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鬼談百景
学校の七不思議にまつわる怪談やマンションの部屋で聞こえる不自然な音、真夜中に出るという噂の廃病院で見た白い人影、何度しまってもいつの間にか美術室に置かれている曰くつきの白い画布……。小野不由美が初めて手掛けた百物語。文芸評論家・千街晶之氏は「この世のあちこちに人知れず潜んでいる怪異が、不意にその姿を顕す。日常があり得ざる世界へと暗転する一瞬を確かに捉えてみせた傑作怪談」と単行本発売時、推薦文を寄せた。文庫解説を担当した稲川淳二氏は、「怪談とはどういうものかを知りたければ、この本を読めば分かります」と絶賛。「作品全体の質感を一言で表現するなら、”うっすらとした闇”です。」(解説文より)。山本周五郎賞受賞傑作ホラー『残穢』(新潮文庫)と内容がリンクしており、2作とも映像化されている。解説・稲川淳二 -
ひよりやま食堂
絵本作家になる夢を追い掛け仕事を辞め、27歳で上京してから4年。 貯金なく気力も尽きた吉川結は、夢を諦めようとしていた。 取材がてら勤めていた児童館での非常勤も任期満了が近づき、心の拠り所はどこにもない。 これからどうすればいい? いや、今までどうしてくればよかった……? 孤独と息苦しさに押しつぶされそうになった彼女がたまたま訪れたのは、住宅街にひっそりと佇む定食屋・ひよりやま食堂だった。 ”食堂の座敷わらし”を自称する少女・早苗と、翻訳家兼料理人の若き店主・深山司は、結を温かく美味しい料理で出迎える。 しかし、ひよりやま食堂には、「”座敷わらし”に認められないと常連にはなれない」という噂があって……? どんな人生にも、「日和見」が必要な時がある。 手探りで日々を生き抜く大人たちの心を、そっと包み込む物語。 -
新訳 赤毛のアン
Anne of Green Gables By Lucy Maud Montgomery,1908 これからの女の子たちへ。かつての女の子にも。 【NHKアニメで話題】 本当の子じゃない。でも、家族になれた。――永遠の名作を新訳&完全訳で。 偏屈な年寄り兄妹マシューとマリラは、孤児院から働き手として男の子を引き取ることに。なのにやってきたのは、赤毛でそばかすの少女アン。マリラはアンを追い返そうとするが、アンは号泣し…。自然豊かな美しい島を舞台に、夢見る少女が起こすおかしな騒動。そそっかしくて失敗ばかりのアンが感動をもたらします。泣いて笑ってキュンとする、世界中の少女が恋した名作を新訳・完訳で。アンが親しんだ英文学の徹底解説も掲載。 「新訳 赤毛のアン」シリーズ、1~3巻を、2ヵ月連続刊行 1巻『新訳 赤毛のアン』発売中 2巻『新訳 アンの青春』2025/4発売 3巻『新訳 アンの初恋』2025/4発売 英文学研究の第一人者だから訳せた、文学少女としての『アン』。 訳者あとがきで、アンが親しんだ文学作品についても徹底解説! カバーイラスト/金子幸代 カバーデザイン/鈴木成一デザイン室 ※本書は二〇一四年三~四月に角川つばさ文庫より刊行された児童書『新訳 赤毛のアン(上) 完全版』、『新訳 赤毛のアン(下) 完全版』を一般向けに大幅改訂したものです。なお、訳者あとがきは書き下ろしです。 -
ミセスハリス
映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』 2022.11.18(金)より映画公開 もうすぐ60歳の家政婦さんがディオールのドレスに恋をした! 1950年代のロンドン。ハリスおばさんはもうすぐ60歳の通いの家政婦。夫を亡くし、質素な生活を送っている。ある日、勤め先の衣装戸棚でふるえるほど美しいクリスチャン・ディオールのドレスに出会う。今まで身なりを気にしてこなかったが、自分もパリでドレスを仕立てようと決意し、必死でお金をためることに。やがて訪れたパリで、新しい出会い、冒険、そして恋? 何歳になっても夢をあきらめない勇気と奇跡の物語。解説・町山智浩 ※本書は、1979年12月に刊行された『ハリスおばさんパリへ行く』(講談社文庫)を、現代向けに加筆修正し、角川文庫化したものです。