角川文庫作品一覧

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  • 軽井沢殺人事件
    3.0
    金の売買などインチキ商法で世間を騒がせた佐賀原商事の幹部社員平山は、南青山で交通事故に遭い死亡した。後には「ホトケのオデコ」という謎の言葉と「九条亜矢子」という名刺が残った。亜矢子は現在、政界に隠然たる影響力を及ぼすフィクサー・大原と結婚していた。一方、軽井沢大橋で、警視庁公安部員が不審死を遂げた。事件の背後には40数年前のある出来事が……。信濃のコロンボ・竹村警部と名探偵浅見光彦が初めて競演!
  • 燃ゆるとき
    4.2
    1巻902円 (税込)
    わずか4パーセントの生存率といわれるノモンハンの激戦を生き抜いた森和夫は、「どんな苦労も苦労のうちに入らない」と、築地魚市場の片隅に従業員4人で起業した。商社の横暴、ライバル起業との特許抗争、米国進出の苦難を乗り越え、東洋水産は、「マルちゃん」のブランドと「赤いきつね」のCMで知られる大企業へと育つ。「運命共同体」を経営理念に、創業以来社員と共に歩んだ経営者の情熱と成功を実名で描く、経済小説の傑作。
  • すぐそばの彼方
    3.5
    4年前の不始末から精神的に不安定な状況に陥っていた龍彦の父は、次期総裁レースの本命と目されていた。その総裁レースを契機に政界の深部に飲まれていく龍彦。愛と人間存在の意義を問う力作長編!
  • マグマ
    4.1
    1巻902円 (税込)
    外資系投資ファンドの野上妙子は、民事再生法を申請した「日本地熱開発」の担当を命ぜられる。原子力発電の陰で見捨てられ続けてきた地熱発電所を今なぜ、そしてどうやって再生できるのか――? 政治家、研究者、地元環境団体……様々な人間の思惑が錯綜する中、妙子は奔走する。世界のエネルギー情勢が急激に変化する今、地熱は日本の救世主となれるか!? 次代を占う、大型経済情報小説。
  • 朱色の研究
    3.7
    “2年前の未解決殺人事件を再調査してほしい”臨床犯罪学者・火村英生が、過去のトラウマから毒々しいオレンジ色を恐怖する教え子・貴島朱美から突然の依頼を受けたのは、一面を朱で染めた研究室の夕焼け時だった――。さっそく火村は友人で推理作家の有栖川有栖とともに当時の関係者から事情を聴取しようとするが、その矢先、火村宛に新たな殺人を示唆する様な電話が入った……。現代のホームズ&ワトソンが解き明かす本格ミステリの金字塔。
  • 虚像淫楽 山田風太郎ベストコレクション
    4.0
    晩春の夜更け、聖ミカエル病院に瀕死の女性が担ぎこまれた。女はかつて病院で看護師を務めていた森弓子で、昇汞を呑んでしまったという。千明医学士は手当てを始めるが、弓子の肢体に数条のみみず脹れを発見する。直後、弓子の夫が同じく昇汞を呑んで自殺。夫婦に何が起こったのか? 刻一刻と弓子の様態が悪化する中、驚愕の真相が明らかになる……。(「虚像淫楽」)探偵作家クラブ賞受賞の表題作を含む初期ミステリー傑作選!
  • ヘーメラーの千里眼 完全版 下 クラシックシリーズ8
    4.3
    自らの精神鑑定を求める伊吹直哉だったが、アルタミラ精神衛生の周到な罠で美由紀との関係が崩れ始める。一方、伊吹の引き起こした過失事故被害者の許には、不可解な脅迫文書が届いた。この事件の意外な顛末はアルタミラと密輸船の驚くべき陰謀へと繋がってゆく。そして領海侵犯の真の狙いを見破った美由紀は、再びF15の操縦桿を握り日本海へと飛び立つ。愛と戦争のテーマに挑んだ感動巨編、クラシックシリーズ第8弾!
  • アルプスの少女ハイジ
    値引きあり
    4.3
     両親を失いながらも、太陽のように明るく人々の心を照らす少女ハイジ。アルプスの山小屋で孤独に暮らすおじいさんとの絆、ヤギ飼いのペーターやその家族とのふれあい、足の不自由な少女クララとの出会いと友情――。雄大な自然を背景に、深い喪失感を抱く人々が、ひとりの少女によって人間性を回復し再生していく、愛と感動の物語。  1880~81年に発表された『ハイジ』は、当初から大評判となり、いまも世界中で翻訳・劇化・映像化されている。日本でもアニメが大ヒットし、児童文学として多くの絵本や抄訳が出版されているが、原作は、家族の絆や地域社会との共生、エコロジーな暮らしへの回帰など現代的なテーマにあふれ、大人にこそ考えさせられることが多い本格的な文学作品である。  本書は、シュリンク『朗読者』の翻訳で数々の賞を受賞した、ドイツ文学者・松永美穂氏による渾身の完訳。
  • 空想の海
    NEW
    -
    “読む楽しさ”がぎゅっと詰まったカラフルな11の物語。奇想と探究の物語作家、デビュー10周年記念作品集。植物で覆われたその家には、使う言葉の異なる4人の子どもたちがいる。言葉が通じず、わかりあえず、でも同じ家で生きざるを得ない彼らに、ある事件が起きて――(「緑の子どもたち」)。大地に突如として小さな穴が開き、そこから無数の土塊が天へ昇ってゆく“土塊昇天現象”。その現象をめぐる哲学者・物理学者・天文学者たちの戦いの記録と到達(「空へ昇る」)など。ミステリ、児童文学、幻想ホラー、掌編小説……書き下ろし『この本を盗む者は』スピンオフ短編を含む、珠玉の全11編。
  • 駕籠屋春秋 一
    -
    「取次屋栄三」「剣客太平記」「居酒屋お夏」の大人気作家の新しい人情時代小説シリーズ誕生!
  • 幕末万博騒動
    -
    17歳の朝は、米利堅(メリケン)人通詞と日本人の遊女の間に生まれた子だ。ひょんな事から蔵前の墨長屋敷へ住み、常に洋装である。口入屋から通詞の仕事を紹介され、品川宿へ向かった。依頼主の仏蘭西の商人と話していると、1867年に開催されるパリ万博に、江戸幕府の他に薩摩藩も出るという噂を耳にする。万博参加は、国でないと出られないはずなのに、なぜ薩摩藩が…? 不思議に思いながらも長屋に戻った朝は、墨長屋敷にパリ万博の審査にて、闇組織「一目連」が参加するのを阻止すべしと、「仕組み」の依頼が入ったことを知る。出品物の「長益の茶碗」を巡る騒動のなか、朝は白と呼ばれる人物の協力を得て、佐賀の唐物屋(とうぶつや)に近づく。異国が日本に求めるものとは何か――日本初参加(!?)の万博の裏側を、朝の見た景色と共に描き出す!
  • 埼玉おいしい出張レシピ
    3.8
    1巻880円 (税込)
    26歳の春、根岸は6年間勤めていた料理店を辞めた。長年お世話になったオーナー夫妻と板長、そして同僚たち。その全員の顔を根岸は未だに覚えられない。人の顔を認識できない脳機能障害の一種、相貌失認を抱える根岸は、もっと自分に向いている働き方を探し続けていた。そんな根岸が次の道として選んだのは「出張料理人」。出張料理人は依頼人の元へ出向いて料理をするため、不特定多数の客を迎える機会はなくなるからだ。幸運にも埼玉・与野でぴったりな物件にめぐり逢い、新しいスタートを切った根岸。そんな根岸の元へ、結婚記念日のサプライズメニューのオーダーが入る。張り切る根岸だったが、物件が地元で愛された名店の跡地だったことから、その名店の跡継ぎだと誤解されていて――。依頼人の心に寄り添いながら供されるおいしい料理たちと、駆け出し出張料理人の奮闘記!
