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少しばかり飲むというの程つまらないことはない――。酒豪で鳴らした文士が、自身の経験をふまえて飲み方から各種酒の味、思い出の酒場、そして禁酒の勧めまでユーモラスに綴る。全著作から精選した究極の酒エッセイ全21編。文庫オリジナル。 巻末エッセイ・野々上慶一
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Posted by ブクログ
酒にまつわるエッセイは数多くあると思う。その中でも名作まちがいない本作は、書かれている背景は若干時代を感じるものの、作者が酒にどのように向き合って付き合ってきたか?非常に考えさせる要素がある。まぁとにかく飲んで学びましょう。
吉田茂首相の長男の文筆家による酒にまつわるエッセイ集 読みにくく感じる文体ではあるが、SNSで呆けた言語感覚を刺激してくれる。 育ちの良さによるためか幅広い教養、時代背景など興味深い。 なにかと小難しい感はあるが、 なりより、お酒が好きなんだろうなという、 素敵な駄目加減が素晴らしい。
昔のボンボン、お嬢さんが書いたエッセイは楽しい。 情報が少なかった時代だからこそ、感じたままが素直に表現されていて、切り口が面白いからこそ、今も書店で手に入る。『ヨーロッパ退屈日記』(伊丹十三著)、『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』(石井好子著)あたりが代表格か。 育ちの良さという意味では...続きを読む、吉田茂を父に持つ著者の吉田健一氏は究極だ。本書には、酒といえば日本酒(九州だと焼酎か)という時代の庶民には「???」であったろう、洋酒の数々も登場する。 この手のエッセイは、時代ごとの価格や評価を知るための“歴史資料”的な読み方をするのも楽しい。 酒税法が今の体系になる以前、洋酒は高かったのだが、1960年代に書かれたエッセイに「日本で西洋料理を食べに出掛けることを思えば、葡萄酒だけで、四、五千円を覚悟しなければならない」とのくだりがある。 今の物価は、当時と比較して4倍ちょっとだから、2万円くらいか。なかなかのお値段だ。 一方、カクテルやウイスキーの地位は異様に低い。カクテルは「洋酒の安ものを色々と混ぜて作ったもの」「まずい洋酒を旨く飲ませる方法」、ウイスキーは「ただ酔うだけが目的ならばウイスキーというものがあって」といった具合。 まあ、あんまりいいリキュールやウイスキーが日本に入ってきていなかったからかもしれないが、高額のウイスキーやらクラフトジンがもてはやされる現代からすると隔世の感がある。一方で、日本酒はもはや大衆の酒からマニアのものになりつつある。
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