原題:Mrs Harris Goes to Paris この物語は、還暦近い家政婦ハリスさんが、努力と幸運と善意で、パリの高級ドレスを仕立てることになる、シンデレラ・ストーリーです。しかし、その背景には、当時、イギリスやフランスで起こりつつあった社会変動が隠されています。 オート・クチュール(高級仕立て服)はどれも一点ものです。だから、ファッションショーもごくごく限られた大金持ちのお得意様だけに見せるものでした。 ハリスさんはそれでも堂々とショーを見せろと要求します。自分が汗水垂らして稼いだ金を持ってきたのに何を恥じることがあるのか。 ディオールのマダムは、ハリスさんを見て「不思議な風格」を感じます。風格とか気品はその人の生まれ育ちや着ている服ではなく、内面から立ち上がるものだからです。 一生縁がないと思われたドレスを作ることが、ハリスさんなりの反逆であったことはいうまでもありません。――町山智浩 -
武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50
「使える哲学本」として、ビジネスパーソンから圧倒的支持! 知的戦闘力を最大化する、リベラルアーツ超入門。 コンサルの現場で一番役立ったのは哲学だった――。 「役に立たない学問の代表」とされがちな哲学は、ビジネスパーソンの強力な武器になる。経営コンサルだから書けた、「哲学の使い方」がわかる1冊。 【本書で紹介するキーコンセプト】 ●第1章 「人」に関するキーコンセプト 「なぜ、この人はこんなことをするのか」を考えるために ・ロゴス・エトス・パトス――論理だけでは人は動かない(アリストテレス) ・悪の陳腐さ――悪事は、思考停止した「凡人」によってなされる(ハンナ・アーレント) ほか ●第2章 「組織」に関するキーコンセプト 「なぜ、この組織は変われないのか」を考えるために ・悪魔の代弁者――あえて「難癖を付ける人」の重要性(ジョン・スチュアート・ミル) ・解凍=混乱=再凍結――変革は、「慣れ親しんだ過去を終わらせる」ことで始まる(クルト・レヴィン) ほか ●第3章 「社会」に関するキーコンセプト 「いま、なにが起きているのか」を理解するために ・アノミー――「働き方改革」の先にある恐ろしい未来(エミール・デュルケーム) ・パラノとスキゾ――「どうもヤバそうだ」と思ったらさっさと逃げろ(ジル・ドゥルーズ) ほか ●第4章 「思考」に関するキーコンセプト よくある「思考の落とし穴」に落ちないために ・シニフィアンとシニフィエ――言葉の豊かさは思考の豊かさに直結する(フェルディナンド・ソシュール) ・反証可能性――「科学的である」=「正しい」ではない(カール・ポパー) ほか -
「天と地と」シリーズ【全5冊合本版】
「これはおれの子ではないのかも知れない」為景は思った。生まれた赤ん坊は、輝きの強い眼を持つ男の子で、虎千代と名づけられた。のちの謙信である。百姓出の娘松江、忠臣金津新兵衛らに守られて育ち、14歳で春日山城での防戦に初陣を飾った景虎は三条勢を次々に打ち破り、毘沙門天を熱烈に信仰、女を近づけず、律僧のような日々を送るが、兄晴景は、その名声の高まりに不快の思いを強めてゆく。やがて兄は弟を暗殺するために忍びを放ち、景虎は20歳で兄を倒して春日山に入城、長尾家当主となった。 父を亡くした景虎は、武田晴信が北進に進攻してきたことを知る。両軍の対決が繰り返されるなかで将軍の権威は失墜、政情はますます不穏の気配を見せていく。そして永禄4年、上杉・武田両軍は川中島で一大決戦の時を迎えるが……! ※本作品は「天と地と」シリーズ全5巻を収録しています。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。 -
罠【電子特典付き】