  • 仮装身分捜査官 一条汐莉 アンダーカバー・プライド
    3.5
    神奈川県内で偽基地局によるスマートフォンの乗っ取り事件が相次いでいた。乗っ取られたのが《ACOB》社の端末のみだったことから、同社の子会社になんらかの関与が疑われた。県警の初の特別捜査員に任命された一条汐莉は、「仮装身分捜査官」として、子会社の《ルミエール》に潜入することになる。だが、身分を偽り、捜査を開始する汐莉に、思わぬ魔手が忍び寄る──。危険な捜査に挑む女性捜査官を描く、書き下ろし。
  • 京町家のいたわりご飯
    -
    広告代理店で働く立花千暁は失恋の傷から、人と深く関わることなく仕事に打ち込んでいた。体も心もボロボロの中、夜道で京町家の居酒屋を見つける。そこにいたのは、料理好きの酒呑童子・鬼束錦だった。定食で一息つく立花に、錦は禁酒ストレスを和らげるためのあるお願いをする。お店に通ううち、弱った心を見透かすような温かな錦の料理に救われ、頑なだった気持ちも変わってゆく――。美味しくて前向きになるほっこり物語。
  • 文庫版 近畿地方のある場所について
    3.9
    1巻880円 (税込)
    私、小澤雄也は本書の編集を手掛けた人間だ。 収録されているテキストは、様々な媒体から抜粋したものであり、 その全てが「近畿地方のある場所」に関連している。 なぜこのようなものを発表するに至ったのか。 その背景には、私の極私的な事情が絡んでいる。 それをどうかあなたに語らせてほしい。 私はある人物を探している。 その人物についての情報をお持ちの方はご連絡をいただけないだろうか。 ※単行本とは内容が異なります。ご了承ください。
  • 風の忍び 一、風魔の六代目
    -
    徳川家康との約定により、影で江戸の鎮護を任される風間家。その実態は風魔一族を率いながら、無役の小普請組だった。だが平穏な江戸を打ち破る者が現れた。風間六代目の伊織が、江戸を護るために動き出す!
  • リーガル・ピース! その和解、請け負います
    3.8
    裁判せずにあなたのトラブル、解決します――。 上司の収賄疑惑が原因で退職に追い込まれた明日花は、“和解の達人”と呼ばれる弁護士・津原と出会う。終始薄い笑みを絶やさず掴みどころのない彼の周りには、一流の専門知識を持ちつつもクセが強すぎる仲間が集まっていた。賄賂の真相を知るため津原に依頼した明日花だが、個性的な仲間も巻き込み事件は思わぬ展開に……。 「それってどっちが正しいの?」「世の中、白か黒かじゃない。グレーな答えが人を幸せにすることもある」。最強チームが織りなす、新感覚のリーガル・エンターテインメント開幕!
  • ご利益ごはん
    3.3
    「全員皆殺しっ」。物騒な言葉を吐きながら毎朝起床する前田早智子は48歳。中高生3児を抱え、日々の家事に追われる毎日だ。ある日、見かねた姉から三嶋大社へ行こうと誘われる。信仰心を持たない早智子も、日々の愚痴を神様に盛大に打ち明けてすっきり。その後に食べたうなぎのおいしいことといったら。反抗期の子ども達、夫の浮気、親の介護問題……休まらないアラフィフの日常を生き抜くコツ、ここに詰まってます。
  • 幸せおいしいもの便、お届けします
    3.8
    1巻880円 (税込)
    おいしいもの便――それは、ローカルな食べ物を送り合う幸せな宅配便。ドラマのファンサイトに集うネット仲間は、住む場所も世代もさまざまだ。推し活が命の秋田在住のネイリスト。同期の故郷・長崎で恋愛抜きの共同生活をする女性エンジニア。広島での母との同居を機に、卒婚を言い渡された元TVプロデューサー。息苦しさを抱える人々が別の土地のおいしいものを通じて、自分と向き合っていく。人生が愛おしくなる温かい物語。
  • 濱地健三郎の呪える事件簿
    4.7
    JR新宿南口に「濱地探偵事務所」はある。年齢不詳でダンディ、美術品への造詣が深い探偵は、幽霊を視る能力を持っている。幼いころ漫画家になりたかったという助手の志摩ユリエは、その絵心を生かして、心霊探偵が視たモノを絵に描きとめるのも大切な仕事だ。ここには、奇妙な現象に悩まされる依頼人だけでなく、警視庁捜査一課の辣腕警部も秘密裡に足を運び、濱地の推理を頼みにしているのだ。リモート飲み会で現れた、他の人には視えない「小さな手」の正体。廃屋で手招きする「頭と手首のない霊」の姿に隠された真実。濱地と助手のコンビが、コロナ禍で一変した日常に潜む怪異と6つの驚くべき謎を解き明かしていく。
  • 虚魚
    3.7
    怪談師を生業としている三咲は、訳あって“本当に人が死ぬ”怪談を探している。相棒は「呪いか祟りで死にたい」というカナちゃんだ。新たな怪談が見つかると、死ねるかどうか確かめてくれる。 ある日、カナちゃんが「釣ると死ぬ魚」の噂を聞きつける。静岡県のある川の河口付近で見たこともない魚を釣った人が、数日のうちに死んでしまったというのだ。類似する怪談を知らなかった三咲は、噂の発生源を辿って取材を始める。すると、その川沿いには不思議なほどに怪談の舞台が集まっていることが分かってきた。これは偶然か、それとも狗竜川には怪異の原因が隠されているのだろうか。 自分が生涯追い求めてきた“本物”の怪談の気配を感じ、三咲は調査にのめりこんでいく。しかし、うまくいくということは、カナちゃんが死んでしまうということだ。自分はそれを望んでいるのだろうか――? 解説:小野不由美
  • 宿罪 二係捜査(1)
    4.0
    1~6巻880~902円 (税込)
    村山署刑事課長の香田は、水谷巡査の葬儀で、心残りだった事件の再捜査を決意する。その事件は、彼女が更生させた一人の少女の謎の失踪事件。香田は「遺体なき殺人」を追う信楽刑事に協力を要請する。
  • 罪びとの手
    3.0
    川崎区の廃ビルで発見された身許不明の中年男性の遺体。 事件性なしと判断されるが、刑事の滝沢圭は死亡推定日時と遺品の壊れた腕時計が示す日付とのズレに事件性を疑っていた。 そんな中、遺体を引き取りに来た葬儀屋・御木本悠司が、これは自分の父親だと申し出る。 奇妙な偶然と遺体を目にした悠司が呟いた「殺したか」という言葉に疑念を抱いた滝沢は、独自に捜査を始めるが――疑惑と伏線が絡み合う社会派ミステリー!
