作品一覧 2017/11/27更新 阿呆の鳥飼 試し読み フォロー 御馳走帖 試し読み フォロー 大貧帳 試し読み フォロー 東京焼盡 試し読み フォロー ノラや 試し読み フォロー 1~5件目 / 5件<<<1・・・・・・・・・>>> 内田百間の作品をすべて見る
ユーザーレビュー ノラや 内田百間 内田百閒が、愛猫ノラが行方不明になってずっと泣いている一連の作品集。 昭和32年3月27日昼過ぎ、百閒の愛猫ノラは行方が分からなくなりました。翌日から内田は「ノラの事が非常に気に掛かり、もう帰らぬのではないかと思つて、可哀相で一日ぢゆう涙止まらず。やりかけた仕事の事も気に掛かるが、丸で手につかない。...続きを読む」と惨憺たる様子ですが、その後もノラは一向に見つかりません。 朝日新聞に猫探しの広告を出し、警察署にも届けを出し、NHKでも放送をしても見つからない。4月に見つかったとの報を受け、「うれし涙にむせて、声が途切れて、口が利けなかつた」と感涙するも結局違う猫でがっかり。心労で7kg以上痩せて、目も霞むほどになります。 (尚、内田の弟子の高橋義孝は、ノラは皮を剥がれて三味線になっていると酔っていたずら電話をしてしばらく内田邸を出入り禁止にされています。) そんななか、5月16日に出会い、その後もしばしば目にするようになったのがノラによく似た迷い猫でした。翌月になって百閒は、名をクルツとつけています。クルツのおかげで、内田はノラが好物にしていたタマゴの寿司を出していた寿司屋の出前を取ろうという気にまでなりました。しかし、そのクルツも五年半ほど経て死んでしまいます。今度は内田と妻と女中が号泣する前での死でした。 愛猫家ではなく、ノラとクルツが特別な猫であったという内田の愛情がどこかユーモラスな雰囲気を交えながら、しかし必死に駆け回り泣き続ける悲劇性とともに一体となっている名随筆だと思います。 尚、三十二年秋に刊行された『ノラや』(文芸春秋新社)バージョンには、内田の敬愛する夏目漱石の鉛筆画の猫が1ページに挿し入れられているそうです。『クルやお前か』の装丁口絵は斎藤清画伯。愛猫家の斎藤が、猫の足裏に墨を塗って紙の上を歩かせた装丁も特徴です。 Posted by ブクログ ノラや 内田百間 文豪内田百閒先生がいなくなったネコを探してオロオロ、メソメソ。 わかりますとも、その気持ち。 でもちょっと、度を越してはいませんか? 奥さまや周りの方々はたいへんだったことでせう。 Posted by ブクログ ノラや 内田百間 猫好き必読の本か何かで取り上げられているのを見て手にした一冊。裏表紙の説明に「消えてしまった」、「病死した」という単語を見て、ちょっと萎えて、しばらく積読。 やっぱり、猫飼いとしては、胸が痛かったですね。飼い猫が出かけた切り帰って来ない。看病むなしく病死する。いやぁ、耐えられない。 最初はノラと比較...続きを読むして、仕方なしに飼っているんだというスタンスだったクルにどんどん情が移っていくのが分かりやすい。 内田百閒読むの初めてですが、昭和30年代、40年代でも旧仮名遣いだったんですね。 Posted by ブクログ ノラや 内田百間 「先生」の家に現れた野良猫。内田百間の師、夏目漱石の『吾輩は猫である』を思わせる微笑ましい猫との出会いが、2章目から急展開する。犬猫を飼ったことのある人なら涙なくして読めないだろう。 Posted by ブクログ ノラや 内田百間 猫を飼おうかなと思っている人に、是非読んでほしい一冊。 猫のノラとクルツに対する、著者の愛が半端じゃない。 いなくなった猫を可哀想に思って、70代のじいさんが連日声を上げて泣いているのである。このままではおかしくなってしまう、と言いながら。 厳格だと言われた作家をここまでメロメロにした猫を、いつか先...続きを読むにいなくなってしまうであろう猫を、それでも飼えるだろうか...? 猫のいる生活に憧れていたが、私はちょっと無理かもしれない。 きっとこの作者のように、なってしまいそうだから。 Posted by ブクログ 内田百間のレビューをもっと見る