あらすじ
朝はミルクにビスケット、昼はもり蕎麦、夜は山海の珍味に舌鼓をうつ。ご存じ食いしん坊百間先生が、幼年時代の思い出から戦中の窮乏生活、また知友と共にした食膳の楽しみに至るまで、食味の数々を愉快に綴った名随筆。
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ちょっとわがままなお爺さんによる、食べ物やお酒などの随筆集である。
“好きだから、好き”な食べ物のことが百閒先生の言葉遣いで語られている。
読み終わるのが勿体なかったので、約1ヶ月かかって読んだ。(他にも理由はあるが)
それくらい、どの随筆も愛しいものがある。
自分も「通りがかりの洋食屋のカレー」に付いては面白かった。
我慢しきれず食べことについて、それがおいしいんだかまずいんだか、よくわからないことになっているのが、すごく面白かった。
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百けん先生の、食にまつわるエッセイ。電車で読んでいると、思わずにやっとしそうになり、こらえるのが大変。
そんな軽妙な文章の中にも、ふと、ほろっとしそうになる話も挟まれていて、その力加減に参ってしまう。一本七勺と題されたエッセイは、じわっとくる。これも、電車の中では読めない。
(2014.9)
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愛すべき偏屈。
一番最初の記憶が何だったのか、最初だと思っていても周りから吹き込まれて作られた記憶も云々というところから喫煙の話が始まるあたり、流石としか言いようがない。
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禁煙出来ぬならせめて節煙を、と最近考えていたので参考にさせていただく。
お煙草を召されてても長生きされる御仁もおられるのだな。
しかし読む本読む本「煙草はやめない」と書いてる気がするな…。
文豪っちゃそういうもんかいな。お煙草片手に原稿を書く。
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すごく面白くて、読み終わるのが惜しいほどだった。百閒先生のお好きなもの、タバコ、酒(いやここは「お酒」と書くべきか)、肉、魚。
食通気取りな目線とは完全に違って、「好きだから、好き」な食べ物のことが美しい文章でつらつらと綴られている。電車賃にも事欠くくらい金欠の状態で、通りがかりの洋食屋のカレーを我慢しきれず食べて、それが美味しいんだかまずいんだかわからないとか、読んでいてくすりとさせられるお話が満載だ。
歴史的仮名遣いの美しさにも耽けることができる。決して読みにくくはなく、むしろすんなりと入ってくるのは文章の美しさ故だろうか。
ところで、おからの酢の物はちょっと試してみたい。どんな味がするんだろう?
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内田百間のエッセイ.
訪問した家で夕方になり,ビールとつまみを出そうとする夫婦と,そうはさせじとする百間先生との攻防,その気持ちわかるわあ.タバコに火をつける云々の話も,根っこは同じだな.
他にも,親友宮城道雄にシャンパンを飲ませすぎたら,酔いつぶれてゲロを吐いてしまった話,客をいちいち家に上げていると執筆が進まないので,玄関に人に会いたくない旨貼り紙をしてみたものの,相手の顔を見ると調子が狂ってきて,むしろ自分が“構うことはない”と力説する羽目になる話,など,抱腹絶倒である.