  • オオルリ流星群
    4.3
    人生の折り返し地点を過ぎ、将来に漠然とした不安を抱える久志は、天文学者になった同級生・慧子の帰郷の知らせを聞く。手作りで天文台を建てるという彼女の計画に、高校3年の夏、ともに巨大タペストリーを作ったメンバーが集まった。ここにいるはずだったあと1人をのぞいて――。仲間が抱えていた切ない秘密を知ったとき、止まっていた青春が再び動き出す。 喪失の痛みとともに明日への一歩を踏み出す、あたたかな再生の物語。
  • 小説 劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』
    3.6
    ゲーム累計2000万DL超え!アニメや音楽、コミカライズなど様々なジャンルで展開中のクロスメディアコンテンツ『ウマ娘 プリティーダービー』。 大人気『ウマ娘』から、劇場版ノベライズが登場! 「最強は、俺だ」――<トゥインクル・シリーズ>でのフジキセキの走りに衝撃を受け、レースの世界に飛び込んだジャングルポケット。トレーナーとともにデビューを果たしたジャングルポケットは、一生に一度しか走れない栄誉あるクラシック三冠レースに挑む。しかしそこに立ちふさがったのはアグネスタキオンやマンハッタンカフェといった同世代のライバルたちだった。新時代の扉を開く熱き戦いが、いま始まる――。 (c)2024 劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」製作委員会 (c)Kiyoko Yoshimura 2024 ※吉村清子さんの「吉」は、正しくは「つちよし」です。

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  • ウクライナにいたら戦争が始まった
    4.2
    単身赴任中の父と3か月を過ごすため、高校生の瀬里琉唯は母・妹とともにウクライナに来た。初日の夜から両親は口論を始め、琉唯は見知らぬ国で不安を抱えていた。キエフ郊外の町にある外国人学校にも慣れてきたころロシアによる侵攻が近いとのニュースが流れ、一家は慌ただしく帰国の準備を始める。しかし新型コロナウイルスの影響で一家は自宅から出ることができない。帰国の方法を探るものの情報が足りず、遠くから響く爆撃の音に不安と緊張が高まる。一瞬にして戦場と化したブチャの町で、琉唯は戦争の実態を目の当たりにする。
  • 神祇庁の陰陽師・凪の事件帖 魔が差したら鬼になります
    5.0
    数ヶ月前から『罪を犯す夢』を見るようになってしまった青年、嵐士(あらし)。彼はあるとき、近所の公園で女性を殺す生々しい夢を見た。彼は慌ててその公園に行くと、はたしてそこには既視感のある女性が死んでいた――。事情聴取が始まり、きつい尋問を受ける嵐士。ところがその時、世にも綺麗な男が取調室に現われ、さっそうと嵐士の身柄を引き取っていったのだが、その男に連れて行かれた場所は――処刑場だった。その男・凪(なぎ)は『魔』を回収する陰陽師だという。「人はよく『魔が差した』と言うだろう? 僕の仕事はその魔を回収する仕事だ。魔が差した人が『鬼』になってしまう前に」。『罪を犯す夢』と『魔、鬼』の関係は? 不思議な陰陽師・凪が事件の謎を追う。ミステリ&ファンタジー!
  • 武士とジェントルマン
    4.1
    大学講師として来日した英国紳士アンソニーを出迎えたのは、現代の若きサムライ・隼人だった! 新たな武士制度のもとで和装に髷で暮らし、自分を「それがし」と呼ぶ隼人は、地域奉仕に熱心でご近所の人気者。けれどアンソニーは、隼人のあまりにも献身的な生き方にどこか危うさを感じていて――。 武士道とは? 自分らしさとは? 文化の違うふたりの交流が価値観を揺さぶる、武士とジェントルマンのハートフル同居物語。
  • 鉄道旅へ行ってきます
    4.0
    「鉄道愛の方向性は人それぞれではありますが、三者三様の愛の形が混ざり合うことによって、よく知っている人と行く時には味わうことができない、オリジナルな旅ができてきたのです」(酒井順子氏)。 鉄道の旅はいつも楽しい。東武特急スペーシア&わたらせ渓谷鐵道、磐越東線、八高線&秩父鉄道SL急行パレオエクスプレス、北陸駅そば五番勝負! 北陸本線、「名駅」「変駅」「絶景駅」を訪ねて 名古屋鉄道&東海交通事業ほか、冬の日本海 雪と演歌と絶景の旅 五能線など。男性二人+女性一人という珍しい組み合わせでの鉄道旅。文庫版スペシャル旅として「銚子鉄道で行く、美味な日帰り旅」企画を加えた充実の一冊。ローカル列車と美味しいもの。旅のお供に、ガイドに!
  • 山亭ミアキス
    3.5
    日常から逃げ出したいあなたへ―― 心に悩みを抱える人が迷い込む、森の中の不思議な宿「山亭ミアキス」。超絶美形のオーナーに不思議な従業員、ロビーでは暖炉が赤々と燃え、食事は絶品のアイルランド料理。しかし、泊まると間違いなく酷い目に遭わされる。ブラック部活に疲弊する少年、マタハラに悩む女性など、今日も救いを求める者がたどり着く。人をたぶらかす、謎めいた彼らの正体と目的とは――? 「マカン・マラン」シリーズの著者が描く、愛と涙の物語。
  • 鉄道無常 内田百けんと宮脇俊三を読む
    3.5
    鉄道は楽しい。 そして、鉄道は哀しい。 「なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う」内田百けん 「鉄道の『時刻表』にも、愛読者がいる」宮脇俊三 日本において鉄道紀行というジャンルを示した内田百けん。「なんにも用事がない」のに百けんが汽車で大阪に行っていた頃、普通の人にとって鉄道は、何かの用事を果たすために乗るものでした。それから四半世紀後、異なるアプローチでそのジャンルを背負った宮脇俊三。彼は、時刻表を小説のように愛読していたことを『時刻表2万キロ』で告白しています。鉄道や紀行文学の歴史とともに二人の足跡をたどる1冊です。
  • 縁結び代官 寺西封元
    4.4
    幕府御徒組頭の寺西封元は、突然、老中首座の松平定信に呼び出された。ただごとではないと、不安を胸に定信の元へ向かうと、封元は驚くべきことを命じられる。陸奥国白川郡塙の代官になれというのだ。そこは、飢饉で困窮し、民が逃げ出しているという。定信からの信頼に応えるため、封元は代官を引き受けるが、塙の地は赤子が捨てられる絶望の地だった──。苦しむ民のために自らの半生を捧げた、名代官の知られざる感動の物語。
  • となりのナースエイド
    3.8
    新人ナースエイドの澪は、技術至上主義の天才外科医・竜崎と時にぶつかりながら、患者の心を癒していく。しかし彼女がナースエイドを志すきっかけとなった半年前の事件は、まだ終わっていなかった――。
  • 盤上に君はもういない【電子特典付き】
    4.3
    1巻880円 (税込)
    史上初となる女性棋士の座を賭けた対局が決定した。運命の一戦に臨むのは、将棋の名門一家で育った天才高校生・諏訪飛鳥と、体が弱くプロになるための年齢制限が迫る千桜夕妃。激闘の末に決まった勝者はしかし、デビュー戦を前に姿を消した。観戦記者の佐竹亜弓は彼女の行方を追うが……。 「もう一度、あなたと指したい」。互いに切磋琢磨する若き棋士たちの熱い戦いと、将棋で結ばれる絆に胸を打たれる、愛と情熱の物語。 ※電子書籍版特典として、ショートストーリー「序幕 彼女と彼の原初的邂逅」を収録しています。
  • 化け者心中
    3.9
    ときは文政、ところは江戸。ある夜、中村座の座元と狂言作者、6人の役者が次の芝居の前読みに集まった。その最中、車座になった輪の真ん中に生首が転がり落ちる。しかし役者の数は変わらず、鬼が誰かを喰い殺して成り代わっているのは間違いない。一体誰が鬼なのか。かつて一世を風靡した元女形の魚之助と鳥屋を商う藤九郎は、座元に請われて鬼探しに乗り出す――。第27回中山義秀文学賞をはじめ文学賞三冠の特大デビュー作!
  • 事件持ち
    5.0
    千葉県下で猟奇連続殺人事件が発生。絞殺された被害者は、いずれも手指を切断されていた。入社2年目の訪日新聞記者・永尾哲平は、取材で訪問した近隣住民・魚住優に不審感を覚える。一方、捜査一課の津崎庸介も魚住が被害者と同級生だったと知り捜査を進めるが、魚住は失踪。手がかりを掴めない県警は、訪日新聞にある取引を持ち掛けるが……。警察と報道。交錯する2つの使命を、圧倒的なリアリティで描き出す社会派ミステリ。
  • 大一揆
    4.0
    嘉永六年五月。圧政を強いる盛岡藩に抗して民百姓が立ち上がった。彼らを導いた首謀者の一人、三浦命助は、一揆に初めて参加したにもかかわらず数々の策を練って武士を翻弄。藩政への怒り、騒ぎに乗じた憂さ晴らし、取るものもとりあえず――膨れ上がる群衆をも巧みにまとめあげた。時を同じくして浦賀に異国船が渡来する。そのことが交渉の行方にも影響して……。果たして、一揆衆の要求は通るのか? 時代の流れに翻弄される百姓たちのドラマを描く、熱き歴史長編!
