あらすじ
『最後の事件』と呼ばれるホームズとモリアーティの対決から5日後、
現場を訪れた2人の男――ピンカートン探偵社調査員のチェイスとスコットランド・ヤードのジョーンズ警部。
2人は情報交換の末、モリアーティへの接触を試みていたアメリカ裏社会の首領デヴァルーを共に追うことに。
ライヘンバッハ川から上がった死体が隠し持っていた奇妙な紙を手がかりに、捜査が始まる!
コナン・ドイル財団公認、再読必至のミステリ大作!
解説「期待に応え、予想を裏切る」有栖川有栖
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
アンソニー•ホロヴィッツ が書いた、シャーロック・ホームズ小説第二弾
コナン・ドイルへのリスペクトを感じるし、雰囲気も当時のままで、でも「え〜そういう事!」と言いたくなる様などんでん返しも有り、最後まで満足できる物語でした。
何重にも凄いな
匿名
ホームズもワトスンも不在なんてどうなるんだろう!?と読み始めた頃は驚いたし、思わずホームズ探しをしてしまいましたが、読んでいく内にすっかりストーリーに引き込まれていきました。悪手が多かったので怪しんではいましたが、まさか…。そこは変えないで欲しかった気もしますが、再戦もあるかもという期待もあったり。最後まで楽しませて貰いました。
Posted by ブクログ
フォロワーさんが本棚登録されているのを拝見して知った本です。ありがとうございます。
本作は、コナン・ドイル財団が初めて公認したホームズ譚の続編『シャーロック・ホームズ 絹の家』に続く第二弾で作者は同じくアンソニー・ホロヴィッツですが、前作の続きではありません。
『モリアーティ』というタイトルは、シャーロック・ホームズの宿敵の名前で有名だそうですが、私は今回初めて知りました。
「最後の事件」でホームズとモリアーティが滝壺に転落した(と思われる)直後、アメリカのピーンカートン探偵社のフレデリック・チェイスと、ロンドンから同じくやってきた、アセルニー・ジョーンズ警部が顔を合わせ、ジョーンズがホームズ役を、チェイスがワトスン役として物語は進んでいきます。
ジョーンズ警部は熱心なホームズの信者です。
そして、二人が追っていた少年の出入りしていた家から、家人全員の惨殺死体が発見されます。
一体、誰が、何のために。
その後も爆発事件や、ジョーンズ警部の娘の誘拐事件が起こりますが真相は最後の最後まで全くわかりません。
犯人の残忍さと狡猾さはまれにみるものだと思いました。見事に騙されました。
再読必至の意味も、最後にすべてわかります。
番外編で、ジョーンズ警部が登場する『三つのヴィクトリア女王象』の短編付きです。
Posted by ブクログ
ホロヴィッツのホームズのバスティーシュ。アメリカからピンカートンの探偵がとある犯罪者を追いかけ、イギリスにやって来た。その男はかのモリアーティと接触しようとしており、モリアーティが死んだときき遺体を確認すると、遺体の服装から暗号文を見つける。彼は同じく調査に来ていたスコットランドヤードの刑事と共同て調査を始める。
最後まて気づかなかったので、読んでいて衝撃を受けた。驚いたが後味は悪い。これを公認にしていいのかと思う。ホームズ本編はあまり読んでいないので、読んでいればもっと楽しめたのだと思うが、
十分楽しめた。
Posted by ブクログ
カササギ殺人事件を読んだあとにこの作品を知りました。
騙されたの一言。読んでてよくわからないところがあるな、と思ったのはそこに結びつくのか!と納得しました。
最後は割とショックですが、この後どうなるの?!と引き込まれるお話でした。
Posted by ブクログ
ホームズかモリアーティかどっちかがどっちかだろう、と思いながら読み進めてたんだけど、追い詰められたシーンでは、おや、第三者か!?と思わされた。
読みとしては当たってたし、その点では想定内だったけど、スリリングな展開で楽しめた
2023.1.15
9
Posted by ブクログ
終盤で意外な展開に驚いた。
そういうことだったのかと思ってしまい、騙されてしまった。
面白かったし、「絹の家」の前にモリアーティの方を先に読んだので、シャーロック・ホームズの小説も読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
読んでいて最初のうちは、なんで題名が「モリアーティ」なのかなぁ?なんて思っていたのですが、最後まで読んで納得。
ここ最近、たまたまこの手のミステリーを連続で読んでいたので、本の後半に近づくにつれ、真相をほんの少しだけ推察できて嬉しかったです!
