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Posted by ブクログ
昔のボンボン、お嬢さんが書いたエッセイは楽しい。
情報が少なかった時代だからこそ、感じたままが素直に表現されていて、切り口が面白いからこそ、今も書店で手に入る。『ヨーロッパ退屈日記』(伊丹十三著)、『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』(石井好子著)あたりが代表格か。
育ちの良さという意味では、吉田茂を父に持つ著者の吉田健一氏は究極だ。本書には、酒といえば日本酒(九州だと焼酎か)という時代の庶民には「???」であったろう、洋酒の数々も登場する。
この手のエッセイは、時代ごとの価格や評価を知るための“歴史資料”的な読み方をするのも楽しい。
酒税法が今の体系になる以前、洋酒は高かったのだが、1960年代に書かれたエッセイに「日本で西洋料理を食べに出掛けることを思えば、葡萄酒だけで、四、五千円を覚悟しなければならない」とのくだりがある。
今の物価は、当時と比較して4倍ちょっとだから、2万円くらいか。なかなかのお値段だ。
一方、カクテルやウイスキーの地位は異様に低い。カクテルは「洋酒の安ものを色々と混ぜて作ったもの」「まずい洋酒を旨く飲ませる方法」、ウイスキーは「ただ酔うだけが目的ならばウイスキーというものがあって」といった具合。
まあ、あんまりいいリキュールやウイスキーが日本に入ってきていなかったからかもしれないが、高額のウイスキーやらクラフトジンがもてはやされる現代からすると隔世の感がある。一方で、日本酒はもはや大衆の酒からマニアのものになりつつある。
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