  • 女だてら
    3.5
    文政11年、漢詩人・原古処の娘であるみちは、若侍に姿を変えた。昨年、秋月黒田家の嫡子が急死し、福岡の黒田本家の専横に対抗できる人物を立てるべく、京、そして江戸へと向かう密命をおびたためだ。女であることをひた隠しにしながら任務に邁進するみちに、兄の友人・石上玖左衛門という心強い旅の道連れができる。だが酒を酌みかわし、心を通わせていく一方で、みちは、彼にも秘密があるのではないかと疑心暗鬼に囚われる。不気味な追っ手の影、錯綜する思惑、巨大な陰謀―聡明なみちは得意の変装術と機転で、危機を切り抜けていくが…。実在した漢詩人・原采蘋の数奇な半生と、秋月黒田家お家騒動の驚きの内幕をスリリングに描いた、圧巻の歴史ミステリー。
  • GEQ 大地震
    3.9
    1995年1月17日、兵庫県一帯を襲った阪神淡路大震災。死者6347名を出したこの未曾有の大地震には、数々の不審な点があった……『下山事件』『TENGU』の著者が大震災の謎に挑む長編ミステリー。
  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い
    3.7
    どこかに、強い敵はおらんものかな――。平安時代、栄華を極める一門に産まれた藤原隆家は、公卿に似合わぬ荒ぶる心を抱えていた。朝廷で演じられる激しい権力闘争のさなか、安倍晴明と出会った隆家は、国を脅かす強敵が現れることを予言される。やがて花山院と対立し、九州に下向した隆家が直面したのは、熾烈を極める異民族の襲来だった。荒くれ者公卿は、世の安寧を守り抜くことができるのか。血湧き肉躍る戦記ロマン!
  • 幽霊鉄仮面
    3.0
    重役室にいる折井の耳には、奇妙な口笛が聞こえてきた。不思議に思い窓を開け、身を乗り出した彼はなんと胸をナイフで刺されて殺害された! 同僚を殺害された三津木俊助は怒りもあらわに復讐を誓った……。
  • 真珠塔・獣人魔島
    -
    翼から鬼火のような青白い光を放ち、夜空に舞う無気味な金色のコウモリ。探偵小僧の御子柴進少年は、金コウモリが自動車の中から銃を発砲し、女性を殺害する現場を目撃した。三津木俊助とともに事件の調査を行う進少年のもとに、催眠術を駆使する金コウモリの魔の手が迫る……(「真珠塔」)。刑務所を脱走した悪党を追いかけた先で、脳の移植手術が秘密裏に研究されている骸骨島を見つける進少年の冒険劇「獣人魔島」を併録。
  • 魔女たちは眠りを守る
    4.1
    魔女はすべてを覚えている。 ひとの子がすべてを忘れても。どこか遠い空の彼方へ、魂が去って行こうとも。 そして地上で魔女たちは、懐かしい夢を見る。記憶を抱いて、生きてゆく。 その街は古い港町。 桜の花びらが舞う季節に、若い魔女の娘が帰ってきた。 赤毛の長い髪をなびかせ、かたわらに金色の瞳をした使い魔の黒猫を連れて。 名前は、七竈・マリー・七瀬。 目指すは、ひとの子たちが「魔女の家」と呼ぶ、銀髪の美しい魔女二コラのカフェバー。 懸命に生きて、死んでゆくひとの子と、長い時を生きる魔女たちの出会いと別れの物語。 ――― 魔女たちの物語は、物語の形を借りた、わたし自身の想いであり、言葉でもあったのだろう、といまになって、気づいています。 何の力も持たず、歴史を変えられもしない、一本の糸に過ぎないわたしが、誰かのささやかな愛すべき日常に寄り添い祝福し、 不幸にして斃れたひとびとにさしのべたかった「腕」が、この物語だったのだろうと。 そう、わたしには魔法の力はなく、この物語もいつかは忘れ去られてゆくでしょう。 けれど、この物語にふれたどなたかが、ふと、これまで地上に生きてきた一本一本の糸に思いを馳せてくださるなら、 わたしの言葉はそのとき、魔法になるのだと思います。 村山早紀(「あとがき」より抜粋)
  • 屈折くん
    5.0
    国内外で高い評価を受ける唯一無二の怪奇派ロックバンド・人間椅子。長年バンドを牽引してきたフロントマンの和嶋慎治が、曲がりくねった人生を振り返った。下駄にモンペ姿でギターを背負った中学時代、初の自作曲「女なんて」を作曲した高校時代、人間椅子の結成、そして現在……。ロック界で異彩を放ち続ける“怪物”誕生の秘密を明かした、比類なき自伝エッセイ。みうらじゅん、じろう(シソンヌ)との特別対談も収録。
  • 老警
    3.6
    A県の小学校で起きた前代未聞の無差別大量殺人。犯行後、犯人の男は居合わせた警官から奪った拳銃で自殺する。現役警官である男の父もまた、直後に自死。県警本部は混乱の坩堝【るつぼ】と化した。謎多きこの事件の解明に乗り出したキャリア女警の由香里は、捜査の末、驚きの真実を見つける。ベテラン警察官達の矜持と保身、組織の理不尽と世間の無情、引きこもりとその家族の実情――数々の問題提起を孕んだ社会派警察ミステリー。
  • スワン
    4.2
    ショッピングモール「スワン」で無差別銃撃事件が発生した。死傷者40名に迫る大惨事を生き延びた高校生のいずみは、同じ事件の被害者で同級生の小梢から、保身のために人質を見捨てたことを暴露される。被害者から一転して非難の的になったいずみのもとに、ある日一通の招待状が届いた。5人の事件関係者が集められた「お茶会」の目的は、残された謎の解明だというが……。文学賞2冠を果たした、慟哭必至のミステリ。
  • 遺産相続を放棄します
    4.4
    室町時代から続く名家・榊原家。当主の道山が亡くなり、家の古い習わしから孫の俊彦に多額の遺産が相続されるはずだった。しかし俊彦はその権利を放棄。なんとか夫を翻意させようとする妻の景子だったが首尾よくいかず、そればかりか謀略の果てに義姉を死なせてしまう。ところが放置した死体が忽然と消えてしまい――。死体を隠したXは誰か。真相は闇に葬られてしまうのか。それとも……。遺産相続をめぐる本格ミステリ!