ただ、どんでん返しのさらにどんでん返しを最後期待してしまったのですが、流石にそれは起きず。笑
個人手金は、前作(?)の「絹の家」よりこちらの方が楽しめました◎
Posted by ブクログ
アニメ『憂国のモリアーティ』を見て、『シャーロックホームズの冒険』を読んで、『モリアーティ』を読んだ。
話が頭に入ってきにくい場面がいくつかあった。
反対に面白い場面もいくつかあった。
この本では最初にシャーロック・ホームズとモリアーティが死んだところから話が始まる。2人は出てこないからタイトルと何も関係なくて読むのをやめようかと何回か思った。けど最後の最後で。。『え、』と言ってしまうほどに
読むのやめなくてよかった。
Posted by ブクログ
アンソニー・ホロヴィッツの描く有名ミステリーの登場人物を冠する小説がどんな話なのか。
まさに、その名の通りであった。散りばめられていた事柄に気づけず、最後の手前で「あっ」っとなったのは悔しい限りである。初登場ジョーンズ警部のような見落としの連続。
そして私はフェアではないと思います。表現が、フェアではない。
Posted by ブクログ
メインテーマは殺人の作者が、ホームズ史上の最強の敵役であるモリアーティを主人公にした一冊。最後の結末はイギリス宇風のウィットに富んでいて、秀逸。ホームズは登場しないが、ホームズシリーズのエピソードは随所に盛り込まれており、ホームズファンにはたまらない一冊。
Posted by ブクログ
ホロヴィッツは、初めて。スピード、バランス、密度、流れのスムーズさ、大きな構造と細部の相互関係、どれも揃っているという感想を持った。ホームズを読み返さなくてはなるまい。
Posted by ブクログ
いい意味で騙された
ホームズっぽいミステリを期待してなかったので
冒険活劇かつ、ご都合主義な場面もあるけど、なんだかんだと読み耽れる
多分ホームズ続編や番外などを期待してると拍子抜けするかと(それだと低評価にしてたかも
Posted by ブクログ
アンソニー・ホロヴィッツが描くコナン・ドイルの世界。コナン・ドイル財団公認。
物語は、シャーロック・ホームズとモリアーティがライヘンバッハの滝で行方不明になった「最後の事件」の直後から始まる。
アメリカの犯罪組織とモリアーティが手を組もうとしているという情報を追ってヨーロッパにやってきたアメリカの探偵社のフレデリック・チェイスと、スコットランド・ヤードの警部アセルニー・ジョーンズ(コナン・ドイルの小説「四つの署名」に登場している警部)が、ライヘンバッハの滝で出会い、モリアーティが手を組もうとしているアメリカ犯罪組織の正体を暴こうと奮闘する物語。
ホームズに心酔し、スマートな暗号解読や推理を披露するジョーンズ警部をホームズ役、アメリカ人探偵者の調査員チェイスがワトソン役(小説上の一人称)となって、事件を追っていくのだけれど、ようやく突き止めた証人や容疑者が次々に殺され、自分たちも命の危険にさらされる、手に汗握る展開は、まるで本物のコナン・ドイルの小説を読んでいるかのよう!
さて、ちょっと冷静になって、その小説を読んでいる私は、というと、直前に読んだ「カササギ殺人事件」と比べながら読んでいました。「カササギ殺人事件」は、アンソニー・ホロヴィッツが描くアガサ・クリスティーの世界。どっちの世界観が好きかと考えたら、アガサ・クリスティーの描く静かな世界のほうが好きかもなぁー、ホームズは好きだけど小説で読むとグロいんだよなぁー、なんて考えてました。
そんなわけで、「面白いんだけど、そもそもコナン・ドイルの小説のスタイルを私は好きなのかな?ホームズって変なやつ過ぎるよねぇ」と、ちょっと懐疑的な気持ちで読み進めていたんですが、最後の最後のどんでん返しで
「してやられたっ!」
と、ニヤニヤが止まらない状態に!
うわー、またこれ、最初から読み返さないといけないパターンではないですか!
