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Posted by ブクログ
日本屈指に有名な指揮者の評伝
芸事の中で指揮者は
生前に評価を得なければ
形として物が残られない
ところから役者俳優演技者に近いものがあるのかもしれない
指揮棒を振っている背中は評価されないので
自分が演奏していない音にどれだけ自分の名前をこすりつけられるか
という点で
評伝にするには興味深い題材であると思う
読んでいるこちらに音楽知識が皆無なので
話題意の取り落とし多そうだが
例えば(当然だが)解説と比しても評より伝よりの評伝
「昭和の企業経営者」伝もの風な日経私の履歴書みたいな書き様は
過不足なく感じた
音楽を文章で伝えろったって無理な話であるそりゃそうだ
Posted by ブクログ
楽団員が去ったホールに呼び戻され、ステージのすぐ下で拍手する聴衆に軽く頭を下げる朝比奈隆の写真を何かのきっかけで見た。そんな光景は見たことがなくて憧れた。「95歳まで舞台で上がる」と言い続けたのを初めて知った。他の国では生まれえないし、これからの日本でも決して生まれないだろうマエストロの来歴と音楽に対する思いを丁寧に、丁寧に書き尽くしている。筆が走っている部分、止まりそうになった部分もはっきりとわかる。著者の朝比奈に対する敬愛の思いが伝わってくる。表題は朝比奈が語った言葉ではない。けれど、心に秘めていたのだろうと納得させられた。敬遠してた「朝比奈のブルックナー」を急いで購入した。
Posted by ブクログ
2008年9月に文藝春秋から出た指揮者・朝比奈隆(1908-2001)の評伝の文庫化。
朝比奈隆という日本を代表する指揮者の生涯は、とてつもなく長い。
すでに戦前から京大オケ、大阪中央放送局オケさらには上海、ハルビンのオケと指揮者としてのキャリアをスタートさせていた。
そして、戦後にあっては大フィルの設立、育成・発展に尽力すること半世紀。
本書はその出生の秘密から紐解き、朝比奈の暗い生い立ちを描く。朝比奈自身が父母に対して複雑な思いを抱くのは分かるが、それをさらに投射するように息子の千足が父への思いを吐露している。家族に対して愛情を注ぎきれない朝比奈隆の内面である。
一方、表の姿である指揮者としての朝比奈の活躍を支えたのが、東京高校や京都帝大時代の豊富な人脈であったのは、本書で最も興味深かった。ことオーケストラの運営には莫大な費用がかかるものだが、それを引っ張ってくる才能は音楽的な技量とは全く違う次元である。しかし、朝比奈にはその才能が備わっていた。
朝比奈の音楽性は「緻密」とは全く疎遠なものであった。どちらかと言えば、曲の勢いとかスケール感に乗っかっている音作りである。指揮ぶりについても、映像を見ればわかるが、楽団員の証言にもあるように大まかなものに過ぎない。
まして、オーケストラの楽隊に対しては独裁的であり、1980年代末から90年代初頭には組合からの突き上げをくらってストまで打たれて。
そのような素人的な指揮者がこれほどまでに長く指揮台立ち続けられたのはなぜだろうか?
演奏録音だけではなく、その生き様から見えてくることもある。
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