「便利屋と呼んでください」その男の特徴はとくには…ない。ロボットのような得体のしれない新キャラクター・便利屋。まるで死神のようであり、悪役なのか助っ人なのか得体が知れない。 議員の息子が誘拐され、身代金要求が犯人から来た。金を工面しようと事務所の金庫へ向かった秘書が暴漢に襲われ、現金を奪われる。ところが、その金はなんと、偽札だったと警察に知らされる。八方ふさがりになり、便利屋に依頼をする……。一方、捜査一課の刑事の巨漢の男・都築は、街に発生する事件を追ううちに、一人の人間に行きつく――便利屋だ。背徳の街・槻津市では、今日も政治家や葬儀屋、学校、旅行会社と次々と悪事を働いている。暴力で相手を屈服させるのではなく、悪事を捻り出す知力(悪知恵)で騙し合っている。 『極上の罠をあなたに』(単行本)に、書下ろし4編を加えた文庫版新装版では、都築は探偵事務所の所長に。ついに便利屋の正体が明かされる! 電子書籍特典として、本書の発売にあわせて書き下ろされた「インタールード 刑事の恋」を収録。 -
バベル九朔
世界には「無駄」が必要だ。 カラス女、ヘンテコ店舗、夢の結末――雑居ビル管理人を最上階で待つものは? 全編ビルから出ずに繰り広げられる、最狭(さいきょう)かつ最高の冒険譚! 俺は5階建ての雑居ビル「バベル九朔」の管理人をしながら作家を目指している。 巨大ネズミ出没、空き巣事件発生と騒がしい毎日のなか、ついに自信作の大長編を書き上げた。 だが、タイトル決めで悩む俺を、謎の“カラス女”が付け回す。 テナントのギャラリーに逃げこんだ俺は、ある絵に触れた途端、見慣れた自分の部屋で目覚める――外には何故か遙か上へと続く階段と見知らぬテナント達が。 「バベル九朔」に隠された壮大な秘密とは? -
小松左京短編集 大森望セレクション
身の毛のよだつ怪談から、大笑いのコメディ、ひねりの効いたアイデア・ストーリー、じんわり沁みる普通小説、実話テイストの落語小説などなど……。 傑作が多すぎて、どれから読んでいいのか分からない……。そんな読者のために、大森望が腕によりをかけて厳選した、小松左京の多種多様な側面を一望できるショーケース! ページ数を気にせずに、本当におもしろい和ものとホラー系を中心に据えた、大森望ならではのセレクション。小松左京の「SFの巨匠」という顔しか知らない読者は、きっと新鮮な驚きを味わえるはず! 【序文】大森望 【特典】生頼範義によるカバーと、迫力のメガイラスト口絵、小松左京本人による、貴重な手描きイラスト図版を収録。 【収録作品】 「夜が明けたら」 「日本売ります」 「模型の時代」 「終りなき負債」 「牛の首」 「兇暴な口」 「骨」 「旅する女」 「流れる女」 「明烏」 「くだんのはは」 「召集令状」 「一生に一度の月」 「天神山縁糸苧環」 「氷の下の暗い顔」 姉妹編『小松左京短編集 東浩紀セレクション』も同時発売! -
小松左京短編集 東浩紀セレクション
小学生のころ初めて小松左京に出会い、夢中でつぎからつぎへと読んできた哲学者・東浩紀が「小松SFのような小説は、じつは小松左京しか書いていない。そういう意味では、あのころの興奮はもうずっと味わえていません」と語る、あのころの感動と驚きを詰め込んだワン・アンド・オンリーな短編集。 「進歩と科学技術」への違和感、焼け跡を原風景とした戦争体験、そして上方落語をはじめ伝統芸能への深い造詣――。 複雑で多面的なテーマを変幻自在の文体で読ませる、「地には平和を」から「ゴルディアスの結び目」まで、4番バッターばかりを集めたような贅沢なセレクション! 紙版角川文庫に換算すると700ページ以上にも及ぶ、長大な15編を1冊にまとめた、電子書籍ならではの必携の1冊! 【序文】東浩紀 【特典】生頼範義による迫力のメガイラスト口絵、小松左京本人による、貴重な手描きイラスト図版を収録。 【収録作品】 「地には平和を」 「御先祖様万歳」 「物体O」 「アダムの裔」 「神への長い道」 「人類裁判」 「戦争はなかった」 「静寂の通路」 「東海の島」 「お召し」 「結晶星団」 「お糸」 「ゴルディアスの結び目」 「大坂夢の陣」 「華やかな兵器」 姉妹編『小松左京短編集 大森望セレクション』も同時発売! -
ドーム 人類の箱舟
