作品一覧

  • 大貧帳
    4.0
    1巻880円 (税込)
    無心者や押売りが悪態をついて、これだけの構えに二円や三円の金がないと云う筈はないなどと云い出すと、蔭で聞いていても可笑しくなる。そう云う俗物にはそんな気がするかも知れないが、無いとなったら洗った様になくなる(本文より)。質屋、借金、原稿料……飄然としたなかに笑いが滲みでる。お金にまつわる三八篇。 目次 夏の鼻風邪 俸給 質屋 秋宵鬼哭 百鬼園旧套 風燭記 炉前散語 御時勢 売り喰い 志道山人夜話 金の縁 砂利場大将 錬金術 書物の差押 胸算用 揚足取り 布哇の弗 鬼苑道話 雑木林 百円札 二銭紀 他生の縁 濡れ衣 大晦日 歳末無題 吸い殻 払い残り 年頭の債鬼 迎春の辞 大人片伝 続のんびりした話 無恒債者無恒心 百鬼園新装 黄牛 可可貧の記 貪凍の記 櫛風沐雨 高利貸に就いて 鬼の冥福
  • ノラや
    4.5
    1巻796円 (税込)
    ふとした縁で家で育てながら、ある日庭の繁みから消えてしまった野良猫の子のノラ。ついで居つきながらも病死した迷い猫のクルツ――愛猫さがしに英文広告まで作り、「ノラやお前はどこへ行ってしまったのか」と涙塞き敢えず、垂死の猫に毎日来診を乞い、一喜一憂する老百間先生の、あわれにもおかしく、情愛と機知とに満ちた愉快な連作14篇。
  • 御馳走帖
    4.1
    1巻942円 (税込)
    朝はミルクにビスケット、昼はもり蕎麦、夜は山海の珍味に舌鼓をうつ。ご存じ食いしん坊百間先生が、幼年時代の思い出から戦中の窮乏生活、また知友と共にした食膳の楽しみに至るまで、食味の数々を愉快に綴った名随筆。
  • 阿呆の鳥飼
    4.0
    1巻990円 (税込)
    「小鳥に夢中になっている間の面白さは、小鳥を飼った事のない者には迚も解りません」(表題作)。鶯の鳴き方が悪いと気に病み、衝動買いした訓狐のために眠れない夜を過ごす。漱石山房に文鳥を連れて行く……『ノラや』の著者が小動物たちとの暮らしを綴る掌篇集。〈解説〉角田光代
  • 東京焼盡
    4.3
    空襲に明け暮れる太平洋戦争末期の日々を、文学の眼と現実の眼をないまぜつつ的確に綴った日録。記録にして記録にあらず、百鬼園先生の詩精神が随処に横溢する稀有の東京空襲体験記。

ユーザーレビュー

  • ノラや

    Posted by ブクログ

    内田百閒先生の、ねこっ可愛がりぶりが面白くって、しかしその分、行方不明になってしまった時の取り乱しようが悲しすぎる。何度も読み返し、そのたびにほっこりし、涙する大好きな本。

    0
    2025年06月30日
  • ノラや

    Posted by ブクログ

    内田百閒が、愛猫ノラが行方不明になってずっと泣いている一連の作品集。
    昭和32年3月27日昼過ぎ、百閒の愛猫ノラは行方が分からなくなりました。翌日から内田は「ノラの事が非常に気に掛かり、もう帰らぬのではないかと思つて、可哀相で一日ぢゆう涙止まらず。やりかけた仕事の事も気に掛かるが、丸で手につかない。」と惨憺たる様子ですが、その後もノラは一向に見つかりません。
    朝日新聞に猫探しの広告を出し、警察署にも届けを出し、NHKでも放送をしても見つからない。4月に見つかったとの報を受け、「うれし涙にむせて、声が途切れて、口が利けなかつた」と感涙するも結局違う猫でがっかり。心労で7kg以上痩せて、目も霞むほ

    0
    2022年08月20日
  • ノラや

    Posted by ブクログ

    文豪内田百閒先生がいなくなったネコを探してオロオロ、メソメソ。
    わかりますとも、その気持ち。
    でもちょっと、度を越してはいませんか?
    奥さまや周りの方々はたいへんだったことでせう。

    0
    2021年11月21日
  • ノラや

    Posted by ブクログ

    猫好き必読の本か何かで取り上げられているのを見て手にした一冊。裏表紙の説明に「消えてしまった」、「病死した」という単語を見て、ちょっと萎えて、しばらく積読。
    やっぱり、猫飼いとしては、胸が痛かったですね。飼い猫が出かけた切り帰って来ない。看病むなしく病死する。いやぁ、耐えられない。
    最初はノラと比較して、仕方なしに飼っているんだというスタンスだったクルにどんどん情が移っていくのが分かりやすい。
    内田百閒読むの初めてですが、昭和30年代、40年代でも旧仮名遣いだったんですね。

    0
    2021年02月17日
  • ノラや

    Posted by ブクログ

    「先生」の家に現れた野良猫。内田百間の師、夏目漱石の『吾輩は猫である』を思わせる微笑ましい猫との出会いが、2章目から急展開する。犬猫を飼ったことのある人なら涙なくして読めないだろう。

    0
    2020年08月30日

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