途中、いろいろなキャラクターに疑いを向けてはいたんですが、そう来るとはっ。言われてみれば彼が一番怪しいですよね。うんうん。やられたわ。
そんなわけで、ミステリー好きで、ホームズとワトソンとモリアーティというキャラクターが大体わかっている人にはおすすめです。シャーロキアンから見た感想はどうなのかな?
私が、グロいシーンや、あまりにも痛すぎるシーンが好きではないので、最初の方が読み進まなかったぶんを差し引いて★4。でも、頑張って読んだだけの報酬はある小説でした。
Posted by ブクログ
題名はモリアーティ。始まりはあのライヘンバッハの滝。本の中で語り続けるのはフレデリック・チェイス。
いや いいんだけど、 モリアーティさんは??
ああ そういうこと!! 恐れ入りました。
Posted by ブクログ
ホームズが出てこないホームズ作品。ホームズの世界観の中での別作品くらいに思って読んだほうが楽しめるか。
ホームズ作品で言うところのワトソン役(物語の語り手)であるチェイスが実はモリアーティだった訳だが、叙述トリックとして、納得できない人も多いだろう。
帯より:
ホームズとモリアーティ教授の対決である「最後の事件」の5日後、その現場を、二人の男が訪れる――ピンカートン探偵社調査員のチェイスと、スコットランド・ヤードのジョーンズ警部だ。彼らは、情報交換の末、モリアーティ教授への接触を試みていたアメリカ裏社会の首領を共に追うことにする。
Posted by ブクログ
ホームズの物語に登場していたジョーンズ警部は、ワトソンによって語られていたほど間抜けではなく、熱心なホームズの信奉者で、ホームズ亡き後は、彼が乗り移ったかのように冴えた推理を披露している。モリアーティに代わりイギリスに勢力を伸ばそうとしている悪人デヴァルーを捕らえるため、イギリスに来たピンカートン探偵社のチェイスは、ジョーンズ警部と一緒にデヴァルーを追い詰めていく…という設定で物語は進みます。お約束のどんでん返しを楽しんでください!
Posted by ブクログ
イギリスの作家「アンソニー・ホロヴィッツ」の長篇ミステリ作品『モリアーティ(原題:Moriarty)』を読みました。
『シャーロック・ホームズ 絹の家』に続き、「アンソニー・ホロヴィッツ」の作品です。
-----story-------------
「コナン・ドイル」財団公認第二弾!
読み返したくなる衝撃的ミステリ!
「コナン・ドイル」財団が初めて公式作品認定をした八十数年ぶりの名探偵「シャーロック・ホームズ」新作『シャーロック・ホームズ 絹の家』に続く第二弾(とはいえ、前作の続きでは無く、独立した物語として楽しめる)。
「今、一番おもしろいミステリ作家」として名高い「アンソニー・ホロヴィッツ」が贈る再読必至のミステリ大作!
本作の書名『モリアーティ』とは、世紀の名探偵「ホームズ」に匹敵する知能を持った悪の権化であり、BBCのドラマ『シャーロック』等でも有名になった「ホームズ」の宿敵の名前(映画『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』の最後の最後にも登場)。
この邪悪な天才こそが裏で糸を引く形で、ロンドンで起こる犯罪の半分が発生していたのだ(第二短編集『シャーロック・ホームズの回想』内の『最後の事件』より)
一八九一年に起こった、「ホームズ」と「モリアーティ教授」の対決である『最後の事件』の5日後、その現場を、二人の男が訪れる――ピンカートン探偵社調査員の「チェイス」と、スコットランド・ヤードの「ジョーンズ警部」だ。
彼らは、情報交換の末、「モリアーティ教授」への接触を試みていたアメリカ裏社会の首領を共に追うことにする。
ライヘンバッハ川から上がった死体が隠し持っていた奇妙な紙を手がかりに、捜査が始まるが……めくるめく推理劇の果てに、かつてない衝撃の結末が訪れる!