東大研究生として来日したアメリカ人女性ジュディ。核実験地で幼少時に被曝し、二四歳の若さで白血病に冒された彼女の切実な願いは、全面核戦争から、人類の絶滅を防ぐことだった。そして、ジュディと設計技師・吉田司郎との愛が、現代のノアの箱舟「ドーム」を発想させた。この巨大な施設が完成すれば、地球が“核の冬”に覆われても、尊い命を救うことができる――。ジュディの死を看取った吉田の活動で、「ドーム」の建設は多くの人々の共感を呼ぶが、背後では各国のイデオロギーや陰謀が複雑に絡みあっていく……。人類存亡をテーマに描いた感動の物語。(『ドーム―終末への序曲』改題) -
死に戻り令嬢と宿命の鬼
没落華族の令嬢・月宮桔梗は、家のために名門藤山家の次男で心優しい誠二と結婚し穏やかな日々を送っていた。 しかし、その7年後に誠二の兄である鷹彦に一家を惨殺されてしまう。 鷹彦の正体は「鬼」だった。 1人生き残った桔梗は絶望のあまり崖から身を投げるが、気が付くとなぜか7年前に時が巻き戻っていた。 この日から桔梗は同じ人生を繰り返し、平穏だった日常を取り戻そうと足掻くが、最後には必ず鷹彦にすべてを奪われてしまう。 そんな3度目の人生の最後、桔梗は美しいが慇懃無礼な鬼・清影と出会う。 自身が類稀なる“支配の奇術”の持ち主であることを知った桔梗は、清影とともに、この悪夢のような人生の繰り返しに終止符を打つため奔走するが……。 第11回 角川文庫キャラクター小説大賞 〈読者賞〉&〈カクヨムテーマ賞〉W受賞作! -
君の名は。 Another Side:Earthbound【角川文庫版】
東京に暮らす男子高校生・立花瀧は、夢を見ることをきっかけに田舎町の女子高生・宮水三葉と入れ替わるようになる。 慣れない女子の身体、未知の田舎暮らしに戸惑いつつ、徐々に馴染んでいく瀧。 身体の持ち主である三葉のことをもっと知りたいと瀧が思い始めたころ、普段と違う三葉を疑問に思った周りの人たちも彼女のことを考え出して――。 三葉と身体が入れ替わってしまった瀧、三葉の同級生である勅使河原克彦、不審な様子の姉に違和感を覚える妹の四葉、そして母の死後家を出てしまった父の俊樹。 新海誠監督長編アニメーション『君の名は。』の四人の視点から掘り下げる、ファン必読の外伝小説が角川文庫に登場! -
たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ
高校2年生のなずなのクラスメイト・鈴白くんが、突然命を絶った。 彼は明るくて容姿も成績も良い、学校の人気者。 だから、彼に限って自殺なんてありえない……皆そう思っていた。 「彼の悩みに気付いていたら」。後悔が膨れ上がり、 その晩なずなは鈴白くんと一緒に作った思い出の砂時計に「時間を巻き戻したい」と願って眠る。 翌朝目覚めたなずなは、なんと1ヶ月前にタイムリープしていた。 笑顔で登校してきた鈴白くんの姿に安堵するなずなだったが、 ひと月後、彼はまた死を選んでしまう。 鈴白くんの死を止めるため、何度もタイムリープを繰り返すなずな。 そんな彼女の行動に、ひとりだけ気づいている男子生徒がいて――。 なずなは残酷な運命を変えられるのか。 何気ない毎日が愛おしくなる、祈りと叫びの青春物語。 -
果てなき蒼を統べる王
大地震で本州が分断された日ノ本。坂東では、異能の力を持つ狩野家が、盟主としてこの地を治めていた。三男・夜隆は兄に頼ってのんきに暮らしていたが、長兄暗殺の疑いをかけられ、次兄によって城を追放される。奴隷船に捕らえられた彼を助けたのは、海賊として人を救う美少年・夢之助。彼と生活する中で、民の苦しみに触れ、世間知らずだった夜隆は盟主としての生き方を考え始める--。お互いの運命を変える、激動の主従物語! -
私を捨てて逃げた母は
■あらすじ この国では皇族だけが翡翠の瞳を持つとされる。 子爵家の娘、ステラは故あって翡翠色の瞳を持っていた。 だが、母は皇女の乳母となり家に帰らず、父親は愛人を家に連れ込み、ステラは愛人から虐げられる日々を過ごしていた。 そんなある日、突然の皇女からの呼び出しでステラは帝国宮を訪れることに。 けれど、見知らぬ広大な敷地でステラは迷子になってしまう。 困っていたステラの前に、青灰色の目をした美しい青年が現れ――。 WEBで大反響の短編小説「私を捨てて逃げた母は」を豪華長編化! ■登場人物 ステラ ラドフォード子爵家の一人娘。 黒髪に、翡翠の目を持つ。 アレクシス 貴族男性然とした背の高い青年。 銀色の髪に、青灰色の切れ長の目を持つ。 -
