無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
なにも絵画や彫刻、音楽だけが文化なのではない。あたりまえの日常にいちばん近い部分を発達させること。それこそが文化なのだ。吉田健一は、エリザベス朝にはすでに水洗トイレがあったことを指摘し、そこに実用性を重んじるイギリス文化の本質を見る。イギリスで他の芸術に比して文学が発達したのも、文化的であろうとしたからではなく、日常の言葉へのこだわりが、自然と、詩や小説というものになっていったからなのだ──。胡瓜のサンドイッチやハムの味、酒の飲み方など、身近な話題を入口に、いつの間にか本質的な部分へと読者をいざなう、名人芸的文化論。
...続きを読むPosted by ブクログ 2023年12月29日
吉田健一氏は日本では最後と言えるかも知れない古き良き時代の香り漂う文士である。「文化などということが念頭にないのが、英国の文化に一貫した一つの性格だ」とは大見得を切ったものだが、氏の見た実用主義という英国文化の特質は、実は取り立てて新鮮でもない昔からある観察だ。その実用主義が、人間はいずれ死すべき存...続きを読む
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。