国内小説 - 新潮社作品一覧

  • 霧と影
    -
    1巻671円 (税込)
    東京掘留の洋服問屋社長石田寅造の謎の失踪。そして、遠く離れた福井県若狭海岸での、小学校教員笠井早男の断崖からの転落死。一見脈絡のありそうもないこの二つの事件が、旧友の死に疑問をいだく新聞記者小宮と警察の手で、ひとつに結びつけられたとき……。風光絶佳の秘境・若狭猿谷郷の怪奇に、宿命に呪われた人間たちの呻きと業の深さを浮彫りにする、戦慄のサスペンス長編。
  • 霧の旗
    3.7
    殺人容疑で捕えられ、死刑の判決を受けた兄の無罪を信じて、柳田桐子は九州から上京した。彼女は高名な弁護士大塚欽三に調査を懇願するが、すげなく断わられる。兄は汚名を着たまま獄死し、桐子の大塚弁護士に対する執拗な復讐が始まる……。それぞれに影の部分を持ち、孤絶化した状況に生きる現代人にとって、法と裁判制度は何か?を問い、その限界を鋭く指摘した野心作である。

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  • 霧町ロマンティカ
    4.0
    1巻737円 (税込)
    霧の町、軽井沢。航空会社をリストラされた岳夫は、父親が遺した古い別荘で一人暮らすため、東京から越してきた。自由と不安の間に揺れる彼の新生活は、次々と立ち現れる女たちに翻弄される。誘いをかけてくる人妻、知的な女性獣医、ワケありらしい小料理屋の女将と、その十九歳の娘――。したたかで魅力的な女たちと運命に漂う男の恋愛ラプソディ。『途方もなく霧は流れる』改題。
  • キルリアン
    -
    1巻1,320円 (税込)
    …女…言葉…無…光…闇、くるか? くるのか? 闇に溺れるか? 巨大な土蜘蛛が棲まう鎌倉のあばら家。ミルクコーヒー色の川と雪景色の新潟。情事の記憶が淀む渋谷のホテル街。耳を澄まし、眼を凝らして、彷徨う男の周りに浮かび上がるものは――。

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  • 切れた鎖
    3.5
    海峡の漁村・赤間関を、コンクリの町に変えた桜井の家。昔日の繁栄は去り、一人娘の梅代は、出戻った娘と孫娘の3人で日を過ごす。半島から流れついたようにいつの間にか隣地に建った教会を憎悪しながら……。因習に満ちた共同体の崩壊を描く表題作ほか、変態する甲虫に社会化される自己への懐疑を投影した「蛹」など、ゼロ年代を牽引する若き実力作家の川端賞・三島賞同時受賞作!

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  • 亀裂
    5.0
    “現代”の象徴ともみられる、重く混沌とした“亀裂の世界”にその身を横たえようとしながら、にもかかわらず、決して“亀裂それ自体”にはなりえない青年作家・都築明を中心に、“亀裂の世界”に棲む人々――若い拳闘家・神島、女優・泉井涼子、少年テロリスト、右翼ボス・高倉、殺し屋・浅井といった面々の愛欲、権勢欲、物欲、殺人などを描き出して、挑戦にみちた問題作。
  • 金閣炎上
    4.3
    1巻715円 (税込)
    昭和二十五年七月二日未明、鹿苑寺金閣は焼亡した。放火犯人、同寺徒弟・林養賢、二十一歳。はたして狂気のなせる業か、絢爛の美に殉じたのか? 生来の吃音、母親との確執、父親ゆずりの結核、そして拝金主義に徹する金閣への絶望……。六年の後、身も心もぼろぼろになって死んでいった若い僧の生を見つめ、足と心で探りあてた痛切な魂の叫びを克明に刻む長編小説。
  • 近鉄特急殺人事件(新潮文庫)
    4.0
    京都発賢島行近鉄特急ビスタEX(エックス)の車内で大学准教授が殺された。彼はテレビ番組の過激な司会者として知られ、番組で伊勢神宮を貶める自説を主張する予定だった。一方、東京では歴史雑誌編集者が殺され、同棲していた同僚の女が姿を消した。二つの殺人に関連を感じ伊勢神宮に向かった十津川警部が内宮門前町〈おかげ横丁〉で発見したのは、容疑者の意外な姿だった。長編トラベルミステリー。
  • 祇園白川 小堀商店 レシピ買います(新潮文庫)
    値引きあり
    3.4
    1~2巻546~825円 (税込)
    祇園の名店『和食ZEN』の奥にある秘密の扉。『小堀商店』の入り口だ。ZEN店長の淳(じゅん)、売れっ子の芸妓(げいこ)ふく梅、市役所勤務の伊達男木原の三人は、食通として名高い百貨店相談役、小堀善次郎の命を受け、とびきりのレシピを買い取るため、情報収集に努めている。そして今日も腕利きワケありの料理人が現れて――。京都と食を知り尽くす著者が描く、最高に美味しくてドラマチックなグルメ小説。
  • 技巧的生活
    -
    恋に酔う少女であった葉子は、酒場に勤めてゆみ子と名を変えた時から変貌しはじめた。男を商品として、あたかも無機物であるかのごとく見ようとする酒場の女たちの、言わば技巧的な生き方。――自分もそれに徹しようとするのだが、どうしてもロマンティックな感情を捨てきれない、ゆみ子の眼を通して、酒場の女たちのさまざまな生態、微妙な心理、孤独な姿を見事に活写した長編。
  • ギフトライフ
    3.6
    1巻1,980円 (税込)
    政府と企業により制度化された安楽死と人体実験のための生体贈与というギフトライフ制度。提供者の家族にはポイントが与えられる――人間の命の価値も変容するシステムの、老人や弱者の未来図の闇。優生思想の行き着く果てのディストピアは、もうすでに始まっているのかもしれない……人間の悪を問う、気鋭の長篇小説。
  • 魚影の群れ
    5.0
    1巻495円 (税込)
    漁師・房次郎は娘の登喜子に懇願され、彼女の恋人・俊一を不承不承船に乗せるが……。津軽海峡を舞台に、老練なマグロ釣りの孤絶の姿を描く表題作。四国の小島に異常発生した鼠と人間の凄絶な闘いの記録『海の鼠』。他に、美味ゆえに養殖される新種のカタツムリをめぐる滑稽な顛末『蝸牛』、名人気質の長良川の鵜匠の苦渋を綴る『鵜』など、動物を仲立ちとした傑作小説四編を収録。

