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もう一人の自分を目撃したという人妻。”消失狂”の画家。「あんたは一週間前に事故で死んだ」と妻に言われる葬儀屋。妻が別人にすり替わっていると訴える外科医。四人を襲う四つの狂気の迷宮の先には、ある精神病院の存在があった……。緻密な構成と儚く美しい風景描写。これぞ連城小説の美学、これぞ本格ミステリの最高峰!
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Posted by ブクログ
自分が自分ではない、あるいは身近な人物が他人にすり替わっている、という考えに憑りつかれた4人がとある精神病院に集合し、程なくして失踪と殺人事件が起きるという、ひとつ間違えばバカミスと呼ばれかねない突飛な設定で、どこに連れて行かれるか分からない展開に読み始めは不安を覚えたのですが、読み終えてみたら全て納得しました。なるほど、伊坂さんが本作を好きというのはすごくよく分かります。
リアリティ云々で言ってしまうと正直無理があるとは思いますし、真犯人が誰かという点もミステリーを読み慣れている読者であれば恐らく薄々予想はつくので、そのあたりの驚きはそれほどでもないです。また本作で描かれている個人のアイデンティティをめぐるあれやこれやに関しても、精神に異常をきたしているという前提があるので個人的にはそこまで響きませんでした。
では本作の魅力はどこにあるかというと、雰囲気は似ているものの全く異なった方向を向いた複数の怪奇話を、最終的に全て論理的に纏め上げて解決に導いた点に尽きるでしょう。このアクロバティックな手腕は率直に見事だと思いました。初版が40年以上前なので当時これがどう評価されたのかはよく分からないのですが、文体の古さを気にしなければ現代でも十分楽しめます。ようやく連城さんの魅力の一端が垣間見える作品に出会うことができました。
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