Posted by ブクログ
2015年03月16日
恋愛の美しい部分だけを切り取ったような短編集。
恋愛における「嘘」が軸になり、どれも切ない余韻を残す作品となっています。
自分のためであれ、相手のためであれ、恋愛を取り巻く嘘はどれも哀しすぎる。
「恋文」
登場人物の誰もが少しずつ欠落した部分を持っていてそのちょっとずつの見栄とか同情とか強がりとか...続きを読む中途半端な優しさとかが小さな嘘となって、最終的にどうしようもなく切ない気持ちにさせてくれる作品。
「紅き唇」
いつもいつも他人を優先にしてきたおばあちゃんの最初で最後のワガママの叶え方が、なんともいとおしい。パチンコの景品を自分へのプレゼントにするおばあちゃんのいじらしさ。
「十三年目の子守唄」
これだけ妙にミステリー色が強い。
テーマも恋愛ではなく父子。
「ピエロ」
優しすぎる旦那を試すように裏切ってしまうなんて哀しすぎる。「失敗をもっと大きな失敗で庇う旦那」という設定が最後に生きるあたり、さすが連城さんだと思う。
「私の叔父さん」
こんなかっこいい叔父さんいたら好きになるのは当然。でも、お互いに選ばなくてよかったんだと思う。
好きになるひとと、結婚するひとは別って話をカメラのレンズを通して描くところが巧い。