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現代小説の第2集。朝鮮戦争のさなか、米軍黒人兵の集団脱走事件の起った基地小倉を舞台に、妻を犯された男のすさまじいまでの復讐を描く「黒地の絵」。美術界における計画的な贋作事件をスリリングに描きながら、形骸化したアカデミズム、閉鎖的な学界を糾弾した「真贋の森」。他に、一画家のなにげない評伝から恐るべき真実を探り当てる「装飾評伝」など7編を収める。
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Posted by ブクログ
戦後の混乱や高度成長期の影にある人間の欲や虚栄、矛盾といった“黒さ”を、短編という濃密なフォーマットで鋭く抉り出してくる作品集です。
全9話ですが、どの話も読みやすい長さながら、心理の奥にじわりと刺さりました。
表題作「黒地の絵」では芸術をめぐる狂気がじっとりと迫り、芸術と人間の欲望が交錯する重苦しい空気に圧倒されつつも、読まずにはいられない緊張感がありました。
著者らしい社会へのまなざしと、登場人物たちの執着心が丁寧に描かれていて、読み進めるほどに息苦しさと面白さが増していき、清張作品に通底する「見たくないものを暴き出す力」は健在で、読み終えたあともしばらく胸に残るものがありました。
大人にこそ響く一冊です。
Posted by ブクログ
清張の短編集2冊目。
こないだの『黒い画集』ほどの衝撃は無かったが、それでも印象の強い作品はいくつかあったし、どれも興味をぐいぐいと引きつけられ一気に読まされてしまう、優れた語り口が見られた。
「紙の刃」などはサラリーマンが苦境に陥り困惑を極める話なのだが、実際の自分の仕事とはえらく違う領域であってもこの仕事上の困窮は身に迫る感じがして、読んでいて辛くなった。
どうやら松本清張は現代日本人が普遍的に日常的にすれ違うような「イヤな感じ」を見事に抉り出す点で実に傑出しているようだ。
松本清張は、「イヤな感じ」大魔王である。
現実生活にもありがちな「イヤな感じ」を、フィクションを読んでわざわざ反芻させられ強調されることに喜びを感じるという傾向は、「ホラー映画/小説」に何故か惹かれてしまう人の心の闇に通底するのかもしれない。
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