  • 私は幽霊を見ない
    3.9
    私は幽霊を見ない。見たことがない。さらに目が悪い。心眼でも見えないし、知覚する脳の器官も機能しない……。だけどいつでもどこでも怖がっている筋金入りの怖がりだ。そんな著者は怪談専門誌で怪談実話を連載することに。そこで小学校時代からの恐怖体験を紹介。築百二十年の小学校の女子トイレには、“四時ばばあなる老怪女”や“病院で死んだ三つ子の霊”が出現すること。大学時代の友人たちから怖い話を聞き取りしたこと。友達の友達のお姉さんがイギリスのホテルで胸苦しくて目覚めると、金髪の白人女性がなにかをまくしたてながら首を絞めてきた話や、所属していたカメラクラブの部室の廊下を首のない女が走るという話などを思い出す。芥川賞を受賞し、上京した際には、編集者や出会った人たちからの聞き取りを怠らなかった。タクシー運転手が背負った自殺者の霊の話、マン島で見た妖精のような小さい人と目が合うとウインクしてどこかへ消えた話、自分が殺される夢を見たその夜に殺人事件が起こった話、深夜誰もいないトイレで鳴らされたナースコールなど。心霊体験をしたいがために、徳島県の廃墟ホテル訪問したり、レジデンスで訪れたアメリカで出ると言われているホテルに泊まったが幽霊には出会えず。幽霊には会えていないけれど、幽霊とは何かという問いの答えは知っている。“幽霊とは、生きているときに上げられなかった声”だ。私たちは誰であれ今でも、上げられない声を抱えながら生きているから、こんなにも幽霊を追い求めるのだろう。著者の幽霊探しの旅は続く。文庫化にあたり、書下ろし収録。【解説】朝吹真理子 【カバー絵】アンジェラ・ディーン
  • 自然農1年生 畑は私の魔法のじゅうたん
    3.6
    ある夜に覚えた孤独感に導かれ、たどり着いた自然農の世界。最初は野菜の葉の区別もつかずタネの撒き方もわからなかった。 日々、新しい発見と失敗を繰り返し、次第に豊かに育っていく野菜を眺めては、その味をかみしめ、思いは深くまた沈む。 必要があって自然に生まれるものはどんなことでも大変じゃない。ゆっくりやればやるほど、その途中にあるものがよく見える。 土を触りながら草を刈りながら実感した出来事の1年間の記録。
  • 水木先生とぼく
    5.0
    家の改築好き、大の美人好き、水木サン独自の漫画コマ割術など……アシスタントだからこそ知っている水木サンの知られざる素顔がここに! つげ義春、赤瀬川源平、南伸坊など後の著名人との親交や、妖怪ブーム到来までの秘話など、水木ファン垂涎のエピソードを収録。 生誕100周年記念出版の文庫化にあわせて、「怪」に連載した「アシスタントの日々 水木先生とぼく」と、「おまけの水木先生とぼく」を書下ろし! 巻末には単行本時収録した京極夏彦氏の寄稿を再録。
  • 朝鮮大学校物語
    4.4
    「ここは日本ではありません」全寮制、日本語禁止、無断外出厳禁。18歳のミヨンが飛びこんだ大学は高い塀の中だった。東京に実在するもうひとつの〈北朝鮮〉を舞台に描く、自由をめぐる物語。解説・岸政彦
  • 吸血蛾
    3.8
    木箱のふたをこじあけた瞬間、思わず縫い子たちは後ずさりした。箱の中には、乳房をえぐりとられ、その血だまりに一匹の蛾を浮かべた若い女の死体が……。服飾界の女王として君臨する美人デザイナー浅茅文代。だが、突然アトリエに死体入りの木箱が送り込まれたのを手始めに、彼女の大事な専属モデルたちが次々と殺されていった。犯人の目的は何か? そして、灰色ずくめの服装で暗躍する無気味な狼男とは何者? 全編にあふれる怪奇とロマン、横溝正史の傑作長編推理!
  • 北の詩人 新装版
    4.5
    第二次世界大戦後間もなくの朝鮮半島。詩人・林和は、かつて祖国を裏切り、日本警察の弾圧に屈服して日本帝国主義の植民地政策に加担したという暗い過去があった。その過去をアメリカ軍諜報機関は利用し、林和をスパイとして操ろうとする。謀略の罠に捕らわれていく林和。弾圧から逃れ北朝鮮に逃亡するも、朝鮮の北にも南にも理解されることはなく、ついにはアメリカのスパイとして軍事裁判で処刑されてしまう。イデオロギーと政治権力に押しつぶされ、現在でも南北の朝鮮文学史から完全に抹殺されている悲劇のプロレタリア詩人を描いたノンフィクション・ノベル。
  • 私立探偵・麻生龍太郎
    3.5
    警察を辞めた麻生龍太郎は、私立探偵として新たな道を歩み始めた。だが、彼の元には切実な依頼と事件が舞いこんでくる……名作『聖なる黒夜』の“その後”を描いた、心揺さぶる連作ミステリ!
  • 洛中洛外をゆく
    3.7
    人は美しく生きねばならない。義に生きる武士たちの清廉な生き様を描いた時代小説や、人生観揺るがす骨太の歴史小説で多くの読者を魅了し続けてきた作家・葉室麟。遺された作品の数々を紐解くことで、主人公に託した思いから、創作のなかでたどり着いた珠玉の人生観までを明らかにする。小説ゆかりの京都の名所案内を兼ねた、何度でも読み返したい一冊。澤田瞳子ほか、豪華対談とコラム「現代のことば」を書籍初収録!
  • 黄金列車
    3.6
    ※本書は、角川書店単行本『黄金列車』を加筆修正のうえ、文庫化した作品となります。重複購入にご注意ください。 ハンガリー王国大蔵省の職員・バログは、現場担当としてユダヤ人の資産を保護・退避させるべく「黄金列車」に乗り込む。財宝を狙い近づいてくる悪党らを相手に、文官の論理と交渉術で渡り合っていくが――。
  • 木曜日の子ども
    3.8
    7年前、旭ヶ丘の中学校で起きた、クラスメイト9人の無差別毒殺事件。結婚を機にその地に移った私は、妻の連れ子である14歳の晴彦との関係をうまく築けずにいた。晴彦は、犯人の上田祐太郎の面影があるらしい。上田が社会に復帰したこの夏、ある噂が流れる――世界の終わりを見せるため、ウエダサマが降臨した。やがて近所で飼い犬の変死、学校への脅迫が相次ぎ、私と晴彦の距離は縮まらないまま、再び「事件」が起きる。
  • ゴールデン街コーリング
    4.3
    1巻880円 (税込)
    「日本冒険小説協会公認酒場」と銘打ったバー〈マーロウ〉のアルバイト坂本は、本好きが集まるこの店でカウンターに立つ日々を送っていた。北海道の田舎から出てきた坂本にとって、古本屋街を歩き、マーロウで文芸談義できる毎日は充実感をもたらした。一方で、酒に酔った店主・斉藤顕の横暴な言動と酔客の自分勝手な振る舞いには我慢ならない想いも抱えていた。そんなある日、ゴールデン街で放火未遂事件が起こる。親しくしている店の常連「ナベさん」は放火取り締まりのため見回りを始めるが、その矢先、何者かに殺されてしまう。坂本は犯人捜しに立ち上がるが――。ゴールデン街がもっともゴールデン街らしかった時代の、ひりひりする空気を切り取った珠玉の長編!
  • 迷路の花嫁
    4.0
    かけ出しの小説家松原浩三は、ふとしたことからとてつもない恐ろしい事件に巻き込まれていった。暗い夜の町を散策していた彼は、偶然行き会った若い女の異常な様子に不審を抱き、後を追いかけた。だが、通りがかりの警官と共に、女が消えた路地へ踏み込んだ彼は戦慄した! 軒灯にヤモリが這うクモの巣だらけの無気味な家、そして縁側からまっ赤な猫の足跡が続き、血の海と化した座敷には、無数の切り傷から鮮血をしたたらす全裸の女の死体が……。横溝正史の傑作長編推理小説。
  • 日本アパッチ族【電子特典付き】
    4.4
    会社の上司の鼻をひっぱったために懲戒免職。さらに三か月以内に就職しなかったとして、失業罪で逮捕、追放の判決を受けた木田福一。 砲兵工廠跡地に追放された彼は、餓死寸前で野犬に食われそうになっていたところを、アパッチ族に助けられた。 赤銅色の肌を持ち、鉄を主食としているアパッチ族。木田は、彼らの一員となり、謎に包まれた生体と生き様について、記録していく。 初の長編にして最高傑作の呼び声高い記念碑的作品! ※電子書籍版特典として、1971年角川文庫刊行時の書影とイラストを収録!
  • ののはな通信
    4.1
    ののとはな。横浜の高校に通う2人の少女は、性格が正反対の親友同士。しかし、ののははなに友達以上の気持ちを抱いていた。幼い恋から始まる物語は、やがて大人となった2人の人生へと繋がって……。
  • 虚像のアラベスク
    4.0
    名門バレエ団に届いた脅迫状。そこには、公演を中止しなければ舞台上でとんでもないことが起こると記されていた。 警備にあたる海埜警部補は、臨席する海外要人の身の安全のため、芸術関連の事件を数多く解決した甥“芸術探偵”神泉寺瞬一郎に協力を仰ぎ万全の体制を整える。 だが、公演当日、海埜が見守る舞台上で、信じられない光景が繰り広げられる! 何もかもが前代未聞。誰もが騙される、幻惑必至のどんでん返しミステリ。
  • 因縁
    3.5
    妹の治療代のために犯罪に手を染めた葉山。成功したと思われた金塊強奪だが、直後に相棒の死体を発見。葉山は、消えた金塊の行方を追う中で、父親が犯した過去の犯罪の秘密を知っていくことになり……。
  • 監殺
    3.0
    優秀な警部が警察署内で首を吊った。闘病の末の自殺だという。背景にあったのは組織ぐるみの陰湿なパワハラだった。警察の罪を取り締まる目的で集められた異端児集団「監殺部隊SG班」は、悪徳上司たちに”処分”を下すため、秘密裏に動き始める……。出世レース、派閥争い、人間関係の軋轢――私怨と義憤が渦巻く中、声なき者の無念は晴らせるのか。組織で働くすべての人に贈る、元警察官による圧巻の復讐ドラマ!