一番気に入ったのは,次の一節である.「一番つまらない物は,正月のお煮しめだと思ってゐたが,・・・・」
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漢字が難しいので読み終わるまでに 非常に時間がかかった。
あとがきを読み終わったところで、百閒先生の可愛いところとか 憎めない性格が なんとなく伝わってきた。
そして二回目を読みだすと 漢字がすらすら読めて驚いた。
酒飲み 食べることが大好きな自分にとっては 楽しい一冊だった。
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百閒先生は明治二十二年に岡山市旭川の川東にある古京町に生まれたらしい。生家は岡山烏城の川向こう、後楽園と同じ町内にある志保屋という造り酒屋らしい。一人っ子で我が儘し放題のお祖母さん子であったようです。しかし旧制岡山県立中学校(後の県立第一岡山中学校、現・県立岡山朝日高校)在学当時に父が死に、実家の造り酒屋が没落するに及んで、それからは生涯金銭的には恵まれなかったようである。高額の月給取りであったようだが、友人や高利貸しから金を借りまくり、酒屋にはツケが相当あったようだ。別号で「百鬼園」を名乗っているが、これは「借金」の語呂合わせとする説もあるほどである。しかし、百閒先生は借金をしてもけっして卑屈になることはなく、むしろ尊大な態度を崩すことはなかったらしい。エピソードとして、(大正時代のことだが)一〇円の金を借りるのに、電車は二等(グリーン車)に乗って行き、駅から人力車で乗りつけた。一〇円借りるのに、一〇円のタクシー代や電車賃を使うというようなことを平気でやったようである。
さて本書であるが、本書は所謂グルメ本にあらず、食に対する百閒先生のこだわりというより、食をとおして百閒先生の生き方、こだわり、つまるところ美意識がそこに在る。
冒頭引用した文を読んでみていただければ分かるとおり、百閒先生は美食を求めず、めずらしいものを求めず、まして食通であることなど眼中にないのである。なぜなら、美食家あるいは食通に共通する性行であるところの新しい料理や稀少な食材を求め続けるところがない。そんなものよりむしろ自分のスタイルを大切にする。その辺りがなんともカッコイイおじさんである。
酒を愛し、麦酒を愛した男。常人の理解を超えた偏屈ゆえ常識人から批判もされるが、同時に一種独特の論理と諧謔で世間から愛された男。あるいは私も百閒先生の魅力に囚われてしまったのかもしれない。
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大正から昭和初期辺りのおいしいものについて書いてある。
夜中に料理番組を見てしまったときのように、急にお腹が空いてきてしまいます。
豆腐屋で安く買ったおからを箸で固めて、それにレモン汁をかけて食べるというのがやってみたいです。
この本の最後の話に鹿児島名物の軽羹(かるかん)饅頭というのが出てきて、
御馳走として書かれているんだからおいしいんだろうけど、何だか猫のエサのような名前で
あんまり食べてみたくはないな~と思っていたのですが、実際食べてみたら、白くてしっとり、でもふわっとした、たいへんおいしいお饅頭でした。また食べたい。さすが百閒先生。
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百鬼園せんせいの随筆は、扱われているものが何であれ、とにかくあの筆致を楽しみ、ウフフ、とかニヤニャしたりするもの。「御馳走」でも「グルメ」もでなく。でも、シュークリームの段などは、いいですね。お肉を食べてはいけません、菜食になさい、と忠告を受けた百鬼園が、「牛は草ばかり食べて大きくなるのだから、牛を食べても草を食べてるのとおんなじだ」と言った、というエピソードは、どの本に出てくるんだったっけ?それだけでも笑えますけどね。百鬼園せんせい、大好きです。「百?」と、この変換ソフトではちゃんと出るけど、普く表示されるのかな。心配だから、別の号をとって「百鬼園」と書いておくことにします。
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お金がなくなって、師匠である夏目漱石の旅行先にまでお金の無心に行った内田百?さん。
持っているのは片道の電車賃だけ。
怒られるのではとビクビクしながらも、相部屋に泊まらせてもらったうえに
ビールも飲んで、そのまま寝ちゃったり。
とにかく空気読まない天才。
そんな、空気読まない百鬼園先生の暮らしっぷりが詰まった1冊。
レイモンド・ブリッグズの『さむがりやのサンタ』などのシリーズで、
サンタのおじいの、ふつうなのにやけにまぶしい生活ぶりと、輝きが似ています。
好きなお茶、好きなごはん、好きな酒…。私もおばあになったらあんなまぶしく生活できるのだろうか。
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御馳走といいながら特においしいもののことを書くではなく、食べ物にまつわるいろいろを、ぐだぐだだらだらと書いてある。でも、それが百けん先生独特の文字と文字の間のせいで、読んでいてかなりいい気分になるからすごい。なんてことないことや無益極まりないことが御馳走になってしまう技術に感服でした。
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「向田邦子が選んだくいしん坊に贈る100冊」に選ばれていたので読み始めた。内田百閒の食の解釈記。
先生の食べ物に対する偏愛、偏屈さが詰まった一冊。面白い人だなと。現代と違う当時の食事情を知れて興味深かった。
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百閒食べる食べる飲む呑む喫むが、ギッチリ詰まった百閒好きのための百閒本。ひい!
