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Posted by ブクログ
実際にあった未解決事件を元に書かれた小説。綿密な取材を元にストーリーは展開されていく。著者は死体のあった現場等にも足を運んだそうだ。事件は俗に言うスチュワーデス殺人事件。容疑者には教会の神父があがったが、裏に潜む闇の人物、教会とのつながり、どれも確信に近いものだったのに当時の時代背景によって、国際問題に発展する可能性を秘めたこの事件は慎重に扱わざるを得なかった。モタモタしているうちに容疑者は国外へ。事件は闇の中へ葬りさられてしまった。この小説が事実に近いものならば…殺された被害者は一体どういう気持ちの中、死んでいったのだろうか。死に顔は穏やかで笑みを浮かべているようだった。とあるが最後まで愛を信じたのだろうか。
Posted by ブクログ
非常に秀逸なタイトル。前半が犯罪に至る過程、後半が犯罪の真相を追及する構成となっている。
読んでいて不快感が鰻登りに上がるが恐ろしいのは現実にあったスチュワーデス(当時の呼称)殺人事件を元にしているところ。現実の方もベルギー人神父は国外に飛んでいる。
この本では西洋人は日本人を人間とも思っておらずキリスト教の救済すべき対象は西洋白人に絞られているとしか感じられない。そもそも殺人前からご性交されている時点で性職者と化している。被害者が本書どおりの素晴らしい性格なら救いようもない後味ではあるが戦争に敗れた国民がいかに扱われるかを知るには良い本だろう。
Posted by ブクログ
解説を含むと文庫で699ページに渡る長編でありますが、
読み始めるとどんどん気になり、第二部はほぼ一気に読んでしまいました。
先日、三億円事件と黒い福音がドラマスペシャルで行われていて、
そこで気になった原作本。
ドラマでは、第一部がほぼ割愛され、ビートたけしさん演じる
刑事たちの視点がメインとなっていたので、
原作を読むとトルベック側の状況がよくわかりました。
宗教組織を守る、という一点で、その目的のためなら
麻薬の密輸までも行う。
トルベック神父、ルネ・ビリエ神父の欲望に負けて破戒の日々を
歩むのに、それをうまく自分のなかでごまかして、納得させて
悪事を働く姿を見て
宗教組織というものに属することへの恐怖を感じてしまいます。
正義をふりかざせる立場の危なさよ。
「聖職者が人殺しをするうなどと考える奴らは、魂に悪魔が棲んでいます」
といいますが、夜ごと女性と肉体関係を持ち、砂糖、麻薬などの密売を繰り返す
聖職者は、悪魔そのものではないのでしょうか。
結局、首相が、控えているヨーロッパ外交への影響も考え、
犯人であるトルベックや関係する人物を国外へ。
検索すると当時の首相である岸信介は、ノーベル平和賞候補に推薦されていたとか。
全体の権益を考えたら、1人の人殺しなどどうでもよい、という人が
ノーベル平和賞受賞にならなくて良かったと思います。
小説ではありますが、事実もほぼ等しいと、私は考えますので。
警察の現場レベルで頑張っても、上層部からの圧力で悔しい思いをする。
こういう物語は、昔も今も変わらないことが残念です。
松本さんのこのジャンルの他の作品も読みたいと思いました。
Posted by ブクログ
「黒革の手帳」が本気で何が面白いのか分からなかったので、僕のなかで松本清張は火曜サスペンス劇場の人ぐらいのポジションになってしまっていたのですが、この「黒い福音」はよかった。
そもそも僕は、吉村昭作品のようなノンフィクション小説が好きで、本を読み終わったあとは「現実すげー」とアホ面で元ネタの事件について色々調べたりして賢くなった気になっているわけですから、同じく現実に起きた事件を下敷きにしたこの「黒い福音」が面白くないはずはなかったのでした。
しかしこの作品のすごいのは、吉村昭小説では出来る限り事実に即して物語が描かれるのに対し、犯人が結局捕まっていない殺人事件の犯人の行動を全部書いてしまって、「こいつが犯人です」と真顔で言ってしまうところ。
様々な人たちの思惑や、政治情勢の影響によって結局検挙されなかった犯人に対し、そして世界に対し、毅然とNOを突きつけられる文学の可能性を僕は、火曜サスペンスの人だと思っていた松本清張に教えられたのでした。やっぱり読まず嫌いはダメですね。
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