  • 飼い喰い 三匹の豚とわたし
    4.5
    「記憶していた以上に凄い本だった。これは奇書中の奇書と言っていい」 解説の高野秀行氏も驚嘆!  前人未踏の養豚体験ルポルタージュ。 ロングセラーの名著『世界屠畜紀行』の著者による、もう一つの屠畜ルポの傑作。 生きものが肉になるまで、その全過程! 世界各地の屠畜現場を取材していく中で抱いた、どうしても「肉になる前」が知りたいという欲望。 養豚が盛んな千葉県旭市にひとりで家を借り、豚小屋を作り、品種の違う三匹の子豚を貰い名付け、約半年かけて育て上げ、屠畜し、食べる。 「畜産の基本は、動物をかわいがって育て、殺して食べる。これに尽きる」。 三匹との愛と葛藤と労働の日々に加え、現代の大規模畜産での豚の受精、出産から食卓にあがるまでの流れも併せて踏み込み、描いた前代未聞の養豚体験ルポルタージュ!  ※本書は2012年に岩波書店から出た単行本を加筆修正し、文庫化したものです。 【目次】 はじめに なぜ私は自ら豚を飼い、屠畜し、食べるに至ったか 見切り発車 三種の豚 システム化された交配・人工授精 分娩の現場で いざ廃墟の住人に 豚舎建設 お迎え前夜 そして豚がやって来た 日々是養豚 脱 走 餌の話 豚の呪い 豚と疾病 増量と逡巡と やっぱり、おまえを、喰べよう。 屠畜場へ 何もかもがバラバラに 畜産は儲かるのか 三頭の味 震災が あとがき 文庫版あとがき 解説 高野秀行
  • 砂の家
    3.4
    「お父さんが出所されました」大手企業で働く健人に、弁護士から突然の電話が。20年前、母と妹を刺し殺して逮捕された父。「殺人犯の息子」として絶望的な日々を送ってきた健人の前に、現れた父は――。
  • 本性
    3.7
    他人の家庭に入り込んでは攪乱し、強請った挙句に消える正体不明の女〈サトウミサキ〉。別の焼死事件を追っていた刑事の元に15年前の名刺が届き、刑事たちは過去を探り始め、ミサキに迫ってゆくが…。
  • 文庫版 妖怪の宴 妖怪の匣
    3.0
    誰もが知っている"妖怪"。この不思議な存在は、どのように人々の心に育まれたのだろうか。伝統文化、アニミズムから、特撮、オカルト、UMAに至るまで、さまざまな例を引きながら"妖怪"の真実に迫る!
  • 花髑髏
    3.9
    名探偵由利先生のもとに突然舞い込んだ差し出し人不明の手紙、それは恐ろしい殺人事件の予告だった。指定の場所へ急行した彼は、箱の裂目から鮮血を滴らせた黒塗りの大きな長持を目の当たりにするが……。
  • 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ
    4.3
    味噌、醤油、ヨーグルト、日本酒、ワインなど、世界中にある発酵食品。著者はあるきっかけで“発酵”に魅せられ、日本だけでなく世界各地に伝承された美味なる食品を求めて旅をした。発酵とは、見えない自然を捉え、ミクロの生物と関係を結び、暮らしの中に喜びを埋め込む。この総体が発酵文化であり、そのローカル文化を通して人類の不思議を解くのが「発酵文化人類学」。発酵には、オーガニック、美容、ライフスタイル、イノベーションへの発展の側面があり、単なる食品にとどまらず、人間にとっての未来の可能性があり、歴史・文化を見直すきっかけになる。発酵は、今、人類の未来を左右する最も注目を集めている分野のひとつと言える理由がそこにある。 著者は発酵のしくみや人間と微生物との関わりを学ぶ中で、発見した。発酵には未来と過去があり、“微生物と人間の共存”は社会を見直すキーワードそのものだということを。 生物学、哲学、芸術、文化人類学などの専門用語を平易に解説した待望の文庫化。参考文献満載。解説・橘ケンチ(EXILE)
  • 鹿の王 水底の橋
    4.4
    真那の姪を診るために恋人のミラルと清心教医術の発 祥の地・安房那領を訪れた天才医術師・ホッサル。しかし思いがけぬ成り行きから、東乎瑠帝国の次期皇帝を巡る争いに巻き込まれてしまい……!?
  • 文庫版 厭な小説
    3.8
    厭なのに、ページを捲らずにはいられない―― 「厭で厭で厭で堪らなくって、それでみんな逃げ出したんだ。会社から、人生から、日常から、人間から――」 職場と家庭の人間関係に苦悩する私の家に現れた、巨大な顔に山羊のような瞳を持つ子供らしきもの。 永遠の幸福をくれるというホテルで、安全な殺人を行うこととなったホームレスの男。 何故か僕が厭だと思うことだけを繰り返す、異常な彼女――。 あなたに擦り寄る戦慄と驚愕。世にも奇怪な、7つの物語。 解説・平山夢明 「京極夏彦が都会と現代を部品にして組み立てた妖怪譚なのではないか」
  • 龍探 特命探偵事務所ドラゴン・リサーチ
    4.0
    元敏腕刑事の遊佐龍太が営む探偵事務所「ドラゴン・リサーチ」。そこは、遊佐の腕を頼って警察の手に余るような厄介な依頼が持ち込まれる、特殊な探偵事務所だった。ヤクザからの美女AV監督の護衛、かつての極左過激派の”女神”を狙うストーカーの正体の調査……奇妙な依頼の背後に見え隠れする事件の影を追って、今日も遊佐は、依頼者兼相棒の少女たちや3人の元妻らと奔走する!
  • マシュマロ・ナイン
    3.8
    1巻880円 (税込)
    元プロ野球選手で今は高校の臨時教員として働く小尾は、校長の命令で相撲部員を転籍させて創った野球部の監督に就任する。人並み外れたパワーと食欲を持つ野球素人のマシュマロ系男子たちが甲子園を目指す!
  • ライオン・ブルー
    3.9
    関西某県の田舎町、獅子追町の交番に勤務する制服警官・長原が拳銃を持ったまま姿を消した。県警本部が捜査に乗り出すも、長原の行方は見つからない。同期の耀司は獅子追への異動を志願、真相を探ろうとする。やがて町のゴミ屋敷から出火し、家主の毛利が遺体で見つかった。事件性なしとされるが、数週間後、警ら中に発砲音を耳にした耀司はヤクザの金居の銃殺死体を目にする。さらに現場に落ちていた凶器が、長原の持ち去った拳銃だと判明し――。 怒濤の展開が待ち受ける、乱歩賞作家渾身の警察ミステリ。スピンオフ短編「蛇の作法」を特別収録。 ――第31回山本周五郎賞最終候補作
  • 不死蝶
    4.0
    「蝶が死んでも、翌年美しくよみがえるように、いつか帰ってきます」二十三年前、謎の言葉を残し、突然姿を消した一人の女。当時、鍾乳洞殺人事件の容疑者だった彼女は、成長した娘と共に疑いをはらすべく、今、因縁の地に戻ってきた。だが、その彼女の眼の前で、再び忌わしい殺人が起きた! 被害者の胸には、あの時と同じく、剣のように鋭い鍾乳石が……。迷路のように入り組んだ鍾乳洞で、続発する殺人事件の謎を追って、金田一耕助の名推理が冴える!