刑事の父
中央区日本橋に住むOL、三上舞衣が行方不明になった。警視庁刑事部捜査一課の西弘毅警部補は、所轄の和田ともに彼女の行方を追っていた。彼女の足取りは、六本木のホテル以降消えていた。そこで、ホテルから出てきた車に目を付け、車の持ち主・山川に事情を聞くことにする。すると、ホテルから出た後、友人と川に行ったというのだ。西は、山川たちの行った川を捜索し、三上舞衣の遺体を発見する。殺した犯人は誰なのか……。調べていく内に、「藤森駿」という大物議員の秘書の名前が挙がってくる。藤森を調べようとするも、捜査本部から西は外されてしまう。一方、御茶ノ水警察署からの電話に出た西は、「息子さんを逮捕しました」と言われる。捜査と家庭の間で揺れ動く西はどう動くのか――。 -
闇の代理人 偸安-TOAN-
「災害直後は子どもの略取が増える」 明治26年横浜。古堂弥郷(こどう・いやさと)は、義兄から災害時による子どもの行方不明事件の調査を任される。相棒は、尊敬する兄・秀多郎の家庭教師兼書生だった品川吉史(しながわ・よし)。吉史は元上海領事館総領事の息子で、語学に堪能な男だ。24年に起きた美濃地震を皮切りに、八王子の大火事など各地で連絡がつかなくなっていた子どもの行方を捜すために、横浜港に出入りする商船に目を付ける――渋々協力する吉史の調査は、合理的で要領も良く、正攻法んじる弥郷と何かと反目する。しかし、日本人略奪事件解決に向けて、協力し合ううちに、お互い認め合う存在になっていき――。暗躍する人身売買組織との熱い戦いが火蓋を切る! -
闇に消えた男 フリーライター・新城誠の事件簿
断崖絶壁に建つ武家屋敷から一族が忽然と姿を消した「消失屋敷」の殺人事件で出会ったフリーライターの新城誠と文芸評論社の編集者・中島好美。その二人にまた不可解な人間消失事件が起こった。念入りな取材を重ねることで知られるノンフィクション作家が失踪したと、捜索を依頼してきたのは、その作家の妻だった。新城は聞き取りをさっそく初めていくのだが、失踪直後に作家の実家の放火事件が発生、まじめに見えていた作家の裏の顔が暴かれることに――。富豪だった父の謎の自殺、知らない人物への送金、そして顕れる疑惑の数々。新城は持ち前の推理力を活かし推理を続けた。そして事件は意外な方向へ。巧妙に張り巡らせたミステリの伏線と物語のダイナミズム。本格ミステリの女帝が放つ、驚愕の推理エンタテインメント。 -
闇祓
転校生の白石要は、少し不思議な青年だった。背は高いが、髪はボサボサでどこを見ているかよくわからない。優等生の澪は、クラスになじめない要に気を遣ってこわごわ話しかけ徐々に距離を縮めるものの、唐突に返ってきた要のリアクションは「今日、家に行っていい?」だった――。この転校生は何かがおかしい。身の危険を感じた澪は憧れの先輩、神原一太に助けを求めるが――。学校で、会社で、団地で、身の周りにいるちょっとおかしな人。みんなの調子を狂わせるような、人の心に悪意を吹き込むような。それはひょっとしたら「闇ハラ=闇ハラスメント」かもしれない。「あの一家」が来ると、みんながおかしくなり、人が死ぬ。だから、闇は「祓わなくては」ならない――。辻村深月が満を持して解き放つ、本格長編ホラーミステリ! -
新訳 サロメ
「歪(いびつ)に見え実は巧みなフランス語でヴェールを纏(まと)ったサロメの姿を、初めて日本語で見た。クイアに美しく、リリカルな声に身震いがした」ロバート キャンベル(国文学者) 日本初演から110年。 「本当のサロメ」とは? 最新研究に基づく画期的新訳×新解釈で、物語の真の意味が明らかに! 日本初演から110年。私達は「本当のサロメ」に初めて出会う。 ――月夜の晩。エロド王に請(こ)われ、妖艶な踊りを披露したサロメ。王に求めた褒美は美しき預言者ヨカナーンの首だった。少女の激情を描き、男性同性愛の記号(モチーフ)を潜めることで、当時の西欧社会の抑圧を挑戦的に描いた本作は、実はワイルドの抵抗(レジスタンス)!? 