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Posted by ブクログ
初版は中央公論社、1963年。「夢の浮橋」が後の潺湲亭のオモテ側を美しく描いた作品とすれば、こちらはその舞台裏とも言うべき小説。大所帯だった谷崎家の暮らしを支えた女中さんたちの「活躍」が列伝風に書き込まれる。
ほんとうに久しぶりの再読だったが、谷崎が女中部屋を「鹿児島県人会」と呼ぶほど、鹿児島からの娘たちが次々とやってきていた、という話はやはり興味深い。高峰秀子の付き人の一人が谷崎家からの紹介だったことも記憶しておきたい。
後の潺湲亭は住宅としては決して大きいとは言えないものだったから、最大で7人の家族と5〜6人の女中さんがいたというからには、相当に賑やかな家だったのだろう。「なぜそんなエピソードを知っているのか?」と思わせるほど、微に入り細にわたって彼女たちの「生態」(?)が綴られるあたり、『細雪』の創作ノートにも通じる谷崎の観察力、耳の鋭さが存分に発揮されている。
Posted by ブクログ
111108さんのレビューが読むきっかけになりました。ありがとうございました。
谷崎万華鏡で予習していたので、山口晃さんの挿絵が随所に散りばめられて登場人物のキャラの理解に役立つ。「編集部が抜粋し、再編成」とある。小説家の被り物が見慣れると違和感ないのは何故。
「家の中が派手で賑やかな方が好きな」千倉家一家と個性的な女中の皆さんとの戦前戦後の様子を生き生きと描かれている。女中さんたち、なんとまあしっかりしていること。
どの女中さんも愛嬌があってチャーミング。料理の場面は本当に美味しそう。百合の愛読書を『谷崎源氏』としているのには笑ってしまった。臙脂の着物を着た鈴の美しさやブルーのモヘアのカーディガンが似合っている銀。「私でなければ駒さんを理解できる人はいませんよ」樫村さんかっこよすぎ。頼吉さんとお気に入りの女中さんとの散歩や食事、足裏マッサージの様子などほっこりする。嫁入りやお里へ帰るなどで千倉家から卒業していくまでの女中達に翻弄される様子を一緒に楽しむことができる。
時々磊吉さんが読む歌がまた良い。
さつま潟とまりの浜に漁る日も伊豆のいでゆをわすれざらなん
さざなみの滋賀の海女こそかしこけれ捕へし魚を遂にはなさず
湯が原の春吟堂に客絶えずさくら咲く日もみかん実る日も
磊吉さんの喜寿祝いで幕を閉じることになるのだが、とても名残惜しい。1960年代映画化されたよう。出演者の豪華さにびっくり。
Posted by ブクログ
この作品、何で谷崎作品の中ではあんまり有名じゃないんだろう?と思うくらい面白かった。
次々女中さんの紹介をしていくだけの小説といったらそれまでだけど、ぐいぐい読まされちゃう。さすが文豪。
解説が松田青子さんなのも得した気分。
確かに、今の時代だと人権的にどうなの、みたいな描写もあるけども、出てくる女中さんたちが、出て行けと言われたらさっさと出て行くもののしれっと戻ってきたり、仕事をサボって恋愛沙汰で大騒ぎしたり、雇い主が作ってくれた俳句に文句を言って書き直させたり、とにかく自由でパワフルなものだから、私は気にならなかった。
『細雪』の雰囲気が好きな人は本書も好きだと思う。
逆に『細雪』に挑戦したいけど長いし…と思っている人にもおすすめ。
いやあ、面白いですね
絵が入るのですが、谷崎役の作家先生にはうさみみの被り物をしています。
卯年ではないので、聞き耳ずきんの意味でしょうが、キモ可愛い。表紙中央右で寝転がってる親父ですね。
バラ売り全集にも載ってますが、あちらには絵がない、こちらをお勧めします。
とにかく久しぶりにガツガツ読んでああ面白かったと言えるお話でした。
お好みで。
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小説・文芸
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