【感想・ネタバレ】ファウスト 悲劇第二部のレビュー

あらすじ

無垢な少女グレートヒェンを悲運のどん底に落とし心身ともに疲れきったファウストは、しかし「最高の生き方をめざして絶えず努力をつづけよう」と決意する。第一部の執筆後、二十年以上の休止を挟み、死の前年に完成に至った壮大な戯曲の第二部。(全二巻)
〈巻末エッセイ〉中村光夫

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Posted by ブクログ

まず、誰の訳で読むか迷ったが、比較記事などを参考に手塚富雄氏の訳を選んだ。言い回しに引っかかることもなく最後まで面白く読めたので、私には合っていたのだと思う。
ギリシア神話の神々や、架空の生き物も大勢登場するが、詳しい注のおかげで理解しやすく、訳者の解釈まで添えられているのも面白かった。こんなに隅々まで注を読んだのは初めてだった。

20代前半から書き始め、82歳の頃に完成させたという、ゲーテが一生をかけた作品。その歳月に思いを巡らせながら読むと、若々しい情熱や勢いが感じられる場面もあれば、長い人生を経たからこそ生まれたような重みを感じる場面もあり、一つの作品の中に異なる年代のゲーテが同居しているように思えた。

人間とは何か、という大きくて単純な、答えのない問いに向き合った作品だからこそ、ゲーテもまた簡単に完成とはせず、生涯をかけて書き続けたのかもしれない。そんなことを想像すると、この作品がいっそう美しく思えた。
良くも悪くも欲望を抱え、それでも何かを追い求め続ける人間の姿が、最後には肯定されているように感じたのが印象的だった。人は過ちを犯さないことよりも、立ち止まらず求め続けることに価値があるのかもしれない。

「悪魔は年をとっている。だから悪魔の云うことがわかるには、早く年をとることです」

一度読んだだけで、とても全てを理解できたとは思わない。もっと年を重ねて10年後、20年後に再読したら、今とは違うものが見えてくるのだろうか。長いつきあいをしたいと思えた一冊。

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2026年07月14日

Posted by ブクログ

欲望を謳歌する者の背後にある悲しみに注目しながら読み進めた。錬金術師の夢をもとに,当時の知識を濃縮した文学作品である。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

厨二病に罹患した自覚のあるものはただちに読むがいい。圧巻のセンス・オブ・ワンダー! 物語の筋の悪さには目をつぶり、裏読みを要するような難解さは専門家に任せ、この大いなる幻想を楽しむがいい。

筋の悪さ。
悪魔の力を手に入れたファウストは欲望の赴くままにそれを楽しみ、時には非道な行いをする。それに悔いることもなく次なる欲望につきすすむさまは、芸術家ならわかる心情というものか。文豪がまれによく持つゲスい感性のなせるわざか、苦い経験などなかったかのごとく生きていく。
第二部は、行間を大いに読めば、奔放に生き、時には幸せを得、儚く失い、時には非道をふるまったファウストの人生模様である。いつとは知れぬ人生の場面をただ見せられる。なぜそういうことになったのか説明されないので、たいそう座りが悪い。壮大な幻想風景に感嘆させられながらも、物語性の欠如を強く感じさせられる。
そもそも神とメフィストフェレスが、ファウストが堕落するか否かを賭けて物語がはじまる。ファウストの血を混ぜたインクで契約書を書かせたにも関わらず、そんな事情を知らぬ天使たちにファウストの魂を天へ連れて行かれてしまう。天使たちの光はイノセントに見守るしかないメフィストフェレスを焼いている。
欲や罪にまみれた人生であっても神は救う。そういうことでいいの?

裏読みとは押井守氏の言葉を借りたものだが、氏曰く、映画は必ず裏読みできるようにあるべきだという。氏の作った映画は全てそのように作っているという。そういうふうに作ってあるからといって面白い訳ではないということだね。
氏の主張ではないが、文学もまた、そうあるべきという風潮があるように思う。あるいは、ない裏もあるとして論ぜねばならないように思う。だが、それはできる人に任せておけばよい。本書について言えば、注釈やあとがきによって、背景や感じ方というものに触れることはできる。無論、訳者の解釈に過ぎない。正解はおそらく著者も持っていない。

マーガレット・ワイスは、マジェーレ兄弟やソス卿の創造にあたってファウストを意識しただろうか。
永野護のFSSは、ファウストに依るところが大きいのかもしれない。
とか思いながら。
どうやら、現代に与えた影響を知ることを、古典を読む楽しみとしてるようだ。

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2023年10月19日

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