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  • 魚雷艇学生
    3.7
    予備学生として魚雷艇の訓練を受け、のちに特攻志願が許されて震洋艇乗務に転じ、第十八震洋特攻隊の指揮官として百八十余名の部下を引き連れ、奄美諸島加計呂麻島の基地に向かう。確実に死が予定されている特攻隊から奇跡の生還をとげた著者が、悪夢のような苛烈な体験をもとに、軍隊内部の極限状況を緊迫した筆に描く。野間文芸賞、川端康成文学賞を受賞した戦争文学の名作。
  • ギンイロノウタ(新潮文庫)
    3.5
    極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。アニメの魔法使いみたいに杖をひと振り、押入れの暗闇に銀の星がきらめき、無数の目玉が少女を秘密の快楽へ誘う。クラスメイトにステッキが汚され、有里が憎しみの化け物と化すまでは……。少女の孤独に巣くう怪物を描く表題作と、殺意と恋愛でつむぐ女子大生の物語「ひかりのあしおと」。衝撃の2編。
  • 銀花の蔵(新潮文庫)
    4.2
    私は、この醤油蔵の当主になる! 大阪万博前夜。父の実家である奈良の由緒ある醤油蔵で暮らすことになった少女、銀花。蔵を切り盛りする祖母の多鶴子ら一家に馴染もうとするが、母の盗癖、祖母と父の不仲、自らの出生に関する真実に悩む。やがて成長し蔵を継ぐため奮闘する銀花は、一族の秘められた過去を知ることに――。家業に身を捧げ、新たな家族を築く女性の半生を力強く描く長編小説。(解説・大矢博子)
  • 銀婚式(新潮文庫)
    3.7
    証券会社のNY本部で多忙をきわめていた高澤は、妻との関係が壊れ離婚。会社も破綻する。再就職先で直面した、華やかなキャリアなど通用しない中堅損保の厳しい現実。再び転職した地方の無名大学で、都落ちの寂寥感に沈む高澤の前に現れたのは、学部長秘書の清楚な女性だった……。低迷する日本経済を背景に、もがきながら生きるビジネスマンの仕事と家族を鮮烈に描き、万感胸に迫る傑作。(解説・藤田香織)
  • 銀のみち一条(上)
    4.3
    1~2巻737円 (税込)
    千二百年もの間、日本に銀をもたらし近代鉱業の中心となった生野銀山。その但馬の地に生まれつき、明治の時代を生きた三人の女がいた。東京帰りで名士の娘、咲耶子。町一番の美貌で芸妓の芳野。気立てがよく真っ直ぐな女中の志真。彼女たちの胸の中には、生涯忘れられない男として刻まれた、孤独な坑夫、雷太──。激動の変革期、恋と夢に魂を燃やした、名もなき人々の感動大河ロマン。
  • 銀齢の果て(新潮文庫)
    3.7
    増大した老齢人口調節のため、ついに政府は70歳以上の国民に殺し合いさせる「老人相互処刑制度(シルバー・バトル)」を開始した! 和菓子司の隠居、宇谷九一郎の住む宮脇町には、もと自衛官、プロレスラー、好色な神父など「強敵」が犇めいている。刃物と弾丸が飛び交い、命乞いと殺し合いの饗宴が続く。長生きは悪なのか? 恐怖と哄笑のうちに現代の「禁断の問い」を投げかける、老人文学の金字塔! ※当電子版には文庫版掲載のカットは収録しておりません。ご了承ください。
  • 銀嶺の人(上)
    4.3
    1~2巻704~792円 (税込)
    女医をめざす、勝気な“泣かない子”であった駒井淑子は、冬の八ヶ岳で単独行を試みて遭難しかかった時、若林美佐子と出会う。鎌倉彫の新鋭彫刻家として注目されていた美佐子は、無口ですぐに“涙ぐむ子”であった。死を覚悟した二人を事もなげに助け出した三人の男性登攀家(クライマー)に魅入られて、彼女たちは、ついに初の女性隊によるマッターホルン北壁登攀への挑戦を試みる……。
  • 食いしん坊発明家
    3.7
    1巻1,540円 (税込)
    昭和三〇年代の福島。日本酒の蔵元に生まれた少年の夢は、食べ物でみんなを幸せにすること。かくて少年は、農大卒業後、東京で発明家を目指す。いまや常識となった「出汁入り味噌」、「匂い」に着目した絶品ラード、そして人類の悲願「人工松茸」――。尽きせぬ食欲だけを武器に、美味を追い求める発明家の栄光と失敗の日々。
  • 空の色紙
    3.6
    精神科医の小野寺は、殺人容疑者の精神鑑定を依頼された。妻との関係を疑い、自分の息子を殺したというその男は、本当に狂気のさなかにあったのだろうか? 小野寺は調査を進めながら心の動揺を覚える。実は彼自身も、ある事情のために妻への屈折した嫉妬の感情を抱きつつ生きてきたのだった――。表題作をはじめ、デビュー作「頭蓋に立つ旗」など初期の医学もの中編3編を収録。
  • クォーター・ムーン
    3.3
    七年越しの恋人に別れを告げ、彼を忘れるための長い旅を経て故郷の大阪に戻ったさつき。新しい職場で、陽気な同僚たち、優しい女友だちとともに新しい生活を始め、二十五歳になるまでに何とか新たな人生の転機を迎えようとがんばるが……。親友の裏切り、仕事での失敗、昔の恋人の出現、憧れの一人暮らし、そして新しい恋―愛に惑い、仕事に悩む、すべての二十五歳に贈る応援歌。
  • 九月が永遠に続けば
    3.8
    高校生の一人息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。息子の行方を必死に探すうちに見え隠れしてきた、雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が、佐知子の恐怖を増幅する。悪夢のような時間の果てに、出口はあるのか――。人の心の底まで続く深い闇、その暗さと異様な美しさをあらわに描いて読書界を震撼させたサスペンス長編。

