シャーロック・ホームズシリーズ一作目。最初に知ったのは小学校の時の児童向けという当時の正しい小学生の読書体験で、学生の頃には完訳を読んだり、英国グラナダTV製作ジェレミー・ブレッドのドラマを見たりもしている。
でもやっぱり原作読むと違いますよね。
第一作目は名探偵シャーロック・ホームズと記載者ジョン・ワトスンの出会いから、実際に手掛けた密室での殺人事件解決の顛末へ。
アフガニスタン戦線で負傷した医学博士のジョン・ワトスンはイギリスで傷病休暇を過ごしていた。節約のためやすい下宿先を探していたら、知り合いからシャーロック・ホームズという人物が同居人を探していると紹介される。彼はワトスンをひと目見て経歴を言い当てるような鋭い面と、大学の科学実験室に籠もってよくわからん実験を行っている珍妙な面があった。それでも二人は割と気が合って、ベーカー街221Bで家賃折半の共同生活を始めることになった。
ワトスンは、ホームズは何者なのか?仕事は何だ?なぜ一目で人の身元を言い当てるのか?ホームズを訪ねてくる多種多様な人々は何者なのか?と疑問が浮かぶ。
ここで自分からは聞かないところがイギリス紳士なのかな。
ワトスンは新聞に載った「人生の書」という記事を見かける。内容は「観察力の鋭い人間なら、日常で目にする事柄を性格に系統立てて吟味して多くの知識を得ることができる」という内容だ。だがワトスンは「一滴の水からでも海や滝について推理できるように、人間も一つの小さい事柄から本質を探ることができる。そのためには研究を重ねて…」という内容に「なんだこりゃ!出鱈目じゃないか!椅子にふんぞり返って一滴の水から海を論じるって?」と反発する。それを聞いたホームズは「その記事は私が書いたんだよ」と笑う。そしてホームズは「私は犯罪捜査に興味があり、探偵をしているのだよ」と改めて自己紹介するのだった。
第一作目はホームズ紹介も兼ねているので、色々と変人ぶりが書かれます。そういえば「イギリス人紳士」というイメージの彼だけど、自分の趣味しか見えない麻薬中毒者でしたね・笑
ホームズは犯罪捜査に全てを掛けているので知識にも性格も大いに凸凹がある。なかなか驚いたのが「地動説を知らない」というところ。この時代は19世紀末のヴィクトリア朝時代なのだが、ヨーロッパで地動説は「紳士なら当然知っているが、知らない人がいても不思議ではない」くらいの認知度だったのか!
まあそんなホームズのところにスコットランド・ヤードのグレグスン刑事(と、ライバルのレストレード刑事)から殺人事件協力依頼があった。ホームズは早速ワトスンを連れて現場に向かう。そこは空き家で、身なりの良い男の死体が見つかったのだ。
この時代の警察捜査は読んでいてもかなりいい加減っていうか、いわゆる「現場保全」ってのが全く保たれていない。警察が泥足で殺人現場をどたどたと歩き回る・笑
そこをホームズは、警官の足跡とそれ以外を見抜いて、被害者と犯人が入ってきて、中で何が有り、どうやって出ていったのか、犯人の特徴はどんなものなのか、を見抜いていく。現在からすれば現地調査は当たり前なんだけど、ホームズは時代を先行く目線を持っていたんですね。
物語は二部構成で、一部は上記ワトスンとホームズの出会いから、殺人事件捜査に加わり、ホームズが鮮やかに解決するまでをロンドンを舞台に語られる。
そして後半第二部では北アメリカ内陸部の砂漠に舞台が移り、新天地を求めて放浪して死にかけている男と少女が、開拓のために移動中のモルモン教徒の集団に助けられるところから始まる。彼らはソルトレイクシティにモルモン教徒の街を建設する。
この第二部は、第一部の犯人の告白となっている。モルモン教の厳しい掟と、愛する女性を失った男の長い長い復讐の物語だ。
第二部の始まりは第一部より20年くらい前かな、それでも同じ時代なのだが、都会のロンドンと、地方で自分たちで開拓して自分たちの掟で暮らす人たちの差が見られます。そして私は子供の頃児童書版で読んで「モルモン教」にこの物語の印象を持ってしまっていたのですが、注意書きで「モルモン教に関しては事実と違うところがあります」との記載がありました。これ読んだだけだとかなり酷い組織だって思っちゃうもんね。
第一部はホームズの変わり者っぷり、事件と鮮やかな犯人逮捕!で楽しく読んで、第二部では犯人の自白という形で愛と復習の執念の半生を重厚な物語で読む。違った二つの物語が一つに繋がっていきます。