おいしそうな物がたくさん登場しますが、油揚げを焼いて生姜醤油をかけたのを友人に出して、後世まであれは美味いねと(優しさと勘違いを含め)云われ続けた一品がやたら美味そうだったので、週末の肴に決定。
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平たく言えばおっさんの日記帳。好きなタバコは。好きな食事は。好きな酒は。といった内容が続く。印税の前借までしてパーティをし、酒の歯止めが利かずにべろんべろんに前後不覚になる「御慶」は印象に残った。蛍の光を差し止めさせるあたりのくだりは吹き出してしまう。概ねこんな感じなので、たぶん得るものはあまりないが、私はこういうのが好きです。
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旧仮名使いであるが、それがまたこの作品の良さを引き出している。シュークリームやらカステラやら麦酒やら食へのこだわりを感じた。当時の人にしてはかなり良いものを堪能していたのではないだろうか。
また最初から最後まできっちり読まなくても、短い短編としても気軽に楽しめるのもこの作品の良いところ。
夏目漱石には頭が上がらないんだろうなぁ
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忙しいのとポケモン買ったのと一篇が短いのとで、読むのに1か月くらいかかったが、百閒氏のへんなひとがらが伝わってくる素敵なエッセイだった。ビスケットと牛乳ってちょっといいね。
ところどころ『作家のおやつ』を引っ張り出してきて交互につなぎ合わせつつ読んだよ。
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馬鹿鍋を以て饗応し、一合のお酒を得るために東奔西走、船中で飲むシャンパンに悪酔いし、幼少時より嗜む煙草を語る。偏屈だが、お茶目な百?先生を堪能できる一冊。愛酒家、愛煙家は特に共感出来る。
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百?先生の食にまつわる随筆を選んで編まれた随筆集です。
なんというのか百?先生の文章は本当にお酒が好きなんだなあ、ということが文章からにじみ出ている感じです。本当においしそう、なんですよね。お酒も、食べ物も細かい料理法を書くのではなく、あくまで食べる人の観点から描かれているのですが何となく味が連想できるような気がするのです。こんな味かなあ、おいしそうだなあ、と。そしてそのご馳走を前にお酒を飲む。これがまたおいしそうで。
…ビールが飲みたくなるし、お酒の美味しい燗が飲みたくなるのです。
そんな先生だから戦時中はきっと苦労をなさったんだろうなあ、と。文章の端々からその苦労はうかがい知れます(が、一番苦労されたのはご家族の方だと思いますが)。戦争は嫌だな。でも今の世界情勢を考えると戦争ももちろん怖いですが(自分たちがあまり意識していない内に戦闘モードに突入してしまいそうなそんな感じが怖い)、食糧危機も怖いです。(こちらは天候もありますし災害もありますしもちろん他国との関係もありますしね。)自分が食べる、生きるということはしっかり考えないといけないなあ、と考えました。
それはそうと。巻末の解説がヒマラヤ山系さんなんでしょうか?読んでると嫌なじじいですね、百?先生は。自分は俥に乗って駅から帰ってきてお金がないからって近所の知り合いにビール代を借りに行かせる。う〜ん。友人なくしそうな人だ…
でも人をもてなすことがお好きで、その支度を誂るために借金するのも苦ではないんですよね。面白い人だったんだろうな、と思うのです。
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グルメなんだか、ただの大食漢なんだか。
ちょっぴり偏食気味のわがまま
百ケン先生の綴る
食べ物に関するエッセイ集。
お酒が大好きで
度を超してはいかんと思いつつも