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  • 草薙の剣(新潮文庫)
    3.8
    1巻825円 (税込)
    草を薙いで野火の大難を防いだといわれる神剣――草薙の剣。12歳から62歳まで、6人の男たちとその父母、祖父母が経験した、戦前、戦後、学生運動、オイルショック、バブル、オウム事件、2回の震災、そして現代まで、そこに生きる人間の姿をつぶさに描くことで、「時代」という巨大な何かを立ち上がらせた奇跡の長編小説。知の巨人にして時代の感性だった橋本治の文業40年の結晶。野間文芸賞受賞。(解説・末木文美士)
  • 草の花
    4.2
    研ぎ澄まされた理知ゆえに、青春の途上でめぐりあった藤木忍との純粋な愛に破れ、藤木の妹千枝子との恋にも挫折した汐見茂思。彼は、そのはかなく崩れ易い青春の墓標を、二冊のノートに記したまま、純白の雪が地上をおおった冬の日に、自殺行為にも似た手術を受けて、帰らぬ人となった。まだ熟れきらぬ孤独な魂の愛と死を、透明な時間の中に昇華させた、青春の鎮魂歌である。
  • 草枕(新潮文庫)
    3.8
    住みにくい人の世を芸術の力で打破できぬかと思案する青年画家。あるとき温泉場の出戻り娘・那美に惹かれ、絵に描きたいと思うが何か物足りない。やがて彼が見つけた「何か」とは――。豊かな語彙と達意の文章で芸術美の尊さを描く漱石初期の代表作。(「漱石の文学」江藤淳、「『草枕』について」柄谷行人)
  • 串刺し教授
    2.0
    崖から転落して鉄柵の尖端に串刺しにされた大学教授を目撃したガソリン・スタンドのサーヴィスマンが最初にしたことは?写真週刊誌時代の未来を予見した作品として「東海道戦争」などと並ぶ表題作。やくざが女学生の言葉で会話し、女学生が中年紳士の言葉で会話し、中年紳士が主婦の言葉で…会話する「言葉と〈ずれ〉」。人間がきつねをだます奇怪至極の「きつねのお浜」など全17編。
  • 櫛の火
    -
    一年ぶりの再会も束の間、弥須子はその翌日に入院、十日後広部の目の前で息をひきとった。形見の櫛を握りしめ、恋人の亡骸と共寝して一夜を明かした彼は、深い喪失感からいつしか大学を中退して会社勤めを始めるが、年上の女柾子と出逢ってようやく生の現実感を取りもどすかに見えた……。行方の知れない現代の青春の深みから、新たな神話的ロマンの世界を開示する本格長編小説。
  • クジラアタマの王様(新潮文庫)
    3.8
    記憶の片隅に残る、しかし、覚えていない「夢」。自分は何かと戦っている?――製菓会社の広報部署で働く岸は、商品への異物混入問い合わせを先輩から引き継いだことを皮切りに様々なトラブルに見舞われる。悪意、非難、罵倒。感情をぶつけられ、疲れ果てる岸だったが、とある議員の登場で状況が変わる。そして、そこには思いもよらぬ「繋がり」があり……。伊坂マジック、鮮やかなる新境地。(解説・川原礫)
  • 鯨の絵巻
    -
    1巻649円 (税込)
    紀州太地に三百年の歴史を持つ鯨組で、網とり漁法の最後の筆頭刃刺を務めた男の生涯をたどり、海の男たちの勇壮華麗な鯨との闘いと、滅びゆく古式捕鯨にしか生きる場を持たない者の悲哀を鮮やかに浮かび上がらせた「鯨の絵巻」。教職を剥奪され、奄美大島の夜の山地に青白い鱗の輝きを追うハブ捕獲人を描く「光る鱗」ほか、「紫色幻影」「おみくじ」「緑藻の匂い」を収録した、動物を相手に生活を営む人間たちの哀歓をさぐる短編集。

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  • 薬屋のタバサ(新潮文庫)
    3.2
    1巻572円 (税込)
    平穏な時間。それ以外に欲しいものなんて何もない――。山崎由実はすべてを捨てて家を飛び出し、知らない町の古びた薬屋に辿り着いた。店主の平山タバサは、由実を薬局の手伝いと家事全般の担い手として住み込みで雇ってくれた。見ず知らずのわたしを、なぜ……。謎めいたタバサの本心はわからぬままだが、由実は次第に新しい生活に慣れてゆく。誰しもがもつ孤独をたおやかに包み込む長編小説。
  • 薬指の標本
    4.1
    楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡……。人々が思い出の品々を持ち込む〔標本室〕で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そしてわたしは……。奇妙な、そしてあまりにもひそやかな、ふたりの愛。恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描いた珠玉の二篇。表題作ほか「六角形の小部屋」収録。

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  • 梔子の花
    -
    1巻638円 (税込)
    忘れられないことがある。思い出せないこともある。胸に去来する様々な感慨。ホント、人生いろいろありました。同窓会を開けば、ひとり、またひとりと出席者が減っていく。そんなとき、一抹の寂しさを感じるけれど、これからの人生だって、捨てたもんじゃない。まだまだ、これから、これから。さりげない人生の彩りをすくいあげ、歳時記風に綴る滋味豊かな短編42篇。
  • くちびる遊び(新潮文庫)
    3.6
    「女の匂いをさせては、獣が来ます」山奥の宿坊。妖艶な僧が、手で舌で、私の体を清めていく――(「女禁高野」) 妻よ、俺の顔に跨(またが)ってくれ。潤みに塗(まみ)れたその尻で、潰してくれ(「悦楽椅子」) 先生は、私の髪で先をくすぐられるのが、たまらなく好きでしょう?(「みだら髪」) 狂おしいほどに疼(うず)き、したたり、吐息が漏れる。団鬼六賞作家が男と女の心の秘部を押しひらく、欲情短編集。
  • くちぶえ番長
    4.1
    1巻539円 (税込)
    小学四年生のツヨシのクラスに、一輪車とくちぶえの上手な女の子、マコトがやってきた。転校早々「わたし、この学校の番長になる!」と宣言したマコトに、みんなはびっくり。でも、小さい頃にお父さんを亡くしたマコトは、誰よりも強く、優しく、友だち思いで、頼りになるやつだったんだ――。サイコーの相棒になったマコトとツヨシが駆けぬけた一年間の、決して忘れられない友情物語。
  • 首折り男のための協奏曲
    3.5
    被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の“彼”が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う中学生は“彼”に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で、泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る! 伊坂幸太郎の神髄、ここにあり。
  • くまちゃん
    4.2
    風変わりなくまの絵柄の服に身を包む、芸術家気取りの英之。人生最大級の偶然に賭け、憧れのバンドマンに接近したゆりえ。舞台女優の夢を捨て、有望画家との結婚を狙う希麻子。ぱっとしない毎日が一変しそうな期待に、彼らはさっそく、身近な恋を整理しはじめるが……。ふる/ふられる、でつながる男女の輪に、学生以上・社会人未満の揺れる心を映した共感度抜群の「ふられ」小説。
  • 組曲 わすれこうじ
    4.0
    1巻2,090円 (税込)
    節句のひながた、骰子、絵葉書、ミニチュアの動物……。手ばこにしまわれ、ひきだし家具に収められた愛おしきものたちの記憶。幼年の心に刻まれた密やかな歓びが、途切れることなく連なる言葉のリズムを得て美しく再生されてゆく。横書きの独創的文体(スタイル)で世を驚かせた芥川賞作家が、7年の歳月をかけて織り上げた無比の小説集。
  • 雲霧仁左衛門(前後)合本版(新潮文庫)
    3.0
    神出鬼没・変幻自在の怪盗・雲霧仁左衛門。政争渦巻く八代将軍・吉宗の治世、江戸市中で、一人の殺傷もなく一万両を盗み出すという離れ業を成し遂げた雲霧一味は、次の狙いを尾張・名古屋の豪商・松屋吉兵衛方に定める。雲霧の命により、七化けのお千代は、四年前に妻を亡くした吉兵衛に近づく。金蔵をめざして、江戸から名古屋へ盗賊一味の影が走り、火付盗賊改方の一団が追う。 ※当電子版は新潮文庫版『雲霧仁左衛門』前後巻をまとめた合本版です。
  • 蜘蛛の糸・杜子春
    4.1
    地獄に落ちた男が、やっとのことでつかんだ一条の救いの糸。ところが自分だけが助かりたいというエゴイズムのために、またもや地獄に落っこちる『蜘蛛の糸』。大金持ちになることに愛想がつき、平凡な人間として自然のなかで生きる幸福をみつけた『杜子春』。魔法使いが悪魔の裁きを受ける神秘的な『アグニの神』。健康で明るく、人間性豊かな作品集。