仏語原文を忠実に読み解き、見過ごされてきた男達の意外な葛藤を示し、真のドラマ性を見事に新訳! ビアズリー画18点掲載。 【日本初演から110年。新訳で物語の真の意味が明らかに!】 ポイント1 今まで見過ごされてきた男たちの意外な葛藤を訳出 人との距離感を表す、仏語の二種類の語法――ヴーヴォワイエとチュトワイエ。それを原文通りに丁寧に訳しわけることで、ヨカナーンらの意外な葛藤を表現! ポイント2 サロメに隠された男性同性愛の記号(モチーフ) 劇中に登場する「緑のお花」は、実は男性同性愛の記号。そのためラストの悲劇的展開には、キリスト教による弾圧への抵抗(レジスタンス)の思いが込められている。後に男性同性愛で裁かれ、客死するワイルド自身の悲劇をも予言した。 ビアズリーの名画を18点掲載! 目次 サロメ 一幕劇 訳者あとがき -
新訳 テンペスト
シェイクスピア、「最初」で「最後」の傑作 徹底注釈&詳細な解説 シェイクスピア、「最初」で「最後」の名作。復讐と再生、植民地支配を描く 邪悪な弟にミラノ公爵位を奪われ、娘ミランダとともに島流しにされたプロスペロー。そんな目に遭わせたナポリ王と弟への復讐を誓い、12年後、魔法で大嵐を起こし、彼らを載せた船を難破させ、島に上陸させる。一行からはぐれ、一人、島に辿り着いた王子はミランダと恋に落ちる。プロスペローはそれを利用し、復讐を果たして公国を取り戻そうとするが…。赦しと再生、そして植民地支配を描いたシェイクスピア単独執筆最後の傑作。 目次 新訳 テンペスト 楽譜 一六〇九年バミューダ海域遭難の二つの手記 ウィリアム・ストレイチー『騎士サー・トマス・ゲイツの遭難と救済の真の報告』抄訳 シルヴェスター・ジュアデイン『バミューダ諸島、別名悪魔の島の発見』全訳 ジョン・フローリオ訳のモンテーニュ「人食い人種について」抄訳 訳者あとがき -
お役に立ちます! 二級建築士 楠さくらのハッピーリフォーム
コロナ禍を吹き飛ばす、令和のお仕事小説決定版 家族の幸せの設計図、描きます! 「読めばすっきり温かく、気持ちまでリフォームされること請け合いだ」 書評家大矢博子さんも太鼓判!! 「みんなで幸せになりましょう」クライアントに寄り添う設計を心掛けた父の遺志を継ぎ、二級建築士となった楠さくら。さくらが勤める父が世話になった木之本工務店に、ある時川沿いのスポーツ用品店から改装の依頼が。さっそく現地に赴いたさくらだが、店は昔ながらのジリ貧で店主も安くあげてくれの一点張り。持前のまっすぐさであたるさくらの驚きの提案とは? リフォームで幸福を呼ぶ、令和のお仕事小説決定版! -
運のいい人の法則
Amazonレビュー300超の大ベストセラー書籍『運のいい人、悪い人―運を鍛える四つの法則』、待望の文庫化! 世の中には運のいい人と運の悪い人がいる。ツキのある人生とツキのない人生はいったい何が違うのか。誰もが、運の不公平さには気づいていても、どうしてその違いが生まれるのかはうまく説明できない。英国の心理学者リチャード・ワイズマン博士は、講演会での聴衆のやりとりのなかで、幸運と不運を隔てるものに興味を抱き、調査を開始した。“運の科学的研究”だ。ちょっとしたアンケートからはじめた調査は10年の歳月を費やし、実験の協力者は数百人にのぼった。その結果、「運のいい人」に共通する「四つの法則」にたどり着いたのである。さらに、「運の悪い人」たちに、法則を実践してもらい“運”に変化があるかどうか試してもらった。結果、“運”は考え方と行動で変えられるということが明らかになったのである。英BBC、米NBC等で話題沸騰、世界30カ国でベストセラーとなった“運”の科学書。 -
世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR
