作品一覧 2023/11/30更新 ツァラトゥストラ(合本) 試し読み フォロー ファウスト 試し読み フォロー ファウスト 悲劇(第1部・第2部 合本) 試し読み フォロー 1~3件目 / 3件<<<1・・・・・・・・・>>> 手塚富雄の作品をすべて見る
ユーザーレビュー ファウスト 悲劇第一部 ゲーテ / 手塚富雄 老学者ファウストは悪魔メフィストフェレスと「とまれ、おまえはじつに美しいから」と言った時、自分の魂を渡す契約を結ぶ。その代償として若返り、 「さっぱりと知識欲を投げすててしまったこの胸は、 これからどんな苦痛もこばみはせぬ。 そして全人類が受けるべきものを、 おれは内なる自我によって味わいつくしたい...続きを読む。 おれの精神で、人類の達した最高最深のものをつかみ、 人間の幸福と嘆きのすべてをこの胸に受けとめ、 こうしておれの自我を人類の自我にまで拡大し、 そして人類そのものと運命をともにして、ついにはおれも砕けよう。」(第一部PP142~143) と人生をやり直すことを決意する。しかし、一幕一幕場面が変わり、主人公のファウストは相変わらず、女性の後を追いかけ回し続ける。最後は寄せて返る波の非生産性に腹を立て、海の埋め立てを実行する。そして、立ち退かない老夫婦を焼死させることになりながらも、自身は 『自由な土地に自由な民とともに生きたい。 そのとき、おれは瞬間にむかってこう言っていい、 「とまれ、おまえはじつに美しいから」と』(第二部P568) と思いを馳せ、亡くなる。しかし最後は、メフィストフェレスとの契約履行のとき、天使たちが突然降り立って、約束を反故にしてしまう。 天使たちは 「どんな人にせよ、絶えず努力して励むものを、 わたしたちは救うことができます。」(第二部P598) といって、主の救いを歌う。 傍から見て身勝手な物語だと思う。しかし、これは憂いを克服する物語なのだ。老学者の頃のファウストに自殺を考えさしたこの憂いを、悪魔の力を借りながら最後は退ける。ゲーテにとって、この、憂いがどれだけ生命に反するものだったかを察しなければならない。解説文で中村光夫が『ファウスト』のセリフは「作者の体得した人生の真実」と書いていた。それを汲み取る努力が、この読書には必要だ。 Posted by ブクログ ファウスト 悲劇第二部 ゲーテ / 手塚富雄 厨二病に罹患した自覚のあるものはただちに読むがいい。圧巻のセンス・オブ・ワンダー! 物語の筋の悪さには目をつぶり、裏読みを要するような難解さは専門家に任せ、この大いなる幻想を楽しむがいい。 筋の悪さ。 悪魔の力を手に入れたファウストは欲望の赴くままにそれを楽しみ、時には非道な行いをする。それに悔い...続きを読むることもなく次なる欲望につきすすむさまは、芸術家ならわかる心情というものか。文豪がまれによく持つゲスい感性のなせるわざか、苦い経験などなかったかのごとく生きていく。 第二部は、行間を大いに読めば、奔放に生き、時には幸せを得、儚く失い、時には非道をふるまったファウストの人生模様である。いつとは知れぬ人生の場面をただ見せられる。なぜそういうことになったのか説明されないので、たいそう座りが悪い。壮大な幻想風景に感嘆させられながらも、物語性の欠如を強く感じさせられる。 そもそも神とメフィストフェレスが、ファウストが堕落するか否かを賭けて物語がはじまる。ファウストの血を混ぜたインクで契約書を書かせたにも関わらず、そんな事情を知らぬ天使たちにファウストの魂を天へ連れて行かれてしまう。天使たちの光はイノセントに見守るしかないメフィストフェレスを焼いている。 欲や罪にまみれた人生であっても神は救う。そういうことでいいの? 裏読みとは押井守氏の言葉を借りたものだが、氏曰く、映画は必ず裏読みできるようにあるべきだという。氏の作った映画は全てそのように作っているという。そういうふうに作ってあるからといって面白い訳ではないということだね。 