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  • 雲の肖像
    -
    恋は時に他の感情の仮面をかぶることがある。二人は知らずに危険な関係へと入って行った。――電機会社の社員である夫の生き方に不満と危惧の念を抱く妻の立子と、彼女に同情を寄せる向こう見ずで一本気な村上。テレビ電波の免許をめぐる関連産業間の熾烈な争いを背景に、若い人妻と誠実な青年が奏でる愛のロマネスク。美しくもつつましやかな愛のゆくえを鮮やかに描く。
  • 雲の墓標
    3.9
    太平洋戦争末期、南方諸島の日本軍が次々に玉砕し、本土決戦が叫ばれていた頃、海軍予備学生たちは特攻隊員として、空や海の果てに消えていった……。一特攻学徒兵吉野次郎の日記の形をとり、大空に散った彼ら若人たちの、生への執着と死の恐怖に身をもだえる真実の姿を描く。観念的イデオロギー的な従来の戦争小説にはのぞむことのできなかったリアリティを持つ問題作。
  • 雲の都―第一部 広場―
    -
    1~5巻1,760~2,112円 (税込)
    昭和27年、一代で三田に外科病院を築いた祖父時田利平はすでに亡く、一族の長老、政治家の風間振一郎も急死した。東大の医学生悠太はセツルメントに関わっている、後に“血のメーデー”と呼ばれるデモに参加して負傷、妹央子はヴァイオリンの才能を認められパリに滞在している。占領が解かれ、混乱しつつ復興する東京を舞台に、『永遠の都』の外科病院一族の戦後を描く。

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  • 暗い旅
    3.7
    他者との自由な関係を認めあった恋の、突然の破綻――“かれ”の失踪。“かれ”を捜しに暗い旅へと出発した“あなた”の心は、失われた愛を求めて過去へ内部世界へと退行してゆく。だが、絶望は次第にイマジネールなものの中に吸収され、最後に“あなた”は一つの小説を書くことを決心する。〈ことば〉の自己繁殖によって反世界の文学空間をきりひらく、倉橋由美子の処女長編。
  • 暗い波濤(上)
    4.0
    1~2巻1,023~1,078円 (税込)
    昭和18年4月、特設巡洋艦愛国丸は、台湾での基礎教育を終えた海軍第二期予備学生550余名を乗せて帰国の途につき、呉に入港した。ここで予備学生たちはそれぞれの配属先に別れるのだった。霞ヶ浦航空隊の栗原、海軍兵学校の田崎、館山砲術学校の三宅――彼らは厳しい専門訓練を経て任官し、前線に出てゆく……。自ら青春を日本海軍とともにした著者が情熱を傾けた渾身の二千枚。
  • 暗い林を抜けて
    5.0
    1巻2,090円 (税込)
    京都での学生時代、駆け出し記者だった頃の結婚、十年後の離婚、新たな家庭と四十代にして初めて儲けた息子。東日本大震災の激務を経ながら癌を患い、現役記者を続けて六年。いよいよ最後の日々が近づいてくる――。『鶴見俊輔伝』で大佛次郎賞を受賞した作家が、ままならない人生のほのかな輝きを描く最新長篇。
  • 倉橋由美子の怪奇掌篇
    4.0
    夜ごと体を離れて首だけが恋人のもとに通う娘の怪しげな恋慕と残酷な死「首の飛ぶ女」。長風呂がたたってガイコツになった少年の病名は突発性溶肉症と診断された「事故」。夢の中に現われる世にも醜悪な男のたくらみ「交換」。元宰相ボーブラ氏はいかにしてカボチャ顔になったのか「カボチャ奇譚」など、幻想・残酷・邪心・淫猥な世界を、著者独特の文体でえぐりだす怪奇短編20編。
  • 胡桃の家
    3.5
    正月に帰省した槇子は、生家が取壊され、テナントビルにされると聞かされた。胡桃の油で磨かれ黒光りする柱を眺め、柱に染みこんだ代々の女たちの思いを思うと、槇子は不意に自分の家を建てたい衝動にかられるのだった。女と家の共生関係を描いた表題作、学生時代の友人への複雑な感情を扱った「女ともだち」、煙草と男への拘りを語る「シガレット・ライフ」など4編を収めた短編集。
  • くれない
    3.0
    プロレタリア運動に参加する作者自身の生活に起った、運動の解体や、夫の入獄と転向、といった事件に取材。仕事を持つ妻とその夫とが当面する問題を、深く追究したもので、互いに愛情と理解をもち新生活の建設に努めているはずの夫婦が、なお家庭生活にまつわる因襲や習慣に、矛盾した深い苦悩をなめねばならず、家庭崩壊の寸前にまで陥る経緯を、妻たる明子の立場から描いた力作。
  • 黒い蝶
    4.0
    1巻506円 (税込)
    商売に失敗した三田村は、偶然に江藤という富豪と知り合った。江藤は死んだ娘のためにソ連の世界的ヴァイオリニスト・ムラビヨフを日本に招聘することを思いつく。三田村は招聘の運動費と称して江藤から金を引き出し、自分の新しい事業に注ぎ込むが、江藤の美しい妹にその魂胆を見透かされた時、奇妙にも本気でムラビヨフを招んでやろうと考え始める……。著者唯一の書下ろし長編。
  • 黒い福音
    3.8
    救援物資の横流し、麻薬の密輸から殺人事件まで、“神の名”のもとに行われた恐るべき犯罪の数々。日本の国際的な立場が弱かったために、事件の核心に迫りながらキリスト教団の閉鎖的権威主義に屈せざるを得なかった警視庁――。現実に起った外人神父による日本人スチュワーデス殺人事件の顛末に強い疑問と怒りをいだいた著者が綿密な調査を重ね、推理と解決を提示した問題作。