  • 死紋調査
    3.0
    児童館で働く万里が拾った1枚の不気味な絵。数時間後、その絵を描いた児童が電車にはねられ死亡する事故が発生する。その絵には、児童の「死」が描かれていたのだった……! 事態に慄然とした万里は児童画の研究を始めるが、息子の描く絵に、ある形を見つける。その形を描いた児童の周囲では、次々と死が訪れていた。それは「死」を表すパターンなのか? 息子を救うべく奔走する万里だったが――。警察小説の第一人者が描く、異色のサスペンスミステリ! ※本書は角川ホラー文庫『予知絵』を改題したものです。
  • 新装版 螺鈿迷宮【電子特典付き】
    3.9
    医療界を震撼させたバチスタ・スキャンダルから1年半。東城大学の落第医学生・天馬大吉はある日、幼なじみの記者・別宮葉子から奇妙な依頼を受けた。「碧翠院桜宮病院に潜入してほしい」。終末医療の先端施設として注目を集めるこの病院には、黒い噂が絶えなかったのだ。やがて潜入した天馬の前で、患者が次々と不自然な死を遂げる! 天馬、そして厚生労働省からの刺客・白鳥らが、秘された桜宮の闇に迫る。傑作医療ミステリ! ★豪華電子版特典付き! 【電子書籍・共通あとがき】 【著作解説】電子版あとがき『螺鈿迷宮』 【関連小文】1 「自作解説」 初出『ジェネラル・ルージュの伝説』 【関連小文】2 「ミステリー?」  【関連小文】3 「医学はミステリー」 付録1【海堂尊・全著作リスト】 付録2【作品相関図】 付録3【桜宮年表】 付録4【「桜宮サーガ」年代順リスト】 付録5【「桜宮サーガ」構造】 付録6【「海堂ラボ」登場人物リスト】 付録7【関連小文索引】
  • 破門
    4.2
    1~2巻880~1,012円 (税込)
    「わしのケジメは金や。あの爺には金で始末をつけさせる」 映画製作への出資金を持ち逃げされた、ヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮。失踪したプロデューサーを追い、桑原は邪魔なゴロツキを病院送りにするが、なんと相手は本家筋の構成員だった。禁忌を犯した桑原は、組同士の込みあいとなった修羅場で、生き残りを賭けた大勝負に出るが――。 第151回直木賞受賞作にして、エンターテインメント小説の最高峰「疫病神」シリーズ! 2016年12月刊行予定の、『破門』の続編『喧嘩』冒頭を収録した電子特別版!! ※本作品は 2016年11月24日まで販売しておりました単行本電子版『破門』の文庫電子版となります。 本編内容は単行本電子版と同じとなります。
  • どうで死ぬ身の一踊り
    4.4
    賛否両極の問題作! デビュー15年、第一創作集、3度目の復刊! 不遇に果てた大正期の私小説家・藤澤清造。その負の存在に心の支えを見出し“歿後弟子”を目指す男の捨て身の日々。“師”に明け暮れ墓守りを行い、資料探しに奔走して全集作りに注力する情熱は、自らの人生を完全に賭した、不屈で強靱な意志と同義のものであった。同人誌発表の処女作「墓前生活」、商業誌第一作の「一夜」を併録。現在に至るも極端な好悪、明確な賞賛と顰蹙を呼び続ける問題の第一創作集、3度目の復刊。
  • 総理に告ぐ 新橋署刑事課特別治安室〈NEO〉
    4.0
    ノンフィクションライターの小林は、脳梗塞で療養中の元与党幹事長・佐竹の回顧録のゴーストライターを引き受ける。売れないライターからの一発逆転を狙い、小林は過去のスキャンダルを告白させようと試みるが、国の行く末を憂う佐竹が語り出したのは、戦争のできる国家へと大きく舵を切る現総理大臣のスキャンダルだった。しかし、佐竹の告解が終わった刹那、公安警察が現れて乱闘になり、脳梗塞を再発した佐竹は死亡してしまう。佐竹の告白と乱闘の一部始終が録音されたレコーダーを手に、現場から命からがら逃げ出した小林は、旧知の警察官の助けを得て、マスコミを巻き込んだ大勝負に出るが――。
  • 虚実妖怪百物語 序
    3.9
    1~3巻880円 (税込)
    「目に見えないモノが、ニッポンから消えている!」妖怪専門誌『怪』のアルバイト榎木津平太郎は、水木しげる氏の叫びを聞いた。だが逆に日本中で妖怪が目撃され始める。魔人・加藤保憲らしき男も現れ……。
  • 丹夫人の化粧台 横溝正史怪奇探偵小説傑作選
    4.0
    美貌の丹夫人をめぐる決闘に敗れた初山は、「丹夫人の化粧台に気をつけろ」という言葉を残してこと切れる。勝者の高見は、丹夫人の化粧台の秘密を探り、恐るべき真相に辿り着き――。表題作他13篇を所収。
  • 熱き血の誇り(上)
    5.0
    1~2巻880円 (税込)
    製薬会社の秘書・麻矢は、「人殺しの会社」と受付に押しかけてきた男から、ある写真を預かる。それは病院で死亡した男の父親の解剖写真で、白濁した内臓が写っていた。麻矢の会社が開発した白い人工血液、フロロゾルが使われたことで父親は死んだというのだ。フロロゾルの存在を全く知らなかった麻矢は、写真を男に渡した元婦長鳥飼キヨ子を訪ねて静岡に向かう――。戦国時代の母子哀話、遠くスペインはカディスから逃れてきたフラメンコ歌手とギタリスト、輸血を禁じる謎の新興宗教、海岸の失踪事件。壮大な仕掛けが徐々に一つの線で繋がっていく、超エンタテインメント!
  • アノニマス・コール
    3.6
    3年前の事件が原因で警察を辞めた朝倉真志は、妻の奈緒美と離婚、娘の梓と別居し、自暴自棄な生活を送っていた。そんなある日、真志の携帯に無言電話がかかってくる。胸騒ぎがして真志が奈緒美に連絡すると、梓の行方がわからなくなっていた。やがて、娘の誘拐を告げる匿名の電話が奈緒美のもとにかかってきて、真志は過去の事件へと引き戻されていく。一方、真志を信じられない奈緒美は、娘を救うため独自に真相を探り始め――。誘拐犯の正体は? 過去の事件に隠された真実とは? 予想を裏切る展開の連続と、胸を熱くする感涙の結末。社会派ミステリの旗手による超弩級エンタテインメント! 作家生活10周年記念作品。
  • 豹変
    3.0
    世田谷の中学校で、三年生の佐田が同級性の石村を刺す事件が起きた。だが、取り調べで佐田は何かに取り憑かれたような言動と行動で警察署から忽然と消えてしまった──。※本作品は 2018年9月21日まで販売しておりました単行本電子版『豹変』の文庫電子版となります。 本編内容は単行本電子版と同じとなります。
  • 黒い紙
    3.2
    大手総合商社に届いた、謎の脅迫状。 犯人の要求は現金10億円。 巨大企業の命運はたった一枚の紙に委ねられた。 警察小説の旗手が放つ、企業謀略ミステリ!