こうして今日も、世界で肉は作られる。 「見てきました、“動物が肉になるまで”」 世にも稀なイラストルポルタージュ!! 「食べるために動物を殺すことを可哀相と思ったり、屠畜に従事する人を残酷と感じるのは、日本だけなの? 他の国は違うなら、彼らと私たちでは何がどう違うの?」 アメリカ、インド、エジプト、チェコ、モンゴル、バリ、韓国、東京、沖縄。 世界の屠畜現場を徹底取材!! いつも「肉」を食べているのに、なぜか考えない「肉になるまで」の営み。そこはとても面白い世界だった。 「間違いなくオンリーワンの本」佐野眞一氏(解説より) 【目次】 まえがき 第一章 韓国 第二章 バリ島 第三章 エジプト 第四章 イスラム世界 第五章 チェコ 第六章 モンゴル 第七章 韓国の犬肉 第八章 豚の屠畜 東京・芝浦屠場 第九章 沖縄 第十章 豚の内臓・頭 東京・芝浦屠場 第一一章 革鞣し 東京・墨田 第一二章 動物の立場から 第一三章 牛の屠畜 東京・芝浦屠場 第一四章 牛の内臓・頭 東京・芝浦屠場 第一五章 インド 第一六章 アメリカ 終章 屠畜紀行その後 あとがき 文庫版あとがき 主要参考文献一覧 解説 佐野眞一 -
笑う執行人 女検事・秋月さやか
六本木のクラブのVIPルームで撲殺された死体は、鋭利な刃物で鼻がすっぱりと削がれていた。殺されたのは、青年実業家の在日韓国人三世だった。異様な殺人は、連続殺人となった。その頃、東京地検特捜部に28歳の若さで配属された秋月さやかは、”無理筋”の仕事に戸惑っていた。大物代議士の不正献金事件の証拠がつかめず、立件が難しくなってきていたのだ。それにも拘わらず捜査を急ぐ特捜部。正義を掲げて秋月は孤立していく。いつしか結びつく二つの事件。その背景には日本社会の腐敗した組織構造があった。捜査一課のベテラン刑事・神代と、財務省出身の美男子弁護士・朝比奈と新米検事・秋月は事件の真相に迫るー。科警研所属の医師・白鳥奈津子も登場。著者渾身の社会派ミステリー。 -
汝、ふたつの故国に殉ず 台湾で「英雄」となったある日本人の物語
台湾で、その命日が「正義と勇気の日」に制定された日本人がいた――。日本と台湾の絆を表す「英雄」が歩んだ苦難と感動の物語。史上初の「日台」同時発売ノンフィクション! 1895年、ひとりの若者が台湾を目指して故郷・熊本をあとにした。台湾の治安維持と発展に尽くすためである。やがて台湾女性と家庭を築いた彼は、のちに「英雄」と呼ばれる男の子をもうけた。しかし、戦後の台湾の悲劇は、一家を動乱に巻き込んでいく。日本と台湾の“絆”を表わす「5代120年」にわたる壮大な一族の物語――。 「私には大和魂の血が流れている」「台湾人、万歳!」。台湾最大の悲劇となった1947年の「二二八事件」で、そう叫んで、永遠の眠りについた英雄がいた。坂井徳章弁護士(台湾名・湯徳章)である。父親は日本人、母親は台湾人で、生まれながらにして日本と台湾の“絆”を表わす人物である。父を早くに亡くした徳章は、貧困の中、辛酸を舐めながら勉学に励み、ついに当時の最難関国家試験である高等文官司法科と行政科の試験に両方合格する。 帝都・東京から故郷・台南へ帰り、台湾人の人権確立のために活動する中、徳章は国民党政府の「二二八事件」弾圧から台南市民を救うために奔走する。自らの身を犠牲にしながら、多くの市民を助けた徳章は、50年後に忽然と“復活”する。苦難の道を歩んだ台湾と、なぜ今も台湾人が日本と日本人をこれほど愛してくれているのか、その根源を解き明かした感動の歴史ノンフィクション――。 -
夕暮れ密室(角川文庫)
斬新なトリックで選考委員のミステリ心を奮い立たせた、本格青春推理小説が、ついに文庫化! 〈単行本刊行時帯コメントより〉 かつて、あの北村薫さんと、この綾辻がともにエールを送った問題作――『夕暮れ密室』。それがこのたび、全面的な改稿を経て、折り目正しい学園本格ミステリとして完成した。まことに“嬉しい”事件である。――綾辻行人 「密室テーマの夕暮れの時代」に、敢然と白昼の光を取り戻そうとしている。その心意気がよい。至難ともいうべき「密室」の扱いに成功。それは、上品な手品師の指使いを見るようで、まことに美しい。――北村薫 ※本作は、2015年2月に小社より刊行した単行本を文庫化したものです。 -
かんかん橋の向こう側(角川文庫)