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  • 黒真珠
    -
    1巻1,232円 (税込)
    欲しいものは手に入れる。どんなことをしてでも――。強くて、脆くて、繊細で、大胆で、謎めき、揺れる女性の心の行きつく先は? 怖く哀しい7つの物語。
  • 黒地の絵―傑作短編集(二)―
    3.6
    現代小説の第2集。朝鮮戦争のさなか、米軍黒人兵の集団脱走事件の起った基地小倉を舞台に、妻を犯された男のすさまじいまでの復讐を描く「黒地の絵」。美術界における計画的な贋作事件をスリリングに描きながら、形骸化したアカデミズム、閉鎖的な学界を糾弾した「真贋の森」。他に、一画家のなにげない評伝から恐るべき真実を探り当てる「装飾評伝」など7編を収める。

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  • クロノス―天命探偵 Next Gear―
    3.7
    1巻737円 (税込)
    目覚める気配もなく“死の予知夢”を見続ける志乃。その原因究明と引き換えに〈クロノスシステム〉で夢を解析し捜査に使うという警察庁からの提案を、真田省吾たちは迷いながらも受け入れた。新たな活躍の場は公安課内の「次世代犯罪情報室」。天才的頭脳で超毒舌、そして時に暗い影が覗く謎めいたバディ・黒野武人と共に、真田は国際テロを阻止できるのか。衝撃の新シリーズ開始!
  • 黒の様式
    3.8
    結婚して二年たらずで自殺した美しい姉。歳月がながれ高校生の母親となった妹が、思春期の息子の手に負えない行状から、姉の死の真相にたどりつく「歯止め」。小さな港町の家々に投げ込まれた奇怪なチラシ。二十年前に母親が義父に殺されたと告発する男が巻き起こす騒動の驚くべき顛末「犯罪広告」。“古拙の笑い(アーケイック・スマイル)”を浮かべた若い女の硬直した死体の謎「微笑の儀式」。傑作中編小説三編。

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  • 黒富士
    3.0
    1巻1,760円 (税込)
    亡き父の預り物を持って蓑太は富士をめざしていた。届け先は道場を経営するかたわら天然水の販売を手がける書家の彷尊。その途次、道場に囚われているという娘の救出を乞われる。正邪の定かならぬ男女、ゴミ山、毒、群発地震……木口木版画・美術家のイマジネーションが描き出す、黒く焼け出された人間の業と富嶽の断末魔。
  • クローゼット(新潮文庫)
    3.9
    1巻649円 (税込)
    十八世紀のコルセットやレース、バレンシアガのコートにディオールのドレスまで、約一万点が眠る服飾美術館。ここの洋服補修士の纏子は、幼い頃の事件で男性恐怖症を抱えている。一方、デパート店員の芳も、男だけど女性服が好きというだけで傷ついた過去があった。デパートでの展示を機に出会った纏子と芳。でも二人を繫ぐ糸は遠い記憶の中にもあって……。洋服と、心の傷みに寄り添う物語。(対談・筒井直子、解説・谷崎由依)
  • グ、ア、ム(新潮文庫)
    3.6
    北陸育ちの姉妹。長女は大学を出たもののバイト生活を送る、いわゆる「ワーキングプア」。そんな姉を反面教師にした次女は、高卒で信用金庫に就職。姉妹は母も交えた女三人でグアム旅行に出かけることになるが、長女の身勝手な行動のせいで、早くも旅は不穏なムードに……。時代の理不尽、血の繋がった女同士のうっとうしさを、シニカルな筆致で笑い飛ばす、奇妙で痛快なホームドラマ。
  • グスコーブドリの太陽系―宮沢賢治リサイタル&リミックス―
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    この本の中心に位置付けられている「グスコーブドリの伝記 魔の一千枚」。/書き手と読み手、虚構と現実、過去と未来、そして現在、あらゆるボーダーを溶かして、物語は進む。/それは小説家・古川日出男の狂気を通過するような体験だった。呆然とする以外になかった。/しかし、いま、美しく静かな決意に満ちている。――後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
  • グッド・バイ(新潮文庫)
    4.0
    1巻605円 (税込)
    被災・疎開の極限状況から敗戦という未曽有の経験の中で、我が身を燃焼させつつ書きのこした後期作品16編。太宰最後の境地をかいま見させる未完の絶筆「グッド・バイ」をはじめ、時代の転換に触発された痛切なる告白「苦悩の年鑑」「十五年間」、戦前戦中と毫も変らない戦後の現実、どうにもならぬ日本人への絶望を吐露した2戯曲「冬の花火」「春の枯葉」ほか「饗応夫人」「眉山」など。(解説・奥野健男)
  • グッモーエビアン!
    4.1
    1巻440円 (税込)
    私の家族はちょっと変わっている。元パンクスで現役未婚、自称「永遠の24歳」のお母さんと、お調子者で万年バンドマンで、血の繋がっていないお父さんヤグ、そして15歳の私はつき。うちのルールはたったひとつ「おもしろければ、いーじゃん」。そんなぶっ飛んだ家族のキュートでドタバタな日々。おもしろくて心あたたまる新しい家族の物語。

