000年刊、2007年文庫化)
・まえがき
・第一章 恋と哲学と共産党
・第二章 新聞記者への道
・第三章 保守合同と岸政権の裏側
・第四章 六〇年安保と池田政権の核心
・第五章 ワシントン支局長時代と角福戦争の内幕
・第六章 田中角栄とその時代
・第七章 盟友・中曽根康弘
・第八章 平成の九宰相
・終 章 我が実践的ジャーナリズム論
渡邉恒雄は毀誉 -
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日記・書簡の史料収集、歴史観論争、そして政界、官界へのオーラル・ヒストリー。近現代史を切り開く。
日本近現代史を牽引してきた大家が、八十年以上にわたる自らの歩みを語る。その秘話やエピソードは、歴史の面白さを伝えると同時に、史料を集め、次代へ引き継ぐ歴史家の責任の重さをも物語る。史料を駆使して近現代史を切り開いた泰斗の稀有な回想録。(2015年刊)
・まえがき
・第一章 共産主義との出会いと訣別
・第二章 昭和史へー史料収集事始め
・第三章 木戸日記研究会のことなど
・第四章 革新とは何か
・第五章 ファシズム論争
・第六章 近衛新体制をめぐる人々
・第七章 戦前・戦中・戦後の連続性
・第八章 -
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単行本化にあたり、「回顧録」ともっともらしいタイトルにはなっているが、インタビューの内容としては連載時の「政治記者一代記」のタイトルの方がしっくり来るし、何なら「大放談~ナベツネ大いに吠える~」でもいい位だ。ただ読み物としては面白い。
これで終わると中央公論を寝転みながら読んで終わり、となるが、流石に終章の「我が実践的ジャーナリズム論」と御厨教授の解説で話がまとまる。ロングインタビューが苦痛ならこの120ページ余りで十分だと思う。
本書はオーラルヒストリーという歴史研究の手段の一つだが、このインタビューの時点ではまだ試行錯誤の段階だからか、著者の押しの強さからか、「話し手と聞き手」の枠に収 -
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昭和20年8月15日、日本は敗戦にて大戦の幕を閉じました。以降7年に及ぶ米軍による長期占領が始まりました。戦争終結から約7年間も敗戦国が占領されるということは、近代史上珍しい特異な時代を迎えることになるのです。
GHQは、日本が再びアメリカの脅威にならないようにすることを一番の眼目として様々な占領政策を実行していき、その最たるものは憲法改正です。敗戦して他国の憲法を改正するなどというものは、当時の国際法違反行為を公然とやってのけ、そしていまだに憲法内容・誤字さえ訂正されていないのです。
SF講和条約に調印し日本が主権国家として独立したにもかかわらず、GHQの占領政策の呪縛から解けていないことを -
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東大名誉教授の日本近現代史学者である伊藤隆氏の自伝というか、オーラル・ヒストリー。1人の歴史家の人生として、非常に面白かった。
著者は、学生当初こそマルクス主義を信奉していたが、その後、反マルクス主義、実証主義を貫き、反対の立場の歴史学者からは、「反動歴史学者」や「御用学者」と非難されてきた。著者の主張は、「マルクス主義の一般法則、発展段階説と階級闘争論で日本近代史を読み解こうとすると大変な矛盾が生じる。それを解決するためには、前提(=マルクス主義;評者注)を取っ払わなければならない」というもので、今から思うと至極当然のことと感じるが、マルクス主義史学が歴史学会を席巻していた当時に一貫してこの -
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法学部の武田先生をはじめ知り合いが沢山登場していた。ちょっと驚いたのは、先年亡くなった経済学部の加藤瑛子先生(日本経済史担当)が登場していたこと。東大100年史の編纂に携わったことがあるらしい。また東日本大震災時の佐賀香織さんとのエピソードも出て来る。
また116ページに後藤隆之助保管の海軍省調査課の史料がうちの大学に移管されたことも記してある。
著者がおこなった数々の聴き取りのエピソードが面白いのはもちろんだが、現役研究者とのさまざまな人間関係とか諸々が色々と滲み出ていて(時にははっきり出ていて)、そっちのほうがむしろ業界的には興味をそそられる部分があることは否めないかも。 -
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面白いんだろうけど、頭がついていかなかった………。
生まれてない頃の政治家の名前と関係性が大量に出てきて、それらとさまざまな関係性を築きながら政治のフィクサーになったということは分かったんだけど、頭に入ってこなかった…。
政治の構成要因としての政治記者。もはや介入してるよね。
あとは昔の政治は金の動き方が今と比べ物にならない。
ナベツネというと、なんとなくお騒がせものというイメージが勝手についているが、「書く」ことへの自負という面では唯一無二としての存在なのか。
確かに、政治に提言するメディアとしての「新聞」はあるべきだと思う。それはあくまで、政権の批判ありきではなく、様々な情勢を見た -
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「『大政翼賛会』は、本当に『軍部主導』で行われたのか?」という疑問について、明確に回答してくれる書籍である。1931年に勃発した満州事変以来、日本に対する国際社会の視線は、年を追う毎に厳しくなっていった。このままでは国際社会における地位は低下し、ひいては日本の権益も外国に奪われるのではないか?戦前における日本の侵略行為は厳しく処断されて叱るべきだが、驚くことに日本の侵略政策について、日本の無産運動をリードしていた社会大衆党(戦前における、日本の社民主義者が集まって結成された政党)はもちろん、共産党幹部の中にも、この政策を支持するものがいたのである。「大政翼賛会」は、もともと「軍閥・財閥・既成政
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・良くも悪くも、日本の戦後史を語るうえで欠かせないナベツネの回顧録。
・特ダネを書くために、記者自ら特ダネを作ることがあるという。日ソ国交回復のきっかけとなった鳩山・ドムニツキー会談や、1955年の保守合同につながる三木武吉・大野伴睦の会談を、それぞれ新聞記者がセッティングしたというのは衝撃の事実。まさにニュースは「作られる」。
・若い頃、天皇制打倒を掲げていたにもかかわらず、「総理を含め政治家が汚れた存在であるからこそ、政治的に無菌状態の天皇が国民統合の象徴として必要なのだ」として天皇制支持に転向したが、これは大部分の日本国民の感情とも一致すると思う。
・政治家の対立は、政策やイデオロ -
購入済み
本当に入門編
始める前か、始めて間もない人用。2~3ヶ月ぐらいやってる人だと大半は知ってる内容。しかも那須川天心はインタビューと一部の技だけで、後は違う人が説明を。絶技って何だったんだろう。。。