父の亡き後、常連客に支えられながら残された食堂『ののや』を守リ続ける継母の奈央と高校生の娘真子。客の笑い声があふれる店にある晩、新顔の青年が現れる。東山と名乗るその男は、ネットで評判の小説を読み、その舞台になっている『ののや』と登場人物のモデルを見にやって来たという。「小説? ののやが?」「いったい誰が?」みなの驚きをよそに、すっかり気に入って町に滞在する東山。しかし間もなく、胡散臭い探偵が町にやってきて……。「人は帰る場所があるから、旅立つことができる」小さな食堂を舞台に、毎日をせいいっぱい生きる人々の絆とそこから巣立っていく少女の成長を描いた傑作長編! -
慟哭の海峡(角川文庫)
2013年10月、2人の老人が死んだ。 1人は大正8年生まれの94歳、もう1人はふたつ下の92歳だった。2人は互いに会ったこともなければ、お互いを意識したこともない。まったく別々の人生を歩み、まったく知らないままに同じ時期に亡くなった。 太平洋戦争(大東亜戦争)時、“輸送船の墓場”と称され、10万を超える日本兵が犠牲になったとされる「バシー海峡」。2人に共通するのは、この台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡に「強い思いを持っていたこと」だけである。1人は、バシー海峡で弟を喪ったアンパンマンの作者・やなせたかし。もう1人は、炎熱のバシー海峡を12日間も漂流して、奇跡の生還を遂げた中嶋秀次である。 やなせは心の奥底に哀しみと寂しさを抱えながら、晩年に「アンパンマン」という、子供たちに勇気と希望を与え続けるヒーローを生み出した。一方、中嶋は死んだ戦友の鎮魂のために戦後の人生を捧げ、長い歳月の末に、バシー海峡が見渡せる丘に「潮音寺」という寺院を建立する。 膨大な数の若者が戦争の最前線に立ち、そして死んでいった。2人が生きた若き日々は、「生きること」自体を拒まれ、多くの同世代の人間が無念の思いを呑み込んで死んでいった時代だった。 異国の土となり、蒼い海原の底に沈んでいった大正生まれの男たちは、実に200万人にものぼる。隣り合わせの「生」と「死」の狭間で揺れ、最後まで自己犠牲を貫いた若者たち。「アンパンマン」に込められた想いと、彼らが「生きた時代」とはどのようなものだったのか。 “世紀のヒーロー”アンパンマンとは、いったい「誰」なのですか――? 今、明かされる、「慟哭の海峡」をめぐる真実の物語。 -
木島日記
昭和初期――オカルト、猟奇事件、ナショナリズムが吹き荒れる東京。 民俗学者の折口信夫は古書店「八坂堂」に迷い込み、その棚にあるはずのない、未だ構想中の自分の小説『死者の書』を見つける。 「何が書いてあるか読んでごらんなさい」 奇怪な仮面を被った店の主人、木島平八郎に促され、その奇妙な書の頁をめくった時から、折口のまわりで奇怪な出来事が起こり始める……。 「あってはならない物語」へ誘う傑作文豪怪奇ミステリ! 書き下ろしの〈自著解題〉を付す改訂新装版で復活。 【目次】 第一話 死者の書 第二話 妣が国・常世へ 第三話 古代研究 第四話 水の女 第五話 若水の話 〈自著解題〉物語を供養する -
記者たちは海に向かった 津波と放射能と福島民友新聞(角川文庫)
2011年3月11日、一人の新聞記者が死んだ。福島民友新聞記者、熊田由貴生、享年24。福島県南相馬市で津波の最前線で取材をしていた熊田記者は、自分の命と引きかえに地元の人間の命を救った。その死は、仲間に衝撃を与えた。それは、ほかの記者たちも同じように津波を撮るべく海に向かい、そして、生命の危機に陥っていたからである。なかには目の前で津波に呑まれる人を救うことができなかった記者もいた。熊田記者の「死」は、生き残った記者たちに哀しみと傷痕を残した。取材の最前線でなぜ記者は、死んだのか。そして、その死は、なぜ仲間たちに負い目とトラウマを残したのか。非常用発電機のトラブルで新聞が発行できない崖っ淵に立たされ、さらには放射能汚染で支局も販売店も避難を余儀なくされた福島民友新聞を舞台に繰り広げられた新聞人たちの壮絶な闘い。「命」とは何か、「新聞」とは何か、を問う魂が震えるノンフィクション――。
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