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  • 虞美人草(新潮文庫)
    4.2
    大学卒業のとき恩賜の銀時計を貰ったほどの秀才小野。彼の心は、傲慢で虚栄心の強い美しい女性藤尾と、古風でもの静かな恩師の娘小夜子との間で激しく揺れ動く。彼は、貧しさからぬけ出すために、いったんは小夜子との縁談を断わるが……。やがて、小野の抱いた打算は、藤尾を悲劇に導く。東京帝大講師をやめて朝日新聞に入社し、職業的作家になる道を選んだ夏目漱石の最初の作品。(解説・柄谷行人)
  • ぐるりのこと(新潮文庫)
    3.9
    旅先で、風切羽の折れたカラスと目が合って、「生き延びる」ということを考える。沼地や湿原に心惹かれ、その周囲の命に思いが広がる。英国のセブンシスターズの断崖で風に吹かれながら思うこと、トルコの旅の途上、ヘジャーブをかぶった女性とのひとときの交流。旅先で、日常で、生きていく日々の中で胸に去来する強い感情。「物語を語りたい」――創作へと向う思いを綴るエッセイ。
  • グレイスは死んだのか
    3.3
    1巻1,870円 (税込)
    「躾と調教は根本から違うんだ」調教師の男とその犬グレイスが深山で遭難した。劇的に逆転する人と獣の主従関係。山中での凄絶なサバイバル。そこに露呈した「命」の本質とは――。東京の只中にマジカルな異空間を出現させ、選考委員の称賛を得た新潮新人賞受賞作「シャーマンと爆弾男」を併録。注目の新鋭デビュー作品集。
  • 蠅の帝国―軍医たちの黙示録―
    4.3
    1~2巻869~1,089円 (税込)
    日本占領下の東南アジアに、B29の大空襲を受けた東京に、原爆投下直後の広島に、そしてソ連軍が怒濤のように押し寄せる満州や樺太の地に、医師たちの姿があった。国家に総動員された彼らは、食料や医薬品が欠乏する過酷な状況下で、陸海軍将兵や民間人への医療活動を懸命に続けていた。二十年の歳月をかけ、世に送り出された、帚木蓬生のライフ・ワーク。日本医療小説大賞受賞作。
  • 軍艦長門の生涯(上)
    4.3
    1~3巻770~814円 (税込)
    総排水量4万3千トン、40サンチ砲8門搭載、最高速力26.7ノット。世界最大・最強・最高速の戦艦としてその威容を誇った軍艦長門は、帝国海軍の栄光と矛盾を一身に背負って激動の大正・昭和期を生きた。連合艦隊が壊滅し、ただ一隻生き残った長門を、敗戦後待ちうけていたのは劇的な終焉……。一隻の軍艦の生涯を通して今よみがえる、“あの時代”の日本と日本人の一大スペクタクル!
  • 形影相弔・歪んだ忌日
    3.0
    僅かに虚名が上がり、アブク銭は得たものの内実が伴わぬ北町貫多は虚無の中にいた。折から、藤澤清造の自筆原稿が古書の大市で出品された。百四十一枚の入札額を思案するうち、ある実感が天啓の如く湧き起こる(「形影相弔」)。二十数年振りに届いた母親からの手紙に、貫多の想念は激しく乱されるが……(「感傷凌轢」)。孤独な魂の咆哮を映し出す、私小説の傑作六編。『歪んだ忌日』改題。
  • 警官の血(上)(新潮文庫)
    3.9
    1~2巻825円 (税込)
    昭和二十三年、警察官として歩みはじめた安城清二は、やがて谷中の天王寺駐在所に配属される。人情味溢れる駐在だった。だが五重の塔が火災に遭った夜、謎の死を遂げる。その長男・安城民雄も父の跡を追うように警察学校へ。だが卒業後、その血を見込まれ、過酷な任務を与えられる。大学生として新左翼運動に潜りこめ、というのだ。三代の警官の魂を描く、空前絶後の大河ミステリ。
  • 刑事弁護人
    4.1
    1巻2,145円 (税込)
    現役女刑事による残忍な殺人事件が発生。弁護士・持月凜子は同じ事務所の西と弁護にあたるが、加害者に虚偽の供述をされた挙げ句、弁護士解任を通告されてしまう。事件の背後に潜むのは、幼児への性的虐待、残忍な誘拐殺人事件、そして息子を亡くした母親の復讐心? 気鋭のミステリ作家が挑んだ現代版「罪と罰」。
  • 軽薄(新潮文庫)
    4.1
    18歳の頃、カナは元恋人に刺されるも一命を取り留めた。29歳の今、仕事も夫と幼い息子との家庭も充実しているが、空虚な傷跡は残ったままだ。その頃、米国から姉一家が帰国しカナは甥の弘斗と再会。19歳になった彼に激しい愛情を寄せられ、一線を越えてしまう。カナに妄執する弘斗は危うげで、そしてある過去を隠していた――。二人を繋いでしまった、それぞれの罪と罰。喪失と再生の純愛小説。
  • けさくしゃ(新潮文庫)
    3.7
    1巻825円 (税込)
    腕っぷしは弱いが、見た目は役者と見紛うばかりのいい男。柳亭種彦は二百俵取りのお殿様で、暇を持て余す趣味人だ。その読み手を楽しませる才能を見込んだ版元の山青堂は、彼の戯作で一山当てようと目論む。渋々ながらも書き始めた種彦。すぐに戯作の虜になるが、世に出した作品がその身を危うくする……。実在した流行作家の若き姿と、本を愛おしむ仲間たちとの痛快な活躍を描く。(解説・新井見枝香)
  • 化粧の素顔
    4.0
    もっと開いて。もっと受け入れて。もっと満たして――。理想の女性を求めて遍歴を重ねる河島文也。大胆で細やかな文也のアプローチとテクニックは相手を歓ばせるが、燃え上がった官能は、なぜかいつも途中から醒めてゆく。甘美な性愛のさなかに、身体と身体で交わされる男と女の駆け引きの行方をシニックに描く。もう一段、恋愛上手になるための秘密が詰まった六篇。大人の小説集。

