ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
4pt
恐怖の宣伝、強制収容、終身隔離……「病んだ」共同体はいったいどこへ向かうのか。ハンセン病を軸に日本社会の「病い」観を問いなおす。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
日本のハンセン病政策を振り返る一冊。大した根拠もなく、その時代で声の大きかった人に流されるかのようにして、恐ろしく、また恥ずべき政策が長年にわたり幅を利かせた裏側を検証している。ここで糾弾されるべきは、隔離医療を主張した光田健輔だけではない。それに便乗したり妄信したり、何も言わずにするがままにさせて...続きを読むおいた誰もが背負うべきものだろう。読めば、光田健輔だって隔離を主張した裏側には、ユートピア的世界で患者たちが気兼ねなく暮らせるようにしたいという思いがあったようにも思えるし、事実、光田は並みの人ではできないくらい献身的にハンセン病患者と向き合いもした人なのだから。 そして、善意がまた、こういう悪しき政策を悪いものでないように見せてしまうこともまた危険だということを知った。『生きがいについて』の神谷美恵子や『小島の春』の小川正子、キリスト教系の奉仕団体など、よかれと思っていることはわかるが、それが本当に患者のため、世のためになったかというと……というところに疑問を提起している点はこの本の価値ある一点だと思う。もちろん、多くの人が神谷や小川の作品を賛美することで隔離医療を間接的に支持してしまったことも忘れてはならないこと。 とはいえ、患者たちのなかには、「隔離医療は是。なぜなら自分の周りにうつしたくない、迷惑かけたくないと思うだろうから」という声も少なくない。つまり当の被害者たちは意外と達観しているようなこともあるわけで、周りがとやかく言えるものではないこともある。結局どちらかの極に寄れるものではなく、このあたりのバランスのとり方、落としどころを慎重に、慎重に探ることが大事なのだと思う。 こういうことは日本のあらゆるところに巣食っているやり方。まさしく「くさいモノにはふたをしろ」なわけで、こんなことわざがまかり通っているところが日本の病いというわけだ。著者が言う通り、これをハンセン病の話としてだけ読んではいけない。思考することをやめ、主張する人に任せるがために恐ろしい世の中に向かいつつあること、大阪市で、あるいは福島とか現代だって限りなくある。
近代史が始まる少し前の1907年、法律第11号「らい予防法」が制定され、1931年モダニズムの風が吹き荒れるなか国立ハンセン病療養所「長島愛生園」が竣工した。 この本はハンセン病(旧らい病)について書かれたレポートだ。そしてハンセン病という「病気」を通して僕らが暮らしの中にある「病い」を捕らえ、...続きを読むそれを導き出す論理的証明だ。全体を貫く大きな論考を補うかのように多様な史実や考察が引用される。間延びしそうな感じだが、ポイントごとに全体へ引き戻してくれて思考が途切れることはない。隔離と差別の話では終わらない豊かさがこの本にはある。 前に永江郎が隔離施設をユートピアとして捕らえる考え方に危機感を示していたが、著者はそれを十分自覚しており、さらに思考を飛躍させる。全くいらぬ心配だったのだ。 とりあえず読むべし。そして思考するべし
ハンセン病をめぐる隔離政策を中心に、「感染病の患者は隔離されて当然」という「隔離という病」がいかに我々の心を侵食しているかについて暴いた本です。ハンセン病の歴史や実情、隔離政策の問題点を学ぶには格好の本なのではないでしょうか。 ただ、筆者が隔離という病に対して、「義理と人情」で対応しようとするの...続きを読むはいかがなものでしょうか。隔離を端的に人権侵害である(ただ必要悪でもある)として、隔離された方の人権保障をいかに考えていくか、というのが現実的なのではないでしょうか。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
「隔離」という病い 近代日本の医療空間
新刊情報をお知らせします。
武田徹
フォロー機能について
「中公文庫」の最新刊一覧へ
「ノンフィクション」無料一覧へ
「ノンフィクション」ランキングの一覧へ
IT時代の震災と核被害
試し読み
炎上する言論 『新潮45』休刊が問うもの
「核」論 鉄腕アトムと原発事故のあいだ
神と人と言葉と 評伝・立花隆
偽満州国論
現代日本を読む―ノンフィクションの名作・問題作
原発報道とメディア
原発論議はなぜ不毛なのか
「武田徹」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲「隔離」という病い 近代日本の医療空間 ページトップヘ