【感想・ネタバレ】大政翼賛会への道 近衛新体制のレビュー

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Posted by ブクログ

初版:1983年(中公新書)。1938年の近衛新党運動から40年10月の大政翼賛会発足を経て、41年4月の翼賛会改組に至る過程を1次資料に基づいて追跡したもの。翼賛会改組で分析を止めているのは、これが新体制運動の推進者たる「革新派」の敗北を意味するため。

もっとも、革新派が全くの無力だったのではない訳で(たとえば電力国家管理)、彼らの活動がトータルとして日本社会にどのような足跡を残したのかは、本書刊行から30年以上経つ今日でも未だ、評価は定まっていないといえよう。

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2019年08月29日

Posted by ブクログ

「『大政翼賛会』は、本当に『軍部主導』で行われたのか?」という疑問について、明確に回答してくれる書籍である。1931年に勃発した満州事変以来、日本に対する国際社会の視線は、年を追う毎に厳しくなっていった。このままでは国際社会における地位は低下し、ひいては日本の権益も外国に奪われるのではないか?戦前における日本の侵略行為は厳しく処断されて叱るべきだが、驚くことに日本の侵略政策について、日本の無産運動をリードしていた社会大衆党(戦前における、日本の社民主義者が集まって結成された政党)はもちろん、共産党幹部の中にも、この政策を支持するものがいたのである。「大政翼賛会」は、もともと「軍閥・財閥・既成政党に対する対抗勢力として、革新派官僚である「革新官僚」や、先に挙げた社会大衆党所属の政治家、元共産党幹部、日本の将来を憂える保守リベラルを標榜する政治家らによって企図されたものであった。彼らはその象徴として、その当時高い人気を誇った近衛文麿を代表にしようと画策する。だが肝心の近衛の態度・政治姿勢が定まらず、その結果できたものは、当初考えられたものとは全く違ったものになってしまった。
濃密な人間ドラマが凝縮された一冊だが、引用している資料が漢文混じりだったり、言い回しや仮名遣いに古めかしいところがあったりで、理解しにくいのが難点である。だが70年以上前野政治状況は、現在とあまりによく似ている。果たして、歴史は繰り返すのか?

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2016年05月14日

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