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  • 戯場國の怪人
    3.6
    1巻2,420円 (税込)
    桟敷席を予約し続ける謎の人物の噂が立つ江戸市村座。女形瀬川菊之丞、戯作者平賀源内、二代目市川團十郎、講談師深井志道軒、広島藩士稲生武太夫、大奥御年寄江島、さる公卿とその妹らを巻き込み、芝居小屋の地下で蠢く時を超えた怨讐、恋着、役者の業火等々、虚実のあわいを壮大に描き切る伝奇エンタメの極地!
  • 決壊(上)
    4.0
    1~2巻880~935円 (税込)
    地方都市で妻子と平凡な暮らしを送るサラリーマン沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、殺人の夢想を孤独に膨らませていた。ある日、良介は忽然と姿を消した。無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。許されぬ罪を巡り息づまる物語が幕を開く。衝撃の長編小説。
  • 決壊(上下)合本版(新潮文庫)
    -
    地方都市で妻子と平凡な暮らしを送るサラリーマン沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、殺人の夢想を孤独に膨らませていた。ある日、良介は忽然と姿を消した。無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。許されぬ罪を巡り息づまる物語が幕を開く。衝撃の長編小説。 ※当電子版は新潮文庫版『決壊』上下巻をまとめた合本版です。
  • 結婚
    4.0
    芥川賞受賞作『忍ぶ川』以降の6つの作品集から選ばれた9編と、早稲田大学仏文科在学中に24歳で執筆し第二回新潮同人雑誌賞を受賞した「十五歳の周囲」を収録。
  • 結婚詐欺師(上)
    3.8
    1~2巻539~605円 (税込)
    橋口雄一郎は40代のプロの結婚詐欺師。カツラ・洋服・職業・車を使い分けて変身、女性の心理を逆手に取る巧みな話術で誘惑し、金をだまし取っていた。東京・小滝橋署の刑事、阿久津は偶然かかわった結婚詐欺の被害届から、プロの匂いを感じ取り捜査を始めた。やがて松川学という前科者が浮上、身元の確認に追われる。一方、橋口はゴルフ練習場で見つけた女性に次の狙いを定めた――。
  • 結婚式
    -
    1巻440円 (税込)
    〈男はわたしをもてあましながら少しずつ手放そうとしている……。こっちから別れてもいいのだ〉恋人を捨てる「マリコの選択」。結婚式の前日ひとりヨットに乗り込み結婚を拒絶した男や、花嫁の過去を知りぬいて披露宴で道化を演じる若い夫の心理を描く「結婚式」。ほか、「投げられた指輪」「スペインから」「クール経由サンモリッツ行き」「パティオの月」「オー・イエス・イエス」の、“結婚”の前後にいる男と女の愛と欲望のくい違いを軽妙に描く短編7編。
  • 結婚します
    -
    1巻770円 (税込)
    初めての見合いの席で「わたくし、お見合いなんかする男の人って、嫌いなんです」と、相手の百合子に決めつけられた浩太郎は、敢然と“輝かしい見合い結婚”を決意する。“縁談の修羅場”に立ち向う浩太郎がめぐり合う、さまざまなエピソードを通して、現代の若者の女性観・結婚観・家庭観などなどを、新鮮痛快に描き出す――。明るく、爽やかなユーモアが全編に息づく青春小説。
  • 結婚しません
    -
    1巻440円 (税込)
    由利子は31歳、黄色い雨傘のよく似合う美しい独身女性である。年頃になってからは、縁談も多かった、恋人もいた。なぜ結婚しないのだろうと誰でも思う。が、彼女にはある決意と理由があった……(第6話「黄色い雨傘」)。聡明で魅力的でありながら、結婚しない人生をさりげなく選んだ女性たち。その内面のドラマと生き方を明るく描いて、若い女性の共感を誘うユニークな12の物語。「赤い大橋」「朝の寝台」「菜の花峠」「紫におう」「葉桜の周囲」「屋上の煙草」「炎の重量」など。
  • 結婚のためなら死んでもいい(新潮文庫)
    3.8
    1巻737円 (税込)
    わたしはね、55歳になったあんた自身、そして今でも独身だよ――。彼氏なし、売れない小説家の「わたし」は、勤め先のエレベーターの片隅に佇む女からそう告げられる。気迫に満ちた未来の自分に促され、死に物狂いの婚活を開始するが。自分語りが大好きな皮膚科医、24歳のかわいいDJ、趣味は合うほぼ童貞のSE……。〈運命の人〉は実在するのか。過激で赤裸々で切ない10年を描く実録小説。『婚活1000本ノック』を全面改稿の上、改題。併せてお読みください。(解説・清田隆之)
  • けっぱり先生
    -
    1巻880円 (税込)
    春三月、卒業式に「仰げば尊し」を歌わせない学校があった。新聞記者の宮川はその取材で一人の魅力的な教育者を見た。“けっぱり先生”こと猪股校長である。試験廃止、PTA解散など、教育ママの反対もなんのその、ねじまげられた教育のゆがみを正そうと情熱を燃やすガンバリ校長だ。傷つきやすく多感な青春群像を、厚い胸に抱きとめてのその奮戦を、爽やかに描く感動の学園小説。
  • 結論それなの、愛
    3.8
    1巻1,925円 (税込)
    バンコクの高級アパートで暮らすマリは、コロナ禍で出張先から帰ってこられない夫と別居生活を送っている。日本にいた母の葬儀にも参加できず、孤独なマリに声を掛けたのは、テオというタイ人青年だった。寄り添い、理解しようと向き合ってくれるテオに、マリは心惹かれるようになる。魂が震える最高純度の恋愛小説。
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)
    3.9
    ソ連軍が侵攻し、国府・八路軍が跳梁する敗戦前夜の満州。敵か味方か、国籍さえも判然とせぬ男とともに、久木久三は南をめざす。氷雪に閉ざされた満州からの逃走は困難を極めた。日本という故郷から根を断ち切られ、抗いがたい政治の渦に巻き込まれた人間にとっての、“自由”とは何なのか? 牧歌的神話は地に堕ち、峻厳たる現実が裸形の姿を顕現する。人間の生の尊厳を描ききった傑作長編。(解説・磯田光一)
  • けものみち(上)
    3.8
    1~2巻693円 (税込)
    米倉涼子主演ドラマの原作。割烹旅館で働く31歳の成沢民子は、脳軟化症で回復の見込みのない夫・寛次に縛られた暮しを若さの空費と考えていた。彼女は赤坂のホテル支配人・小滝にそそのかされ夫を焼殺し、行方を絶つ。直感で民子を疑った刑事・久恒はその行方を追ううち、民子への欲望をつのらせ、政財界の黒幕・鬼頭の女になっていることを突き止める。人倫の道を踏み外したものがたどる〈けものみち〉とは。
  • けものみち(上下)合本版(新潮文庫)
    -
    1巻1,386円 (税込)
    割烹旅館で働く31歳の成沢民子は、脳軟化症で回復の見込みのない夫・寛次に縛られた暮しを若さの空費と考えていた。彼女は赤坂のホテル支配人・小滝にそそのかされ夫を焼殺し、行方を絶つ。直感で民子を疑った刑事・久恒はその行方を追ううち、民子への欲望をつのらせ、政財界の黒幕・鬼頭の女になっていることを突き止める。人倫の道を踏み外したものがたどる〈けものみち〉とは。 ※当電子版は新潮文庫版『けものみち』上下巻をまとめた合本版です。
  • 快楽
    -
    1巻1,210円 (税込)
    たとえ女と交わっても覚楽してはならぬ。覚楽なければ不犯なり――厳しい戒律のなかでうろたえ、摸索する青春の魂。教団活動と左翼運動の境界に身を置く“赤い坊さん”柳は教団及び革命団体の分裂抗争に巻きこまれる……。集団悪の諸相、人間の業の深さを見据えて、戦慄すべき予言と稀有の洞察にあふれる本書は、巨人武田泰淳がそのすべてを投入した畢生の大作である。
  • 検事 霞夕子 風極の岬
    -
    夕子は北海道釧路地検に転勤になった。東京とはすべてスケールの違う生活に戸惑うなか、事件が発生した。廃業したリゾートホテルで、白骨死体が見つかったという。そして現場に残る酒盛りのあと。捜査に加わる夕子の目が光る――「札幌は遠すぎる」ほか3編収録。北の大地に渦巻く人間関係のあやを、かすかな違和感、些細な痕跡を手がかりに解きほぐす、検事・霞夕子シリーズ第3作。

