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Posted by ブクログ
「非常におもしろかった」と言えば、その人間性を疑われ兼ねないが、非常におもしろかった。筒井康隆氏の作品はいくつか拝読したが、『シルバー世代のバトルロワイヤル』というあらすじを読んで本作『銀齢の果て』を本屋で探し続けた挙げ句、見つけることは叶わず、結局はネットで購入して読むに至った。
本作は場面転換や日付の移り変わりがあるにもかかわらず、章で区切ったりはされておらず、そのせいで読む手を止めることができなかった。これ程、1作を早く読んだのは初めてである。
内容は至って分かりやすい、老人の殺し合いであり、酷く趣味が悪いことであると思う。しかし、狂気じみた殺し合いだけでなく、しっかりとした設定や殺し合いのルールもあり、終わりまで飽きることはなかった。また、老人であるが故の「死への選択」が様々である点が非常におもしろい。ところどころリアルな点もおもしろい。死にたくない者、死にたい者、美しく死にたい者、最後のやりがいとする者、気の狂った者、、、人の生きてきた過去によって、選ぶ死の姿はそれぞれで、考えさせられる部分もあった。
普通、思いついたとしても書かないであろう本作を筒井氏が完成させてくれたことに感謝したい。
おすすめの読み方は最初の見取り図のページを印刷して、生存者をチェックしながら読む方法だ。
Posted by ブクログ
老人同士のバトルロイヤルを、70歳のじいさんが書いたというだけで面白い。読み終えてから作者について調べると、同郷・同校だったこともあり、なんとなく親近感が湧いた。
一方で筒井康隆本人は、家の近所で気に食わない若者を杖で殴りつけるなど、かなり豪快で過激な人物だったらしい。いわゆる「老害」と呼ばれるようなタイプだが、私は結構こういうジジイは嫌いじゃない。
本書では、少子高齢化社会を「良識による悲劇」「何もできない老人の氾濫」と痛烈に批判し、介護に追われる家族の苦悩をさまざまな視点から描いている。
そんな作品を読むと、筒井さんは自分の傍若無人な振る舞いが社会や家族から白い目で見られていることを十分自覚していたのではないかと思う。自覚したうえで反発し続けながらも、その一方でどこか負い目も感じていたのではないだろうか。
また、本書には自身の理想的な死に様も投影されているように感じた。老害と呼ばれようが、死ぬまで気に入らない社会や若者に噛みつき続け、その果てに彼らの手で命を落とす。そんな最期を望んでいたのではないか。
しかし現実には、誰にも殺されず、老衰でも死ねず、ただ長く生き続けてしまった。その「死に損なった老人」の姿を、主人公・九一郎に重ねているようにも思えた。
著者を知ってからもう一度読むと、また面白い一冊だと思う。
Posted by ブクログ
老人増加対策のために政府が定めた「老人相互処刑制度(シルバー・バトル)」70歳以上が対象となるこのバトルは地域と期間を定めて行われる。舞台は東京の下町宮脇町5丁目、対象者は59名。最後に残った1人だけがその後に生きる権利を得るこの戦い……ってすごいなオイ!!
Twitterで見かけて、軽い気持ちで読み始めたらガチやったわ……。58人プラスαがバタバタ死んでいくし、他の地域の中継もあるから、ほんま恐ろしい速度で70歳以上がバタバタいく。最期の瞬間もそれぞれで、フィクションらしさがあり重くはないんだけど、合間にチラリと見えるリアルさが怖い。
一番怖いのは、そろそろこういうことがリアルで起こりそうだということよな。
コロナ禍の救急車が間に合わなくて、みたいな話はまさにコレだし(バトル期間中は区外から往診不可で持病の悪化でってのもあった)
筒井康隆氏、恐るべし。
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