柳広司の一覧
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ユーザーレビュー
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結城中佐が創設した スパイ養成学校、通称D機関。この物語は、D機関で訓練を受けた者たちがあらゆる場所で活躍するスパイ小説である。本作はアニメと同様にオムニバス形式で展開されるが、原作のほうが心情描写が細かいため、既にアニメを見た人にも楽しめる作品だ。
本作はあくまでもフィクション小説であるが、D
...続きを読む機関のモデルである陸軍中野学校をベースとしているためか、スパイとしてあるべき姿が具体的に描写されている。そのため、本作で紹介されるテクニックは実用的である。それに関していくつか興味深い点があったので以下に記す。
スパイ活動において一体何が必要なのか。結論を先に言うと、それは見えないことである。イメージとして、スパイ活動は華やかに思われるかもしれないが、実際はその真逆である。本編で繰り返し書いてあるが、スパイはいかに周囲から怪しまれないように活動できるのかが重要なのである。そのため、周囲から関心をもたらす事態、たとえば自分が死ぬまたは相手を殺すといった行為に走れば、それはスパイにおいて最悪な選択なのだ。ゆえに、本編で批判される美貌の女スパイ「マタ・ハリ」(実在のスパイ)のように派手な活動は本来のスパイとしてふさわしくないと。この教訓は、以前読んだ本『スパイのためのハンドブック』(ハヤカワNF文庫)に同様の記述があったため、よほど大切なことだとわかる。
またそれと関連して、女性がなぜスパイ活動に向いていないかが本編の終盤に書かれている。それを端的に表しているのが本編P270の結城中佐の発言「女は、必要もないのに殺すからだ。愛情や憎しみなどといった、取るに足らないもののためにな」だ。つまり、男関係が原因で、本来の活動に支障をきたすためである。これについて『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』(文春新書)で本作の解説を担当する作家佐藤優も似た発言をしている。それだけ、思わぬ出来事でつまずく可能性がある。スパイとは暗躍しなければならない存在なのだ。
Posted by ブクログ
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「魔王」と呼ばれる超人的な逸話を持つスパイであった結城中佐が、陸軍内にスパイ養成学校を設立し、養成されたスパイが戦時下の世界を暗躍するという物語。
世界観に入り込めるかという不安はあったが、純粋に楽しめた。
“何かにとらわれて生きることは容易だ。
だが、それは自分の目で世界を見る責任を放棄する
...続きを読むことだ。自分自身であることを放棄することだ。”
本作を通じて心に残った言葉だ。
これは結城中佐の言葉であり、励ましの言葉ではなく諜報員に対して下した、ただ任務を自己責任でやり通せという冷徹な命令である。
しかし私は人生の教訓として、この言葉を心にとめようと思う。
いわゆる肩書にとらわれ、世間の言いなりになり物事を決めつけるのではなく、自分で考え、行動することを大切にしたい。
Posted by ブクログ
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まさか短編集だったとは
お話の舞台設定は統一されているけど、連作というよりオムニバスって感じかな
お話や謎そのものにも興味を惹かれるんだけど(そしてちゃんと面白いんだけど)、読んでいて一番気になるのはスパイたちの行動原理やモチベーション
そしてちゃんとそこに触れたお話を最終話に持ってくるあたり、痒
...続きを読むい所に手が届く!って感じでとても良かったです
続編もあるようなので読みたいし、そういえば映画やアニメにもなってたなとも思い出したり
気になるー
Posted by ブクログ
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旧日本軍が苦手とした諜報もの
史実では、ゾルゲ事件や紫暗号解読など旧日本軍は諜報戦を苦手とした と 一般的に言われている。
この小説はそこを逆手にとってこんな諜報機関があったのだ という視点で書いている。
現在、歴史として記録に残っていないのはその諜報機関(D機関)がうまく機能したことの証拠である と空想してしまいそうなほど
...続きを読む良くできた小説である。
今の日本における諜報活動にも思いをはせそうな小説。
じゃがいも
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知的でクールなスパイ小説です。非常におもしろい。
スパイ映画のように派手じゃありません。スパイは目立ってはいけないからです。
スパイ映画で培われたスパイのイメージをことごとく覆してくれる気持ち良さがあります。
Posted by ブクログ
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