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  • 検事 霞夕子 夜更けの祝電
    5.0
    バツイチのOL・山口美幸は39回目の誕生日を迎えるその日、たった一人で孤独をかみしめながら過ごしていた。次の日、彼女は後頭部を鈍器で殴打されて、自分の部屋で死亡していた。部屋には色彩豊かな花瓶に5本の紅いバラと3本のクリーム色のバラが挿されていた。いったい誰が彼女を殺したのか。お多福顔でおっとり口調の検事、霞夕子が鋭く解決する「夜更けの祝電」をはじめ、「橋の下の凶器」「早朝の手紙」「知らなかった」の4篇を収録する人気シリーズ。

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  • 県民には買うものがある
    3.3
    1巻1,540円 (税込)
    滋賀の片田舎に住む私たちは、「JKでヤってない」ってだけでかなり取りこぼしてる。だから廃れたSNSで、ちょうどいい男を探すことに……。都民でも府民でも道民でもない、「県民」の心の底にある揺らぎを掬い取った「R-18文学賞」友近賞受賞作をはじめ、切実すぎるのになんだか残念、でも胸が熱くなる、デビュー短編集。
  • 外科室・天守物語(新潮文庫)
    4.0
    1巻649円 (税込)
    私はね、心に一つ秘密がある――。伯爵夫人手術時に起きた“事件”を描く『外科室』。眷族を伴として姫路城天守閣に棲む妖姫が、若き武士と出逢う『天守物語』。二つの代表作に加えて、故郷金沢を情感ゆたかに描く怪異譚『霰ふる』。三島由紀夫が絶賛した絶筆『縷紅新草』。そして『化鳥』『高桟敷』『二三羽――十二三羽』『絵本の春』を収める。アンソロジスト東雅夫が選び抜いた、鏡花文学の精髄八篇。(解説・東雅夫)
  • 劇場(新潮文庫)
    3.9
    高校卒業後、大阪から上京し劇団を旗揚げした永田と、大学生の沙希。それぞれ夢を抱いてやってきた東京で出会った。公演は酷評の嵐で劇団員にも見放され、ままならない日々を送る永田にとって、自分の才能を一心に信じてくれる、沙希の笑顔だけが救いだった――。理想と現実の狭間でもがきながら、かけがえのない誰かを思う、不器用な恋の物語。芥川賞『火花』より先に着手した著者の小説的原点。
  • 激情次長―不正融資を食い止めろ―(新潮文庫)
    4.0
    1巻814円 (税込)
    大洋栄和銀行の上杉健は、問題があると思えば上司や官僚であろうと容赦しない広報部次長だ。横領、派閥抗争、大蔵省接待、インサイダー取引。数々の苦難を持ち前の正義感で乗り越えてきた上杉に、未曾有の金融不祥事が立ちはだかる! 隠蔽を図る経営幹部たち。腐敗が極限にまで達した銀行の膿を出し切ることはできるのか? 企業エンタテインメントの傑作。『さらば銀行の光』改題。
  • 戯作三昧・一塊の土(新潮文庫)
    3.7
    江戸末期の市井の風俗の中で、芸術至上主義の境地を生きた馬琴に、自己の思想や問題を託した「戯作三昧」、仇討ちを果した赤穂浪士の心理に新しい照明をあてて話題を呼んだ「或日の大石内蔵之助」などの“江戸期もの”。闇空に突然きらめいて、たちまち消えてゆく花火のような人生を描いた「舞踏会」などの“明治開化期もの”。ほかに本格的な写実小説「秋」など、現代に材料をとった佳作を網羅した。(解説・中村真一郎)
  • 下駄の上の卵 (新潮文庫)
    4.0
    昭和21年7月。憧れのまっ白な軟式野球ボールを手に入れるため、山形から闇米抱え密かに東京へと向かった国民学校六年生の野球狂の少年たち。その大冒険は、疲弊と混乱の極みに達した東京の街を舞台に、一進一退のシーソーゲームとなって展開していく。眼前に広がる敗戦の実像、しかし人々はなおしたたかに生きている。戦後とはいったい何だったのかを少年たちの視点から繙(ひもと)いた永遠の名作。(解説・井筒和幸)
  • 月光のドミナ
    -
    暗い波間から現われた全裸の金髪女性に頬を打たれ、自己のマゾヒストとしての運命を確認する画学生千曲の暗い欲望に迫る「月光のドミナ」。外国旅行中、結核が再発した夫に南仏見物を同意させる妻のわがままを描く「再発」。ほか「シラノ・ド・ベルジュラック」「あまりに碧い空」「パロディ」「寄港地」「宦官」「松葉杖の男」「地なり」「イヤな奴」「葡萄」を収録。作中人物の心に潜む暗い衝動やエゴイズムや恐怖を、そのまま描き出す誠実な筆致と明確な構成を持つ初期短編11作。

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  • 月光の東
    3.6
    1巻825円 (税込)
    「月光の東まで追いかけて」。出張先のカラチで自殺を遂げた友人の妻の来訪を機に、男の脳裏に、謎の言葉を残して消えた初恋の女性の記憶が甦る。その名前は塔屋米花。彼女の足跡を辿り始めた男が見たのは、凛冽な一人の女性の半生と、彼女を愛した幾人もの男たちの姿だった。美貌を武器に、極貧と疎外からの脱出を図った女を通し、人間の哀しさ、そして強さを描く傑作長編小説。
  • 月桃夜(新潮文庫)
    3.8
    薩摩の支配下にあった奄美。孤児のフィエクサは、父を失った少女サネンと兄妹の契りを交わす。砂糖作りに従事する奴隷のような身分の二人だが、フィエクサは碁を習い才覚を発揮、サネンは美しい娘に成長する。しかしサネンが薩摩の役人から妾に所望され、過酷な運命が動き出す――。濃厚な花の匂いの中、無慈悲な神に裁かれる禁断の絆。魔術的な魅力に満ちたファンタジーノベル大賞受賞作。(解説・吉田伸子)
  • 月曜日の朝・金曜日の夜
    4.0
    1巻770円 (税込)
    中央線に乗って国立駅から東京駅まで通う。沿線に展開する四季折々の風景、車内にみる世相百態など、通勤電車の心とその表情を捉えた「月曜日の朝」。週末にホッと一息ついて行きつけの止り木でピーナツを噛み、寿司屋の床几でコハダをつまむ。わが街のやすらぎの風情を描く「金曜日の夜」。ひとつひとつの挿話に季節感が刻みこまれ、日常生活を再発見する新しい歳時記。
  • 幻化
    -
    消え去った記憶を確かめようと南九州を旅する精神病の男を通して、二十数年間の心象風景を文学へと結晶させた、戦後文学屈指の名作「幻化」。ほかに「庭の眺め」「記憶」「仮象」「空の下」「突堤にて」「凡人凡語」の全7編を収録。一貫して戦後の繁栄の仮象の底に生の深淵を見つめ続けた梅崎春生の後期作品集。

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