やっぱり失敗してしまったこと。
子供の頃に岡山で食べたものが
東京では手に入らないことに関する不満。
食べ過ぎに関する医者との攻防(笑)
座敷で酒を追加注文したのに来ないから
厨房をのぞきにいったら
「あそこの客にこれ以上飲ますな」と
仲居さんが叱られてるのを見てしまった
…というネタは
よっぽど腹立たしかったのか
2回も出てきますƪ(˘⌣˘)ʃ
どこを拾い読みしても、なんとなく愉しい。
やっぱり好き。
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百けん先生の食べものエッセイ。贅沢なものを食べるのではなく、戦前・戦中・戦後を通して食べる娯しみ、食べさせる愉しみを綴った一冊。現代日本では失われて久しいお膳の風情と滋味を満喫。
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アイスクリームを「食べる」とするか「飲む」とするか、百閒さんが表現迷ってるところがあって、ああ新しい食べ物に対しては連なる動詞も最初は決まってへんのか、とおもった。あとソップがスープのこととか、へーそんな風に言うてたん。そんな習慣があったん。みたいなのが多くて面白かった。
でも、百閒先生自身がものすごーく食い意地がはってるかというと、どうだろって思うのね。だって戦争云々抜きにして、空腹を我慢して生活してるとこたくさん出てくるでしょう?あと詳しい調理法にもいうほど興味が無いようで(おからにレモンを絞るとかその程度である)、昨今のグルメエッセイを読み慣れてると、どうも物足りない感じの主観者なのよね。全然つまらない本じゃない!さすが百閒先生でいっぺんいっぺん面白いっちゃ面白いんだけど、わたしには物足りなかったって感じ。
最初の一遍と、途中に日記形式で食べたもの、食べたいものをメモしているやつがあるけど、なんかそういうのをもっと読みたいなー武田百合子さんの富士日記ぽくておもしろかったもん。そういうの無いかねぇ?
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20170304 時間がかかったがようやく読み終わった。作者の食べ物に対するこだわりは付いていけないくらいすごいとおもう。あの時代だという事が余計にすごい。何かこだわるならそこまでやれないといけないのかな?
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廬山人の料理本も定評があるが、百けんのそれもまた乙なものである。鉄道ものが有名な彼の著であるが、料理ものもなかなかのものである。ただし、文中、彼独特の当て字や今日ではあまり用いられなくなった字が多数散見され、すっと頭に入ってこないのが残念。
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黒沢明の(まあだだかい)を見てから、時間が出来たら読もうと思っていた作家。夏目漱石の弟子、芥川の友人、明治22年生まれ、昭和46年、81歳で没。本書は、昭和21年に初版、40年に新編集版の、1996,9の文庫本。仮名遣いは新だが、旧漢字も多く、読みずらい点もあるが、面白く読めた随筆集、我がままで、大らかで、勝手で、このような人がいて、このような生き方が出来れば、最高の人生!!
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安野モヨコの『働きマン』でちらりと出ていたから購入。
頑固で偏屈な明治のじい様が書く食べ物にまつわるエトセトラ。
旧字体で書かれているため、読み慣れるのに時間がかかる。
大好きなシャンパンが漢字では
『三鞭酒』と表現されるのを初めて知った。
『三鞭酒』うーん、あんまり美味しくなさそう。
百鬼園日録のくだりで、毎日の晩酌は『旨い地酒』より
『大手のメーカーの品質が安定している酒』の方が良い・・・の
理屈が妙に納得。
美味しさよりも安心感を優先するじい様が可愛い。