  • 安楽死
    3.0
    警視庁に、奇妙な通報があった。 石廊崎で起きた女性ダイバーの溺死は、事故ではなく殺人であるという。 妻の裏切り以来、刑事としての情熱を失っていた鳴海は、特命を受け、大病院の看護師であった被害者の調査を開始する。 医療過誤、製薬会社との癒着、患者の自殺関与――。 病院内部の黒い疑惑を追うが、取り憑かれたように奔走する鳴海刑事に、強大な圧力がふりかかる。 人間の尊厳を問い、病院組織の暗部に切り込む社会派ミステリの傑作。
  • ザ・スパイ
    3.0
    「わたしの最大の罪は、男たちが動かしている世界にあって自由で自立した女だったということ」――。  1917年10月15日、パリ。第一次大戦下のフランスで、謎に包まれた一人の女性、マタ・ハリが、二重スパイの罪で銃殺刑となった。彼女は本当にスパイだったのか。  世界的ベストセラー作家が、多くの史料にあたりながら、その美貌と妖艶な踊りで多くの男たちを虜にした女性の、悲しくも激しい数奇な人生を描いた話題作。 【もくじ】 プロローグ 第 一 部 第 二 部 第 三 部 エピローグ 著者あとがき 訳者あとがき
  • 忍法双頭の鷲
    3.3
    延宝八年、徳川四代将軍家綱の死去と同時に、後継者をめぐって劇的な政変が起きた。新将軍には、若年寄堀田筑前守が擁立する綱吉が就任、それまで権勢を誇っていた大老酒井雅楽頭(うたのかみ)は失脚した。そして、それに伴い、公儀隠密の要職にあった伊賀組が解任され、替って根来(ねごろ)衆が登用されたのである。主命を受けた若き二人の根来忍者、秦漣四郎と吹矢城助は、隠密として初仕事に勇躍、江戸を後にした。だが、彼らの行く手には、復讐の怨念に燃える伊賀忍者たちの執拗な妨害が……。
  • ご機嫌な彼女たち
    3.7
    離婚に傷つき娘と暮らす寧、年下の恋人のいる万起子、娘が口を利かない美香。夫を癌で亡くした崇子の料理屋には、今日もバツイチ女性が集まる。結婚、出産、離婚、人生の転機に必要なものを探りながら。
  • ヒトラーの試写室
    4.3
    1935年、20歳の柴田彰は活動写真の俳優を夢見るが、大工の父親は猛反対し勘当されてしまった。家を飛び出しオーディションを受けるが箸にも棒にもかからずあえなく挫折。だが、人手不足だった日独合作映画「新しき土」の特殊撮影助手の仕事にありつく。主任の円谷英二の情熱に触れるうち彰も仕事にのめり込み映画は見事に完成。ベルリンにも運ばれ、映画で人心の掌握と扇動を狙っていたナチス宣伝大臣ゲッベルスの心に刻み込まれる。日本は41年、ついに太平洋戦争に突入。軍部の要請から戦意高揚をねらった映画「ハワイ・マレー海戦」が製作されることになり彰も特殊撮影で参加。この作品もベルリンに運ばれ、丁度イギリスの権威を失墜させる為に映画「タイタニック」を製作したが、どうしてもクライマックスの沈没シーンが上手く撮影できないことを悩んでいたゲッベルスが目をつけ、彰がドイツに招聘されることになる。環境の違いから撮影は苦戦。日本に残した妻子を想う柴田だったが、ベルリンは戦火に……。意外すぎる歴史秘話に基づく、一気読みと感動必至の傑作エンタメ小説。
  • 文庫版 妖怪の理 妖怪の檻
    3.6
    知っているようで、何だかよくわからない存在、妖怪。それはいつ、どうやってこの世に現れたのだろう。妖怪について深く愉しく考察し、ついに辿り着いた答えとは。全ての妖怪好きに贈る、画期的妖怪解体新書。 目 次 妖怪のことを考える前に 妖怪という言葉について 妖怪のなりたちについて 妖怪の形について 講義録 通俗的妖怪と近代的怪異 妖怪のことを考えているうちに
  • 英傑の日本史 西郷隆盛・維新編
    3.7
    下級藩士の家に生まれ、何度も島流しという不遇に遭いながら、なぜ西郷は藩内で重用され続け、維新のリーダーとなり得たのか。 その要因を薩摩国のユニークな風土、鎌倉以来の「名門中の名門」島津家の家風と歴史にまで遡りつつ解明。さらに日本の歴史教育が見落としている「朱子学中毒」という視点から、改革と弾圧とが繰り返された背景と西郷たちの苦闘の真相に迫る。 混沌とした歴史の点が線につながる、新たなる幕末維新史。 第一章 薩摩隼人のルーツ 第二章 名門・島津家の誕生 第三章 戦国大名・島津の台頭 第四章 家康が恐れた東アジア最強軍 第五章 琉球王国征服計画 第六章 亡国の朱子学 第七章「近思録崩れ」と「お由羅騒動」 第八章 島津斉彬と西郷隆盛の日本改革 第九章 奄美流罪と西郷待望論 第十章 大西郷の敬天愛人 第十一章 倒幕と最期の奉公 関連年表
  • 幻夏
    4.4
    1巻880円 (税込)
    「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」毎日が黄金に輝いていたあの夏、同級生に何が起こったのか――少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、現場で奇妙な印を発見し、23年前の苦い記憶を蘇らせる。台風一過の翌日、川岸にランドセルを置いたまま、親友だった同級生は消えた。流木に不思議な印を残して……。少年はどこに消えたのか? 印の意味は? やがて相馬の前に恐るべき罪が浮上してくる。司法の信を問う傑作ミステリー。日本推理作家協会賞候補作。
  • 中尉
    3.5
    現地民と歩兵の心の闇、緊迫する心理戦、知られざる真実――敗戦間近の英国領ビルマを舞台に、ペスト罹患者の封じ込めにやっきになる村に派遣されてきた日本人の中尉と、その警備にあたる軍曹の心理を描いた戦争小説。
  • 瞳の犬
    4.0
    夏の公園に虐待の傷を負い捨てられていた黒いラブラドールレトリーバー。介助犬訓練士の三崎達郎は、犬に運命的なものを感じテレサと名づけ介助犬として育て始めた。かつて母の死によって心の傷を抱える達郎はテレサに不思議な癒やしの力を感じたのだ。やがて、公園で出会った12年も口のきけなかった女性をテレサは治し、達郎はその瞳が起こす奇跡を目の当たりにする。 だが直後、テレサの飼い主だと名乗る男が現れ……。
  • 黙示録 上
    3.0
    1~2巻880~1,012円 (税込)
    1712年、琉球王に第13代尚敬王が即位した。国司の蔡温は国を繁栄させるため、王の身代わりとなる存在「月しろ」を探し始めた。一方、貧しさから盗みを働く蘇了泉は、王宮を追われた舞踊家・石羅吾に踊りの天賦の才を見出される。病気の母親を救うため、謝恩使の楽童子として江戸に上ることを決めた了泉。だが船中には、もうひとりの天才美少年・雲胡が同乗していた……。将軍に拝謁すべく、二人の舞踊家が鎬を削る!
  • 名刀月影伝
    3.0
    『天下に小烏丸はただひと振り』藩主松平定信の一言から、白河藩の山本助十郎と絵師の林幹之助は、平家ゆかりの宝剣小烏丸の真贋吟味を命じられる。ふた振りある小烏丸のいずれが真物なのか――。その後、定信が編纂する古宝物図録集『集古十種』に収録する刀剣の調査のために、上方入りした二人は、粟田口則国が奉納された八幡宮で放火事件に遭遇する――。三条宗近、正宗など世に名高い名刀の消息を訪ねる二人旅が始まる。
  • 天地雷動
    4.4
    知略と武力を駆使した壮絶な戦いと熱き人間ドラマ。 問答無用の本格合戦小説! 「武田信玄死す――」元亀4年、その噂が戦国の世を揺さぶった。父の悲願、天下掌握を果たすべく信長の追い落としを図る勝頼。生き残りを賭け謀略をめぐらせる家康。信長の命で大量の鉄砲調達に奔走する秀吉。そして兵として戦場を駆け回る地侍の宮下帯刀。男たちは長篠の地に集結し、死力を尽くした戦いに臨む。戦国の大転換点・長篠合戦と熱き人間ドラマを圧倒的臨場感で活写した、問答無用の本格合戦小説! <絶賛の声、続々!> 「この臨場感は何だ。歴史小説界を制する恐るべき合戦の<再現力>!」  ――縄田一男氏(文芸評論家) 「見事な歴史解釈と問いかけにより、物語も楽しめるし、歴史も楽しめる。一粒で二度おいしい作品」  ――本郷和人氏(歴史学者) 「武田家ものの決定版! 伊東潤ならではの史観を交えて描ききった戦国時代小説の新たな傑作」  ――東えりか氏(書評家)

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