解説「期待に応え、予想を裏切る」:「有栖川有栖」
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2014年(平成26年)に発表された「アンソニー・ホロヴィッツ」が描く、名探偵「シャーロック・ホームズ」シリーズの第2作… 「コナン・ドイル」財団にシリーズ第62作として公式作品認定された作品『モリアーティ』に短篇の『三つのヴィクトリア女王像』を加えた一冊です。
■1 ライヘンバッハの滝
■2 アセルニー・ジョーンズ警部
■3 ミッドナイト・ウォッチ
■4 手紙
■5 カフェ・ロワイヤルにて
■6 ブレイズトン・ハウス
■7 血と影
■8 スコットランド・ヤード
■9 〈ボストニアン〉
■10 チャンセリー・レーンのホーナー
■11 クラーケンウェルでの夕食
■12 外国
■13 三等書記官
■14 罠
■15 ブラックウォール・ベイスン
■16 逮捕
■17 デッドマンズ・ウォーク
■18 ミート・ラック
■19 光の復活
■20 外交特権
■21 真相
■22 続きから
―――
■三つのヴィクトリア女王像
―――
■訳者付記
■解説――期待に応え、予想を裏切る 有栖川有栖
『最後の事件』と呼ばれる「シャーロック・ホームズ」と「モリアーティ教授」の対決から5日後、現場を訪れた2人の男… ピンカートン探偵社調査員の「フレデリック・チェイス」とスコットランド・ヤードの「アセルニー・ジョーンズ警部」、、、
彼らは情報交換の末、「モリアーティ教授」への接触を試みていたアメリカ裏社会の首領「クラレンス・デヴァルー」を共に追うことに… ライヘンバッハ川から上がった死体が隠し持っていた奇妙な紙を手がかりに、捜査が始まる。
「モリアーティ教授」とその仲間たちが壊滅したイギリスを手中に入れようとする「デヴァルー」の一味… それを阻止せんとして、私立探偵「チェイス」と「ジョーンズ警部」は手を組む、、、
「シャーロック・ホームズ」の流儀に倣って推理を巡らす「ジョーンズ警部」は名探偵になり得るか? 「チェイス」は「ワトスン」役を務めるのか? あるいは……。
ピンカートン探偵社調査員「チェイス」の一人称の語り口で物語は展開… 「シャーロック・ホームズ」も「ワトスン」も、そして「モリアーティ教授」も登場しない!? 何だこの展開は!!!
と思っていたら、唐突に… まさかという場面で「チェイス」とともに事件を追っていたスコットランド・ヤードの「ジョーンズ警部」が殺され、そして驚愕の真相が……。
『最後の事件』の続きから始まっているとは言え、「ホームズ」も「ワトスン」も回想でしか登場せず、やや退屈だなぁ… と感じていたのですが、謎が解ける終盤は一気読みでしたね、、、
予想を裏切る… というか、予想不可能な展開で、スリル満載のミステリに仕上がっていましたねー 面白かったです。
「ワトスン」による短篇『三つのヴィクトリア女王像』は、安心して読める「ホームズ」譚に仕上がっており、これはこれで愉しめました… 是非、続篇を出してほしいですね。
以下、主な登場人物です。
「フレデリック・チェイス」
ピンカートン探偵社に所属する調査員
「アセルニー・ジョーンズ」
スコットランド・ヤードの警部
「クラレンス・デヴァルー」
アメリカ犯罪組織の首領
「リーランド・モートレイク」
デヴァルーの側近
「エドガー・モートレイク」
デヴァルーの側近
「スコッチー・ラヴェル」
デヴァルーの側近
「ジョナサン・ピルグリム」
チェイスの部下
「ロバート・リンカーン」
アメリカの特命全権公使
「コールマン・デヴリース」
アメリカ公使館の三等書記官
「ヘンリー・ホワイト」
アメリカ公使館の参事官
「チャールズ・アイシャム」
リンカーンの秘書
「エルスペス・ジョーンズ」
ジョーンズ警部の妻
「ベアトリス・ジョーンズ」
ジョーンズ警部の娘
「シャーロック・ホームズ」
ロンドンの諮問探偵
「ジェイムズ・モリアーティ」
イギリス犯罪組織の首領で、ホームズの宿敵
Posted by ブクログ
絹の家からの第2弾の作品というこです。
そもそも、なんで題名が「モリアーティ」なのか。モリアーティもホームズも冒頭で死んでるし登場しないではないか。なんて思いながら読んでましたが。。。
(最後にホームズの短編的なものがありました)
推理小説は最後の方に種明かしがありますが。なるほどそういうことか。
でもジョーンズ警部は可哀そうだよ。
Posted by ブクログ
残忍な事件だが、ホロヴィッツ独特の軽くてスピーディな展開が読みやすい。終盤、どんでん返しがあるが、好みは分かれるだろう。ホームズファンなら読む価値あり。
Posted by ブクログ
ホームズと宿敵モリアーティの「最後の事件」の後、アメリカ探偵とスコットランド・ヤードの警部の2名が米国裏社会の首領へ挑む!