氏の主張ではないが、文学もまた、そうあるべきという風潮があるように思う。あるいは、ない裏もあるとして論ぜねばならないように思う。だが、それはできる人に任せておけばよい。本書について言えば、注釈やあとがきによって、背景や感じ方というものに触れることはできる。無論、訳者の解釈に過ぎない。正解はおそらく著者も持っていない。 マーガレット・ワイスは、マジェーレ兄弟やソス卿の創造にあたってファウストを意識しただろうか。 永野護のFSSは、ファウストに依るところが大きいのかもしれない。 とか思いながら。 どうやら、現代に与えた影響を知ることを、古典を読む楽しみとしてるようだ。 Posted by ブクログ ファウスト 悲劇第一部 ゲーテ / 手塚富雄 古典で戯曲というと近頃シェイクスピアを数編読んだという程度のニワカだが、古典で名作といわれる作品らに感じることがないわけではない。必ずしも面白いものではないこと、週刊少年ジャンプ掲載作品のようだということ。前者については戯曲に限らぬこと。後者については、作者が第一に気にすべきは人気であっただろうとい...続きを読むうことである。客が席を立たぬようにすることが第一で、叶うならばリピーターを生産したかっただろうということである。それを由来として、いろいろと雑なところがあるように見える。 『ファウスト』も古典で戯曲だが、第一部を読んだ限りでは前述のようなことはない。雑だと感じないし、面白い。 なぜか第一部の巻末に掲載されている、第二部まで含めた解説によればゲーテは半生をかけてこの物語を綴ったそうで、死の間際にも改稿を施している。重ねた推敲が悪く働かず、作品を昇華させたということか。 巻末エッセイによれば、ファウストの翻訳は森鴎外をはじめ幾つも存在するが、必ずしも読みやすいものではなかったらしい。本書はそのあたりを強く意識して翻訳がなされたということで、そのためだろうか、読みやすいと感じるのは。 さて、本作品にはノストラダムスの名が登場する。ただ一度だが、出生地たるフランスはおろか全世界的にはそうでなくとも、一時期日本人なら誰でも知ってるくらいの著名人たりえたのは、古典名作の権威があったからなのかなとか。 石川賢が「虚無との戦いは空間の奪い合いだ」としたネタ元だったのかなとか。 ワルプルギスの夜の描写は『ベルセルク』の蝕に着想を与えたのかなとか。 ハロルドシェイの呪文はこの辺由来なのかなとか。 思ったり思わなかったり。 Posted by ブクログ ファウスト 悲劇第一部 ゲーテ / 手塚富雄 高潔にして世界の真理を追い求めた末、自分のちっぽけさに絶望した主人公ファウストが、悪魔メフィストフェレスに魂を売って人間的快楽を知るといった内容だった。設定としては結構面白かったが、内容が面白いかと言われれば個人的にはそうでもなかった。 所々に出てくるポエムはちょっとよくわからなかった。また、登場人...続きを読む物たちの何気ない発言は含蓄に富んでいるが、少々唐突で無理やりであり、著者がこの作品を通じて自分の人生哲学、思想を詰め込もうとしているように感じた。 ただ、この手の古典的名作の良さというのは、そのつまらなさの故に、読後に現代の流行りの小説を読むといつもの数倍面白く感じることができるといったところにあると思っている笑 Posted by ブクログ ファウスト 悲劇第一部 ゲーテ / 手塚富雄 こんなに好き勝手やって、最終的に救済されるのは納得いかない 信仰心があればもっと理解できるのかもしれない グレートヒェンに関しては悲劇っていうかもはやファウストの罪でしょ 親殺させて兄殺して行方をくらませてる場合か?捕まってから助けに行くのはあまりにも遅いのでは? 一部と二部だとまだ一部の方がお...続きを読むもしろい 二部はキリスト教知識に加えてギリシャ神話とか歴史に詳しくなくて読むのが大変だった Posted by ブクログ 手塚富雄のレビューをもっと見る