少し長いかなぁ〜と思った頃にやってくるシリアスで躍動感のある展開!
終盤で『マジかよーー!』と裏切られた気分を感じるかもしれない。しかし、彼は常に読者に誠実だった。再読必至の大作ミステリ!
Posted by ブクログ
ミステリーものでは割とあるあるな感じの終わり方で「絹の家」や「カササギ殺人事件」と比べるとちょっと安直すぎるかな…?というのが読み終わった直後の感想。
所謂“探偵物“に対するアンチテーゼを描いたのかもしれない、と思うとこの結末にも納得できた。(映画「ファニーゲーム」のような…)
メインの二人がホームズとワトソンの代役として事件解決に奔走する過程はワクワクするし面白い。
Posted by ブクログ
「モリアーティ」(アンソニー・ホロヴィッツ:駒月雅子 訳)を読んだ。
タイトルに引かれたのと「絹の家」が素晴らしかったこともあって購入。
が、しかし、ホームズもワトソンも不在の物語ではそんなには盛り上がれなかったよ。
シャーロキアンであればニヤリとするところはあるんだろうけれど。
Posted by ブクログ
初めてアンソニーホロヴィッツの本で低めの評価。話は面白いが、ちょっと全体の作りに疑問。なーんだ、という感じで全体としての面白さに欠けると思う。むしろ最後におまけのように入っていた短編は秀逸。この短編だけでも、シャーロックホームズの新しい話に触れた気がした。
Posted by ブクログ
ホームズとモリアーティがライヘンバッハの滝で対決した直後、という設定で書かれた作品。ロンドンに乗り込んできたアメリカの悪党をめぐる事件を追う。
警部と探偵のコンビをホームズとワトソンに重ねながら、でもなぜタイトルがモリアーティなの、と不思議に思いつつ読み進めていたら、とんでもないことに。予備知識もなく読んだので、ショッキングな展開だった。
『絹の家』がおもしろかったので続けて手に取った本作、スコットランドヤードの警部たちが登場するなど本典に忠実な面もあるが、ホームズの世界を濃厚に再現した前作とはかなり趣が異なる。
個人的には、モリアーティは得体の知れない不気味な怖さのままのほうが好き。
Posted by ブクログ
ライヘンバッハの滝の事件が起きてから直ぐが物語の舞台。登場人物は原作の他の作品に出てきた人物を使うなど、ホームズがすごく好きな人が世界観を利用して書いた作品であり、ホームズファンとしては設定からワクワクできる。
ただ、読んでいる最中は結構面白いんだけど、終盤の切れ味が弱く読後感がイマイチという感じ。不満としては、モリアーティという人物が立ってない、という事につきると思う。もう少し魅力があったり、切れ味のある人物になっていれば、オチも違った展開になったと思う。付録の作品も同様で、設定や構成は良いんだけどオチの切れ味が弱い印象。本歌取りをしているのは分かるんだけど、本歌の方が切れ味が鋭いというか。
まぁ、本編も付録も読んでいて面白いし、進んでいる方向性や志は良いけど、諸手を挙げてオススメできない、そんな作品でした。同じ本歌取りなら、ドラマ版のシャーロックの方が好きですね。
Posted by ブクログ
解説で有栖川有栖氏も触れているが、いわば"やっつけ"で作られたキャラクターであるモリアーティを「こう肉付けしたか」というのが読後の最大印象。
「絹の家」や巻末に収められた掌編と違い、本編はいわゆるパスティーシュとは一線を画する。
ライヘンバッハの滝での戦いの後日談として、ヨーロッパとアメリカを股に掛けた犯罪組織の暗躍を軸に発展させた独自の物語と言える。
もちろん時代背景を始め、正典のいくつかから引いてきたモチーフ等に、"ホームズものらしさ"は感じられるけれど。
娯楽小説を書く作家としては無論、優れた技術を持っているのは確かなので、今作も面白く最後まで読むことはできるが、そこそこの長編にも拘わらず、結末ですべての伏線がきれいに回収される、ということはなく、形が微妙に合わない枠に何かの物体を力づくで押し込めたような、そんな纏め方に感じられた。
"隣の部屋で咳込む男"は一体何だったのか?